前壁中隔中層の遅延造影は、左室収縮能が保持された急性心筋炎の予後因子

Cardiac MR With Late Gadolinium Enhancement in Acute Myocarditis With Preserved Systolic Function: ITAMY Study.
J Am Coll Cardiol. 2017 Oct 17;70(16):1977-1987

◇PECO
P:左室収縮能が保持された急性心筋炎
E/C:遅延造影の部位
O:心臓死、ICD移植、心停止からの復帰、心不全入院

inclusion criteria:心臓MRI(CMR)により急性心筋炎と診断された症例
exclusion criteria:EF<50%

心筋の浮腫は、T2強調画像で心筋シグナルが骨格筋の2倍以上であること。心筋のうっ血は、造影後SSFPシネで評価する。

<デザイン、セッティング>
・後ろ向きコホート研究
・イタリア 10施設のレジストリ
・374例
・観察期間:1572日(QR:1122-2923日)

<結果>
LGEには、主に3つのパターンがある。

下壁+側壁が最も多く、41%(154例)を占める。
前壁中隔の中層は36%(135例)とそれに続いて多く、心イベントが多い(心臓突然死3%、心不全入院11%)。
その他のLGEを示したのは16%(59例)であった。

LGEがなかった症例(26例)では、心イベントは認めなかった。

心イベントの有無で比較すると、トロポニンT値に有意差あり。
1.03 (0.0–6.7) vs 4 (0.4–9.5) ng/ml

トロポニンT値が大きいほど、その後の心イベントが多い。

<まとめ>
左室収縮能が保持された急性心筋炎でも、前壁中隔中層にLGEを認める症例では、その後の心イベントが多く、注意が必要。

中等症〜重症ARDSに対する肺リクルートメントは死亡率を増加させる可能性がある

Effect of Lung Recruitment and Titrated Positive End-Expiratory Pressure (PEEP) vs Low PEEP on Mortality in Patients With Acute Respiratory Distress Syndrome: A Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2017;318(14):1335-1345

◇リサーチクエスチョン
肺リクルートメント+PEEP調整は、中等症〜重症ARDSの予後を改善するか。

◇PICO
P:発症72時間以内の中等症〜重症ARDS
I:肺リクルートメント+PEEP調整
C:低PEEP
O:28日死亡率

<肺リクルートメント+PEEP調整>
まず、筋弛緩薬を投与し、肺リクルートメントを行う。PEEPを25cmH2Oから開始し、25cmH2Oを1分間、35cmH2Oに上げて1分、さらに45cmH2Oに上げて2分維持する。肺リクルートメントが終わったら、PEEPを23cmH2Oまで下げ、そこから1分ごとに4cmH2Oずつ、コンプライアンスを測定しながら11cmH2Oまで下げる。最良のコンプライアンスとなるPEEP+2cmH2OをPEEPとして設定する。
換気はVCVで、PaO2/FiO2比が安定していれば、8時間ごとにPEEPを2cmH2Oずつ下げていく。

556例登録されたところで、プロトコールが変更。肺リクルートメント群でリクルートメントが原因と思われる心停止が3例あったため。PEEPを25→30→35cmH2Oをそれぞれ1分とし、プラトー圧は50cmH2Oを超えないようにした。

◇試験の概要
デザイン:RCT(多施設、オープンラベル)
地域:ブラジル、イタリア、マレーシアなど9ヶ国
登録期間:2011年11月17日〜2017年4月25日
観察期間:6ヶ月までフォロー
症例数:1010例(肺リクルートメント群501例、低PEEP群509例)
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与なし

◇結果

◇まとめと感想
中等症〜重症ARDSに対し、肺リクルートメントを行いPEEPを高く保つことは、死亡率を増加させた。

ただ、これを根拠に肺リクルートメント+PEEP調整が有害とは言えない。というのも、最初のプロトコールはどうもPEEPが高すぎ、かつ長すぎた様で、それが原因と思われる心停止が3例起きているから。やるんだったら、もう少し低く短くした方がよさそう。

自分の場合は、循環器疾患を診ているので、せいぜいPEEP30・10秒程度、あるいはPEEP20−25でもうちょっと長めに、血圧見ながらって感じです。

脳梗塞急性期の低酸素血症に対するルーチンの酸素投与

Effect of Routine Low-Dose Oxygen Supplementation on Death and Disability in Adults With Acute Stroke: The Stroke Oxygen Study Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2017 Sep 26;318(12):1125-1135

