IMPROVE-IT試験 スタチンにエゼチミブを追加する効果

Ezetimibe Added to Statin Therapy after Acute Coronary Syndromes
N Engl J Med. 2015;372:2387-97

《要約》
背景
スタチン療法はLDLコレステロール値と心血管イベントを減少させる。しかし、今日からのコレステロールの吸収を抑制するエゼチミブを追加することで、心血管イベントをさらに抑制できるかは定かではない。

方法
急性冠症候群(ACS)による入院10日以内で、かつLDL50−100mg/dlの脂質降下療法を行っている患者、もしくはLDL50−125mg/dlの脂質降下療法を行っていない患者を対象として、18144例を対象に二重盲検無作為化試験を行った。シンバスタチン40mgとエゼチミブ10mgの併用と、シンバスタチン40mgとプラセボの併用を比較した。primary endpointは心血管死、非致死的心筋梗塞、不安定狭心症による入院、無作為化から30日以降の再血行再建、非致死的脳梗塞の複合エンドポイントとした。フォローアップ期間の中央値は6年である。

結果
試験期間中の平均LDLコレステロール値の中央値は、シンバスタチン-エゼチミブ群で53.7mg/dl、シンバスタチン単独療法群で69.5mg/dlであった(P<o.oo1)。7年間のイベント発症率はシンバスタチン-エゼチミブ群で32.7%、シンバスタチン単独療法群で34.7%であった(ハザード比0.936, 95%CI:0.89-0.99)。筋肉、堪能、肝臓の有害事象や悪性腫瘍は両群間で差はなかった。

結論
スタチン療法にエゼチミブを加えることで、さらにLDLコレステロール値が低下し、心血管イベントが抑制される。さらに、付加的な効果もある。

◯この論文のPICOはなにか
P:ACS患者
I:シンバスタチン40mgに加えてエゼチミブ10mgを内服(エゼチミブ併用群)
C:シンバスタチン40mgの単独療法(単独療法群)
O:心臓血管死、非致死的心筋梗塞、不安定狭心症による入院、無作為化から30日以降の再血行再建、非致死的脳梗塞の複合エンドポイント。

inclusion criteria:50歳以上、急性冠症候群(ACS)による入院10日以内で、かつLDL50−100mg/dlの脂質降下療法を行っている患者、もしくはLDL50−125mg/dlの脂質降下療法を行っていない患者、
exclusion criteria:冠動脈バイパス術が予定されてる患者、CCr<30ml/min、活動性肝疾患、シンバスタチン40mg以上の使用、

手順:ACS発症24時間以内にLDLコレステロールを測定する。ACSに対して標準的治療を行い、エゼチミブ併用群と単独療法群とに、1:1に無作為に割り付け、二重盲検化する。無作為化は階層化して行う。フォローアップは30日後、4ヶ月後、それ以降は4ヶ月おきに行う。内服を中断した場合は電話でのフォローアップを行う。採血は1,4,8,12ヶ月に行う。2回連続でLDLコレステロールが79mg/dl以上だった場合には、二重盲検した状態でシンバスタチンを80mgに増量する。LDLコレステロールが100mg/dlを切らない場合には、別の治療に変更する。

◯ランダム化されているか
randomizationと記載があるが、本文にはその方法についての記載はない。

◯baselineは同等か
同等。以下、ざっくりと。
年齢63歳、3/4が男性、BMI28、アジア人5%、DM27%、うっ血性心不全と末梢動脈疾患が5%ずつ、1/5にOMIあり、CABG9%、CCr84ml/min、STEMI:NSTEMI:UAP=1:2:1、平均LDL93mg/dl、DAPT・βblockerは90%弱、ACEI/ARB75%。

◯症例数は十分か
power90%で相対リスク9.375%低下を検出するために、primary endpointが5250イベント発生する必要がある。5250イベント発生するまで最低2.5年フォローする。必要症例数がいくつかの明示はない(試験途中でサンプルサイズの変更が行われたためかと思われる)。

◯盲検化されているか
患者、治療介入者、outcome評価者は盲検化されている。

◯すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
ITT解析。

◯結果
1年の時点で、LDLコレステロール値はエゼチミブ併用群で53.7mg/dl、単独療法群で69.9mg/dlと24%の低下を認めた。
primary endpointは以下の通り。
result1
result2
(本文より引用)

