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修正大血管転位(congenitally corrected transposition of the great arteries;CCTGA)

修正大血管転位(CCTGA)とは右室から大動脈が、左室から肺動脈が起始しているもので、

静脈⇒右房⇒(僧帽弁)⇒左室⇒肺動脈⇒肺⇒

肺静脈⇒左房⇒(三尖弁)⇒右室⇒大動脈

という血液の循環になる。血行動態としては一見正常に思われるが、ポイントは解剖学的右室が左室の役割を担っているということだろう。

解剖学的右室が左室の役割を担う問題は、解剖学的右室は解剖学的左室のような緻密化した構造ではなく、また三尖弁は耐久性に乏しいということである。CCTGAの60-80%に心室中隔欠損を、30-50%に肺動脈狭窄を合併するが、そのような合併がなくても、長期的には解剖学的右室の機能不全や三尖弁閉鎖不全(TR)が問題となる。

死因は、不整脈による突然死や高度TRによる解剖学的右室の機能不全だといわれている。高度TRは独立した予後予測因子である。1)

高度TRに対しては三尖弁置換術(全身的房室弁置換術、systemic atrioventricular valve replacement;SAVV replacement)が考慮される。しかし、解剖学的右室の機能不全が進行し右室駆出率(systemic ventricular ejection fraction; SVEF)が40%未満まで低下している場合、40%以上の場合と比較し術後1年後のSVEFは低い(対象 年齢:40±14歳、severeTR:約60%)。2)

また、SVEFが44%を切ると、SAVV replacementを行ってもその長期予後は悪くなる。3)

心不全治療として、ACE阻害薬やARB、βblockerなどの薬剤が使用されるが有効性についてはデータはない。

1)Can J Cardiol. 2010:e98-117.
2)J Am Coll Cardiol. 2011:2008-17
3)J thorac cardiovasc surg 1995:642-52
他、成人先天性心疾患診療ガイドライン(日本循環器学会)より引用