OFDI 研究会のまとめ

冠動脈の(eccentricな)狭窄病変にPOBAを行った際の病変部の反応は、1)plaqueが薄い部分のstrech、2)plaqueの端のslit、3)plaque自体のcompressionである。

OFDIは赤外線の干渉を用いて断層画像を構築している。lipid rich plaque(IVUSでいうところのsoft plaque)では赤外線が吸収され、その奥が見えなくなる。fibrous plaqueでは、赤外線が散乱するため白く見える。stentは赤外線を反射するため、shadowを引きまったく見えなくなる。IVUSではその奥の性状が観察できないcalcified plaqueも、OFDIならどのような石灰化か判断することができる。血栓に関しては、白色血栓なら白く見えshadowはひかず、赤色血栓なら黒く見えシグナルが減衰するため奥の観察ができなくなる。

透析患者でよくある、angioで部分的にhazyに見える病変もOFDIではcalcified noduleとして観察される。

balloon angioplastyによる反応も病変によって異なり、lipid rich plaqueは均等にcompressionされるが、fibrous plaqueはバシッと亀裂が入り広がることが多い。均一に広がることもあるが、recoilを来しやすい。OFDIのグレースケールからballoon angioplastyによりどのように解離するのか予測することができる。

OFDIはIVUSと比べてcalcified plaqueの観察に優れている。IVUSではエコーが減衰するため表面しか観察できないが、OFDIではその性状も観察できる。rotablatorのburrをsize upしていく中で、calcified plaqueの外側にある中膜まで観察できるのでendpointを判断できる。

分岐部病変の治療でも、側枝にpredilatationを行うかどうかは分岐部の側壁側(carinaの対側)の性状による。lipid rich plaqueならよいが、calcified plaqueでは解離を来す可能性がある。分岐部にrotablatorを行う際にburrが内側にかかりやすいが、OFDIで中膜を確認しsize upできるか判断できるため、安全性が高くなる。

第一世代DESのISR(neoatherosclerosis)でplaque内に白い層が見えることがあるが、macrophageと考えられる。

plaque内にvasa vasorumが多い病変はACSを起こしやすい。

ISRが年輪状に見えることがあるが、それはplaqueの伸展が段階的に起こったためだろう。

高安動脈炎

日本では大動脈炎症候群と呼ばれることが多いが、欧米での呼称は高安動脈炎である。

男女比1:9で女性に多く、女性における発症年齢のピークは約20歳だが、中高年で初発する例もまれではない。男性でははっきりとした初発年齢はない。遺伝的要因としてはHLA-B52、HLA-B39との関連が報告されており、HLA-B52陽性症例は陰性症例に比べて病変の程度が強いといわれている。

診断には、CT、MRA、頸動脈エコー(95%で頸動脈病変を認める)を用いる。炎症の局在を診断できるFDG PET-CTは感度・特異度は90%以上とされ、ステロイド治療による炎症の抑制も診断可能である。遅延造影(MRA)では、急性期の炎症は反映しないことがある。

ステロイド治療への反応性は良好とされ、治療の第一選択薬はプレドニンだが、HLA-B52陽性ではステロイド抵抗性を示すとされる。減量後も寛解を維持できる症例は34%であった。免疫抑制薬も使用されるが、その有効性は明らかではない。免疫抑制剤によっても再燃を繰り返す症例では、インフリキシマブ・トシリズマブなどの生物製剤が使用され、従来の薬剤より高い寛解導入が期待できる。

参考:血管炎症候群の診療ガイドライン(日本循環器学会)
   高安動脈炎の新しい診断法と治療法(日内会誌第103巻第9号P2131-2137)

脳梗塞に対する抗血栓療法

最近、脳梗塞の分類にはTOAST(The Trial of Org 10172 in Acute Stroke Treatment)分類が用いられることが多い。
・アテローム血栓性脳梗塞(脳主幹動脈の50%以上の狭窄に起因)
・心原性脳塞栓症
・ラクナ梗塞(直径1.5cm未満の穿通枝領域の梗塞)
・その他の原因(動脈解離、アミロイド血管症、血管炎など)
・原因不明(2つ以上の原因、異常所見なしなど)