◇リサーチクエスチョン
酸素投与はアウトカム(modefied Rankin Score)を改善するか。もし改善するなら、夜間のみの酸素投与の方が、持続的酸素投与よりも有効ではないか。

◇PICO
P:脳梗塞の急性期
I/C:72時間の酸素投与、就寝時のみ酸素投与、ルーチンでの酸素投与なしの3群
O:90日後のmodified Rankin Scale

酸素投与はbaselineでSpO2≦93%なら鼻カテ3L/minで、SpO2<93%なら鼻カテ2L/minで開始する。就寝時のみの酸素投与は、21時〜翌7時までで3日間。

◇試験の概要
デザイン:RCT(多施設、オープンラベル)
地域:イギリス
登録期間:2008年4月24日〜2015年1月27日
観察期間:90日
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与なし

modified Rankin Score

◇結果
▶︎modified Rankin Score
酸素ありvs酸素なし
 オッズ比0.97(95%CI:0.89-1.05)

持続的酸素投与vs夜間のみ
 オッズ比1.03(95%CI:0.93-1.13)

酸素を投与してもアウトカムは改善せず、酸素投与の期間による違いもなかった。

その他、90日後の死亡・自宅退院・Barthel ADL indexなどにも差はなかった。

◇まとめと感想
急性心筋梗塞では過剰な酸素は再環流障害を引き起こすものと考えられており、酸素投与を行わないことの有効性を検証した試験にはAVOID試験、DETO2X-AMI試験がある。

AVOID試験は、酸素を投与しないことで梗塞サイズの縮小する可能性が示唆されたが(peakCKの低下:secondary endpoint)、DETO2X-AMI試験では臨床的なアウトカム(死亡、再入院)の改善には至らなかった(1−2)。

また、ICU患者を対象にしたOXYGEN-ICU試験では、酸素投与を控えめにすること(PaO2:70−100mmHg)でICUでの死亡率が改善することが示されており、過剰な酸素のメリットは乏しい、もしくは害になると言える(3)。

脳梗塞の急性期には低酸素血症はしばしば起こり、神経学的悪化との関連が指摘されている。低酸素血症は就寝中に起こりやすく、それを回避することで神経学的アウトカムが改善するか検証されたが、結果は予防的な酸素投与は、持続的でも就寝時のみでも効果はなかった。

数値を高く保つことは観察する側に安心をもたらすかもしれないが、それ以上の効果はなく、疾患によっては有害になり得る。

(1)Circulation. 2015;131(24):2143-50
(2)N Engl J Med. 2017;377(13):1240-1249
(3)JAMA. 2016;316(15):1583-1589

たこつぼ型心筋症 CHA2DS2-VAScスコアと予後

Risk Stratification Using the CHA2DS2-VASc Score in TakotsuboSyndrome: Data From the Takotsubo Italian Network
J Am Heart Assoc. 2017 Sep 14;6(9). pii: e006065. doi: 10.1161/JAHA.117.006065.

◇この論文のPECOは?
P:たこつぼ型心筋症
E/C:CHA2DS2-VAScスコア
O:全死亡、心筋梗塞、脳梗塞

<デザイン、セッティング>
・the Takotsubo Italian Network diagnostic criteriaを満たすものを組み入れ
 1)6週間以内に正常化する血管支配に一致しない左室壁運動低下
 2)冠動脈に責任病変なし
 3)新規の変化するST-T異常、またはLBBB
 4)軽度の心筋障害マーカの上昇(CK-MB>50U/L)
 5)心筋炎の除外
 6)閉経後の女性(任意)
 7)先行するストレスイベント(任意)

・CHA2DS2-VAScスコアを3群に分ける
 A:≦1点、B:2-3点、C:≧4点

・多施設前向き観察研究
・371例 フォローアップ率95%
・観察期間:26±20ヶ月
・COX比例ハザードモデル

<患者背景>
▶︎患者の割合
A:9%、B:42%、C:49%

▶︎ストレスイベント
A:91%、B:79%、C:68%(P=0.007)

▶︎入院時のLVEF
CがAやBと比較し有意に低いが、差はわずか。

A:0.41±0.10
B:0.40±0.10
C:0.37±0.10

▶︎たこつぼのタイプ
apical、midwall、basel
A:85%、39%、3%
B:61%、36%、4%
C:67%、32%、4%

<結果>
A vs B vs C(%)
▶︎全死亡+心筋梗塞+脳梗塞
6% vs 9% vs 17%(P=0.033)

