SBT成功後の1時間の人工呼吸器再装着は、再挿管を減少させる

Reconnection to mechanical ventilation for 1 h after a successful spontaneous breathing trial reduces reintubation in critically ill patients: a multicenter randomized controlled trial.
Intensive Care Med. 2017;43(11):1660-1667

◇リサーチクエスチョン
SBT成功から抜管の間に呼吸筋を休ませることに、再挿管の予防的効果があるかどうかは明らかではない。SBT成功後に1時間人工呼吸器を再装着することで、再挿管が減るのか。

◇PICO
P:人工呼吸器管理中の重症患者
I:SBT成功後の1時間の人工呼吸器再装着
C:SBT成功直後に抜管
O:48時間以内の再挿管

◇試験の概要
デザイン:RCT(オープンラベル)
地域:スペイン
登録期間:2013年10月〜2015年1月
観察期間:48時間
症例数:470例(再装着群227例、対照群243例)
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与なし

◇結果
SBTは、再装着群で94%が、対照群で87%がTチューブを使用。
時間は、30−60分が35%、1−2時間が39%、2時間以上が26%。

▶︎48時間以内の再挿管(再装着群vs対照群)
5% vs 14%, OR:0.33 (95%CI:0.16-0.65)

▶︎ICU滞在日数
11日 vs 10日、P=0.30

▶︎入院日数
26日 vs 23日、P=0.93

◇まとめと感想
SBTに成功した後に、人工呼吸器をもとの設定で1時間再装着することで、再挿管を有意に減少させた。ただし、ICU滞在日数、入院日数、死亡率に差は出なかった。

再挿管以外の臨床的なアウトカムに差はなくても、再挿管は重大なイベントだし、コストも手間もかからずにそれを予防できるならいいかも。

トレンドレンブルグ体位は人工呼吸器関連肺炎(VAP)の予防には実用的ではない

Randomized, multicenter trial of lateral Trendelenburg versus semirecumbent body position for the preventionof ventilator-associated pneumonia
Intensive Care Med. 2017;43(11):1572-1584

◇リサーチクエスチョン
トレンデレンブルグ体位は人工呼吸器関連肺炎(VAP)を予防する効果があるか。

◇PICO
P:人工呼吸器が装着された重症患者
I:トレンデレンブルグ体位
C:半座位(semirecumbent)
O:細菌学的に証明されたVAP

secondary endpoint:死亡率、人工呼吸器装着期間、ICU滞在日数

◇試験の概要
デザイン:オープンラベルRCT(多施設)
地域:?
登録期間:2010年12月2日〜2015年4月20日
症例数:395例(トレンデレンブルグ体位194例、半座位201例)
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与あり(Hill‐Rom社)

◇結果
▶︎細菌学的に証明されたVAP
0.5% vs 4.0% RR:0.13 (95%CI:0.02-1.03)

▶︎細菌学的に証明されたVAP/1000人工呼吸器装着日数
0.88 vs 7.19 RR:0.12 (95%CI:0.01-0.91)

▶︎ICU死亡率
30.4% vs 23.9% RR:1.27 (95%CI:0.92-1.76)

▶︎院内死亡率
37.1% vs 31.3% RR:1.18 (95%CI:0.90-1.56)

▶︎28日死亡率
30.9% vs 26.4% RR:1.17 (95%CI:0.86-1.60)

▶︎重大な有害事象
6例(酸素飽和度低下、体位変換直後の著しい血行動態の悪化、事故抜管、体位変換直後からの持続する徐脈、正中神経障害、頭蓋内出血)

◇まとめと感想
重大な有害事象のため、試験は早期中止となった。

VAPの予防にはある程度効果がありそうだが、死亡率はちょっと高い傾向。venous returnは増えるし、肺のコンプライアンスは悪くなりそう。そういった循環動態や呼吸への影響が、死亡率増加に繋がっているのかも。

前壁中隔中層の遅延造影は、左室収縮能が保持された急性心筋炎の予後因子

Cardiac MR With Late Gadolinium Enhancement in Acute Myocarditis With Preserved Systolic Function: ITAMY Study.
J Am Coll Cardiol. 2017 Oct 17;70(16):1977-1987

◇PECO
P:左室収縮能が保持された急性心筋炎
E/C:遅延造影の部位
O:心臓死、ICD移植、心停止からの復帰、心不全入院

inclusion criteria:心臓MRI(CMR)により急性心筋炎と診断された症例
exclusion criteria:EF<50%

心筋の浮腫は、T2強調画像で心筋シグナルが骨格筋の2倍以上であること。心筋のうっ血は、造影後SSFPシネで評価する。

<デザイン、セッティング>
・後ろ向きコホート研究
・イタリア 10施設のレジストリ
・374例
・観察期間:1572日(QR:1122-2923日)