〇アスピリンvsワルワリン
 頭蓋内動脈高度狭窄
 再発予防効果は同等
 ワルファリンで出血合併症・死亡が多い

〇心原性脳梗塞
 アスピリンに予防効果なし

近年、わが国の脳卒中による死亡に占める脳出血の割合が増加している。1970年代から順調に低下していたが、2011年に再上昇しており、抗血小板薬や抗凝固薬の処方の増加が関与している可能性がある。

抗血小板薬のエビデンスとしては、アスピリンとクロピドグレルを比較したRCTや、アスピリンとシロスタゾールを比較したRCTがあり、下図の左側がアスピリンvsクロピドグレルで、右側がアスピリンvsシロスタゾールである。
comparison

アスピリンとクロピドグレルではクロピドグレルでイベントが少ない傾向にあるが統計学的有意差なし。一方でシロスタゾールではアスピリンに比し、心血管イベント、脳卒中、出血性脳卒中を有意に抑制していた。しかも、このデータは出血リスクの高い中国・日本からでたものである。

日本人ではアスピリン内服時の頭蓋内出血のリスクが、欧米人に比べて高い。クロピドグレルでもその傾向があるが、75歳未満かつ体重50kg以上に限れば、頭蓋内出血は増えないと考えられる。75歳以上で体重50kg未満ならクロピドグレル75mg/日ではなく、50mg/日に減量する選択肢もある。
bleeding

参考・引用:脳梗塞再発予防-日本人にとって最適な抗血栓療法とは(日内会誌第103巻P2252-2260)

造影所見とFFRのミスマッチ

Prevalence of visual–functional mismatch regarding coronary artery stenosis in the CVIT-DEFER registry

造影所見上の狭窄度とFFRは一致しない場合もある。造影上有意狭窄でなくてもFFRによって0.80を下回る場合もあるし、逆に有意狭窄であってもFFRが0.80を上回ることもある。

病変長や虚血心筋の量が、造影所見とFFRのミスマッチに影響を及ぼす因子と考えられている。

CVIT-DEFERレジストリでは、90%の狭窄狭窄であってもRCAやLCxの病変であれば、約30%がFFR>0.80(angiographic-FFR mismatch)となっており、LAD病変であれば50%の狭窄病変でも約30%がFFR≦0.80(reverse angiographic mismatch)という結果であった。これは虚血心筋の量を反映している可能性がある。ちなみに、この論文でのangiographic-FFR mismatchの定義としてはangio上≧75%の病変でFFR>0.80、reverse angiographic mismatchの定義としてはangio上<75%の病変でFFR≦0.80とされている。 CVIT-DEFER
引用:Cardiovasc Interv Ther. 2014;30:305

FFRは比較的安全に虚血を評価できるとされており、このレジストリでは最も多かった合併症は不整脈で(0.3%)、ATPでは心室細動1例、完全房室ブロック1例、パパベリンでは心室細動5例、心室頻拍1例であった。

リバーロキサバンによる心血管イベント予防ーATLAS ACS2 TIMI51試験

ACS発症早期から、通常の薬物療法に加えてリバーロキサバンを投与することによって、心血管イベントを抑制できるか調べたRCT。リバーロキサバンの通常量である20mgを使用すると出血事象が増加することは明らかであり、2.5mg1日2回と5mg1日2回という低容量の設定になっている。

〇この論文のPICOはなにか
P:ACS(STEMI、NSTEMI、UAP)を発症した患者
I:通常の薬物療法に加えてリバーロキサバンを投与(2.5mg1日2回群と5mg1日2回群)
C:通常の薬物療法のみ(プラセボ)
O:有効性主要評価項目:心血管イベント(心血管死、心筋梗塞、脳梗塞)、安全性主要評価項目:出血(CABGに関連しない大出血)

〇ランダム割付が行われているか
おそらくSupplementary Appendixには記載があるだろうが、この論文には記載がない。一応、randomly assignedと書かれている。

