プロカルシトニンガイドによる下気道感染に対する抗菌薬治療

プロカルシトニン値に基づいた抗菌薬の投与開始が、プロカルシトニンを用いない通常治療と比べて、安全に抗菌薬投与期間を短縮できるか検証したRCT。

Procalcitonin-Guided Use of Antibiotics for Lower Respiratory Tract Infection.
N Engl J Med. 2018 May 20. doi: 10.1056/NEJMoa1802670. [Epub ahead of print]

【PICO】
P:救急外来を受診し下気道感染と診断されたが、まだ抗菌薬が投与されていない患者
I:プロカルシトニン値に基づいた抗菌薬治療 (プロカルシトニンガイド群)
C:プロカルシトニンを用いない通常治療 (通常治療群)
O:30日以内の抗菌薬使用日数

方法:救急外来でプロカルシトニンを測定。プロカルシトニンガイド治療群では、FDAの推奨に基づいてプロカルシトニンの値の判断する(0.1μg/L未満:抗菌薬は全然推奨しない、0.1−0.25μg/L:推奨しない、0.25−0.5μg/L:推奨する、0.5μg/L以上:強く推奨する)。その6−24時間後、3・5・7日目にプロカルシトニンを再検する。プロカルシトニン≦0.25μg/Lで使用した場合は、担当医に理由を確認する。通常治療群では、救急外来でプロカルシトニンを測定するが、その結果担当医には伝えられない。

【試験の概要】
デザイン:RCT
地域:米国
登録期間:2014年11月〜2017年5月
観察期間:30日間
症例数:1656例 (プロカルシトニンガイド群826例、通常治療群830例)
解析:ITT解析
スポンサー:資金はThe National Institute of General Medical Sciencesから。プロカルシトニンアッセイと検査室のトレーニングはbioMerieux社が提供。

【患者背景】
同等。53歳、喫煙・COPD・気管支喘息がそれぞれ1/3ずつ、HOT10%、吸入ステロイド・気管支拡張薬がそれぞれ1/4。プロカルシトニン値も同等。最終診断や肺炎の重症度にも差はなかった。

【結果】
プロカルシトニンガイド群で、792/826例 (95.6%) に救急外来でプロカルシトニン値が報告された (結果報告まで中央値77分)。採血しなかった、または結果が出る前に帰った症例が残りの4.1%。その結果をガイドラインの推奨に従い治療を行ったのは577/792例 (72.9%)。その後の治療期間を通して、ガイドラインの推奨に従い治療を行ったのは513/792例 (64.8%)。

30日以内の抗菌薬使用期間 (primary endpoint)
プロカルシトニンガイド群 vs 通常治療群 
4.2日 vs 4.3日 差:-0.05 (95%CI:-0.6to0.5)

30日以内に抗菌薬治療を受けた患者の割合、救急外来で抗菌薬治療を受けた患者の割合、入院した患者での抗菌薬使用期間などのsecondary outcomeにも差はなかった。

死亡、気管内挿管、腎不全、ICU入室、救急外来の再受診などsafety outocomeにも差がなかった。

【まとめと感想】
うーん、セッティングが変われば、結果も変わる可能性がありそうだけど、実臨床に則したデザインっぽいです。まあ、プロカルシトニンは抗菌薬治療開始の判断材料には用いない、ということでいいのでしょう。