PCSK9阻害薬は冠動脈のプラークを退縮させる GLAGOV試験

Effect of Evolocumab on Progression of Coronary Disease in Statin-Treated PatientsThe GLAGOV Randomized Clinical Trial
JAMA. Published online November 15, 2016 [Epub ahead of print]

《要約》
重要性
高容量のスタチン療法によるLDLコレステロールの減少は、冠動脈の動脈硬化の進展を抑制する。PCSK9阻害薬はスタチンを内服している患者のLDLコレステロールを低下させるが、この薬剤の冠動脈の動脈硬化に対する効果は評価されていない。

目的
スタチンによる治療を受けている患者で、PCSK9阻害薬による冠動脈の動脈硬化の進展に対する効果を検証する。

デザイン、セッティング、患者
GLAGOV試験は、多施設、二重盲検、プラセボ対照、無作為化試験で、2013年3月3日から2015年1月12日に登録された。北米、欧州、南米、アジア、オーストラリア、北アフリカの197施設から968例が組み入れられた。

介入
冠動脈造影で狭窄病変がある患者、月に1回エベロクマブ420mg、またはプラセボを皮下注する群のいずれかに無作為に割り付けた。投与期間は76週で、スタチンも内服している。

アウトカム
主要評価項目は、ベースラインから78週の間のプラーク体積率(PAV)の変化率である。PAVは血管内超音波(IVUS)で測定する。副次評価項目は、正常化全プラーク体積(TAV)の変化率と、プラークの減少のパーセンテージである。安全性や忍容性も評価した。

結果
968例(平均年齢59.8±9.2歳、女性269例、平均LDLコレステロール92.5±27.2mg/dl)のうち、846例がフォローアップ時にIVUSが行われた。プラセボと比較しエボロクマブ群では平均LDLコレステロールが低かった(93.0vs36.6mg/dl、difference:−56.5mg/dl、95%CI:-59.7to-53.4)。有効性主要評価項目であるPAVは、プラセボ群では0.05%増加し、エボロクマブ群では0.95%減少した。副次評価項目であるTAVは、プラセボ群で0.9mm3の減少、エボロクマブ群で5.8mm3の減少であった(difference:-4.9mm3, 95%CI:-7.3to-2.5)。エボロクマブはプラセボと比較し、大きくプラークを減少させた(PAVとしては、64.3%vs47.3%、difference;17.0%, 95%CI:10.4%-23.6%;TAVとしては、61.5%vs48.9%, difference17.0%, 95%CI:5.9%-19.2%)。

結論
スタチンを内服して、冠動脈造影で狭窄病変が確認された患者に、エボロクマブを加えることで、プラセボと比較し76週時点でのPAVを大きく減少した。PCSK9阻害薬の効果を評価するためには、さらなる研究が必要である。

◇この論文のPICOはなにか
P:スタチンを内服しており、冠動脈造影で狭窄病変が確認された患者
I:月に1回、エボロクマブ420mg皮下注
C:月に1回、プラセボ皮下注
O:PAV変化率

inclusion criteria:18歳以上、冠動脈造影にて20%以上の狭窄がありIVUSが施行できる病変、スタチンの容量が4週間安定しておりLDLコレステロール80mg/dl以上、スタチンの容量が4週間安定しておりLDLコレステロール60−80mg/dlで冠動脈リスクを有する患者

exclusion criteria:コントロール不良の糖尿病・高血圧・心不全・腎不全・肝疾患

◇baselineは同等か
characteristics
群間差にはついて記載がない。60歳ぐらいで、男性が70%、ほぼ白人。BMI29とかなり太めで、高血圧やもともと冠動脈疾患を持っている人が多い。60%が高容量のスタチンを内服しており、低容量は1%未満。動脈硬化疾患を有している人を対象にしているだけあって、抗血小板薬が90%半ばと高く、β遮断薬やACE阻害薬/ARBも3/4の人が内服している。

◇結果
地域:北米、欧州、南米、アジア、オーストラリア、北アフリカ
登録期間:2013年3月3日〜2015年1月12日
観察期間:78週
無作為化:interactive voice response systemを用いる。置換ブロック法。
盲検化:二重盲検、アウトカム評価者も盲検化されている
必要症例数:950例(PAV変化率の差が0.71%、power90%、αlevel0.05、25%の治療中止と仮定)
症例数:968例(エボロクマブ群484例、プラセボ群486例)
追跡率:エボロクマブ群87.3%、プラセボ群87.0%
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与あり(Amgen社)

biocheical
LDLは90台から30台に低下。HDLも少し上昇する。糖尿病の明らかな悪化はなさそう。

result
PAVが少しでも減少したのは、エボロクマブ群で67%、プラセボ群で47%だった。

◇批判的吟味
・これだけLDLコレステロールが低下したら、どちらに割り付けられたかわかるだろうな。
・仮に盲検化できてなくても、客観性の高いエンドポイントなので影響はなさそう。
・プラークの退縮が心筋梗塞のサロゲートマーカになるのか。
・壊死性プラークが退縮していれば、心筋梗塞は減りそう。
・PAV1%未満の変化が、臨床的にどれほどのインパクトがあるのかわからない。
・筋肉痛、肝障害、新規の糖尿病の発症などの有害事象は変わらないらしいが、サンプルサイズが小さいので評価できない。

