FAME2試験(2-year follow-up)のeditorial

COURAGE試験
angiography-guided PCIはmedical therapyと比較し症状は減らしたが、死亡や心筋梗塞に違いはなかった。

FAME2試験
FFR0.80以下を対象にPCI+medical theapy群とmedical therapy群を比較
死亡と心筋梗塞と緊急血行再建がendpointで、死亡と心筋梗塞に差はなかったが緊急血行再建で有意差がついた。

緊急血行再建で差がつき、early termination for benefitとなった。

2年間のフォローアップでも、PCI群は薬物療法より緊急血行再建が77%減少している。

手技に伴う心筋梗塞を除外した心筋梗塞と死亡を比較すると、PCI群でより低い(4.6% vs 8.0%, P=0.04)手技に伴う心筋梗塞は自然発生の心筋梗塞と異なり臨床的には問題とならず分けて考えるべきである。FAME2試験では、手技に伴う心筋梗塞の定義をわずかな心筋逸脱酵素の上昇としており、それを差っ引いて考えた方が良い。

60%が症状のみから緊急血行再建がなされているが、心筋梗塞もしくは心電図変化による血行再建はPCI群が薬物療法より少なかった(3.4% vs 7.0%、P=0.01)。
FFR-guided PCI–FAME may not be so fleeting after all.

neoatherosclerosis

・ステント留置部位に生じる動脈硬化性病変。
・遠隔期に発生するステント血栓症や再狭窄の要因のひとつと考えられる。
・BMSよりDESで多い。
・DESではBMSに比し、ステント留置後早い時期に進展がみられる。
・不安定プラークに留置した場合に多いとされる。
・第2世代DESでも起こる。
・病理組織学的には、脂質に富んだFoamy Macrophage(泡沫状マクロファージ)の浸潤で、進行するとコレステロールクリスタルを呈する。

脳低体温療法施行時の注意点と酸素解離曲線

当院では、VFsurvivor(心室細動による院外心停止)では、神経学的予後改善のために脳低体温療法を行っている。

低体温療法を行う上での注意点としては、
・シバリングによる体温上昇を防ぐため、鎮静薬や筋弛緩薬を投与する
・高K血症(シバリングなどによる骨格筋由来のもの?)
・高血糖(神経学的予後を悪化させる)
・利尿(バソプレッシンに対する尿細管の反応低下)による血清Crの上昇
・凝固障害(PT-INRやaPTTの延長)

それと、PaO2はそれほどでもないのに、SpO2が異様に良いということ。低体温により酸素解離曲線の左方移動が起こっているからだ。つまり、酸素分圧が同じでも、体温がより低い方が酸素を放出しにくい状態になっている。

他には、pHが下がると(アシデミアになると)酸素は放出されやすい方向に動く。つまり、酸素解離曲線は右方移動する。アシデミアは嫌気性代謝の結果として起こることがあり、嫌気性代謝が起こっているので酸素を供給しやすいようにHbが酸素を放出しやすい状況を作っているようなイメージかも。

ちなみに、見かけのSpO2が変化してしまう原因
見かけのSpO2がSaO2より低下:マニキュア
見かけのSpO2がSaO2より上昇:一酸化炭素血症

動脈血栓と静脈血栓

〇動脈血栓
内皮機能障害部位に血小板が凝集。それにより、凝固カスケード活性化により血栓が形成される。

〇静脈血栓
血流の停滞が条件。血小板よりも凝固カスケードが活性化される。内皮障害により組織因子が活性化され、凝固カスケードが活性化される(外因系の関与が大きいとされる)。

疾患別の遅延造影心臓MRIの所見

遅延造影MRIは、心筋梗塞の梗塞部位や心筋症の線維化病変を高信号に描出する方法である。

〇虚血性心筋症
冠動脈支配領域に一致して、心内膜下あるいは心内膜下から連続性に広がる遅延造影(LGE:Late Gadolinium Enhancement)を認める。再灌流に失敗した例では、梗塞部位の辺縁にのみLGEを認め梗塞部位の内側は低信号となるMicrovascular Obstruction(MO)という所見を認める。MOを有する症例では、心血管イベントの発生率が高い。LGEが壁厚のどれくらいを占めるかでViabilityを評価することができる。
Circ 1998;97:765-772
NEJM 2000;343:1445-1453

〇拡張型心筋症
特徴的な所見はない。60%はLGEを認めず、30%に心筋中層のLGE(mid-wall fibrosis)を認める。虚血性心筋症のように心内膜下中心のLGEを認めることは稀。LGEがある症例では、心臓突然死(SCD:sudden cardiac death)や心血管イベントに伴う入院の発生率が高くなる。また、mid-wall fibrosisを有する例では、β遮断薬などの薬物療法の効果が不良である。
Circ 2003;108:54-59
JACC 2006;48:1977-1985
EHJ 2012;33:640-648

