植込み型心臓電気デバイス(CIED)手術での感染予防 抗菌薬の追加延長投与は有効か

Prevention of Arrhythmia Device Infection Trial: The PADIT Trial.
J Am Coll Cardiol. 2018 Dec 18;72(24):3098-3109.

【PICO】
P:デバイス植込みで感染症リスクの高い症例
I:抗菌薬追加延長投与
C:従来の抗菌薬予防投与
O:1年以内のデバイスもしくはポケット感染による入院

感染症リスクの高い症例:ジェネレーター交換、リード追加、CRTの植込み

従来の抗菌薬予防投与:皮膚切開60分前のセファゾリン1−2g投与。ペニシリンアレルギーの場合には、皮膚切開120分前にバンコマイシン1−1.5gを投与。

抗菌薬追加投与:術前のセファゾリン+バンコマイシン投与に加え、閉創前にバクトラシン50000万単位+生食/50mlでポケット内を洗浄し、術後はセファレキシン500mgを1日4回、2日間内服。もしくは、セファトドキシル1000mgを1日2回投与。ペニシリンアレルギーの場合は、クリンダマイシン150−300mgを1日3回内服。オランダの全施設とカナダの1施設ではバクトラシンが入手できなかったので、生食もしくはセファゾリンでポケット内を洗浄した。

【試験の概要】
デザイン:RCT(cluster randomized crossover trial)
地域:カナダ24施設、オランダ4施設
登録期間:2012年12月〜2016年7月
観察期間:12ヶ月
症例数:12826例(従来治療群6285例、追加延長群6541例)
解析:mITT解析
スポンサー:企業の関与なし

【患者背景】
施設:術者5.5人、手術室25%・その他はカテ室かその両方、PMジェネレータ交換86件/年、ICDジェネレータ交換34件/年、CRTジェネレータ交換14.5件/年、消毒はクロルヘキシジン93%

従来治療群と追加延長群では、性別、腎機能障害、CRT新規植込み、ポケット手技で有意差あり。

ざっくりと。年齢72歳、女性(従来治療群33%、追加延長群31%で差あり)、糖尿病1/4、腎機能低下(従来治療群16%、追加延長群18%で差あり)、ペニシリンアレルギー10%、ジェネレータ交換38%・ICDジェネレータ交換16%・CRTジェネレータ交換6%・CRT/ICD新規植込み18%、手技時間<1時間 2/3

【結果】
従来治療群 vs 追加延長群
▶︎デバイス感染による(primary endpoint)
1.23% vs 1.01% OR:0.82(95%CI:0.59−1.15)

▶︎血流感染・感染性心内膜炎
0.45% vs 0.32% OR:0.72(95%CI:0.41−1.28)

▶︎ポケット感染・びらん
0.78% vs 0.69% OR:0.89(95%CI:0.58-1.37)

【まとめと感想】
デバイスの手術で、感染は1番嫌な合併症だと思いますが、抗生剤を追加・延長しても感染症の減少には結びつかないようです。