感染症

抗緑膿菌作用を有するβラクタム薬は持続静注がよい?

Prolonged versus short-term intravenous infusion of antipseudomonal β-lactams for patients with sepsis: a systematic review and meta-analysis of randomised trials
Lancet Infect Dis. 2018 Jan;18(1):108-120.

【概要】
・敗血症を対象に、抗緑膿菌作用を有するβラクタム薬の長時間静注 (持続静注もしくは3時間以上の長時間注入) は通常の投与方法と比べ、生命予後を改善するか検証したSR。
・RCTのみ
・期間:2016年11月まで

【結果】
長時間静注 vs 通常投与
全死亡 (primary endpoint)
・全体
RR:0.70 (95%CI:0.56-0.87)、異質性 I2=0%、Egger’s test P=0.44

・カルバペネム
RR:0.67 (95%CI:0.49-0.91)、異質性 I2=0%

・βラクタマーゼ阻害薬配合剤 (PIPC/TAZ, TIPC/CVA)
RR:0.70 (95%CI:0.50-0.98)、異質性 I2=0%

・セファロスポリン
RR:0.83 (95%CI:0.40-1.74)、異質性 I2=28%

【まとめ】
βラクタム薬の長時間静注は、通常投与より死亡率を改善した。Egger’s test P=0.44と出版バイアスはない。異質性が低いが、これは小規模のRCTが多かったせいもあるだろう。ただ、forest plotをみると症例数やイベント数が多めのRCTでは、いずれも長時間静注がfavorableな結果なので、長時間静注はよさそう。

カルバペネム系にしろ・ペニシリン系にしろ・セフェム系にしろ、TAM (time above MIC) が重要で、持続静注にするとMICを超えているのかということがわからず、感受性 (MIC) は施設によって変わってくる。なので、この結果を一般化していいのかという疑問はある。個人的な意見としては、SRで示された結果であるので、自施設での感受性を考慮しながら、実臨床に適応していくのはありだと思う。

注意したいのは投与量と投与時間で、MEPMとPIPC/TAZは米国と同じ量が使えるが、CFPMやCZOPは日本だと少なめなので、やるのであればMEPMもしくはPIPC/TAZがベター。投与時間については、このSRでは長時間静注の定義を3時間以上としているが、ほとんどが持続静注だったので、24時間の持続静注がいいだろう。