▶︎全死亡
6% vs 7% vs 17%(P=0.11)

▶︎心筋梗塞
0% vs 1% vs 1%(P=0.808)

▶︎脳梗塞
0% vs 3% vs 2%(P=0.577)

CHA2DS2-VAScスコアは独立した予後因子
 オッズ比2.1

◇まとめと感想
CHA2DS2-VAScスコアとたこつぼ型心筋症のLVEFやタイプには、臨床的な関連はほとんどなかったが、CHA2DS2-VAScスコア≦1ではストレスイベントがトリガーになっている割合が多かった。

CHA2DS2-VAScスコア≧4点のたこつぼ型心筋症では、全死亡が有意に多かった。たこつぼ型心筋症の左室壁運動異常は、基本的には数週間で正常化する。なので、それが長期的に強く影響しているとは考えにくいが、なんらかの形で心血管系のイベントにつながるのかもしれない。

生体吸収性ポリマーOrsiroステントと耐久性ポリマーXienceステントの比較 BIOFLOW V試験

Ultrathin, bioresorbable polymer sirolimus-eluting stents versus thin, durable polymer everolimus-eluting stents in patients undergoing coronary revascularisation (BIOFLOW V): a randomised trial.
Lancet. 2017 Aug 26. pii: S0140-6736(17)32249-3. doi: 10.1016/S0140-6736(17)32249-3. [Epub ahead of print]

◇この論文のPICOはなにか
P:狭心症、急性冠症候群
I:生体吸収性ポリマーシロリムス溶出性ステント(Orsiro)
C:耐久性ポリマーシロリムス溶出性ステント(Xience)
O:12ヶ月までのTLF(心血管死、標的病変心筋梗塞、虚血による標的病変血行再建)

exclusion criteria:CTO、2.0mm以上の分枝がある分岐部病変、グラフト、DESの再狭窄

◇試験の概要
デザイン:RCT(非劣性試験)
地域:13ヶ国(アジア、ヨーロッパ、イスラエル、北米)
登録期間:2015年5月8日〜2016年3月31日
観察期間:12ヶ月
必要症例数:1334例(イベント数は両群7.0%、非劣性マージン3.85%)
症例数:4772例(Orsiro群、Xience群)
追跡率:94.5%
解析:ITT解析とPP解析
スポンサー:BIOTRONIC社

◇患者背景

(本文から引用)

ISRの要因になる糖尿病、腎不全、ACSを含め、両群に差はない。

病変は、1/4で石灰化あり。typeB2・Cが3/4を占める。

◇結果

(本文から引用)

primary endpointで有意差あり。

Orsiro群 6% vs Xience群 10%

標的血管心筋梗塞によるものと考えられる。


(本文から引用)

Kaplan-Meier曲線をみると、最初イベントが起き、あとはほぼ平行線。


(本文から引用)

30日以内の心筋梗塞、TLF、TVRがXience群で有意に多い。

心筋梗塞は、ほぼ入院中に起きている。
Orsiro群 34例 4% vs Xience群 30例 7%

心筋梗塞を正常上限の3倍以上のCK上昇と定義すると、
Orsiro群 2% vs Xience群 4%(postーhoc解析)

◇まとめと感想
OrsiroステントはXienceステントと比較し、12ヶ月後のTLF(心血管死、標的病変心筋梗塞、虚血による標的病変血行再建)を有意に減少した。ただ、その差はPCI直後に生じた差であり、ステントの差というよりは、手技に関連したものと思われる。比較的複雑性の高い病変を対象としていたためかもしれない。

GLP-1受容体作動薬エキセナチド 心筋梗塞・脳梗塞・心血管死の抑制効果なし

Effects of Once-Weekly Exenatide on Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes.
N Engl J Med. 2017 Sep 28;377(13):1228-1239

◇この論文のPICOはなにか
P:HbA1c6.5−10.0%の2型糖尿病
I:週1回のエキセナチド2mg皮下注
C:週1回のプラセボ皮下注
O:心血管死、心筋梗塞、脳梗塞

inclusion criteria:3剤までの経口血糖降下薬、2剤までの経口血糖降下薬とインスリンの併用
exclusion criteria:12ヶ月以内に2回以上の重症低血糖の既往、eGFR<30ml/min/1.73m2、甲状腺癌、MEN2

