80代の高齢心房細動患者では、痩せが出血の危険因子

Fushimiレジストリでは、85歳以上だとそれ以下と比べて脳梗塞/全身性塞栓症が多くなるけど(HR:2.57、95%CI:1.77-3.65)、出血は多いわけではない(HR:1.40、95%CI:0.78-2.36)ということが以前報告されていました。

で、これは、高齢者の心房細動で出血にスポットを当てた論文です。高齢の心房細動患者で出血の危険因子はなにかということが調べられています。

Assessment of the bleeding risk of anticoagulant treatment in non-severe frail octogenarians with atrial fibrillation.
J Cardiol. 2019 Jan;73(1):7-13.

【PECO】
P:重度のフレイルでない80代の心房細動患者
E:暴露因子あり
C:暴露因子なし
O:出血

暴露因子:BMI(<18.5)、BW(&lt:50kg)、85歳以上、HAS-BLED3点以上、CKD、Hb<10g/dl、ワルファリン内服、抗血小板薬内服

フレイルティについては、臨床フレイルスケール(clinical frailty scale)で評価。
DOACは添付文書に準じた投与量調整がなされているか評価。
ワルファリンは、PT-INR1.6−2.6を至適範囲とし、TTR65%以上あれば適切な容量調整がなされていると判断した。

出血は3カテゴリに分類。
1)大出血:入院、または2単位以上の輸血が必要となる出血。生命に関わる出血。
2)臨床的に重大な出血:医学的介入、予約外受診、OACの一時的な中断が必要、または日常生活での支障をきたすような出血
3)小出血:上記以外

exclusion criteria:出血の既往、活動性の出血、重度腎障害、患者のコンディションが悪い場合

【デザイン、セッティング】
・症例対照研究
・単施設
・346例(ダビガトラン64例、リバロキサバン80例、アピキサバン95例、エドキサバン27例、ワルファリン80例)
・2011年1月〜2017年1月までにOACの処方が開始された患者
・観察期間:32.7ヶ月(14.0−51.0ヶ月)
・適切な容量調整がされていたのは、DOAC群では76%、ワルファリン群では65%。
・出血、抗凝固療法中止、抗凝固薬の変更、死亡、観察期間終了(2018年1月)のいずれかが起こるまでフォローアップ。
・COX比例ハザードモデル

【結果】
大出血は12例(消化管出血10例、喀血1例、肝出血1例)、臨床的に重大な出血4例(消化管出血4例)、小出血43例であった。

適切な容量調整がされている集団では、BMI<18.5が出血の最も重大な因子だった。
HR:2.17(95%CI:1.01−4.70)

一方、ワルファリンの使用(HR:0.57 [95%CI:0.26−1.27])や、抗血小板薬内服(HR:1.07 [95%CI:0.48−2.39])は有意差はなかった。

【まとめと感想】
80歳以上のAF患者では、やせ(BMI<18.5)が出血の危険因子のようです。

リアルワールドのデータでは、DOACはワルファリンと比べ出血が少ないと言われていますが、75歳以上のAF/VTEを対象としたメタ解析では出血に差はなく、このレジストリでもワルファリンの使用の有無では有意差はなかったようです。また、抗血小板薬併用下でも差はなかったということですが、ここらへんはNが大きくないので差が出なかったのかもしれません。

まあ、やせてる高齢者の抗凝固療法は要注意です。

今後ますます高齢の心房細動が増えてくると思いますが、エドキサバンのRCT(ELDERCARE-AF試験)やすべてのOACを含んだ前向きコホート研究(ANAFIEレジストリ)が走っているところのようなので、その結果が出てくると、高齢心房細動患者の治療も確立されてくるのではないでしょうか。