◇感想
冠動脈に狭窄があり、スタチンを内服している患者にPCSK9阻害薬を追加すると、冠動脈のプラークは退縮する。

筋肉痛などの副作用でスタチンが内服できない人は少ないけどいるし、スタチンを飲んでLDLが下がっていても心筋梗塞を繰り返す人もいる。そういう人に使う価値はあると思うので、これがどれだけ臨床的なアウトカムを改善させるかとか、有害事象のデータとか、期待して待ちたい。

左冠動脈主幹部病変 5年間のMACCEはCABGよりもPCIで多い

Percutaneous coronary angioplasty versus coronary artery bypass grafting in treatment of unprotected left main stenosis (NOBLE): a prospective, randomised, open-label, non-inferiority trial.
Lancet. 2016 Oct 31. [Epub ahead of print]

《要約》
背景
冠動脈バイパス術(CABG)は左冠動脈主幹部病変の標準的治療であるが、経費的冠動脈インターベンション(PCI)での治療も増えている。我々は、左冠動脈主幹部病変でPCIとCABGを比較した。

方法
前向き、無作為化、オープンラベル、非劣性試験である。北欧36施設で左冠動脈主幹部病変を有する患者を登録し、PCIとCABGに1:1に無作為に割り付けた。安定狭心症、不安定狭心症、非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)を対象とし、24時間以内のST上昇型心筋梗塞(STEMI)、1年以内の生命予後は除外した。主要評価項目はmajor adverse cardiac or cerebrovascular events(MACCE)で、全死亡、手技に関連していない心筋梗塞、再血行再建、脳梗塞の複合エンドポイントである。5年間のフォローアップで、ハザード比の95%信頼区間が1.35を超えない場合に、PCIはCABGに対し非劣性とし、ITT解析を行った。

結果
2008年12月9日から2015年1月21日までに、1201例をPCIとCABGに無作為に割り付けた。PCI群598例、CABG群603例で、両群とも592例をITT解析に組み入れた。5年間のMACCEは、PCI群で29%(121イベント)、CABG群で19%(81イベント)、HR1.48(95%CI1.11-1.96)で、非劣性の上限を超えており、CABGはPCIと比較し有意にMACCEの発症が低かった(P=0.0066)。as treatment解析では、28%vs19%、HR1.55(95%CI1.18-2.04)であった。5年間の全死亡は、12%vs9%、HR1.07(95%CI0.67-1.72)、5年間の心筋梗塞は、7%vs2%、HR2.88(95%CI1.40-5.90)、5年間の再血行再建は、16%vs10%、HR1.50(95%CI1.04-2.17)、脳梗塞は5%vs2%、HR2.25(95%CI0.93-5.48)であった。

結論
これらの結果から、左冠動脈主幹部病変の治療はPCIよりCABGがベターであると考えられる。

◇この論文のPICOはなにか
P:左冠動脈主幹部病変
I:PCI
C:CABG
O:MACCE(全死亡、手技に関連していない心筋梗塞、再血行再建、脳梗塞の複合エンドポイント)

inclusion criteria:安定狭心症、不安定狭心症、NSTEMI、左冠動脈主幹部に50%以上の狭窄があること、FFR0.80以下であること、その他の病変が複雑でなく3つ以下であること(複雑病変とは、CTO、2stent techniqueが必要な病変、石灰化病変、屈曲病変である)

exclusion criteria:24時間以内のSTEMI、1年以内の生命予後

◇baselineは同等か
baseline
同等。平均年齢66歳、女性は20%、DMが15%。Syntaxスコアは22±8なので、大部分はlowとintermediateで、80%でbifurcationを絡む。

◇結果
地域:北欧(ラトビア、エストニア、リトアニア、ドイツ、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、英国、デンマーク)
登録期間:2008年12月9日〜2015年1月21日
観察期間:4.1年(中央値、四分位範囲3.0−5.0)
無作為化:web-based computer randomisation systemを用いている。permutated block with stratification。
盲検化:オープンラベル。
必要症例数:1200例(2年間のフォローアップでMACCEがPCI群で30%、CABG群で23%、非劣性マージン1.35として算出)
症例数:1201例
追跡率:試験デザインとしては2年間なので、そこまでは約90%と良いが、今回の5年間のフォローアップデータは40%弱の追跡率になっている。
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与あり(Biosensors社)

PCIに関して。
88%がbifurcationを絡んでステントを留置されているが、KBTが行われたのは55%。35%が2ステント。第一世代DESは11%で使用されている。IVUSが使用されたのは、preで47%、postで74%と低い。

CABGに関して。
84%がon-pumpで行われている。LADに動脈グラフトを使用したのは93%で、内胸動脈は86%とちょっと低い。

result

◇批判的吟味
・追跡率が低すぎるので、無作為化は維持できていないと考えられる。
・動脈グラフト・内胸動脈の使用率が少し低いので、長期的なグラフト開存率は低くなるはず。
・静脈グラフトは10年で半分ぐらいの開存率なので、これからCABG群で再血行再建が増えてくるかも。
・ほとんどon-pumpなので、周術期の脳梗塞はoff-pumpより高いはず。
・IVUS使用率、KBT施行率が低く、再血行再建を増やす方向に働くかも。
・脳梗塞がPCIで有意に高くなっている理由がわからない。

◇感想
左冠動脈主幹部病変にPCIをやるか、CABGをやるかで比較した試験。追跡率が40%と低いので内的妥当性は微妙だけど、5年間のフォローアップで、全死亡は変わらないが、心筋梗塞は約3倍、再血行再建は1.5倍、PCIで多くなってしまう。

そりゃそうだろうなという結果でした。ただ、追跡率が低かったり、PCIの手技が日本で行われるような手技ではなかったり、on-pumpCABGが多かったりと、日本の実情とは異なる印象でした。

Syntax試験とは異なり、PCI群でSyntaxスコアとイベントに関連はなかった様です。感覚的には、病変の複雑性が増せばイベント発症率は上がりそうなので、これも追跡率が低いことと関連があるのかもしれません。

【VIEWPOINT】コレステロール、心血管疾患、スタチン、PCSK9阻害薬、将来のLDLコレステロール低下療法

Cholesterol, Cardiovascular Risk, Statins, PCSK9 Inhibitors, and the Future of LDL-C Lowering
JAMA. 2016;316(19):1967-1968.

