心筋疾患

前壁中隔中層の遅延造影は、左室収縮能が保持された急性心筋炎の予後因子

Cardiac MR With Late Gadolinium Enhancement in Acute Myocarditis With Preserved Systolic Function: ITAMY Study.
J Am Coll Cardiol. 2017 Oct 17;70(16):1977-1987

◇PECO
P:左室収縮能が保持された急性心筋炎
E/C:遅延造影の部位
O:心臓死、ICD移植、心停止からの復帰、心不全入院

inclusion criteria:心臓MRI(CMR)により急性心筋炎と診断された症例
exclusion criteria:EF<50%

心筋の浮腫は、T2強調画像で心筋シグナルが骨格筋の2倍以上であること。心筋のうっ血は、造影後SSFPシネで評価する。

<デザイン、セッティング>
・後ろ向きコホート研究
・イタリア 10施設のレジストリ
・374例
・観察期間:1572日(QR:1122-2923日)

<結果>
LGEには、主に3つのパターンがある。

下壁+側壁が最も多く、41%(154例)を占める。
前壁中隔の中層は36%(135例)とそれに続いて多く、心イベントが多い(心臓突然死3%、心不全入院11%)。
その他のLGEを示したのは16%(59例)であった。

LGEがなかった症例(26例)では、心イベントは認めなかった。

心イベントの有無で比較すると、トロポニンT値に有意差あり。
1.03 (0.0–6.7) vs 4 (0.4–9.5) ng/ml

トロポニンT値が大きいほど、その後の心イベントが多い。

<まとめ>
左室収縮能が保持された急性心筋炎でも、前壁中隔中層にLGEを認める症例では、その後の心イベントが多く、注意が必要。