非心臓手術の周術期でのスタチン使用と死亡率

Association of Perioperative Statin Use With Mortality and Morbidity After Major Noncardiac Surgery
JAMA Intern Med. 2017;177(2):231-242

◇論文の概要
<重要性>
非心臓手術において、スタチンの使用が周術期の心血管や他の臓器の合併症を減少させるかどうかは議論がある。RCTが少ないため、データベースの解析は、新たな仮説や試験デザインを促進するかもしれない。

<目的>
非心臓手術を行った退役軍人のコホートで、周術期早期のスタチンの使用とアウトカムに関連があるか評価すること。

<デザイン、セッティング、患者>
待機的または緊急非心臓手術を行った180478例の後ろ向き観察研究である。手術の7日以内に入院した患者を、Veterans Affairs Surgical Quality Improvement Program(VASQIP)から抽出した。患者は退役軍人病院に入院し、術後30日間フォローアップした。2005年10月1日〜2010年9月30日のデータを収集し、2013年11月28日〜2016年10月31日に解析した。

<暴露>
手術日と手術後にスタチン使用

<アウトカムと測定>
30日死亡率(主要評価項目)と、標準化した30日心血管アウトカムと非心血管アウトカムである。スタチンの使用とその他の周術期心血管治療薬は、Vaterans Affairs Pharmacy Benefits Management research databaseを確認した。

<結果>
180478例(男性95.6%、女性4.4%、平均年齢63.8±11.6歳)を解析した。96486例でプロペンシティスコアがマッチした(男性96.3%、女性3.7%、平均年齢65.9±10.6歳)。入院時に、37.8%が外来でもともとスタチンの処方を受けており、その80.8%でシンバスタチンが処方されており、59.5%が中等量から高容量使用されていた。手術日と術後にスタチンが処方されていたのは31.5%である。プロペンシティスコアがマッチした48243ペアで、30日死亡率はスタチン使用群で有意に減少した(相対リスク0.82、95%CI:0.75−0.89、NNT:244)。副次評価項目である、合併症も有意に減少した(相対リスク0.82、95%CI:0.79−0.86,NNT67)。中枢神経と血栓症カテゴリを除いた全てで、心臓合併症が有意に減少した(相対リスク0.73、95%CI:0.64−0.83)。

<結論>
周術期早期のスタチン使用は、全死亡といくつかの心血管・非心血管合併症の有意な減少と関連があった。しかし、選択バイアスは考慮しなければならない。

◇感想
非心臓手術でのスタチンの効果に対する見解は一致していない。この後ろ向き観察研究では、スタチンにより30日死亡率は低下したがNNT244であり、これが費用対効果に見合ったものなのか議論の余地がある。また、高容量のスタチンは腎障害のリスクにもなるため、その点も考慮する必要がある。