〇baselineは同等か
年齢、人種、体重、腎機能障害、既往症、STEMI/NSTEMI/UAPの割合、血行再建(PCI or CABG)、薬物療法に群間差はない。

〇盲検化されているか。
治療介入者・患者・outcome評価者・解析者いずれもmaskingされている。

〇症例数は十分か
powerやαlevel、相対リスク減少については記載されているが、対照群のイベント発生率については記載がない。リバーロキサバン群とプラセボ群の比較において、power0.9、αlevel0.05、相対リス減少22.5%として、心血管イベント(有効性主要評価項目)が938例と算出されている。

〇すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
有効性主要評価項目:modified ITT解析

〇結果

〇この論文を読んで

STICH試験 低心機能の冠動脈疾患患者に対するCABG

Cronary-Artery Bypass Surgery in Patients with Left Ventricular Dysfunction
N Engl J Med. 2011;364:1607-16

低心機能の冠動脈疾患患者に対するCABGの効果は明らかでない。CABGと至適薬物療法が患者の予後を改善するか調べた試験。

〇この論文のPICOはなにか
P:CABG適応の冠動脈疾患を有する低心機能(EF35%以下)患者
I:CABG+薬物療法(CABG群)
C:薬物療法のみ(薬物療法群)
O:全死亡(primary endpoint)

〇ランダム割付されているか
study design(ランダム割付・Concealmentなどなど)については、別の論文に記載されているらしいが、面倒なので当たってはいない。この論文のstudy designにはrandomizedという記述は一応ある。

〇baselineは同等か
薬物療法群、CABG群ともに同等。
左室機能(EF、前壁のakinesia・dyskinesia、MRの程度、病変血管数、LM病変など)、年齢、既往(陳旧性心筋梗塞、高脂血症、高血圧症、糖尿病、以前のPCI、以前のCABG、腎機能障害の割合)、喫煙、狭心症(CCS分類)、心不全(NYHA分類)、血圧、6分間歩行距離

〇すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
ITT解析が行われている。
CABG群に割り振られたもののうち、
lost to follow upは5/1212例で、追跡率99.6%であった。

〇盲検化されているか
治療介入者・患者:できない
解析者:されている

〇症例数は十分か
Power90%、25%のリスク減少(薬物療法群での3年生存率75%と推定)として症例数を算出し登録を開始したが、症例数が集まらなかったため、400例のイベント(死亡)が発生するよう期間を延長した。必要症例数1200例、平均観察期間5年とした。

〇結果の評価
1212例(CABG群:610例、薬物療法群:602例)が登録された。CABG群のうち、555例(91%)にCABGが行われ、薬物療法群のうち100例にCABGが行われた。
ITT解析では、CABG群と薬物療法群で有意差なし。
Hazard ratio: 0.86(CI: 0.72-1.04), P=0.12
Per protocol解析やAs treatment解析では有意差がついている。

〇この論文を読んで
薬物療法に割り付けられたOperableな患者を薬物療法のみで経過をみるのって、外科医にとっては難しいんだろうな。そういう意味でこういう試験は大変なんだと思う。
Primary Endpointには差がなかったので、症例数が足りているかどうかだが、症例数1200例・観察期間5年の予定となっていて、必要症例数には達しているが、観察期間の中央値が56か月(四分位範囲:48-68)と5年には満たない。これはどう考えたらいいのかわからないが、60か月では有意にならないように思う。
Per protocol解析やAs treatment解析では有意差がついていたが、バイアスが生じやすいため解釈には注意しなくてはいけない。基本的にITT解析で有意差がないので、そのように解釈すればいいだろう。

CHADS2スコア 高血圧の定義とそのコントロール

心房細動による心原性脳梗塞の1年生存率は約50%と言われており、予後が悪い。心原性脳梗塞のリスク評価あるいは抗凝固療法を行うか否かの評価のため、CHADS2スコアが用いられている。

C:congestive heart failure うっ血性心不全
H:hypertension 高血圧
A:age 年齢(75歳以上)
D:diabetes mellitus 糖尿病
S:stroke or TIA 脳梗塞・TIAの既往