◇試験の概要
デザイン:DB-RCT(非劣性試験)
地域:35ヶ国、687施設
登録期間:2010年6月18日〜2015年9月16日
観察期間:3.2年(IQR2.2−4.4年)
必要症例数:記載なし、1360イベント必要(非劣性マージン1.3)
症例数:14752例(エキセナチド群7356例、プラセボ群7396例)
追跡率:98.8%
解析:ITT解析とPP解析
スポンサー:AstraZenecaの子会社のAmylin Pharmaceuticals

◇患者背景
characteristicsの表がない。

糖尿病罹患期間 12.0年(IQR7.0−18.0年)
HbA1c 8.0%(IQR7.3−8.9%)
心不全あり 16.2%

脂質治療薬とSGLT2阻害薬のみ群間差がある様。

◇結果

(本文から引用)

HbA1cは低下し・・・


(本文から引用)

体重は減少〜横ばいだが・・・


(本文から引用)

心血管イベントに対しては効果なし(非劣性)。

全死亡は減っている(ハザード比:0.86、95%CI:0.77−0.97)

primary endpointに差はないが、一応subgroupも確認。年齢のみでP for interaction<0.1。罹患期間・二次予防・CKDステージなどでは差がない。

◇感想
GLP-1受容体作動薬は、GLP-1を介した血管内皮機能改善効果、抗動脈硬化作用があるとされている。

残念ながら、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化疾患や、心血管死を抑制するまでの作用はないらしい。

IVCフィルターは肺塞栓症を抑制するが、生命予後は改善せずDVTを増やす

Inferior Vena Cava Filters to Prevent Pulmonary EmbolismSystematic Review and Meta-Analysis
J Am Coll Cardiol. 2017;70(13):1587-1597

◇論文のPICOはなにか
P:PEの一次予防、または二次予防
I:IVCフィルターあり
C:IVCフィルターなし
O:肺塞栓症(PE)の発症率

<文献データベース>
MEDLINE、CENTRAL、ClinicalTrials.gov

<研究の選択>
・組み入れた研究:RCT、IVCの有無で比較した前向き観察研究
・期間:〜2016年10月3日
・ Inverse variance fixed-effects models

◇結果
▶︎PE

(本文から引用)

IVCフィルターの使用は、PEの発症低下と関連あり(オッズ比:0.50、95%CI:0.33-0.75、I2統計量=48%)

論文中にfunnel plotはないが、本文に”funnel plotで出版バイアスが示唆された”と記載あり。

RCTのみの解析でも、同様にIVCフィルターとPE発症率低下の関連あり(オッズ比:0.40、95%CI:0.23-0.69、I2=37%)。

▶︎PE関連死

(本文から引用)

観察研究では、出版バイアスのためかPE関連死は減少しているが、RCTでは有意差はない。

▶︎全死亡

(本文から引用)

全死亡では差がない。

▶︎DVT

(本文から引用)

DVTは増える。

◇まとめと感想
IVCフィルターの有効性を検証したRCTは多くない。その中でもっともサンプルサイズが大きいRCTがPREPIC1試験とPREPIC2試験である。このSRでは、PREPIC 1998、Mismetti 2015というのがそれである。

PREPIC1試験は、近位部DVTを抗凝固療法単独と抗凝固療法+IVCフィルターに割り付けたRCT。12日以内のPEは、IVCフィルターありで1.1%、なしで4.8%と有意に減少したが、2年のフォローアップで有意差はなくなり(3.4%vs6.3%)、DVTは有意に増え(20.8%vs11.6%)、全死亡に差はなかった(21.6%vs20.1%)。

じゃぁ、PEの発症早期だけIVCフィルターを入れておけば、PE再発を予防できDVTも増やさないのではないかという仮説が立つし、理になかっているように思われる。それに応えたのがPREPIC2試験。再発リスクの高いPEを対象に、抗凝固療法単独と抗凝固療法+回収可能型IVCフィルターに割り付け、回収可能型フィルターは3ヶ月後に抜去するというデザイン。抜去成功率は93.2%。

結果は、3ヶ月後のPEはIVCフィルターありで3.0%、なしで1.5%と、PE発症早期のみのIVCフィルター留置でもPEの再発を抑制できなかった。

ただ、IVCフィルターを回収していないPREPIC1試験の8年間のフォローアップでは、PEの再発が6.2%vs15.1%と再び有意差が付いている。多変量解析では、悪性腫瘍とIVCフィルター留置時のPEが予後因子だったので、それらの患者にはIVCフィルターの留置を考慮してもいいのかもしれない(ただし、生命予後には関係がなく、DVTは増える)。

