心房細動合併PCI患者の抗凝固療法

WOEST試験では、抗凝固療法が行われているPCI患者を、2剤併用群(VKA+clopidogrel)と3剤併用群(VKA+clopidogrel+aspirin)とに振り分け、出血性イベントをprimary endpointとして比較。2剤併用群で出血性イベントのみならず虚血性イベントも低いことが示された。

第2世代のDESでは、ステント血栓症は0.1%/年程度と考えられており、一方、心房細動による心原性脳梗塞の発症率は、リスク因子をどれだけ持っているかによって異なるが、少なくともその10倍以上はある。

心房細動による心原性脳梗塞の方が、ステント血栓症より発症率が高いわけだ。なので、心房細動を合併したPCI患者では、抗凝固療法をメインに考えなくてはならない。

3剤併用療法を、VKAではなくNOACにするとどうなのか。

APPRAISE2試験では、NOAC+DAPTについて検討された。出血性イベントが有意に上昇したため早期中止となった。NOACに関しては、通常容量で投与されているため、減量した場合には出血性イベントが減る可能性もある。しかし、減量基準を満たさない患者に対しNOACを減量し投与した場合のエビデンスはないため、心原性脳梗塞に対する治療としては望ましくないだろう。

遅延造影MRI

細胞外液移行型造影剤であるGd-DTPAを急速静注して行う。。

正常心筋では細胞内液が80%を占め、細胞外液は20%以下しか存在しない。梗塞部位では、心筋細胞が減少し間質成分に置き換わっているため、細胞外液量が90%程度まで増加している。

Gdはその細胞外液に分布する。

さらに、梗塞部位では冠血流が低下しているため、そのwash outも遅れる。それにより、梗塞部位の造影効果が強くなるとされる。

MRIは空間解像能に優れており、遅延造影により心内膜下梗塞を明瞭に描出できる。虚血性心疾患では、血行再建を行うか否かはviabilityの有無により判断されるべきだが、遅延造影MRIによりviabilityも評価できる。

2000年にNEJMに掲載された論文では、遅延造影の深達度と血行再建後の機能回復についての関連を調べられており、遅延造影の深達度が0%のセグメントでは78%、1-25%では60%、26-50%では42%、51-75%では10%、76-100%では1.7%で、血行再建後に機能回復がみられた。

これは日循のguidelineをみただけなので、次はこの論文を読んでみたいと思う。

ちなみに、Gdは腎機能低下例に対する使用と、腎性全身性線維症(NSF:Nephrogenic Systemic Fibrosis)の関連が報告されており、禁忌とされている。Gdは毒性の強い物質らしくDTPAでキレートして使用されているが、腎機能低下例では、Gdが排泄されずキレート剤と分離?してしまい、NSFを発症してしまうらしい。皮膚の硬化や筋肉表面の石灰化などが左右対称に下肢から起こるとされ、死亡例も出ている。有効な治療法はない。

AS(大動脈弁狭窄症)での圧較差測定について

カンファで議論になったので、備忘録として。

心不全症状を伴ったASで、術前のCAGを行った。その際に、ASの圧較差を計る必要があるどうか。

ACC/AHAのguidelineでは、臨床所見と心エコー所見が一致していればclassⅢで必要がないと記載されている。

臨床所見と心エコー所見が一致しない場合、つまり心不全の原因としてASが考えられるが、エコーでは心機能正常でそれほど圧較差がない場合などは、カテーテルで圧較差を測定することが推奨されている。

長引く咳嗽

まずは、重篤な疾患を見逃さないこと。

・心不全、肺塞栓、結核、肺炎、肺癌、間質性肺炎

つまり、vitalの確認と、胸部レントゲンは必須。

次に、長引く咳嗽の中でのcommonを考える。

・咳喘息(就寝時・深夜・早朝に多い。診察中にせき込むなら気管支拡張薬の吸入をtry。アトピー咳嗽と鑑別できる)

・アトピー咳嗽(アトピーの既往、咽頭掻痒感の確認。抗ヒスタミン薬とステロイド吸入が有効)

・副鼻腔気管支症候群(気道症状だけでなく、副鼻腔症状も伴うことがあることに注意)

・逆流性食道炎(胸やけ・吞酸などの症状の確認)

・感冒後咳嗽(感冒様症状があったかどうか問診)

・薬剤性(ACE阻害薬の内服)

 

周術期におけるDES留置後のDAPT

【Perioperative managemet of antiplatelet therapy】

Britich jormal of Anaesthesia 111(S1):i3-i17(2013)

 

DAPTの最低限の期間としては、POBAだけなら2週間、BMSなら4-6週間であるが、DESは不明である。

周術期におけるDES留置後のDAPTは、2007年のACC/AHAガイドラインでは12ヶ月、2010年のESCガイドラインでは6か月がrecommendされている。

いくつかのランダム化試験で、DAPTを短縮しても心血管イベントが増加しないことが報告されている。

ただ、現時点ではDAPTの期間と外科的手術のタイミングについては、明らかではない。ACS、分岐部病変に対するPCI、多枝へのPCI、overlapping stents、LVEF<30%、腎不全、DMではstent endothelializationが遅延する原因となる。低リスク・中リスクの患者では6か月のDAPTでよいかもしれないが、高リスクなら12か月続けた方がいいかもしれない。