冠動脈疾患一次予防、特に二次予防において、積極的LDLコレステロール低下療法はここ30年間の公衆衛生に最も寄与したもののひとつである。LDLコレステロールが低いと冠動脈疾患が起こりにくく、遺伝子変異によりLDLコレステロールが高くなると冠動脈疾患のリスクが高くなる。LDLコレステロールは動脈硬化により、濃度依存的に冠動脈疾患のリスクを上昇させる。

LDLコレステロール値は、スタチンと冠動脈疾患との関連ではサロゲートマーカーであるが、他の薬剤と冠動脈疾患との関連ではサロゲートマーカーになりえるかは明らかではない。CETP阻害薬であるトルセトラピブは、LDLコレステロールは減少したが、心血管疾患の発症は抑えられず、またエゼチミブでは、スタチンと併用することでLDLコレステロールは低下したが、臨床的なエネフィットはわずかであった。

PCSK9阻害薬は、耐えうる最大量のスタチンと併用してLDLコレステロールを低下させることにより、心血管疾患を減少させることが期待できるが、安全性・有効性についての長期試験が必要である。

PCSK9阻害薬は、臨床での使用期間や心血管アウトカムのデータが十分でなく、特に認知機能と糖尿病への悪影響は興味深い。今後数年でRCTの結果が報告されるだろう。

2013年のACC/AHAのコレステロールガイドラインでは、ハイリスクの患者に対する高容量スタチンを勧めているが、2016年のACCコンセンサスステートメントでは、二次予防でLDLコレステロール低下率が50%未満の患者、LDLコレステロールの目標値を達成できていない患者など残余リスクがある患者に非スタチン療法(エゼチミブ、PCSK9阻害薬)を勧めている。

しかし、患者は多様である。スタチン単独でLDLコレステロールが十分低下する患者、スタチンで筋肉痛などの有害事象が起こる患者、LDLコレステロールが高くても心筋梗塞にならない患者、LDLコレステロールが低くても心筋梗塞を発症する患者など様々である。RCTと観察研究は、実臨床での多様な患者を一般化したものである。

スタチンのLDLコレステロール低下効果のkなりのエビデンスがあるにもかかわらず、高容量スタチン療法が行われている冠動脈疾患患者は半分以下である。この残余リスクに対しては多角的なアプローチが必要である。

アドヒアランスを改善させるために、ソーシャルメディアやデジタルヘルスを用いる方法がある。デジタルプラットフォームでは、患者がスタチンを自己中断する前に筋肉痛などの症状について相談でき、主治医は別のスタチンや減量などの提案が可能になる。

大規模で多様な集団を対象に遺伝子、淡白、環境、行動などのデータを取ることで、よりリスクが高い患者を同定できるようになるかもしれない。集団データから得られた情報は、個別化医療と心血管疾患を減少させるための治療方針の決定に役立つだろう。

PCSK9阻害薬エボロクマブ(レパーサ®︎)のLDLコレステロール低下効果

Efficacy and Tolerability of Evolocumab vs Ezetimibe in Patients With Muscle-Related Statin IntoleranceThe GAUSS-3 Randomized Clinical Trial
JAMA. 2016;315(15):1580-1590.

《要約》
重要性
筋肉に関連したスタチンの不耐性は5−20%で起こることが報告されている。

目的
スタチンの再導入により、筋肉の症状を訴える患者を同定することと、非スタチン療法であるエゼチミブとエボロクマブの脂質降下の効果を比較すること。

デザイン、セッティング、患者
LDLコレステロールのコントロールが不十分で、2つ以上のスタチンが不耐性である患者511例に対し、2段階の無作為化試験を行った。登録期間は2013年から2014年である。phaseAは、24週のクロスオーバー試験で、アトルバスタチンとプラセボを用い、アトルバスタチンのみで筋肉の症状がでること確認する。phaseBでは、phaseAから2週間のウォッシュアウト期間を設け、エゼチミブとエボロクマブに割り付け、24週間内服する。

