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高齢者におけるPPIと1年後の死亡率・再入院率のリスク

Proton Pump Inhibitors and Risk of 1-Year Mortality and Rehospitalization in Older Patients Discharged From Acute Care Hospitals

JAMA Intern Med. 2013;173:518

〇背景
PPIの使用はここ数年で急速に増えているが、高齢者に対する長期使用とそのリスクとの関連については疑問が残る。

〇カテゴリ

〇研究デザイン
コホート研究

○資金源
grant RF-INR-2005-127640 from the Italian Ministry of Health (Pharmacosurveillance in the Elderly Care study), grant RF-2010-2312659 from the Italian Ministry of Health and Emilia Romagna Region

〇利益相反
なし

〇論文のPECOはなにか?
P:2007.04.01-06.30にイタリアの急性期病院11施設を退院した65歳以上の高齢者。連続762症例のうち、参加拒否・入院中の死亡・リハビリテーションユニットへの転院を除く491人が対象。
E:PPIの内服をしている
C:していない
O:死亡、死亡と再入院の複合エンドポイント

〇追跡期間
1年間

〇outcomeに影響を及ぼすような脱落があるかどうか
追跡不能 7例/491例と少なく影響は大きくないだろう

〇outcomeの観察者が危険因子についてmaskingされているか
Maskingされているかどうか記載はないが、outcomeの評価には影響しない

〇交絡因子の調整が行われているか
Cox比例ハザードモデルを用いている。
以下の変数を調整した。
年齢、性、認知機能、うつ、ADL、栄養状態、血清アルブミン値、NSAIDsや抗血小板薬の処方、心血管疾患(心不全、冠動脈疾患、末梢血管疾患、心房細動、静脈血栓症、肺塞栓症)、GERD、消化性潰瘍、下痢、感染症、骨折。

〇結果の評価
1年後の死亡率は、調整済みハザード比1.51(95%信頼区間1.03 – 2.77)と有意であり、退院時のPPI内服は1年後の死亡率を上昇させる。死亡と再入院の複合エンドポイントは、調整済みハザード比1.49(95%信頼区間0.98 – 2.17)と有意ではなかった。

〇コメント
・PPI長期使用はC difficile感染や市中肺炎のリスクとされているが、それらが原因の死亡・再入院の発生数が少なすぎて、その関連について示すことはできなかった
・PPI長期使用による心血管イベントのリスク増加が報告されている。しかし、我々の結果では、PPIの使用と現在の抗血小板薬の使用は、調整した後も関連はなく、それが死亡率上昇の主要な原因ではない。
・未知の交絡因子がある可能性がある