◯感想/批判的吟味
・試験期間中にサンプルサイズなど5回のprotocol変更を行っている。
・そもそもエゼチミブを追加するのではなく、ストロングスタチンを使用したらいいのではないか。
・これは二次予防のためのエゼチミブ併用療法だが、心筋梗塞一次予防も含めたコルヒチンのデータの方が明らかに心筋梗塞を抑制している。
・非致死的心筋梗塞、虚血性脳卒中、緊急血行再建を有意に低下させているが、実際のパーセンテージとしては大きくなく、N=180000と大規模に行われた試験ゆえについた差だと思う。
・アジア人は5%しか含まれていない。
・あえてエゼチミブを使用する意味は感じない。

STEMI DES vs BMS EXAMINATION試験の5年間のフォローアップ

Clinical outcomes in patients with ST-segment elevation myocardial infarction treated with everolimus-eluting stents versus bare-metal stents (EXAMINATION): 5-year results of a randomised trial.
Lancet. 2015 Oct 28 [Epub ahead of print]

《要約》
背景
第2世代薬剤溶出性ステント(DES)の安全性と有効性のデータは、特にST上昇型心筋梗塞(STEMI)で十分でない。EXAMINATION試験において、STEMI患者を対象にエベロリムス溶出性ステント(EES=XienceVステント)とベアメタルステント(BMS)を比較し、5年間のアウトカムと評価した。

方法
イタリア、スペイン、オランダの多施設共同研究。中央割り付け方式で、STEMIをXienceとBMSの1:1に無作為に割り付けた。患者の盲検化を行った。5年間の全死亡、心筋梗塞、再血行再建の複合エンドポイントを評価し、結果はITT解析を行った。

結果
1498例(Xience群751例、BMS群747例)を無作為化し、Xience群731例、BMS群727例が完全にフォローアップできた(フォローアップ率は両群とも97%)。primary endpointはXience群159例(21%)、BMS群192例(26%)、HR0.80(95%CI0.65−0.98)であった。その差は主に全死亡による差であった(65例[9%]vs88例[12%], HR0.72 P=0.047)。

◯この論文のPICOはなにか
P:STEMI(all-comers)
I:EES=Xience Vステントを使用(Xience群)
C:BMS=Multilink Visionステントを使用(BMS群)
O:全死亡、心筋梗塞、再血行再建の複合エンドポイント

inclusion criteria:発症48時間以内、肢誘導の2誘導以上で少なくとも1mm以上のST上昇、胸部誘導の連続する2誘導以上で少なくとも2mm以上のST上昇、新規の完全左脚ブロック、血管径2.25−4.00mm。
exclusion criteria:18歳未満、妊娠、ワルファリンの内服、ステント血栓症によるSTEMI、アスピリン・クロピドグレル・ヘパリン・ステンレス鋼・エベロリムス・造影剤に対するアレルギー。フォローアップは30日後、6ヶ月後、1年後、以降5年後まで毎年行う。

手順:未分画ヘパリンまたはビバリルジンで抗凝固を行う。GPⅡb/Ⅲa阻害薬の使用はオペレータに委ねる。抗血小板療法のローディングが必要な場合、アスピリン250−500mg、クロピドグレル300mg以上を使用する。アスピリン100mg/日とクロピドグレル75mg/日の内服は少なくとも1年間は継続する。血栓吸引とダイレクトステンティングが推奨されるが、必要に応じて他のデバイスの使用も可。

◯ランダム化されているか
computer-generated, central randoisation(by telephone)

◯baselineは同等か
同等。以下、ざっくりと。
年齢60歳、DM18%、高脂血症40%、primary PCI(<12h)85%, killipⅠ89%、ステントオーバーラップ26%、ステント数1.4本、ステント長23mm、TIMI3 after PCI92%、5年間のDAPT継続10%。

◯症例数は十分か
30%のリスク減少(Xience群14.5%、BMS群20.5%)と仮定し、αlevel0.05、power86%とし、必要症例数は1500例と算出している。Xience群751例、BMS群747例が無作為化されている。

◯盲検化されているか
試験の性質上、治療介入者は盲検化できないが、患者は盲検化している。

◯すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
ITT解析が行われている。脱落率は3%。

◯結果
result

◯感想/批判的吟味
STEMIにおいて、第2世代DESとBMSを無作為比較した試験の長期の成績である。5年間で、ステント血栓症や標的血管心筋梗塞などの遅発性イベントを増加させず、全死亡や再血行再建を減少させた。全死亡の内訳としては、心臓死や血管死では有意差なく、非心臓死を減少させる結果であったが、これはどう解釈すればよいのだろうか。統計学的有意差がついているため偶然ではないのだろうが、薬剤溶出性ステントにより非心臓死が減少する理由がわからない。Discussionでは、ステント留置後早期のステント血栓症や再血行再建の減少が、左心機能を維持することにつながり、それがさらなる合併症(感染症や敗血症など)を抑制したのではないかと考察されているが推測の域を出ない。