<結果>
LGEには、主に3つのパターンがある。

下壁+側壁が最も多く、41%(154例)を占める。
前壁中隔の中層は36%(135例)とそれに続いて多く、心イベントが多い(心臓突然死3%、心不全入院11%)。
その他のLGEを示したのは16%(59例)であった。

LGEがなかった症例(26例)では、心イベントは認めなかった。

心イベントの有無で比較すると、トロポニンT値に有意差あり。
1.03 (0.0–6.7) vs 4 (0.4–9.5) ng/ml

トロポニンT値が大きいほど、その後の心イベントが多い。

<まとめ>
左室収縮能が保持された急性心筋炎でも、前壁中隔中層にLGEを認める症例では、その後の心イベントが多く、注意が必要。

中等症〜重症ARDSに対する肺リクルートメントは死亡率を増加させる可能性がある

Effect of Lung Recruitment and Titrated Positive End-Expiratory Pressure (PEEP) vs Low PEEP on Mortality in Patients With Acute Respiratory Distress Syndrome: A Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2017;318(14):1335-1345

◇リサーチクエスチョン
肺リクルートメント+PEEP調整は、中等症〜重症ARDSの予後を改善するか。

◇PICO
P:発症72時間以内の中等症〜重症ARDS
I:肺リクルートメント+PEEP調整
C:低PEEP
O:28日死亡率

<肺リクルートメント+PEEP調整>
まず、筋弛緩薬を投与し、肺リクルートメントを行う。PEEPを25cmH2Oから開始し、25cmH2Oを1分間、35cmH2Oに上げて1分、さらに45cmH2Oに上げて2分維持する。肺リクルートメントが終わったら、PEEPを23cmH2Oまで下げ、そこから1分ごとに4cmH2Oずつ、コンプライアンスを測定しながら11cmH2Oまで下げる。最良のコンプライアンスとなるPEEP+2cmH2OをPEEPとして設定する。
換気はVCVで、PaO2/FiO2比が安定していれば、8時間ごとにPEEPを2cmH2Oずつ下げていく。

556例登録されたところで、プロトコールが変更。肺リクルートメント群でリクルートメントが原因と思われる心停止が3例あったため。PEEPを25→30→35cmH2Oをそれぞれ1分とし、プラトー圧は50cmH2Oを超えないようにした。

◇試験の概要
デザイン:RCT(多施設、オープンラベル)
地域:ブラジル、イタリア、マレーシアなど9ヶ国
登録期間:2011年11月17日〜2017年4月25日
観察期間:6ヶ月までフォロー
症例数:1010例(肺リクルートメント群501例、低PEEP群509例)
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与なし

◇結果

◇まとめと感想
中等症〜重症ARDSに対し、肺リクルートメントを行いPEEPを高く保つことは、死亡率を増加させた。

ただ、これを根拠に肺リクルートメント+PEEP調整が有害とは言えない。というのも、最初のプロトコールはどうもPEEPが高すぎ、かつ長すぎた様で、それが原因と思われる心停止が3例起きているから。やるんだったら、もう少し低く短くした方がよさそう。

自分の場合は、循環器疾患を診ているので、せいぜいPEEP30・10秒程度、あるいはPEEP20−25でもうちょっと長めに、血圧見ながらって感じです。

脳梗塞急性期の低酸素血症に対するルーチンの酸素投与

Effect of Routine Low-Dose Oxygen Supplementation on Death and Disability in Adults With Acute Stroke: The Stroke Oxygen Study Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2017 Sep 26;318(12):1125-1135

◇リサーチクエスチョン
酸素投与はアウトカム(modefied Rankin Score)を改善するか。もし改善するなら、夜間のみの酸素投与の方が、持続的酸素投与よりも有効ではないか。

◇PICO
P:脳梗塞の急性期
I/C:72時間の酸素投与、就寝時のみ酸素投与、ルーチンでの酸素投与なしの3群
O:90日後のmodified Rankin Scale

酸素投与はbaselineでSpO2≦93%なら鼻カテ3L/minで、SpO2<93%なら鼻カテ2L/minで開始する。就寝時のみの酸素投与は、21時〜翌7時までで3日間。

◇試験の概要
デザイン:RCT(多施設、オープンラベル)
地域:イギリス
登録期間:2008年4月24日〜2015年1月27日
観察期間:90日
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与なし

modified Rankin Score

◇結果
▶︎modified Rankin Score
酸素ありvs酸素なし
 オッズ比0.97(95%CI:0.89-1.05)