〇肥大型心筋症
70-80%にLGEを認め、右室と左室の接合部にLGEを認めることが多い。また、心筋肥厚部位にも多く認められる。虚血性心筋症とは異なり、心内膜下中心の分布を示さない。
JACC 2004;43:2260-2264

〇たこつぼ型心筋症
T2WBBにて心尖部に心筋浮腫を示唆する高信号を認める。LGEを認める例も10-20%程度あるが、心筋梗塞のように明瞭な高信号ではないため、鑑別は困難ではないとされる。

〇心アミロイドーシス
左室および右室の内膜下の広範な領域にLGEが認められる。心房中隔のLGEを認める例では、アミロイドーシスを強く示唆する。

〇心サルコイドーシス
多彩。心基部から心尖部のどの部位でも生じ、内膜下・中層・貫壁・外膜など、いずれのパターンもとりうる。

〇心Fabry病
約50%の症例で、心基部下側壁の中層から外膜側に認められる。
EHJ 2003;24:2152-2155

〇不整脈源性右室心筋症(ARVC:arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy)
右室の拡大と壁運動低下および肉柱形成が認められるが、ARVCに限った変化ではない。心臓MRIでの評価項目は、右室壁運動異常と右室容積のみ。

optimalなDAPT期間(講演会まとめ)

まだ答えはない。

DAPT(2剤併用抗血小板療法):
ステント血栓症の抑制
心血管イベントの抑制
出血性イベントの増大

2005年にDES登場
DAPT早期中断で心血管イベント増加
DAPTは永続投与が望ましいという向きになった

2007-2009年
J-Cypher registryでは、6ヶ月以降ではDAPTの継続の有無で心血管イベントに差はなかった。
DAPT永続投与に疑問

2010年-
PRODIGY試験 6ヶ月と24ヶ月のDAPTを比較
major eventに差はないが、出血イベントは増
Cypher市販後調査でも、DAPTの継続はイベントを抑制せず、出血を増やすという結果に。

超遅発性ステント血栓症(VLST)の要因
内皮化の遅延、Neoatherosclerosis,remodeling
VLSTを発症した症例のうち、DAPTを継続していた例は80%にのぼる

心血管イベントの予防は?
いくつかのRCTで、アスピリンvsアスピリン+クロピドグレルが比較されているが、DAPTにイベント抑制効果は認めない。出血性イベントは増える。

早期の中断はステント血栓症のリスクが高い(PARIS試験)

2014.04 コンプラビン発売記念講演会 中村正人先生

COMFORTABLE-AMI試験

Effect of Biolimus-Eluting Stents With Video Interview Biodegradable Polymer vs Bare-Metal Stents on Cardiovascular Events Among Patients With Acute Myocardial Infarction
JAMA 2012;308(8):777-787

第2世代の薬剤溶出性ステント(DES)であるバイオリムス溶出性ステント(BES)とベアメタルステント(BMS)のSTEMIを対象にした比較試験。BESは日本ではTERUMOからでているNoboriであるが、第2世代のDESがSTEMIでも、いかに安全に使用できるかを証明した試験である。

〇論文のPICOはなにか
P:発症24時間以内のSTEMIに対し
 Exclustion criteria: AMIの機械的合併症、抗血小板薬へのアレルギー、1年以内の手術の予定、ワルファリン投与、出血素因や凝固異常、妊娠、予後1年以内の合併疾患
I:BESを留置した場合
C:BMSを留置した場合と比較し
O:1年後の心臓死、標的血管再梗塞、標的血管再血行再建(Target Vessel Revascularization:TVR)が減るか(二次エンドポイントも設定されているがここでは割愛する)
なお、TVRとはPCIを行った血管のいずれかの部位への再血行再建(PCIもしくはCABG)のことである。血行再建の適応は、造影上50%以上の狭窄を呈しており虚血の徴候・症状があること、もしくは虚血の徴候・症状がなくても造影上70%以上の狭窄を呈していること。

〇ランダム割り付けされ、それは隠蔽化(concealment)されているか
されている。中央割付方式(webベース)のため、concealmentもされている。

〇baselineは同等か
患者背景、造影所見、治療内容(ステントの種類以外)は同等
ただ、治療内容のうち、ステントをオーバーラップされた割合はBESが多い(P=0.03)

〇解析方法
FAS(Full Analysis Set)が行われている。

〇結果に影響を与えるほどの脱落があるか
ないと思われる。
BES群:3/578、BMS群:1/583

〇盲検化(masking)されているか
評価者のみmaskingされている

〇症例数は十分か
対照群のイベント発生14%、介入した場合40%のリスク低下、α=0.05、β=0.2とし、1064症例の登録が必要で、症例数は十分である。

〇結果の評価
心臓死では有意差なし。標的血管再梗塞・TVRでは有意にBMS群で多い。TVRはほとんどischemia-drivenで行われている。標的血管再梗塞については有意差があるが、ステント血栓症に有意差なし。

高齢者におけるPPIと1年後の死亡率・再入院率のリスク

Proton Pump Inhibitors and Risk of 1-Year Mortality and Rehospitalization in Older Patients Discharged From Acute Care Hospitals