介入
phaseA:アトルバスタチンとプラセボ
phaseB:エボログマブ420mg皮下注とエゼチミブ10mgに2:1に無作為化する。

アウトカム
LDLコレステロールの変化率。ベースラインから22と24週の平均値、ベースラインから24週のcoprimary endpointである。

結果
phaseAに入った491例で、平均年齢60.7±10.2歳、女性246例、冠動脈疾患170例、平均LDLコレステロール212.3±67.9mg/dlであった。筋肉の症状がプラセボではみられずアトルバスタチンでみられたのは209(42.6%)例であった。これらの症例のうち199例と、CKが上昇した19例の218例がphaseBに入り、エゼチミブ群に73例、エボロクマブ群に145例、無作為に割り付けられた。平均LDLコレステロールは219.9±72mg/dlであった。エゼチミブ群では、22週と24週でのLDLコレステロールの平均値は183.0mg/dl、平均LDLコレステロール変化率は−16.7%(95%CI:-20.5%to-12.9%)、変化の絶対値は−31.0mg/dlであった。エボロクマブ群では、22週と24週でのLDLコレステロールの平均値は103.6mg/dl、平均LDLコレステロール変化率は−54.5%(95%CI:-57.2%to-51.8%)、変化の絶対値は−106.8mg/dlであった(P&;t;0.001)。エゼチミブ群では、24週でのLDLコレステロールの平均値は181.5mg/dl、平均LDLコレステロール変化率は−16.7%(95%CI:-20.8%to-12.5%)、変化の絶対値は−31.2mg/dlであった。エボロクマブ群では、24週でのLDLコレステロールの平均値は104.1mg/dl、平均LDLコレステロール変化率は−52.8%(95%CI:-55.8%to-49.8%)、変化の絶対値は−102.9mg/dlであった(P<0.001)。22週と24週でのLDLコレステロールの平均値の群間差は、変化の絶対値−37.8%、変化の絶対値−75.8mg/dlであった。24週でのLDLコレステロールの群間差は、変化の絶対値−36.1%、変化の絶対値−71.7mg/dlであった。筋肉の症状はエゼチミブ群で28.8%、エボロクマグ群で20.7%で認めた(log-rank P=0.17)。薬剤を中止したのは、エゼチミブ群で5/73例(6.8%)、エボロクマブ群で1/145例(0.7%)であった。

結論
筋肉に関連したスタチンの不耐性がある患者において、エボロクマブはエゼチミブと比較し、24週でのLDLコレステロール値が大きく減少した。長期の有効性と安全性の評価のため、さらなる試験が必要である。

◇この論文のPICOはなにか
P:筋肉の症状によりスタチン不耐性の患者
I/C:エゼチミブ10mg1日1回内服、エボロクマブ420mgを月に1回皮下注
O:LDLコレステロールの変化率(ベースラインから22と24週の平均値、ベースラインから24週)。

inclusion criteria:18−80歳、スタチン不耐性(アトルバスタチン10mgと他のスタチンをどの容量でも。または、3つのスタチンでいずれか1つは最低容量で、その他の2つのスタチンはどの容量でも。最低容量はロスバスタチン5mg、シンバスタチン10mg、プラバスタチン40mg、ロバスタチン20mg、フルバスタチン40mg、ピタバスタチン2mgとする。)、冠動脈疾患患者ではLDLコレステロールが100mg/dl以上であること、2つ以上のリスクがある非冠動脈疾患患者ではLDLコレステロールが130mg/dl以上、リスクが1つある非冠動脈疾患患者ではLDLコレステロールが160mg/dl以上、リスクがない非冠動脈疾患患者ではLDLコレステロールが190mg/dl以上

exclusion criteria:3ヶ月いないに以下の病歴があること。心筋梗塞、不安定狭心症、冠動脈血行再建、脳梗塞。

◇baselineは同等か
LDLコレステロールは両群間で差がなく、220mg/dlぐらい。
characteristics

◇結果
地域:米国、英国、オランダなど複数の国で
登録期間:2013年12月10日〜2014年11月28日
観察期間:24週
無作為化:interactive web-basedまたはvoice recognition systemによる中央割り付け。
盲検化:open-label(phaseAは二重盲検)
必要症例数:phaseBで100例
症例数:phaseBで218例
追跡率:100%
解析:ITT解析
スポンサー:企業が関与(アムジェン社)

result

◇感想
副作用のためにスタチンが投与できない患者に対し、エゼチミブ(ゼチーア®︎)かエボロクマブ(レパーサ®︎)を投与し、LDLコレステロールの変化率をみた試験。エボロクマブがエゼチミブに比べ、有意にLDLコレステロールを低下させた。そうですよね、という結果。PCSK9阻害薬の心血管イベントや副作用などのデータは、これから出てくるはずなので、期待して待つ。

STICH試験 年齢別サブグループ解析

Ten-Year Outcomes After Coronary Artery Bypass Grafting According to Age in Patients With Heart Failure and Left Ventricular Systolic Dysfunction: An Analysis of the Extended Follow-Up of the STICH Trial (Surgical Treatment for Ischemic Heart Failure).
Circulation. 2016 Nov 1;134(18):1314-1324.

《要約》
背景
EFが低下し、冠動脈バイパス術(CABG)の合併症のリスクがより高い心不全において、高齢により冠動脈疾患(CAD)の有病率は高くなる。虚血性心筋症による心不全で、異なる年齢でもCABGの効果が同等にあるかどうかは明らかではない。

