不整脈

コルヒチンはアブレーション後の心房細動の再発を抑制する 

Colchicine for prevention of early atrial fibrillation recurrence after pulmonary vein isolation: a randomized controlled study.
J Am Coll Cardiol. 2012;60:1790-6

◯この論文のPICOはなにか
P:発作性心房細動(Paf)
I:コルヒチン:1mg分2の内服(コルヒチン群)
C:プラセボの内服(プラセボ群)
O:心房細動(AF)の再発

inclusion criteria:少なくとも12誘導心電図で2回以上Pafが確認されている、抗不整脈薬(1c群/Ⅲ群)の使用下でPafの再発が1回以上ある

exclusion criteria:80歳以上、活動性の炎症性疾患や感染症、悪性腫瘍、ステロイドなどの免疫抑制薬の使用、中等度から高度の肝機能障害(Child B/C)、高度腎機能障害(eGFR<30ml/min/1.73m2)、アドヒアランス不良

手順:2ヶ月間のrun-in periodあり。抗不整脈薬は中止し、その他の薬剤は継続。ラジオ波アブレーションカテーテルを用いて、肺静脈焼灼術(PV isolation)とleft atrial isthmusのアブレーションを行う。術後3ヶ月は抗凝固療法を行う。術後の抗不整脈薬の使用は禁止しており、ジヒドロピリジンも禁止だが、β遮断薬は心不全・冠動脈疾患などで以前から内服している場合に限り継続可。コルチヒン・プラセボの内服は手術当日から。

AF再発の定義:心房粗動やmacro-re-entrant trial tachycardia(MART)も再発に含める。症候性AF、受診時の心電図、30秒以上のAFが月2回以上認めること(3ヶ月間で48時間ホルター心電図を6回行う)

◯ランダム化されているか
randomized trialとの記載はあるが、方法についての記載なし。

◯baselineは同等か
同等。以下、ざっくりと。
年齢62歳、喫煙・高血圧・糖尿病・冠動脈疾患も同等。1/4が心不全、LVEF55%、左房径43mm、手術時間は3時間ほど、PV isolation success99%、β遮断薬は35%が内服していた。

◯症例数は十分か
AF再発が50%でコルヒチンにより50%のリスク減少があると仮定し、power80%、αlevel0.05とし、必要症例数は160例と算出されている。コルヒチン群85例、プラセボ群85例、計170例が登録されており、症例数は十分である。

◯盲検化されているか
double blind study

◯すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
1回以上受診しなかった場合や1回以上ホルター心電図を行わなかった場合は解析から除外する。コルヒチン群で4例、プラセボ群で5例が除外されており、追跡率は94%。

◯結果
コルヒチン群 vs プラセボ群、OR(95%CI)
primary endpoint:16% vs 33.5%、0.38(0.18-0.80)
result
論文より引用

高血圧や左房径が再発の予測因子であった。

また、この試験ではCRPやIL−6などの炎症マーカーも測定されており、コルチヒチンによってそれらの値が低下している症例ほどAF再発は抑えられていた。

予測因子
本文より引用

◯感想/批判的吟味
高血圧の有無、左房径、炎症マーカーがAF再発の予測因子。CRPやIL−6はコルヒチン投与によりday4では有意に抑制されている。コルヒチンの抗炎症作用がAF再発の抑制につながったと考えられる。心房細動ではアブレーション後早期の再発が、晩期の再発の予測因子としてあげられており、コルヒチンにより早期のAF再発が抑制されたことで、より長期のデータの改善が期待される。