虚血性心疾患

FAME2試験のつづき

Fractional Flow Reserve–Guided PCI for Stable Coronary Artery Disease
FAME2試験の2year follow up。

〇論文のPICOはなにか
P:冠動脈に狭窄(FFR≦0.80)を有するものを
I:PCI+至適薬物療法(OMT)で治療すると
C:OMTだけの場合と比べて
O:死亡+心筋梗塞+緊急血行再建の複合エンドポイントが減るか
を調べたRCT。

〇Patients
1220例が登録され、FFR≦0.80以下の病変を有する888例が対象。
inclusion criteria:冠動脈造影にて1-3枝病変がある患者
exclusion criteria:CABG術後、左室駆出率(EF)<30%、左冠動脈主幹部病変(LMT)

〇ランダム割り付けされているか
されている

〇ランダム割り付けが隠匿化concealmentや盲検化maskingはされているか
コンピュータによる中央割付方式なので、隠匿化はされていると思われる。盲検化はできない。
緊急血行再建の必要性に関しては、割付を知らされていない医師2名により判断されている。

〇baselineは同等か
同等。

〇ITT解析されているか
されており、脱落はない。

〇症例数は十分か
検出力0.84、相対リスク30%減少、αlevel0.05で症例数はそれぞれ816例と計算されている。予定症例の54%が登録された段階で、早期中止となっている。

〇結果
Primary endpointは有意差をもって、PCI+OMT群が低かった(8.1% vs. 19.5%; hazard ratio, 0.39; 95% confidence interval[CI], 0.26 to 0.57; P<0.001)。その内訳としては、死亡や心筋梗塞に関しては群間差はなかったが、緊急血行再建では有意差がついた(4.0% vs. 16.3%; hazard ratio, 0.23; 95% CI,0.14 to 0.38; P<0.001)
fame2

FFRを用いたPCIを行う根拠としてよく引用される試験だが、複合エンドポイントを設定されていること(それぞれの重症度が異なる、個別に解析するときの検出力など)、設定していた症例数に到達せず早期中止になっていること、一部にソフトエンドポイントが用いられていること(PROBE法でソフトエンドポイントを設定した場合、outcomeの評価頻度を調整することで、outcome発生率を変えることができてしまう)などの、結果の解釈は慎重に行う必要があるだろう。