SRでは、PREPIC1試験とPREPIC2試験のサンプルサイズ、イベント数が多く、その2つが大きなウエイトを占める。なので、それ以上の結果はでないのだが、結果としては、PEの一次予防と二次予防をまぜた集団で、IVCフィルターはPEの発症を減少させるが、PE関連死や全死亡は減らなかった。

左冠動脈主幹部病変 3−5年のフォローアップではPCIとCABGでアウトカムに差はない

Percutaneous Coronary Intervention vs Coronary Artery Bypass Grafting in Patients With Left Main Coronary Artery Stenosis: A Systematic Review and Meta-analysis.
JAMA Cardiol. 2017 Sep 13. doi: 10.1001/jamacardio.2017.2895. [Epub ahead of print]

◇論文のPICOはなにか
P:左冠動脈主幹部病変
I:DESを用いたPCI
C:CABG
O:全死亡、心筋梗塞、脳梗塞

<研究の選択>
・LMT病変に対し、DESを使用したPCIとCABGを比較した試験で、3年以上フォローアップしている研究を組み入れた。
・文献データベース:PubMed、Scopus、EMBASE、Web of Knowledge、Science Direct database
・期間:2001年11月18日〜2017年1月1月
・研究の種類:RCT
・Fixed-effect and random-effects models

◇結果
SYNTAX試験、PRECOMBAT試験、EXCEL試験、NOBLE試験の4試験を統合。いずれも非劣性試験で、EXCEL試験のサンプルサイズが一番大きい。

フォローアップ期間はEXCEL試験のみ3年で、他は5年。


(本文から引用)

3年まではPCIでイベントが少ないが、3年でクロスし、その後はCABGでイベントが少ないものの有意差はない。random effects modelでは、ハザード比:1.06(95%CI:0.85-1.32)。


(本文から引用)

primary endpointのフォレストプロット。NOBLE試験のみCABG betterで、統合すると有意差はない。


(本文から引用)

それぞれの試験を除外した場合の感度分析も行われている。結果の方向性が異なったNOBLE試験を除いたとしても、有意差はない。


(本文から引用)

DESの世代、Syntax scoreで見ても、有意差なし。


(本文から引用)

強いて言えば、心筋梗塞はCABGで良い傾向。
脳梗塞には差がない。

PCI群で再血行再建のハザード比は、第1世代DESで1.8、第2世代DESで1.7だった。

◇まとめと感想
LMT病変の安定冠動脈疾患において、3−5年のフォローアップでは、PCIとCABGによるアウトカム(全死亡、心筋梗塞、脳梗塞)の差はなかった。再血行再建は、第2世代DESを使用したとしても、CABGと比べ有意に多かった(ハザード比1.7)。

より長期のフォローアップだと、このカプランマイヤー曲線が開いていくのか、糖尿病合併だと結果は違ってくるのか、など気になります。


(2014 ESC/EACTS guidelines on myocardial revascularizationより引用)

基本的には、ESCのガイドラインの推奨通り。

カテーテルアブレーションは低心機能+心房細動の心機能を改善する

Catheter Ablation Versus Medical Rate control in Atrial Fibrillation and Systolic Dysfunction (CAMERA-MRI).
J Am Coll Cardiol. 2017 doi: 10.1016/j.jacc.2017.08.041. [Epub ahead of print]

◇この論文のPICOはなにか
P:NYHAⅡ以上で、EF≦45%の持続性心房細動
I:カテーテルアブレーション(CA)
C:薬物によるレートコントロールのみ
O:6ヶ月後のLVEFの変化率(CMRによる評価)

exclusion criteria:冠動脈疾患、心機能低下の原因となるような疾患、アブレーションやMRIの禁忌例

Procedure
薬物療法:安静時心拍数<80bpm、平均心拍数<110bpm、6分間歩行後の心拍数<120bpmを目標に薬の投与量を調整する。6ヶ月以内は原則CAは行わない。

CA:ランダム化から1ヶ月以内に肺静脈隔離術を行う。ワルファリン・ダビガトラン以外の抗凝固薬は術前に中止、また、アミオダロン以外の抗不整脈薬も術前に中止する。CA施行後にILRを植え込み、3ヶ月以内の症候性AFの再発や難治性AFがあれば、再度CAを施行する。