持続的酸素投与vs夜間のみ
 オッズ比1.03(95%CI:0.93-1.13)

酸素を投与してもアウトカムは改善せず、酸素投与の期間による違いもなかった。

その他、90日後の死亡・自宅退院・Barthel ADL indexなどにも差はなかった。

◇まとめと感想
急性心筋梗塞では過剰な酸素は再環流障害を引き起こすものと考えられており、酸素投与を行わないことの有効性を検証した試験にはAVOID試験、DETO2X-AMI試験がある。

AVOID試験は、酸素を投与しないことで梗塞サイズの縮小する可能性が示唆されたが(peakCKの低下:secondary endpoint)、DETO2X-AMI試験では臨床的なアウトカム(死亡、再入院)の改善には至らなかった(1−2)。

また、ICU患者を対象にしたOXYGEN-ICU試験では、酸素投与を控えめにすること(PaO2:70−100mmHg)でICUでの死亡率が改善することが示されており、過剰な酸素のメリットは乏しい、もしくは害になると言える(3)。

脳梗塞の急性期には低酸素血症はしばしば起こり、神経学的悪化との関連が指摘されている。低酸素血症は就寝中に起こりやすく、それを回避することで神経学的アウトカムが改善するか検証されたが、結果は予防的な酸素投与は、持続的でも就寝時のみでも効果はなかった。

数値を高く保つことは観察する側に安心をもたらすかもしれないが、それ以上の効果はなく、疾患によっては有害になり得る。

(1)Circulation. 2015;131(24):2143-50
(2)N Engl J Med. 2017;377(13):1240-1249
(3)JAMA. 2016;316(15):1583-1589

たこつぼ型心筋症 CHA2DS2-VAScスコアと予後

Risk Stratification Using the CHA2DS2-VASc Score in TakotsuboSyndrome: Data From the Takotsubo Italian Network
J Am Heart Assoc. 2017 Sep 14;6(9). pii: e006065. doi: 10.1161/JAHA.117.006065.

◇この論文のPECOは?
P:たこつぼ型心筋症
E/C:CHA2DS2-VAScスコア
O:全死亡、心筋梗塞、脳梗塞

<デザイン、セッティング>
・the Takotsubo Italian Network diagnostic criteriaを満たすものを組み入れ
 1)6週間以内に正常化する血管支配に一致しない左室壁運動低下
 2)冠動脈に責任病変なし
 3)新規の変化するST-T異常、またはLBBB
 4)軽度の心筋障害マーカの上昇(CK-MB>50U/L)
 5)心筋炎の除外
 6)閉経後の女性(任意)
 7)先行するストレスイベント(任意)

・CHA2DS2-VAScスコアを3群に分ける
 A:≦1点、B:2-3点、C:≧4点

・多施設前向き観察研究
・371例 フォローアップ率95%
・観察期間:26±20ヶ月
・COX比例ハザードモデル

<患者背景>
▶︎患者の割合
A:9%、B:42%、C:49%

▶︎ストレスイベント
A:91%、B:79%、C:68%(P=0.007)

▶︎入院時のLVEF
CがAやBと比較し有意に低いが、差はわずか。

A:0.41±0.10
B:0.40±0.10
C:0.37±0.10

▶︎たこつぼのタイプ
apical、midwall、basel
A:85%、39%、3%
B:61%、36%、4%
C:67%、32%、4%

<結果>
A vs B vs C(%)
▶︎全死亡+心筋梗塞+脳梗塞
6% vs 9% vs 17%(P=0.033)

▶︎全死亡
6% vs 7% vs 17%(P=0.11)

▶︎心筋梗塞
0% vs 1% vs 1%(P=0.808)

▶︎脳梗塞
0% vs 3% vs 2%(P=0.577)

CHA2DS2-VAScスコアは独立した予後因子
 オッズ比2.1

◇まとめと感想
CHA2DS2-VAScスコアとたこつぼ型心筋症のLVEFやタイプには、臨床的な関連はほとんどなかったが、CHA2DS2-VAScスコア≦1ではストレスイベントがトリガーになっている割合が多かった。

CHA2DS2-VAScスコア≧4点のたこつぼ型心筋症では、全死亡が有意に多かった。たこつぼ型心筋症の左室壁運動異常は、基本的には数週間で正常化する。なので、それが長期的に強く影響しているとは考えにくいが、なんらかの形で心血管系のイベントにつながるのかもしれない。