方法
STICH試験で、CABGの適応があるEF35%以下のCAD患者1212例を、CABGと薬物療法に無作為に割り付け、9.8年間フォローした。

結果
平均年齢60歳、12%が女性、36%が非白人、baselineのEFは28%であった。年齢により4つのカテゴリに分けた。Quartile1:54歳以下、Quartile2:55−59歳、Quartile3:60−67歳、Quartile4:68歳以上である。より高齢の患者で併存疾患が多かった。高齢者(Quartile4)と若年者(Quartile1)の全死亡を比較した場合、薬物療法でも(79%vs60%、P=0.005)、CABGでも(68%vs48%、P<0.001)、高齢者で高かった。対照的に、心血管死の年齢による統計学的な差は、薬物療法でも(Quartile4vs1、53%vs49%、P=0.388)、CABGでも(Quartile4vs1、39%vs35%、P=0.103)認めなかった。Quartile4でも1でも、もっとも多い死亡原因は心血管死であった(79%、62%)。全死亡に対するCABGの効果は、年齢が上昇するほど減少する傾向にあるが(P for interaction=0.062)、心血管死に対するCABGの効果は、年齢に関わらず一貫している(P for interaction=0.307)。CABGは、高齢者よりも若年者で、全死亡と心血管イベントによる入院を減少させた(P for interaction=0.004)。CABGを行った患者で、人工心肺接続時間およびICU滞在日数は、年齢による違いはなかった。

結論
高齢者と比較し若年者では、薬物療法に加えCABGを行うことで、全死亡および全死亡と心血管イベントによる入院が大きく減少した。年齢に関わらず、薬物療法に加えCABGを行うことが、心血管死を減少させる。

◇この論文のPICOはなにか
P:CABGの適応があるEF35%以下のCAD
I:CABG+薬物療法
C:薬物療法のみ
O:全死亡

◇デザイン、対象、観察期間
・RCTの年齢によるサブグループ解析
・COX比例ハザードモデル?
・1212例
・観察期間:9.8年(中央値)

characeristics
年齢があがるほど白人が多くなる。非白人の方が生命予後が悪くなる要因(経済的要因など)があるのでしょうか。基礎疾患は、やはり年齢が高いほど多い。Quartile4で症状がない人が多いのは活動性の低さを表している気がする。当たり前だが、年齢が高いほど、Hbが低く、Crが高くなる。

medical-and-device
βblockerは入れにくいのか、80%強しか内服していない。スタチンは80%と低め。おそらく100%近い割合で、なんらかの抗血栓薬を内服してそう。

anatomy
MRの程度は年齢による差がない。三枝疾患やLAD近位部病変が多い。

◇結果
result
全死亡は、CABG群で低い。心血管死もQuartile3でほぼ同等だが、他は一応CABG群で低い。

◇批判的吟味
・心血管のアウトカムを評価するのに十分な観察期間。
・交絡因子の調整は??
・Quartile3だと、心血管死は薬物療法と変わらないし、Quartile4だとunkownが多いので、これが心血管死と考えると、高齢になるといろいろ併存疾患もあるし、ちょっとCABGは微妙かもしれない。
・Quartileの年齢の切り方が67歳としているのは、事前に設定されているのか。あるいは事後なのか。
・当たり前だが、60歳を超えると、非心血管死が多くなる。

◇感想
STICH試験の年齢によるサブグループ解析で、どの年齢層でもCABG+薬物療法を行うことで、全死亡、全死亡と心血管イベントによる入院を減らしたという結果。当たり前かもしれないが、CABG群でも薬物療法群でも、年齢が高くなると10年生存率は低くなってしまう。60歳以下の人でも10年生存率が半分ぐらいなので、冠動脈疾患はここまで進行してしまうと厳しい。

【EDITORIAL】EXCEL試験 

Treatment of Left Main Coronary Artery Disease
N Engl J Med. 2016 Oct 31. [Epub ahead of print]

1960年代前半に冠動脈造影検査が行われるようになり、左冠動脈主幹部(LMT)の閉塞の危険性が明らかになった。LMT病変を有する患者では、5年生存率は約40%で、生存者は大抵、狭心症や心不全などの重篤な症状があった。

数年後、冠動脈バイパス術(CABG)が行われるようになった。薬物療法よりすぐれていることをが明らかになった。それ以降、LMT病変を有する患者では、禁忌がない限り、CABGが行われるようになった。

1979年、アンドレアス・グルンツィッヒがCABG不適である症例に、経皮的冠動脈形成術を行った。ただ、その危険性は高く、20年の間、非保護LMT病変はほとんどCABGで治療された。ベアメタルステントが使われ始め、数人の勇敢なインターベンショニストが、CABG不適の症例でカテーテル治療を行ったが、その結果はまちまちであった。

手技によって引き起こされた閉塞や再狭窄は重大な問題であった。これらの問題は、テクニックの向上と薬剤溶出性ステント(DES)の開発によってかなり克服され、PCIとCABGは比較されてきた。

PCIとCABGの2つのストラテジーは、死亡、心筋梗塞、脳梗塞、虚血による再血行再建の複合エンドポイントで、同等の結果であった。脳梗塞はCABGでより多く、再血行再建はPCI群で多かった。現在では、LMT病変の治療はCABGよりPCIで行われることが多くなったが、その正当性は明らかでない。

その流れの中で、the Evaluation of Xience versus Coronary Artery Bypass Surgery for Effectiveness of Left Main Revascularization trial(XCEL試験)の結果がpublishされた。EXCEL試験は大規模、多国籍、多施設試験で、1905例の非保護LMT病変が割り付けられた。

2つのストラテジーの目的は、完全血行再建を行うことである。EXCEL試験では、IVUS使用下でXience(エベロリムス溶出性ステント)を留置した。CABGは動脈グラフトを用い、多くの症例でoff-pump CABGが行われた。