チガグレロルvsクロピドグレル 急性冠症候群の抗血小板療法 PHILO試験

Ticagrelor vs. Clopidogrel in Japanese, Korean and Taiwanese Patients With Acute Coronary Syndrome - Randomized, Double-Blind, Phase III PHILO Study.
Circ J. 2015;79:2452-60

《要約》
背景
日本、台湾、韓国において、急性冠症候群(ACS)におけるプラスグレルやチカグレロルなどの新規のP2Y12阻害薬の有効性・安全性に関するデータはほとんどない。

方法・結果
多施設、二重盲検、無作為化のPHILO試験で、ACS801例を対象にクロピドグレルに対するチカグレロルの安全性と有効性を検証した(日本人721例、台湾人35例、韓国44例、不明1例)。発症24時間以内のACSを対象とし、主要安全性/有効性評価項目は、大出血と心筋梗塞・脳梗塞・血管死の複合エンドポイントである。12ヶ月で、大出血はチカグレロル群で10.3%、クロピドグレル群で6.8%であり(HR:1.59, 95%CI:0.94-2.53)、有効性評価項目はチカグレロル群で9.0%、クロピドグレル群で6.3%であった(HR:1.47, 95%CI:0.88-2.44)。いずれも、統計学的には有意ではなかった。

結論
日本、台湾、韓国では、ACSにおけるチカグレロルの使用は、クロピドグレルよりも大出血や心血管イベントが多い傾向にある。

◯この論文のPICOはなにか
P:急性冠症候群(STEMI/nonSTEMI)
I:アスピリンに加えて、チカグレロルを内服(チカグレロル群)
C:アスピリンに加えて、クロピドグレルを内服(クロピドグレル群)
O:心筋梗塞、脳梗塞、血管死をprimary efficacy endpointに、大出血をprimary safety endpointとした。

inclusion criteria:胸部症状が10分以上持続するACS患者、発症24時間以内
exclusion criteria:クロピドグレルに対する禁忌、活動性の出血または出血の既往、24時間以内の血栓溶解療法、抗凝固療法を要する状態、徐脈のリスクが高い患者、CYP3Aを阻害/減弱させる併用療法

手順:チカグレロルは180mgのローディングと180mg分2または90mg分1の内服を、クロピドグレルはローディング300mgと75mg分1の内服を行う。アスピリンはローディングは330mgまで、維持量75−100mg分1とする。

◯ランダム化されているか
central interactive web response or voice systemにより、チカグレロル群とクロピドグレル群に1:1に割り付けを行う。

◯baselineは同等か
群間差あり。75歳以上の高齢者、冠危険因子(高血圧症、高脂血症、糖尿病)、CABGの既往はチカグレロル群で多く、TIAの既往はクロピドグレル群で多かった。
以下、ざっくりと。
年齢67歳、BMI23、OMI8%、PCIの既往10%、非出血性脳梗塞の既往7%、CKD5%、胃潰瘍9%、STEMI50%、KillipⅣ1%、PCIは84%に行われている。

◯症例数は十分か
出血イベントがチカグレロル群で9.5%、クロピドグレル群で9.2%、primary efficacy endpointがチカグレロル群で15例、クロピドグレル群で18例と仮定。PLATO試験をもとに脱落率6.24%とし、必要症例数は800例(日本730例、韓国30例、台湾40例)で、801例が無作為化された(チカグレロル群401例、クロピドグレル群400例)。

◯盲検化されているか
解析はスポンサーによって行われ、第三者機関によって結果が確認された(スポンサーと第三者機関との間で解析結果の相違があった場合には第三者機関のものを採用した)。

◯すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
内服を開始せずに脱落した症例は除いたmodified ITT解析が行われている。脱落率は約4%。解析にはふくめられているが、患者の希望などによりチカグレロル群で約30%程度、クロピドグレル群で約40%程度の試験の中断がある。

◯結果
チカグレロル群vsクロピドグレル群、HR(95%CI)
primary safety endpoint(大出血):10.3%vs6.8%, 1.54(0.94-2.53)
小出血はチカグレロル群で有意に多い。15.2%vs9.2%、1.75(1.15−2.76)
primary efficacy endpoint:9.0%vs6.3%, 1.47(0.88-2.44)