◇試験の概要
デザイン:RCT(オープンラベル)
地域:オーストラリアの3施設
登録期間:2013年9月3日〜2016年12月23日
観察期間:6ヶ月
必要症例数:total 40例(LVEF10%改善、CA成功率80%、power80%)
症例数:66例(各群33例ずつ)
追跡率:100%
解析:ITT解析
スポンサー:ILRは14%はSJM社から無償で提供されているが、試験デザイン・データ収集・解析・論文執筆には関わっていない。その他、企業の関与なし。

◇患者背景

(本文から引用)

パッと見、スピロノラクトンは差がありそうだが、群間差についての記載はない。

◇結果
CA群で、肺静脈隔離術は100%成功し、左房後壁隔離術は94%で試みられ、85%で成功した。

CA群では洞調律に復帰した患者で、6ヶ月後の心拍数が有意に低下した(安静時心拍数:62±10bpm vs 79±12bpm、平均心拍数:67±9.1bpm vs 86±14bpm、6分間歩行後の心拍数:92±24bpm vs 73±12bpm)

薬物療法群では、6ヶ月の時点で、安静時心拍数80±10bpm、6分間歩行後の心拍数86±17bpmと良好な心拍数を維持した。


(本文から引用)

LEVF、左房容積、NYHA分類、BNPが有意に改善。

▶︎LVEF
CA群:+18.3%、薬物療法群:+4.4%
CA群の58%が、薬物療法群の9%がLVEF≧50%に。


(本文から引用)

CMRでLGEがない場合は、よりLVEFの改善が期待できる。

▶︎有害事象
予期しない入院は、薬物療法群で4例(心不全2例、ICD移植術2例)あったが、CA群ではなかった。CAの手技に関連した合併症としては、鼠径部とILR植え込み部の輸血を必要とする出血が1例、術後肺炎が1例であった。

◇まとめと感想
心機能が低下した心不全において、心房細動に対するアブレーションが心機能を改善させるかについては、研究により結果はまちまちだが、改善してもLVEFの変化はせいぜい1ケタだった(1−2)。

この研究では、LVEFはbaseline時の31%から+18.3%と大きく改善し、それは薬物療法のみの場合と比較して有意な差を示した。また、LGEがない症例では、LVEFの改善は+22%と大きかった。

つまり、左室線維化がそれほど進んでいなければ、アブレーションにより心機能が改善する余地が大きいということだろう。LGEがない症例、あるいはあっても軽度の場合には、アブレーションによって生命予後も改善するかもしれないが、それはちょっと飛躍しすぎかな。今後に期待。

(1)J am coll cardiol 2013;61:1894-1903
(2)Circ Arrhythm Electrophysiol 2014;7:31-8

糖尿病、高血圧、高脂血症がなくても、肥満自体が心血管疾患のリスクになる

Metabolically Healthy Obese and Incident Cardiovascular Disease Events Among 3.5 Million Men and Women
J Am Coll Cardiol. 2017;70(12):1429-37

◇この論文のPECOは?
P:心疾患を持たない18歳以上の男女
E/C:BMIと代謝疾患(糖尿病、高血圧、高脂血症)
O:心血管疾患、脳血管疾患、心不全、末梢血管疾患

<デザイン、セッティング>
・前向きコホート研究
・イギリス
・The Health Improvement Network(THIN)のデータベース(プライマリケアの記録)を使用
・3,495,777例
・観察期間:平均5.4年
・COX比例ハザードモデル

<結果>
underweight:<18.5kg/m2
normal weight:18.5-25.0kg/m2
overweight:25.0-30.0kg/m2
obese:≧30kg/m2


(本文から引用)

normal weightと比較すると、obese+no metabolic abnormalityのハザード比は、
心血管疾患 1.49(95%CI:1.45−1.54)
脳血管疾患 1.07(1.04−1.11)
心不全 1.96(95%CI:1.86−2.06)

◇まとめと感想
心血管疾患と心不全は、脳血管疾患や末梢血管疾患と比べて、肥満の程度とハザード比がわりときれいな正比例になる。

日本人では体重の分類やハザード比はそのまま適応できないかもしれないが、高血圧・糖尿病・高脂血症がなくても肥満自体が動脈硬化性疾患・死亡のリスクになるという考えは、日本人にも当てはまると考えていいだろう。

医学論文を1日ひとつ読んで書き留めています。