EXCEL試験はよくデザインされ、厳密に行われた試験である。両群で術後30日の死亡率は1%であった。複合エンドポイント(3年間の死亡、脳梗塞、心筋梗塞)の発生は、PCIもCABGも同等であった。しかし、全死亡はPCI群で多く、これは非心血管死の増加によるものであった。脳梗塞はCABGで多く、虚血による再血行再建はPCI群で多かった。

EXCEL試験のtake-home massageは、非保護LMT病変は熟練したハートチームによって治療されるなら、PCIとCABGのいずれのストラテジーでも治療可能であるということである。

3年間の全死亡、脳梗塞、心筋梗塞の複合エンドポイントは両群で差はなかったが、30日から3年の間のこれらの複合エンドポイントは、PCI群11.5%、CABG群7.9%と有意にPCI群で有意に多かった(P=0.02)。よって、さらなるフォローアップが必要である。

非保護左冠動脈主幹部病変 PCIかCABGか

Everolimus-Eluting Stents or Bypass Surgery for Left Main Coronary Artery Disease
N Engl J Med. 2016 Oct 31. [Epub ahead of print]

《要約》
背景
非保護左冠動脈主幹部病変は、通常冠動脈バイパス術(CABG)が行われる。無作為化試験で、左冠動脈主幹部(LMT)病変に対し薬剤溶出性ステントを用いたPCIが、CABGの代替の選択肢になり得ることが示された。

方法
軽度〜中等度の複雑性を有したLMT病変1905例を、フルオロポリマーのコバルコクロム(CoCr)エベロリムス溶出性ステントを用いたPCIと、CABGに無作為に割り付けた。PCI群948例、CABG957例で、病変の複雑性はSYNTAXスコア32以下のものを対象とした。主要評価項目は、3年間の全死亡、脳梗塞、心筋梗塞で、非劣性マージン4.2%の非劣性試験である。副次評価項目のうち一つは、30日間の全死亡、脳梗塞、心筋梗塞で、もう一つは3年間の全死亡、脳梗塞、心筋梗塞、虚血による再血行再建である。

結果
3年間で、主要評価項目はPCI群で15.4%、CABG群で14.7%であった(difference:0.7ポイント、97.5%CIの上限4.0ポイント、P=0.02 for noninferiority; 95%CI0.79-1.26 P=0.98 for superiority)。副次評価項目である30日間の全死亡、脳梗塞、心筋梗塞は、PCI群で4.9%、CABG群で7.9%であった(P=0.008 for superiority)。もう一つの副次評価項目である3年間の全死亡、脳梗塞、心筋梗塞、虚血による再血行再建は、PCI群23.1%、CABG群19.1%であった(P=0.01 for noninferiority, P=0.10 for superiority)。

結論
SYNTAXスコアが軽度〜中等度のLMT病変では、エベロリムス溶出性ステントはCABGに対し、3年間の全死亡、脳梗塞、心筋梗塞の発症率は非劣性であった。

◇この論文のPICOはなにか
P:SYNTAXスコア32以下の非保護左冠動脈主幹部病変
I:エベロリムス溶出性ステント(Xience)を用いたPCI
C:CABG
O:3年間の全死亡、脳梗塞、心筋梗塞

inclusion criteria:LMTに70%以上の狭窄があること、LMTに50−70%狭窄があり虚血が証明されているもの、SYNTAXスコア32以下
exclusion criteria:本文には記載なし

◇baselineは同等か
同等。65歳ぐらいで、3/4は男性。30%がDMで、その1/4がインスリンを使用している。安定狭心症が半分ちょっとで、残りはMI/UAP。SYNTAXスコアは、low(0-22)が6割で、残りの4割はintermediate(23-32)。
characteristics

◇結果
地域:17カ国126施設
登録期間:2010年9月29日〜2014年3月6日
観察期間:3.0年(中央値)
無作為化:interactive voice-based/Web-based systemによる。DMの有無・SYNTAXスコア(≦22、≧23)・施設で層別化。置換ブロック法。
盲検化:open-label
必要症例数:1900例(CABG群のイベント発生率を11%、非劣性マージン4.2ポイント、ロストフォローアップや参加取りやめが8%、power80%、αlevel0.05として算出。当初はpower90%で2600例としていたが、症例が集まらなかったため変更されている。)
症例数:1905例(PCI群948例、CABG群957例)
追跡率:記載はないが、割り付けられた血行再建施行率などをみると、脱落は多くなさそう。
解析:ITT解析(per-protocol解析、as-treatment解析も行われている)
スポンサー:Abbott Vascular

PCI群でPCIが施行されたのは935例(98.6%)。平均で1人あたり2.4本のステントが留置され、平均のステント長は49.1mmであった。

CABG群でCABGが施行されたのは923例(96.4%)。平均で1人あたり2.6本のグラフトがバイパスされており、98.8%の患者で内胸動脈が使用されている。

result
primary endpointは非劣性で、per-protocol解析でも同様の結果であった。

kplan-meier
全死亡は術後1年半ぐらいから差が開き始めていて、心筋梗塞はやはりCABGの周術期に多いけど、3年かけてPCI群が追いついてきている感じ。

◇批判的吟味
・盲検化はできないが、ハードエンドポイントなので影響はない。
・割り付け通りの血行再建が施行されている率が高く、クロスオーバーも低く、きちんと試験が行われている感じ。
・非劣性試験であるが、ITT解析とPP解析の両方が行われており、いずれも解析でも非劣性であった。
・Xienceを製造しているAbbott Vascularがスポンサー
・全死亡のKaplan-Meierは1年半ぐらいまで差がないが、その後徐々に差が付いてきている。
・心筋梗塞のKaplan-Meireは、早期はやはりCABG群で多いが3年たつと差はなくってしまっている。
・primary endpointは3年となっているが、PCIとCABGを比較するなら、もっと長期で見たい。