◯感想/批判的吟味
チカグレロルとクロピドグレルを比較したPLATO試験では、日本人は含まれていなかったため、このPHILO試験にて日本人を対象にチカグレロルの安全性と有効性を検証した。統計学的には有意でなかったものの大出血や心血管イベント(心血管死、心筋梗塞、脳梗塞)を増やす結果となった。日本人においてはチカグレロルの使用は慎重に行うべきだろう。

術前の血行再建の有効性は非保護左主幹部病変でのみ認められる CARP試験とレジストリ

Usefulness of revascularization of patients with multivessel coronary artery disease before elective vascular surgery for abdominal aortic and peripheral occlusive disease.
Am J Cardiol. 2008;102:809-13

《要約》
CARP試験では、待期的な大血管手術の前に血行再建を行っても生命予後は変わらなかった。これが、冠動脈多枝病変でも当てはまるかは議論がある。CARP試験のスクリーニングの4年間で1048例に冠動脈造影が行われた。この集団はレジストリ586例と試験に登録された462例で、その中には2枝疾患204例(19.5%)、3枝疾患130例(12.4%)、LM病変48例(4.6%)が含まれていた。log-rank検定により、LM病変に対する術前血行再建で生存率の改善を認めたが(0.84 vs 0.52, P<0.01)、2枝疾患・3枝疾患では認められなかった。

◯この論文のPICOはなにか
P:腹部大動脈瘤・下肢動脈閉塞性疾患の手術を行う患者
I:術前に血行再建を行う
C:術前に血行再建を行わない
O:生存率

inclusion criteria:米国の退役軍人病院18施設でCARP試験の登録期間に大血管手術が行われた患者、
exclusion criteria:緊急手術、重篤な併存疾患

○観察期間はどれくらいか
2.5年であり、outcomeが生じるのに十分な観察期間である。

○結果に影響を及ぼすほどの脱落があるか
脱落なし。

○outcomeの観察者が危険因子についてmaskingされているか
記載はないが、outcomeの評価には影響がない。

○交絡因子の調整が行われているか
Cox比例ハザードモデルが用いられている。

○結果
生存率の改善が認められたのは、非保護左冠動脈主幹部病変のみ。HR:0.19(0.05−0.66)

◯感想/批判的吟味
2枝病変や3枝病変であっても、大血管手術の前の血行再建によって生存率は改善しない。唯一、生存率が改善する可能性があるのは、非保護左冠動脈主幹部病変のみである。ただ、この集団の非保護左冠動脈主幹部病変は48例と症例数は決して多くないため、さらなる検証は必要。

“Taxus Element” vs “Xience Prime” 糖尿病患者での成績 TUXEDO試験

Paclitaxel-Eluting versus Everolimus-Eluting Coronary Stents in Diabetes.
N Engl J Med. 2015;373:1709-19

《要約》
背景
糖尿病患者に対するPCIにおいて、どの種類のステントを用いるかは議論がある。以前のstudyでは、ステント間の同等性が示されたものやエベロリムス溶出性ステントの優越性が示されたものなど、矛盾する結果であった。

方法
PCI予定の糖尿病患者1830例を、パクリタキセル溶出性ステントかエベロリムス溶出性ステントのいずれかに割り付けた。非劣性試験であり、非劣性マージン4%とした。primary endpointは標的血管不全(心臓死、
標的血管心筋梗塞、虚血による標的血管再血行再建)とし、フォローアップ期間は1年である。

結果
primary endpointは5.6% vs 2.9%、相対リスク1.89(95%CI:1.20−2.99)であり、パクリタキセル溶出性ステントの非劣性は示されなかった。心筋梗塞(3.2% vs 0.4%, P=0.004), 標的血管再血行再建(3.4% vs 1.2%, P=0.002), 標的病変再血行再建(3.4% vs 1.2%, P=0.002)と、パクリタキセル溶出性ステント群で有意に標的血管不全が多かった。

結論
糖尿病を有する冠動脈疾患患者では、パクリタキセル溶出性ステントはエベロリムス溶出性ステントとの非劣性は証明されず、1年後の標的血管不全、心筋梗塞、ステント血栓症、標的血管再血行再建が有意に多い結果であった。