C、H、A、Dはそれぞれ1点で、Sは2点とされ、その合計が心原性脳梗塞の予測因子となる。0点:1.9%/年、1点:2.8%/年、2点:4.0%/年、3点:5.9%/年、4点:8.5%/年、5点:12.5%/年、6点:18.2%/年と、有するリスクに比例して心原性脳梗塞が発症するリスクが高くなる。1)

CHADS2の原著1)では、hypertensionは収縮血圧160mmHg以上(当時の基準)だけでなく、高血圧の既往もhypertensionに含まれている。日本循環器学会の心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)では、わが国の高血圧の定義に合わせて140/90mmHg以上もしくは高血圧の既往と定義されている。血圧のコントロールが良い場合でもリスクとして見なされる。

もちろんHypertension(+)の患者すべてが、心原性脳梗塞を発症するリスクが同程度というわけではない。血圧のコントロールが不十分であれば、そのリスクは高くなる。

stroke
2)より引用

なので、心房細動患者に抗凝固療法を行っていたとしても、血圧のコントロールが悪いと、その効果を減弱あるいは相殺してしまう。

1)JAMA2001;285:2864
2)EHJ20007;28:752

漏斗胸の心電図

漏斗胸では、胸骨が陥凹しているため、心臓が左方へ圧排される。なので、心電図のP波の特徴的所見としては、V1のP波の陰転化である。右房も左方へ変位しているので、P波の右房成分もV1から遠ざかる方向になるので、強いP波の陰転化が起こる。

QRS波の特徴的所見としては、右室・左室が左方へ圧排されるため、時計回転となることが多い。また、胸部誘導でのT波陰転化(右側胸部誘導)や早期再分極も認めやすい。

今までみた漏斗胸2例。
rotokyo1

rotokyo2
いずれも、V1のP波の陰転化や右側胸部誘導でのT波陰転化を認める。

参考:漏斗胸における心電図所見 Journal of Health Science, Kyushu University,34:84-93,2012

肺塞栓症とPSVT

婦人科より、悪性腫瘍がある方で肺塞栓症のために入院されており、入院後に頻脈になったとコンサルトがあった。(おそらく)AVNRTだったのでアデホスで停止した。

急性肺血栓塞栓症で洞性頻脈はほとんどの場合でみられるし、心房性不整脈もなんとなく多い気がする。ただ、PSVTはどうなんだろう。そう思ってpubmedで検索したところ、以下の報告があった。

Pulmonary embolism: clinical and laboratory features in 62 patients

62例の急性肺塞栓症のうち、PSVTがみられた症例は2%であった。PSVTの有病率がどれくらいかはわからないが、わが国の心房細動の有病率が0.5%ぐらいなので、それと比べると多い印象。肺塞栓による右心負荷によりPSVTが出やすい状態になるのかもしれない。

参考:心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)

発熱+消化器症状 誰も教えてくれなかった風邪の診かた

外来診療をやっていて、消化器症状には苦労する。消化器症状を主訴にくる循環器疾患であれば見逃さないが、消化器疾患であれば悩むことが多い。なので、こういった本は非常に参考なる。

胃腸炎:ウイルス性、細菌性かの鑑別は困難
細菌性であっても多くはself-limited
1)38℃以上の発熱、2)下痢が6回以上、3)腹痛が強い場合
がその鑑別だが、脱水を来していないかがより重要である。

人工物など感染リスクがある人には抗生剤投与を考慮

カンピロバクター腸炎は先行する高熱がある。

ウイルス性腸炎のnatural coarceを知ること。
最初は痛みが心窩部で嘔気・嘔吐が中心で24時間以内にピークアウト。その後に頻回の水様便になる。それから逸脱するものは、ほかの疾患も念頭に置かないといけない。

誤診されやすいもの
・虫垂炎 右下腹部へ痛みが移動するなら受診を勧める
・心筋梗塞
・DKA 頻呼吸、頻回な嘔吐、口腔内乾燥著明 ⇒ 尿ケトンcheck
・下痢 本当に下痢? 消化管出血ということも
・小脳梗塞 突然発症の嘔吐

参考:誰も教えてくれなかった風邪の診かた 岸田直樹著