JAMA Intern Med. 2013;173:518

〇背景
PPIの使用はここ数年で急速に増えているが、高齢者に対する長期使用とそのリスクとの関連については疑問が残る。

〇カテゴリ

〇研究デザイン
コホート研究

○資金源
grant RF-INR-2005-127640 from the Italian Ministry of Health (Pharmacosurveillance in the Elderly Care study), grant RF-2010-2312659 from the Italian Ministry of Health and Emilia Romagna Region

〇利益相反
なし

〇論文のPECOはなにか?
P:2007.04.01-06.30にイタリアの急性期病院11施設を退院した65歳以上の高齢者。連続762症例のうち、参加拒否・入院中の死亡・リハビリテーションユニットへの転院を除く491人が対象。
E:PPIの内服をしている
C:していない
O:死亡、死亡と再入院の複合エンドポイント

〇追跡期間
1年間

〇outcomeに影響を及ぼすような脱落があるかどうか
追跡不能 7例/491例と少なく影響は大きくないだろう

〇outcomeの観察者が危険因子についてmaskingされているか
Maskingされているかどうか記載はないが、outcomeの評価には影響しない

〇交絡因子の調整が行われているか
Cox比例ハザードモデルを用いている。
以下の変数を調整した。
年齢、性、認知機能、うつ、ADL、栄養状態、血清アルブミン値、NSAIDsや抗血小板薬の処方、心血管疾患(心不全、冠動脈疾患、末梢血管疾患、心房細動、静脈血栓症、肺塞栓症)、GERD、消化性潰瘍、下痢、感染症、骨折。

〇結果の評価
1年後の死亡率は、調整済みハザード比1.51(95%信頼区間1.03 – 2.77)と有意であり、退院時のPPI内服は1年後の死亡率を上昇させる。死亡と再入院の複合エンドポイントは、調整済みハザード比1.49(95%信頼区間0.98 – 2.17)と有意ではなかった。

〇コメント
・PPI長期使用はC difficile感染や市中肺炎のリスクとされているが、それらが原因の死亡・再入院の発生数が少なすぎて、その関連について示すことはできなかった
・PPI長期使用による心血管イベントのリスク増加が報告されている。しかし、我々の結果では、PPIの使用と現在の抗血小板薬の使用は、調整した後も関連はなく、それが死亡率上昇の主要な原因ではない。
・未知の交絡因子がある可能性がある

ヘパリンの投与量(心不全に対する深部静脈血栓症予防)

心不全や心筋梗塞で入院される方は、比較的高齢な方が多い。
そして、心不全は深部静脈血栓症(DVT)のハイリスクでもある。

DVT/PE(肺塞栓症)予防のため、ヘパリンを投与することが多いが、そのヘパリンの投与量はどうするべきなのか。ルーチンに、ヘパリン投与によってAPTTを1.5-2.0倍に延長させるのは、出血リスクが高いのではないかと疑問があった。

日本循環器学会のガイドラインでは、

うっ血性心不全患者は高リスクと見なすが、間欠的空気圧迫法の仕様は静脈還流量が増加し病態増悪が危惧されるため、低用量未分画ヘパリンを選択する。

と記載されている。

「低用量」とは何なのか。

8時間もしくは12時間ごとに未分画ヘパリン5000単位を皮下注射する方法である。

日本人は欧米人と比較し出血しやすい人種であり、体格も小さいので、鵜呑みにはできないが、AHAのガイドラインはどうなっているのか。

AHAのガイドラインでは、心不全は中等度リスクに分類されており、近位部のDVT2-4%にみられ、致死的な肺塞栓症を引き起こすリスクが0.2-0.5%であるとされている。

中等度リスクの場合は、低用量ヘパリンが推奨されており、日本と同様に8時間もしくは12時間ごとにヘパリン5000単位皮下注が推奨されている(日本と同様にというか、日循のガイドラインがAHAから引用しているわけだが)。

僕は、ヘパリン10000単位を持続静注している。ヘパリンの1日の使用量は同量だが、間欠的な皮下注と持続静注で違いはあるか不明。それについてはどちらも記載はなかった。少なくとも、APTT1.5-2.0に延長させる必要はなさそうだ。

参考文献
肺血栓塞栓症と深部静脈血栓症の診断、治療、予防に関するガイドライン(日本循環器学会)
Management Of Deep Vein Thrombosis And Pulmonary Embolism(AHA) 

ウェブ講演会(EPA/DHA製剤)のまとめ

・Jelis試験では、スタチン群に対しスタチン+EPA群で、心血管イベントを19%低下させた。

・EPAとEPA+DHAでは、EPA+DHAの方が、心臓突然死(SCD)や心血管イベントの抑制に優れている可能性がある。

・GISSIprevenzioneでは、EPA+DAHA投与群が非投与群と比較し、突然死を減らした。

・EPA投与により、冠急性虚血時の活動電位持続時間(APD)が長くなる。