◯この論文のPICOはなにか
P:糖尿病を有する冠動脈疾患患者
I:パクリタキセル溶出性ステントでPCIを行う(Taxus群)
C:エベロリムス溶出性ステントでPCIを行う(Xience群)
O:1年後の標的血管不全(心臓死、標的血管心筋梗塞、虚血による標的血管再血行再建)

inclusion criteria:造影上34mm以下の病変、対照血管径2.25mm−4.0mm

手順:冠動脈造影を行った後にランダム化する。多枝病変の場合は、すべて同一の種類のステントで治療を行う。すべての患者は治療の前にアスピリン350mgに加えクロピドグレル600mg、プラスグレル60mg、チカグレロル180mg、いずれかの内服を行う。そして、DAPTは少なくとも1年間継続する。DAPTはアスピリン75−100mg/日と、クロピドグレル75mg/日以上、プラスグレル10mg/日、チカグレロル180mg/日のいずれかを加えたものとする。PCIのストラテジーとDAPTに使用する薬剤については主治医の判断で行う。

◯ランダム化されているか
interactive Web-based response systemを用いて、各群1:1に割り付けを行う。

◯baselineは同等か
同等。以下、ざっくりと。
年齢58歳、2/3が高血圧、3/4が高脂血症、喫煙者15%、インスリン依存性糖尿病40%、糖尿病の罹病期間6年ちょっと、陳旧性心筋梗塞40%、LVEF<40%が9%、2/3は急性冠症候群で残りが安定狭心症など、1枝病変75%、2枝病変20%、対照血管径2.9mm、病変長20mm。

◯症例数は十分か
SPIRIT-Ⅳ試験の結果より、primary endpointが両群で8.4%を起こると仮定し、非劣性マージン4%、power90%、αlevel5%として、必要症例数は各群915例と算出されている。Taxus群が914例、Xience群が916例、登録されている。

◯盲検化されているか
PCIを行う医師は盲検化できないが、患者・フォローアップを行う医師は盲検化されている。

◯すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
ITT解析とper−protocol解析が行われている。フォローアップ率は97.4%であった。

◯結果
割り付け通りのステントが留置された患者は、Taxus群889例/914例、Xience群899例/916例であった。
Taxus群 vs Xience群、相対リスク(95%CI)
標的血管不全:5.6% vs 2.9%, 0.53(0.33-0.83)
虚血による標的血管再血行再建:3.4% vs 1.2%(P=0.002)
心筋梗塞:3.2% vs 1.2%(P=0.004)
ステント血栓症:2.1% vs 0.4%(P=0.002)

◯感想/批判的吟味
パクリタキセル溶出性ステントは、リムス系ステント(シロリムス、エベロリムス、ゾタリムス)に比べ劣っていると考えらていたが、糖尿病ではパクリタキセルの安全性・有効性が高いことを示唆するデータがあった。その真偽について検証したRCTであったが、心筋梗塞・ステント血栓症・標的病変再血行再建などパクリタキセル溶出性ステントで有意に多く、糖尿病においてもパクリタキセル溶出性ステントが有意に劣っていることを示す結果であった。

DECREASE-V試験 予防的血行再建の長期成績

Long-term outcome of prophylactic coronary revascularization in cardiac high-risk patients undergoing major vascular surgery (from the randomized DECREASE-V Pilot Study).
Am J Cardiol. 2009;103:897-901

これは、リスクの高い患者を対象に、大血管手術の前に血行再建を行うことで、周術期の心血管イベントが減るかどうかを検証したDECREASE-V試験の長期成績である。DECREASE-V試験の30日、1年でのoutcomeはこちらを参照。

◯この論文のPICOはなにか
P:腹部大動脈や下肢動脈の手術が予定されており、負荷試験にて広範囲の心筋虚血が証明された患者
I:術前に血行再建を行う(血行再建群)
C:薬物療法のみ(非血行再建群)
O:術後30日までの全死亡、非致死的心筋梗塞の複合エンドポイント

inclusion criteria:70歳以上、狭心症、陳旧性心筋梗塞(病歴、異常Q波)、代償性うっ血性心不全、糖尿病へ薬物療法、慢性腎臓病、脳血管障害の既往

手順:3つ以上のリスクファクターを持ち、負荷試験(ドブタミン負荷心エコー/ドブタミン負荷もしくはジピリダモール負荷心筋シンチグラム)によって広範囲の虚血が証明された患者を、血行再建群と非血行再建群に割り付ける。血行再建としてPCIとCABGのいずれを行うかは主治医が決定する。大血管手術後は1,3,7,30日後に血清トロポニンTの測定と心電図検査を行う。外来に3ヶ月おきに通院し、問診と心電図検査を行い1年間フォローアップする。

