ステント留置後の非心臓手術 周術期のアスピリン内服は有益

AHAのガイドラインでは、非心臓手術の周術期の抗血小板療法については、こう記載してある。
classI
・DESもしくはBMSを留置後4−6週間以内に手術する場合は、出血リスクがステント血栓症リスクを上回らない限りDAPT継続。
・ステント留置後の患者で、P2Y12阻害薬を中止しなければならない場合は、アスピリンのみ継続し、術後早期にP2Y12阻害薬を再開。

classIIb
・ステント留置していない患者に非緊急手術を行う場合、出血リスクより心血管イベントリスクが高いなら、アスピリン継続は妥当かも。

classIII:No Benefit
・待機的非心臓手術で頸動脈手術でない場合で、かつステントが留置されていない患者では、アスピリンの開始・継続は有益ではない。

非心臓手術の抗血小板療法では、ステント留置後か否かに分けて考える。ステント留置後であれば、それがBMSでもDESでも留置後早期 (4-6週) だと、周術期にステント血栓症を起こしやすいため、基本的にはDAPT継続。

DESは6ヶ月までには安定するとされている。しかし、アスピリンもしくはDAPTを継続するかどうかのデータは十分ではないため、ステント留置から多少時間が経っていても、ステント血栓症を含めた心血管イベントと出血リスクを考慮し、周術期抗血小板療法どうするか決めなければならない。

ステントを留置していない患者では、アスピリンの有効性を検証した2つの大規模RCTがある。股関節手術13356例をアスピリン160mgとプラセボに無作為割付したPEP試験と、心血管疾患ハイリスク患者10010例をアスピリン200mgとプラセボに無作為割付したPOISE-2試験で、いずれもアスピリンのメリットは示されなかった。POISE-2試験では、BMS留置6週間以内、DES留置1年以内の症例は除外されており、冠動脈疾患を有する症例は23%しか含まれておらず、また頸動脈手術は除かれていたため、そのような患者群ではDAPT継続が妥当かもしれない。

というようなことが書かれてあった。

ざくっとまとめると、ステント留置早期は基本DAPT継続で、ステントを留置していない患者ではアスピリンは不要。ステント留置から多少時間が経った症例は、心血管イベントリスクと出血リスクを個々に判断って感じ。

個々に判断って、それが難しいんだけど・・・。

これはPOISE-2試験のサブ解析。

Aspirin in Patients With Previous Percutaneous Coronary Intervention Undergoing Noncardiac Surgery.
Ann Intern Med. 2018;168(4):237-244.

【PICO】
P:PCI後で非心臓手術を受ける患者
I:周術期のアスピリンの内服
C:周術期のプラセボの内服
O:30日後の死亡・非致死的心筋梗塞

secondary endpoint:出血

exclusion criteria:6週間以内のBMS留置、1年以内のDES留置

【デザイン、セッティング】
・POISE-2試験は、非心臓手術におけるアスピリンとクロニジンの単剤、あるいは併用の効果を比較した多施設RCT。
・そのPOISE-2試験のサブグループ解析 (post hoc)
・470例 (アスピリン群234例、プラセボ群236例)
・COX比例ハザードモデル

【結果】
アスピリン群 vs プラセボ群
全死亡と心筋梗塞 (primary endpoint)
6.0% vs 11.5% 絶対リスク差:5.5 (0.4 to 10.5)

全死亡
0.9% vs 1.3% 絶対リスク差:0.4 (-1.4 to 2.3)

非致死的心筋梗塞
5.1% vs 11.0% 絶対リスク差:5.9 (1.0 to 10.8)

大出血と生命を脅かす出血
5.6% vs 4.2% 絶対リスク差:-1.3 (-5.2 to 2.6)

【まとめと感想】
BMS留置から6週間以上、DES留置から1年以上経過している患者では、非心臓手術の周術期にアスピリンを内服すると、出血は少し増える傾向があるが、心筋梗塞は有意に抑制される。ステント留置後やそれに準ずる冠動脈疾患がある場合には、非心臓手術周術期にアスピリンを内服させることは有益だろう。