◇感想
SYNTAXスコアが32までのLMT病変であれば、PCIでもCABGでも3年間の心血管イベント(全死亡、心筋梗塞、脳梗塞)は変わらないという結果。

ただ、Kaplan-Meierを見ると、今後、全死亡はさらに差が開いてくるだろうし、心筋梗塞はPCI群の曲線がCABG群をクロスして右肩上がりに上がっていきそうな雰囲気。それはCABGが心筋梗塞の発症を抑え、死亡率を改善させる効果があることと、PCIにはその効果が乏しいことを考えると当たり前だろうと思う。

対象患者が65歳ぐらいってことを考えると、5年、10年とより長期のスパンでみると、差がはっきりでてくるのではないか。Abbottがスポンサーなので、そういうデータを出してくるかはわからないけど・・・。

慢性心不全と貧血と鉄欠乏

Prevalence and Outcomes of Anemia and Hematinic Deficiencies in Patients With Chronic Heart Failure.
JAMA Cardiol. 2016 Aug 1;1(5):539-47.

《要約》
背景
慢性心不全の患者で、貧血と鉄欠乏の頻度・関連・影響などの詳細な情報は不足している。

目的
心不全が疑われ循環器内科を紹介された患者で、貧血と鉄欠乏の疫学を調査すること。

デザイン、セッティング、患者
20001年1月1日から2010年12月31日までに心不全が疑われ紹介された患者の、ヘモグロビン(Hb)、血清鉄、鉄結合率、フェリチンの情報を収集した。フォローアップデータは2011年12月13日に検閲した。心エコー、NT-proBNPは最大10年間フォローした。

アウトカム
貧血と鉄欠乏の頻度、それらの関連、死亡率、心血管死亡率

結果
4456例が研究に組み入れられた。年齢の中央値は73歳で、2696例(60.5%)は男性、1791例(40.2%)で左室収縮障害を認めた。左室収縮障害がない患者では、1172例(26.3%)でNT-proBNPが400pg/ml以上、841例(18.9%)で400pg/ml未満、652例(14.6%)は測定されていなかった。1237例(27.8%)で貧血を認め、心不全のクライテリアを満たす患者で多かった(987例、33.3%)。鉄欠乏は、貧血のある患者では270例(43.2%)から425例(68.0%)で認め、貧血のない患者では260例(14.7%)から624例(35.3%)で認めた。多変量解析では、より低いHb(HR0.92、95%CI0.89−0.95)とより低い血清鉄(HR0.98、95%CI0.97−0.99)は、より高い死亡率・心血管死亡率と独立した関連があった。

結論
心不全患者では貧血はありふれたもので、しばしば鉄欠乏と関連していた。貧血と鉄欠乏の両方が全死亡・心血管死と関連しており、心不全患者では治療のターゲットになるかもしれない。

◇この論文のPECOは?
P:慢性心不全
E/C:貧血、鉄欠乏
O:死亡

◇デザイン、対象、観察期間
・英国
・後ろ向きコホート研究
・ロジスティック回帰(貧血と鉄欠乏の変数を特定するため)、COX比例ハザードモデル(全死亡、心血管死の変数を特定するため)
・4456例
・観察期間:7.7年(中央値)
・貧血の定義(WHO) 男性:<13.0g/dl、女性:<12.0g/dl

◇結果
・心不全のある患者では、貧血を合併している頻度が高い。
・男性の場合、貧血と年齢は相関がある。

hematinic-variables

◇感想
慢性炎症によりフェリチンは高値になる傾向。フェリチン値で鉄欠乏の有無を判断していると、鉄欠乏を見逃すこともある。血清鉄やTSATの方が、鉄欠乏を反映している。

心不全患者でHbが低下する機序は複雑である。体液貯留による希釈、赤血球容積の低下、ACE阻害薬やカルベジロールの使用、鉄やエリスロポエチンの不足などがあげられる。貧血と鉄欠乏が死亡と相関するからと言って、内服薬によって鉄を補えばいいというものではない。

プロバイオティクスは人工呼吸器関連肺炎(VAP)の予防に有効

Effect of probiotics on the incidence of ventilator-associated pneumonia in critically ill patients: a randomized controlled multicenter trial.
Intensive Care Med. 2016 Jun;42(6):1018-28.

《要約》
目的
プロバイオティクスの人工呼吸器関連肺炎(VAP)に対する予防的効果を評価すること。

方法
オープンラベル、無作為化比較対照、多施設共同試験を行った。人工呼吸器管理が48時間以上必要と予想される重症の成人患者235例を組み入れた。患者は以下の2群に無作為にわりつけ、最大で14日間継続する。1)Bacillus subtilis(枯草菌)とEnterococcus faecalis(腸球菌)0.5g含んだカプセル(Medilac-S)を1日3回、NGチューブから投与し、かつVAPの標準的予防策をとる。2)VAPの標準的予防策のみ。VAPの評価は毎日行い、咽頭ぬぐい液と胃液の培養はbaseline時に加え、1−2回/週行う。