◯ランダム化されているか
computer algorithmによって割付を行う。封筒法を用いている。

◯baselineは同等か
同等。以下、ざっくりと。
年齢70歳、狭心症50%、心筋梗塞の既往100%、うっ血性心不全と脳血管障害が40%、β遮断薬70%、ACE阻害薬50%、スタチン60%、大腿-膝窩動脈手術が半分でもう半分はそれよりも近位部の手術、2枝疾患が1/4、3枝疾患が2/3、LM病変8%。

◯症例数は十分か
DECREASE-Ⅰ試験をもとにprimary endpoint33%、85%のリスク減少があると仮定し、power93%、αlevel5%として、必要症例数は100例と算出されている。血行再建群49例、非血行再建群52例の計101例が登録されている。

◯盲検化されているか
試験の性質上、open label。

◯すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
ITT解析。

◯結果
血行再建群49例、非血行再建群52例の計101例で、PCIが32例に施行されている。2例にBMSが、30例にDESが使用されている。

観察期間は2.8年。非血行再建群のうち、フォローアップ期間内に血行再建を行ったのは2例であった(1例はUAPのためにCABGが、もう1例は狭心症の症状増悪のためにPCIが行われている)。

血行再建群vs非血行再建群、HR(95%CI)
primary endpoint:49% vs 42%, 1.51(0.89-2.57)
生存率:64% vs 61%, 1.18(0.63-2.19)

周術期はステント血栓症や重大な出血があり、それが予後に影響を与えた可能性があった。しかし、30日後以降の解析を行っても、両群間に有意差はなかった。

◯感想/批判的吟味
大血管手術を行うハイリスクな患者に、術前に血行再建を行っても長期予後は変わらない。血行再建といっても2/3がPCIで、かつDESが使用されている。なので、これによる周術期の塞栓や出血が増え、悪影響を及ぼした可能性がある。

PCIでは心筋梗塞は予防できないので、血行再建をCABGに限ると異なる結果が出たかもしれない。また、DECREASE-V試験は死亡率が非常に高い。これは冠動脈疾患によるものだけではなく、併存疾患の重症度も関与しているだろう。

DECREASE-V試験 ハイリスク手術・ハイリスク患者での予防的血行再建

A clinical randomized trial to evaluate the safety of a noninvasive approach in high-risk patients undergoing major vascular surgery: the DECREASE-V Pilot Study.
J Am Coll Cardiol. 2007;49:1763-9

◯この論文のPICOはなにか
P:腹部大動脈や下肢動脈の手術が予定されており、負荷試験にて広範囲の心筋虚血が証明された患者
I:術前に血行再建を行う(血行再建群)
C:薬物療法のみ(非血行再建群)
O:術後30日までの全死亡、非致死的心筋梗塞の複合エンドポイント

inclusion criteria:70歳以上、狭心症、陳旧性心筋梗塞(病歴、異常Q波)、代償性うっ血性心不全、糖尿病へ薬物療法、慢性腎臓病、脳血管障害の既往

手順:3つ以上のリスクファクターを持ち、負荷試験(ドブタミン負荷心エコー/ドブタミン負荷もしくはジピリダモール負荷心筋シンチグラム)によって広範囲の虚血が証明された患者を、血行再建群と非血行再建群に割り付ける。血行再建としてPCIとCABGのいずれを行うかは主治医が決定する。大血管手術後は1,3,7,30日後に血清トロポニンTの測定と心電図検査を行う。外来に3ヶ月おきに通院し、問診と心電図検査を行い1年間フォローアップする。

◯ランダム化されているか
computer algorithmによって割付を行う。封筒法を用いている。

◯baselineは同等か
同等。以下、ざっくりと。
年齢70歳、狭心症50%、心筋梗塞の既往100%、うっ血性心不全と脳血管障害が40%、β遮断薬70%、ACE阻害薬50%、スタチン60%、大腿-膝窩動脈手術が半分でもう半分はそれよりも近位部の手術、2枝疾患が1/4、3枝疾患が2/3、LM病変8%。

◯症例数は十分か
DECREASE-Ⅰ試験をもとにprimary endpoint33%、85%のリスク減少があると仮定し、power93%、αlevel5%として、必要症例数は100例と算出されている。血行再建群49例、非血行再建群52例の計101例が登録されている。

◯盲検化されているか
試験の性質上、open label。

◯すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
ITT解析。

◯結果
result
(本文より引用)

◯感想/批判的吟味
CARP試験で予防的血行再建群と非血行再建群とで差がつかなかった理由には3つあると思う。それは、PCIもCABGも一緒くたにしていること、1VD・2VDとcoronary riskの小さい患者を対象にしていること、そして内的妥当性の問題(必要症例数の92%しか集まらず、割り付けられた血行再建を行わなかったのも87%いた)。

