TAVR vs SAVR 中等度以上のリスクがある大動脈弁狭窄症

手術リスクが高い大動脈弁狭窄症(AS)を対象に始まったTAVRだが、PARTNER2試験で中等度リスクの患者でもTAVRのSAVRに対する非劣勢が証明された。実際には、そのデータが出てくる前にすでに、中等度リスクの患者に対しても適応が広げられていたみたい。

これは、中等度以上のリスクを有するASの、TAVRとSAVRを比較した実臨床でのデータ。

Transcatheter Versus Surgical Aortic Valve Replacement : Propensity-Matched Comparison
J Am Coll Cardiol. 2017;70(4):439-450

◇この論文のPECOは?
P:中等度〜高度のリスクがあるAS
E:TAVR
C:SAVR
O:死亡、脳梗塞(30日、1年)

<デザイン、セッティング>
・米国
・多施設レジストリ
  TAVR25786例(2014年1月1日〜2015年9月30日)
  SAVR198077例(2011年7月1日〜2013年12月31日)
・9464例(propensity score matched cohort)
・観察期間:SAVR 169.5日、TAVR 328日
・プロペンシティスコアマッチ

<患者背景>


(本文から引用)

冠動脈疾患の合併が半分あるが、SAVR群では1/3がCABGも行われている。

<結果>
○院内死亡率(TAVR vs SAVR)
3.0% vs 5.0%(P<0.001)

○院内脳梗塞発症率
2.5% vs 2.7%(P=0.40)

○30日時点での脳梗塞
2.8% vs 2.8%(P=0.13)

○ペースメーカ・ICDが必要になった患者
12.8% vs 6.3%(P<0.001)

○新たに透析が必要になった患者
1.7% vs 3.2%(P<0.001)

○1年死亡率
17.3%vs 17.9%(P=0.40)


(本文から引用)

サブグループによらず、ほぼ一貫しているが、心臓手術の既往で交互作用あり(P<0.10)。

◇批判的吟味
・SAVR+CABGが1/3入っているが、CABGも行なった患者は除外しておくべきでは?
・プロペンシティスコアマッチではあるが、選択バイアスは排除できない。TAVRでもSAVRでも試行可能と判断された患者が対象ではあり、もちろんどちらを選んでも同じというようなケースは含まれているだろうが、臨床医は一方がより良いと判断しているはずで、そこにバイアスが生じている。
・脳梗塞に差がないというのも、選択バイアスによるものかもしれない。
・サブグループによらずほぼ一貫した結果だが、心臓手術の既往があると、SAVRの分が悪い。

◇感想
中等度以上のリスクがあるASでも、SAVRに対するTAVRの非劣勢がRCTで証明され、リアルワールドのデータでも、1年死亡率は同程度という結果。選択バイアスはあるだろうけど、現状の適応・患者選択を支持するデータかなと思います。