結果
細菌学的なVAPの発症は、プロバイオティクス群で有意に低かった(36.4%vs50.4%, P=0.031)。VAP発症までの時間の平均値は、プロバイオティクス群で有意に長かった(10.4日vs7.5日、P=0.022)。胃内の病原性微生物のコロニゼーションは、プロバイオティクス群で有意に低かった(24%vs44%、P=0.004)。しかし、病原性微生物の咽頭・胃内へのコロニゼーションを認めなかった患者の割合は、両群で差はなかった。臨床的なVAPの発症率、抗生剤使用量、人工呼吸器装着期間、死亡率、在院日数のプロバイオティクスによる改善はなかった。

結論
B.Subtilis, E.faecalisを含んだプロバイオティクスは、VAP予防と胃内の病原微生物のコロニゼーションの予防に効果的であり、安全な方法である。

◇この論文のPICOはなにか
P:48時間以上、人工呼吸器管理が必要と予想される患者
I:VAPの標準的予防策+プロバイオティクス
C:VAPの標準的予防策のみ
O:細菌学的に診断されたVAPと、咽頭と胃内の病原微生物の根絶及びコロニゼーションの割合

inclusion criteria:ICU入室24時間以内、ICUでの気管内挿管、
exclusion criteria:18歳未満、81歳以上、APACHEⅡスコア≧25、72時間以上の人工呼吸器管理、経腸栄養を行えない、免疫不全(悪性腫瘍、AIDS、HIVキャリア)、妊婦、授乳婦

◇baselineは同等か
同等。
characteristics

◇結果
地域:中国
登録期間:2010年3月〜2015年4月
観察期間:抜管まで
無作為化:記載なし
盲検化:記載なし
必要症例数:234例(対照群のVAPの発生が60%、20%のリスク減少、power80%、αlevel5%、脱落10%として算出)
症例数:250例
追跡率:945(235/250例)
解析:mITT解析
スポンサー:企業の関与なし

result1
臨床的なVAPはprimary endpointに含まれていないが、プロバイオティクス群で少ない傾向。細菌学的なVAPが少なくなれば、臨床的なVAPが減るのも納得できる。

result2
咽頭では、プロバイオティクスによるコロニゼーションの変化はないが、胃内のコロニゼーションはプロバイオティクスで有意に低下している。

◇批判的吟味・感想
・安価な方法。
・Bacillus subtilisとEnterococcus faecalisのカプセルを投与するみたいだけど、日本だとビオフェルミン散がそれにあたる。ただ、カプセルは4℃で保存って書いてあるから、なんか普通のものと違いそう。
・大きなデメリットもなさそうなので、プロバイオティクスをルーチンに使用してもいいだろう。

毎日果物を食べる人は、心血管イベントが少ない

《要約》
背景
欧米では、多量の果実の摂取が心血管疾患の低下と関連しているが、中国ではその関連は知られておらず、果物の摂取は少なく、脳梗塞の発症率が高い。

方法
2004年から2008年の間で、中国国内10地域から30−79歳の成人512891例を組み入れた。320万人年のフォローアップで、baselineで心血管疾患歴がない、または降圧薬を内服していない451665例のうち、5173例で心血管死、2551例で冠動脈イベント(致死的・非致死的)、14579例で虚血性脳梗塞、3523例で頭蓋内出血が記録された。COX比例により、新鮮な果実の摂取と疾病率に対するハザード比を算出した。

結果
18.0%の患者は毎日果物を摂取していた。果物を全く摂取しない、またはほとんど摂取しない患者と比べ、毎日摂取する患者は収縮期血圧が4.0mmHg低く、血糖値が9mg/dl低かった(P<0.001)。果物を毎日摂取する患者の心血管死、冠動脈イベント、虚血性脳梗塞、脳出血に対するadjusted HRはそれぞれ、0.60(95%CI0.54−0.67)、0.66(95%CI0.58-0.75)、0.75(95%CI0.72-0.79)、0.64(95%CI0.56-0.74)であった。果物の摂取量とそれぞれのアウトカムの間には、対数線形の容量依存的な強い相関があった。10の地域、baselineで分類されるサブグループでも、これらの関連は認められた。

結論
成人中国人の中で、多量の果物の摂取が、より低い血圧、より低い血糖、そして有意に心血管疾患のより低いリスクと関連があった。

◇この論文のPECOは?
P:心血管疾患の既往がなく、降圧薬も内服していない、中国在住の35−79歳の成人
E:果物の摂取量
O:心血管死、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血

◇デザイン、対象、観察期間
・前向き観察研究
・COX比例ハザードモデル
・登録期間:2004年6月〜2008年7月
・451665例、320万人年(10地域の住民180万人のうち、回答があった人が対象)
・登録時に質問票で以下のデータを収集。
喫煙、飲酒、食事(肉、鶏、魚、卵、新鮮な野菜、加工した野菜、新鮮な果物、加工した果物、大豆製品)、運動習慣、既往歴、身長・体重・腹囲、血圧、血糖

characteristics

◇結果
果物を毎日摂取する人は、女性、若い、都会に住んでいる、高学歴、高収入、喫煙や飲酒が少ない、乳製品と肉をよく食う、という特徴がある。BMIは意外と、果物をよく食べている方が高い。

result
果物の摂取量が多いと、心血管死、冠動脈イベント、虚血性脳梗塞、脳出血が少ない。

◇感想
果物は好きな方だけど、皮をむくのが面倒だったり、置いといても保存が効かったりで、あまり食べてない。やっぱ、こういうの読むと、お菓子食べるより、果物が食べたくなります。