このDECREASE-V試験では、CARP試験と異なり3VDとLM病変で3/4を占めており、心イベントリスクの高い患者が対象になっている。そして、RCRIは記載されていないがbaseline characteristicsをみるに、平均で2−3ぐらいはあるのではないかと思う。ハイリスク手術で中等度以上のリスクを持った患者に対する予防的血行再建の有効性は示されなかった。こちらの方が先に行われた臨床試験だが、この試験と同じような対象で異なった結果であった。

ハイリスクな非心臓手術 術前の血行再建の有効性

Systematic strategy of prophylactic coronary angiography improve long-term outcome after major vascular surgery in medium- to high-risk patients
J Am Coll Cardiol. 2009;54:989-96

◯この論文のPICOはなにか
P:中等度から高度の手術リスク(RCRI≧2)を有し、大血管手術(腹部大動脈瘤:AAA、大動脈腸骨動脈閉塞)を予定されている患者
術前の血行再建の適応を
I:術前のルーチンの冠動脈造影検査によって判断する(systematic群)
C:非侵襲的検査後の冠動脈造影検査によって判断する(selective群)
O:MACE(非致死的心筋梗塞、脳血管障害、うっ血性心不全、再血行再建)

虚血評価のための非侵襲的検査は、ジピリダモール-タリウム心筋シンチグラム(aTS)とドブタミン負荷心エコーで行う。

血行再建と大血管手術は段階的に行われた。腹部大動脈瘤が6cm以上の場合と切迫破裂の場合は同時手術が行われた。PCIをベアメタルステントを用いて行われ、アスピリン100mg/日の内服に加え、クロピドグレル75mg/日もしくはチクロピジン250mg/日を内服し、手術はPCI後30−60日以内に行われた。手術7日前にクロピドグレルとチクロピジンは中止され、ヘパリンの投与が行われた。

◯ランダム化されているか
computer-genarated randomized listによって2群に分ける。

◯baselineは同等か
同等。以下、ざっくりと。
年齢73歳、1/4がNYHAⅢ/Ⅳ、1/4がCCSⅢ/Ⅳ、AAAと大動脈腸骨動脈閉塞が2:3、DM40%、1/3が虚血性心疾患、CABGの既往15%、脳血管障害20%、1/3がCr1.7mg/dl以上、RCRI3.3、ASA1.7。
血行再建を行った患者の10%がLM病変、40%が3枝病変であった。

◯症例数は十分か
CARP試験では2.7年のフォローアップ期間で、死亡率が血行再建群、非血行再建群でそれぞれ22%と23%で、30日以内のMACEが20%であった。よって、長期・30日後のMACEのリスク減少が10%あると仮定し、power80%、αlevel0.05として、必要症例数200例と算出されている(ただ、MACEをどれくらいと仮定したかは記載なし)。

◯盲検化されているか
試験の性質上、open label。

◯すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
ITT解析。

◯結果
result

◯感想/批判的吟味
CARP試験では、この試験と同様に大血管手術を対象し、術前の血行再建によって周術期の心血管イベントを抑制することはできなかった。しかし、対象となった患者は左室機能が正常の1枝疾患・2枝疾患であり、この試験よりリスクの低い患者群を対象としている。この試験では3枝疾患とLM病変で半分を占めている。Nは小さいものの、死亡率もsystematic群が少ない傾向にあり(1.9% vs 6.8%, P=0.08)、ルーチンの冠動脈造影によって血行再建の適応を考慮した方が予後が改善する可能性がある。

大手術でかつ、患者のリスクも高い場合には、ルーチンの冠動脈造影検査を考慮すべき。

慢性心不全に対するピモンベンダンの効果 EPOCH試験

Effects of pimobendan on adverse cardiac events and physical activities in patients with mild to moderate chronic heart failure: the effects of pimobendan on chronic heart failure study (EPOCH study).
Circ J. 2002 Feb;66(2):149-57.

