未分類

【講演会】 FFRを通して理解する 冠血流改善を目指した治療

冠動脈に狭窄がない場合、冠動脈遠位部圧(Pd)は大動脈圧(Pa)と等しい。冠動脈に狭窄がある場合、圧較差が生じ、Pa≠Pdとなる。

FFRにより冠血流を測定できるが、造影所見とミスマッチがある場合がある。通常のmismatchは造影上は有意狭窄だが血流は低下していないというもので、逆に造影上は有意ではないが血流は低下している状態をreverse mismatchという。症状がなく、シンチなどで虚血の証明がされていないreverse mismatchの治療方針(本当にPCIを行うことがよいのか)は慎重に行う必要がある。

mismatchはLCx、RC、distal病変で起こりやすく、reverse mismatchは若年、LMT、LAD、plaque rupture(狭窄部の乱流?により遠位部の血流が低下する)、IVUS-MLAが小さい、plaque burdenが多い症例で起こりやすいとされる。LMT病変に関しては、referenceがないため見た目では狭窄の程度の判断がつきにくい。

FFR guide CABGに関して、FFRの値とgraft patencyは相関がある(Ann Thorac Surg2007;83:2093)。

angio guide CABGと比べFFR guide CABGでは、graftの数は減るが、36ヶ月の期間ではmortality, MACE free survivalに有意差はない。graft patencyには有意差があり、36ヶ月ではhard pointに差が出ていないだけかもしれない(Circulation2013;128:1405)。

多枝病変に関しては、FFRを行うことで40-50%の症例で治療方針が変わる(AJC2007;99:504)。一カ所PCIを行うことで他の病変のFFRの値が変わることは、特にCTO病変ではあり得るがそれほど大きな数値ではないため、評価が変わるのはボーダーラインの病変のみだろう。

OMIでは心筋の酸素需要が少ないため、多くの血流を必要としない。そのような領域での狭窄は見た目よりFFRの値は高く出る。心筋のviabilityの有無にかかわらずFFRは値は信頼できる。

ATP静注によるFFRでは、ATPの反応として最初に大動脈圧が上昇し、圧格差と心拍数が上昇する。10-20%で最大充血に至らない症例がある。造影剤でも充血が起こる為、最大充血に至っているかどうかは造影剤を冠注することでも判断することができる。造影剤を冠注して圧格差が上昇するのであれば、それは最大充血に至っていなかったと判断できる。