REAL-CAD試験 日本人での高容量スタチンの効果

High-Dose Versus Low-Dose Pitavastatin in Japanese Patients With Stable Coronary Artery Disease (REAL-CAD)
Circulation. 2018 May 8;137(19):1997-2009.

【リサーチクエスチョン】
日本人(アジア人)でも冠動脈疾患へのスタチン投与は、more is betterなのか?

【PICO】
P:安定冠動脈疾患
I:ピタバスタチン4mg
C:ピタバスタチン1mg
O:心血管死+心筋梗塞+脳梗塞+不安定狭心症

心血管死=心臓死(突然死+心臓手技関連死)+心臓に由来しない血管死

inclusion criteria:OMIの既往、血行再建から3ヶ月以上、冠動脈造影で75%以上の狭窄
exclusion criteria:スタチン非使用下でLDL100mg/dl以下

【試験の概要】
デザイン:RCT(オープンラベル)
地域:日本
登録期間:2010年1月31日〜2013年3月31日
観察期間:3.9年(中央値)
症例数:13054例
解析:mITT解析
スポンサー:企業の関与あり(興和創薬)

【患者背景】
ざっくりと。
平均年齢68歳、男性82%、BMI24、EF60%、OMI51%、血行再建歴90%、うっ血性心不全5%、心房細動6%、LDL88mg/dl。

【結果】
3年以上フォローアップできたのは、両群とも89%程度。

高容量群 vs 低容量群
LDLコレステロール値(3年)
76mg/dl vs 91mg/dl

▶︎心血管死+心筋梗塞+脳梗塞+不安定狭心症(primary endpoint)
累積4年発生率
4.3% vs 5.4% HR:0.81(95%CI:0.69−0.95)

▶︎心血管死
1.4% vs 1.8% HR:0.78(95%CI:0.59−1.04)

▶︎心筋梗塞
0.6% vs 1.2% HR:0.57(95%CI:0.38−0.83)

▶︎脳梗塞
1.3% vs 1.4% HR:1.03(95%CI:0.76-1.40)

▶︎不安定狭心症
1.2% vs 1.4% HR:0.86(95%CI:0.63-1.17)

【まとめと感想】
日本人でもスタチンを高容量にすれば、心血管イベントは減るという結果でした。心血管イベント(primary endpoint)のNNT=91、心筋梗塞のNNT=167なので、費用対効果としてはちょっと微妙だと思います。より効果の高い集団がわかったらいいですが、年齢・性別・DM・LDL・高感度CRP・HDL・中性脂肪・BMIのどのサブグループでも、有意な差はありませんでした。

薬価はピタバスタチン1mg:19円、4mg:72円らしいので、心筋梗塞を1件減らすのに約1290万円かかってしまいます。なので、個人的にはこの結果をみても、冠動脈疾患全員にスタチンを高容量で投与しようとは思いません。心筋梗塞を繰り返しているような人とか、家族性高コレステロール血症は別ですが。

とは言え、OMIが半分を占める集団で心筋梗塞が4年間で1%程度というのは、やっぱり日本人は心筋梗塞が少ないなあと改めて思いました。