◯この論文のPICOはなにか
P:安定しているNYHAⅡもしくはⅢの慢性心不全
I:ピモベンダン2.5mg分2(ピモベンダン群)
C:プラセボの内服(プラセボ群)
O:52週での、死亡、心不全、心臓突然死/不整脈突然死、心不全増悪による入院の複合エンドポイント

inclusion criteria:20−85歳、十分な薬物療法でも症状を有する状態、LVEF≦45%
exclusion criteria:重症の心室もしくは心房性不整脈、高度房室ブロック、弁膜症性心疾患(狭窄症)、閉塞性心疾患、感染性心疾患、3ヶ月以内の心筋梗塞、3ヶ月以内の心臓手術、重症な脳血管障害・呼吸器疾患・肝疾患・腎疾患、妊産婦

◯ランダム化されているか
LVEF・心不全の原因・NYHA分類・登録施設の4変数によって調整されたdynamic balancing methodによって割付が行われてる。

◯baselineは同等か
同等かどうかの記載がない。以下、ざっくりと。
年齢62歳、60%がDCMで1/3が虚血性心疾患、NYHAⅡ:Ⅲ=2:1、LVEF33%、SBP120mmHg、HR73/min、薬物治療(ACE阻害薬:65%、β遮断薬20%、抗不整脈薬1/3、利尿薬90%、ジギダリス60%)

◯症例数は十分か
プラセボ群でprimary endpointの発生が27−29%、Hazard ratio0.4−0.5と仮定し、typeⅠ error5%, power80%として、必要症例数は各群130例と算出されている。ピモベンダン群147例、プラセボ群151例登録されている。

◯盲検化されているか
double blind

◯すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
臨床状況の変化・同意の撤回・protocol違反などの症例を除いたmodified ITT解析。各群138例ずつ解析されている。

◯結果
primary endpointに有意差なし。
ピモベンダン群でNYHA分類が有意に改善(34% vs 20%), LVEFも有意に改善(32%→38% vs 32%→35%)。

◯感想/批判的吟味
・症例数は十分集まっているが、primary endpointに有意差がついていない。
・2002年の論文だからだろうか、慢性心不全に対する薬物療法が全くもって不十分。

BioFreedom / ポリマーフリー薬剤コーティングステントとBMSとの比較 LEADERS FREE試験

Polymer-free Drug-Coated Coronary Stents in Patients at High Bleeding Risk.
N Engl J Med. 2015 Oct 14. [Epub ahead of print]

◯この論文のPICOはなにか
P:出血リスクの高い冠動脈疾患患者
I:polymer-free drug-coated stent(BioFreedom群)
C:ベアメタルステント(BMS群)
O:primary safety endpointは、心臓死、心筋梗塞、ステント血栓症の複合エンドポイント。primary efficacy endpointは虚血による標的病変再血行再建。

inclusion/exclusion criteriaはSupplementary Appendixにしか記載がないので省略。

手順:割り付けられたステントを1本以上使用し治療を行う。DAPTはアスピリン75−250mg/日とクロピドグレル75−150mg/日が推奨されている。DAPT期間は1ヶ月。

◯ランダム化されているか
Web-based systemもしくはtelephone interactive voice-response systemを使用しランダム化を行う。

◯baselineは同等か
同等。以下、ざっくりと。
年齢75歳、1/3がDM、1/4がAMI、15%がUAPで残りが狭心症、20%が三枝疾患、1/3が心房細動合併、PCI後も抗凝固療法を行ったのは1/3、Hb11g/L未満もしくは4週間以内の輸血が15%、脳出血の既往1%、Ccr<40ml/minが20%、3年以内の悪性腫瘍10%。

◯症例数は十分か
safety endpointがBMS群で8%起こり、lost follow upが5%、非心臓死が3%で起こると仮定し、非劣勢マージンを3.2%、power80%、αlevel0.05として必要症例数は各群1228例と算出されている。BioFreedom群1239例、BMS群1227例登録されおり、BMS群で1例のみであるが必要症例数には達していない。

◯盲検化されているか
double blind。アウトカム評価者や解析者も盲検化されている。

◯すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
PCIを行わなかった症例は解析に含まれていない。modified ITT解析である。

◯結果
BioFreedom群 vs BMS群, HR(95%CI)

primary safety endpoint
9.4% vs 12.9%, 0.71(0.56-0.91)

efficacy endpoint
5.1% vs 9.8%, 0.50(0.37-0.69)

◯感想/批判的吟味
・企業がスポンサーの試験。
・実行委員会のメンバーにスポンサー企業の人間が入っているが、スポンサーはデータの収集や解析には加わっていない。
・primary safety endpointは心臓死、ステント血栓症では差がなく、心筋梗塞で差がついている。自然発生とステント内再狭窄に関連した心筋梗塞が多かった様。
・ステント血栓症は2ndDESより多い(出血リスクが高いと、塞栓リスクも高いためではないかとdiscussionされている)

医学論文を1日ひとつ読んで書き留めています。