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シタグリプチン(ジャヌビア®)の心血管疾患への有効性

シタグリプチン(ジャヌビア®)の心血管疾患二次予防の有効性を調べた試験。
Effect of Sitagliptin on Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes
N Engl J Med. 2015;373(3):232-42

〇この論文のPICOはなにか
P:1-2剤の傾向血糖降下薬やインスリンを使用していてHbA1c6.5%-8.0%でコントロールされている、心血管疾患を合併した2型糖尿病患者
I:シタブリプチン(ジャヌビア®)を追加(シタグリプチン群)
C:プラセボを内服(プラセボ群)
O:4年間での心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳梗塞、不安定狭心症による入院の複合エンドポイント
Inclusion criteria:50歳以上の心血管疾患(冠動脈疾患、虚血性脳梗塞、末梢血管疾患)を合併した2型糖尿病患、HbA1c6.5-8.0%(1-2剤の傾向血糖降下薬またはインスリン使用下)、
Exclusion criteria:DPP-4阻害薬がすでに使用されている症例、3ヶ月以内のGLP-1受容体作動薬の使用やチアゾリジンの内服、12ヶ月以内の重症低血糖の既往、eGFR30ml/min/1.73m2未満

〇baselineは同等か
同等。年齢は65歳ぐらいで、3割が女性。糖尿病歴は11年ぐらいで、血圧135/77mmHg程度、LDLコレステロール91mg/dl程度でコントロールされている。4割に心筋梗塞の既往がある。1/4はCABGをうけている。1割は喫煙者。
薬剤に関しては、8割がメトホルミンを使用しており、1/4でインスリンが使用されいている。アスピリンが8割。スタチンも8割程度が内服している。

〇結果
Primary endpointは、シタグリプチン群:11.4%, 4.06/100人年、プラセボ群:11.6%, 4.17/100人年で、Hazard ratioはper-protcol解析では0.98(95%CI:0.88-1.09)と非劣性であり、ITT解析では0.98(95%CI:0.89-1.08)と有意差はなかった。
シタグリプチン群で、HbA1cが0.29%低く、追加の傾向血糖降下薬やインスリンの導入が少なかった。
安全性の評価として、急性膵炎はシタグリプチン群で多い傾向があったが有意差はなかった(0.3%vs0.2%)。膵癌はシタグリプチン群で少ない傾向にあったが、これも有意差はなかった(0.1%vs0.2%)。

〇批判的吟味/感想
・観察期間は4年間で、心血管イベントを評価するのに適切な期間かはわからないが、心筋梗塞や脳梗塞などリスクがそこそこある患者を対象にしている。シタグリプチン(DPP-4阻害薬)は、心血管疾患の二次予防への有効性は乏しい。

・SMDがスポンサーだが、解析はMSDとは独立した機関が行っている。

・心血管イベントをエンドポイントにした試験だが、プラセボに対して非劣性を調べる試験って、患者さんにとってなにか意味があるのだろうか。ただ、企業のマーケティングとしては十分使えるのかもしれない。