心不全

慢性心不全に対するピモンベンダンの効果 EPOCH試験

Effects of pimobendan on adverse cardiac events and physical activities in patients with mild to moderate chronic heart failure: the effects of pimobendan on chronic heart failure study (EPOCH study).
Circ J. 2002 Feb;66(2):149-57.

◯この論文のPICOはなにか
P:安定しているNYHAⅡもしくはⅢの慢性心不全
I:ピモベンダン2.5mg分2(ピモベンダン群)
C:プラセボの内服(プラセボ群)
O:52週での、死亡、心不全、心臓突然死/不整脈突然死、心不全増悪による入院の複合エンドポイント

inclusion criteria:20−85歳、十分な薬物療法でも症状を有する状態、LVEF≦45%
exclusion criteria:重症の心室もしくは心房性不整脈、高度房室ブロック、弁膜症性心疾患(狭窄症)、閉塞性心疾患、感染性心疾患、3ヶ月以内の心筋梗塞、3ヶ月以内の心臓手術、重症な脳血管障害・呼吸器疾患・肝疾患・腎疾患、妊産婦

◯ランダム化されているか
LVEF・心不全の原因・NYHA分類・登録施設の4変数によって調整されたdynamic balancing methodによって割付が行われてる。

◯baselineは同等か
同等かどうかの記載がない。以下、ざっくりと。
年齢62歳、60%がDCMで1/3が虚血性心疾患、NYHAⅡ:Ⅲ=2:1、LVEF33%、SBP120mmHg、HR73/min、薬物治療(ACE阻害薬:65%、β遮断薬20%、抗不整脈薬1/3、利尿薬90%、ジギダリス60%)

◯症例数は十分か
プラセボ群でprimary endpointの発生が27−29%、Hazard ratio0.4−0.5と仮定し、typeⅠ error5%, power80%として、必要症例数は各群130例と算出されている。ピモベンダン群147例、プラセボ群151例登録されている。

◯盲検化されているか
double blind

◯すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
臨床状況の変化・同意の撤回・protocol違反などの症例を除いたmodified ITT解析。各群138例ずつ解析されている。

◯結果
primary endpointに有意差なし。
ピモベンダン群でNYHA分類が有意に改善(34% vs 20%), LVEFも有意に改善(32%→38% vs 32%→35%)。

◯感想/批判的吟味
・症例数は十分集まっているが、primary endpointに有意差がついていない。
・2002年の論文だからだろうか、慢性心不全に対する薬物療法が全くもって不十分。