虚血性心疾患

Deferred Stenting (二期的PCI)は梗塞サイズ、EFを改善しない

Myocardial Damage in Patients With Deferred Stenting After STEMI: A DANAMI-3-DEFER Substudy.
J Am Coll Cardiol. 2017;69(23):2794-2804.

primaryPCIでステント留置を避けた場合、冠血流の改善や心筋障害が減少することが報告されている。

DAMANI-3-DEFER試験は、primaryPCIの際に通常通りステントを留置する群と、急性期はPOBAのみでステント留置を行わず、数日後に改めてステントを留置する群に分け、臨床的なアウトカムが改善するか検証したRCTである。しかし、42ヶ月後の全死亡、心不全による入院、心筋梗塞の再発、計画されていない責任血管の再血行再建は、両群間で統計学的な差はなかった。

これはそのRCTのサブスタディである。

◇この論文のPECOは?
P:STEMI
E:primaryPCIの際にPOBAまで行い、48時間後にステントを留置する(Deferred Stenting)
C:primaryPCIの際にステントを留置する(Conventional Stenting)
O:心臓MRI(CMR)で測定した硬塞サイズ

<デザイン、セッティング>
・前向き(RCTのサブスタディ)
・510例 (もとの試験は1215例)
・急性期と90日後にCMRを撮像
・交絡因子の調整:COX比例ハザードモデル

CMRは退院前と、90日後に撮像して、急性と最終の硬塞サイズ、心筋サルベージインデックス(梗塞心筋量/還流域の心筋量)を調べる。

<患者背景>

(本文から引用)
両群間で差なし。症状からPCIまでの時間にも差はない。


(本文から引用)
Deferred Stentingの方が、ステント長が短い。最終的なTIMI分類に有意差はないが、Deferred StentingでもTIMIゼロ、TIMI1がある。

<結果>

(本文から引用)
急性期のCMRでEFのみ有意差がついているが、90日後のCMRでは硬塞サイズ、心筋サルベージインデックス、EF、LVEDVに差はない。


(本文から引用)
ステント長が24mmより長くなると、Defer betterになるが、そもそもprimary endpointに差が付いておらず、post hoc解析であり、信頼区間も広い。

◇感想
DANAMI-3-DEFER試験でDeferred Stentingによる臨床的アウトカムは認められず、心臓MRIでも梗塞サイズの減少やEFの改善などは認められなかった。

post hoc解析ではステント長が長くなると、Deferred Stentingに良い傾向があった。確かに、ステント長はslow flow/no-reflowの予測因子と言われているため、過去の報告に矛盾はしない。まあそうは言っても、二期的にPCIをやるのは医療経済的にもよろしくないので、十分な血管内腔が確保されていて解離がないなら、そのままステントを入れないって選択肢の方が良さそうだけど。