非心臓手術での血管イベントの発生はRCRIの約6倍 Vision pilot試験

An international prospective cohort study evaluating major vascular complications among patients undergoing noncardiac surgery: the VISION Pilot Study.
Open Med. 2011;5(4):e193-200.

《要約》
目標
我々の目標は、非心臓手術を受ける患者で、1)大規模な国際的コホート試験を行えるか決定すること、2)周術期の主要な血管イベントの発生率を推定すること、3)観察されるイベント発生率とRevised Cardiac Risk Index(RCRI)の比較、4)トロポニンを測定しなければ見逃される可能性がある無症候性心筋梗塞の割合を推定すること、である。

デザイン
国際的前向きコホートパイロット試験

参加者
45歳以上の非心臓手術を受ける患者

方法
術後6時間後、12時間後、1日後、2日後、3日後にトロポニンTを測定する。主要評価項目は、術後30日後までの主要な血管イベント(血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的心停止、非致死的脳梗塞)である。周術期心筋梗塞の定義は、トロポニンTの上昇と以下の項目のうち少なくともひとつを満たすものである。虚血症状、Q波の出現、心電図の虚血性変化、冠動脈血行再建、心筋梗塞の画像的な証拠、解剖による心筋梗塞所見。

結果
カナダ、中国、イタリア、コロンビア、ブラジルの5つの病院で432例を登録した。術後30日間で、6.3%(99%CI:3.9−10.0)で主要な血管イベントが起こった。10例が血管死、16例が非致死的心筋梗塞、1例が非致死的脳梗塞であった。観察されたイベント発生率はRCRIから予想されるものの6倍であった。18例の心筋梗塞のうち、12例で無症候であった。

結論
周術期の血管イベントはよくあることで、RCRIはリスクを過小評価し、トロポニンTのモニタリングにより心筋梗塞の見逃しを防ぐことができる。大規模な国際的前向きコホート試験が必要である。

◯論文のPICOはなにか
P:非心臓手術
I/C:経時的なトロポニンTの測定
O:主要な血管イベント(血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的心停止、非致死的脳梗塞)

inclusion criteria:45歳以上、全身または局所麻酔(神経叢ブロック、腰椎麻酔、硬膜外麻酔)を要する、入院を要する、待機的・準緊急・緊急手術

手順
トロポニンTを術後6時間後、12時間後、1日後、2日後、3日後に測定する。トロポニンTは0.04μg/L以上を有意な上昇とする。術後12−24時間の間に患者の登録を行う。トロポニンTの上昇が認められた場合、12誘導心電図を施行する。トロポニンTが上昇したにも関わらず、無症候で心電図変化もなく周術期心筋梗塞の定義を満たさない場合には、心エコーを行う。

◯結果
登録期間:2005年3月から2009年5月
症例数:432例
追跡率:99.3%
characteristics
血管手術は2%で、1/3が低リスク手術。その他が中等度リスクの手術である。

result
(tableはすべて本文から引用)
RCRIと比較し、周術期の血管イベントは6倍(99%CI:3.5−9.7)と高い。

◯感想/批判的吟味
心筋梗塞の2/3が無症候であるため、日常的にこのような症例は見逃されている可能性がある。わずかなトロポニンの上昇で周術期心筋梗塞を拾い上げると、これだけ多いということか。ただ、このわずなかトロポニン上昇により拾い上げられた心筋梗塞のすべてが、転移不良というわけではなく、どれくらい臨床的に意味があるかより大規模な試験での検証が待たれる。