生体吸収性ポリマーOrsiroステントと耐久性ポリマーXienceステントの比較 BIOFLOW V試験

Ultrathin, bioresorbable polymer sirolimus-eluting stents versus thin, durable polymer everolimus-eluting stents in patients undergoing coronary revascularisation (BIOFLOW V): a randomised trial.
Lancet. 2017 Aug 26. pii: S0140-6736(17)32249-3. doi: 10.1016/S0140-6736(17)32249-3. [Epub ahead of print]

◇この論文のPICOはなにか
P:狭心症、急性冠症候群
I:生体吸収性ポリマーシロリムス溶出性ステント(Orsiro)
C:耐久性ポリマーシロリムス溶出性ステント(Xience)
O:12ヶ月までのTLF(心血管死、標的病変心筋梗塞、虚血による標的病変血行再建)

exclusion criteria:CTO、2.0mm以上の分枝がある分岐部病変、グラフト、DESの再狭窄

◇試験の概要
デザイン:RCT(非劣性試験)
地域:13ヶ国(アジア、ヨーロッパ、イスラエル、北米)
登録期間:2015年5月8日〜2016年3月31日
観察期間:12ヶ月
必要症例数:1334例(イベント数は両群7.0%、非劣性マージン3.85%)
症例数:4772例(Orsiro群、Xience群)
追跡率:94.5%
解析:ITT解析とPP解析
スポンサー:BIOTRONIC社

◇患者背景

(本文から引用)

ISRの要因になる糖尿病、腎不全、ACSを含め、両群に差はない。

病変は、1/4で石灰化あり。typeB2・Cが3/4を占める。

◇結果

(本文から引用)

primary endpointで有意差あり。

Orsiro群 6% vs Xience群 10%

標的血管心筋梗塞によるものと考えられる。


(本文から引用)

Kaplan-Meier曲線をみると、最初イベントが起き、あとはほぼ平行線。


(本文から引用)

30日以内の心筋梗塞、TLF、TVRがXience群で有意に多い。

心筋梗塞は、ほぼ入院中に起きている。
Orsiro群 34例 4% vs Xience群 30例 7%

心筋梗塞を正常上限の3倍以上のCK上昇と定義すると、
Orsiro群 2% vs Xience群 4%(postーhoc解析)

◇まとめと感想
OrsiroステントはXienceステントと比較し、12ヶ月後のTLF(心血管死、標的病変心筋梗塞、虚血による標的病変血行再建)を有意に減少した。ただ、その差はPCI直後に生じた差であり、ステントの差というよりは、手技に関連したものと思われる。比較的複雑性の高い病変を対象としていたためかもしれない。

GLP-1受容体作動薬エキセナチド 心筋梗塞・脳梗塞・心血管死の抑制効果なし

Effects of Once-Weekly Exenatide on Cardiovascular Outcomes in Type 2 Diabetes.
N Engl J Med. 2017 Sep 28;377(13):1228-1239

◇この論文のPICOはなにか
P:HbA1c6.5−10.0%の2型糖尿病
I:週1回のエキセナチド2mg皮下注
C:週1回のプラセボ皮下注
O:心血管死、心筋梗塞、脳梗塞

inclusion criteria:3剤までの経口血糖降下薬、2剤までの経口血糖降下薬とインスリンの併用
exclusion criteria:12ヶ月以内に2回以上の重症低血糖の既往、eGFR<30ml/min/1.73m2、甲状腺癌、MEN2

◇試験の概要
デザイン:DB-RCT(非劣性試験)
地域:35ヶ国、687施設
登録期間:2010年6月18日〜2015年9月16日
観察期間:3.2年(IQR2.2−4.4年)
必要症例数:記載なし、1360イベント必要(非劣性マージン1.3)
症例数:14752例(エキセナチド群7356例、プラセボ群7396例)
追跡率:98.8%
解析:ITT解析とPP解析
スポンサー:AstraZenecaの子会社のAmylin Pharmaceuticals

◇患者背景
characteristicsの表がない。

糖尿病罹患期間 12.0年(IQR7.0−18.0年)
HbA1c 8.0%(IQR7.3−8.9%)
心不全あり 16.2%

脂質治療薬とSGLT2阻害薬のみ群間差がある様。

◇結果

(本文から引用)

HbA1cは低下し・・・


(本文から引用)

体重は減少〜横ばいだが・・・


(本文から引用)

心血管イベントに対しては効果なし(非劣性)。

全死亡は減っている(ハザード比:0.86、95%CI:0.77−0.97)

primary endpointに差はないが、一応subgroupも確認。年齢のみでP for interaction<0.1。罹患期間・二次予防・CKDステージなどでは差がない。

◇感想
GLP-1受容体作動薬は、GLP-1を介した血管内皮機能改善効果、抗動脈硬化作用があるとされている。

残念ながら、心筋梗塞や脳梗塞などの動脈硬化疾患や、心血管死を抑制するまでの作用はないらしい。

IVCフィルターは肺塞栓症を抑制するが、生命予後は改善せずDVTを増やす

Inferior Vena Cava Filters to Prevent Pulmonary EmbolismSystematic Review and Meta-Analysis
J Am Coll Cardiol. 2017;70(13):1587-1597

◇論文のPICOはなにか
P:PEの一次予防、または二次予防
I:IVCフィルターあり
C:IVCフィルターなし
O:肺塞栓症(PE)の発症率

<文献データベース>
MEDLINE、CENTRAL、ClinicalTrials.gov

<研究の選択>
・組み入れた研究:RCT、IVCの有無で比較した前向き観察研究
・期間:〜2016年10月3日
・ Inverse variance fixed-effects models

◇結果
▶︎PE

(本文から引用)

IVCフィルターの使用は、PEの発症低下と関連あり(オッズ比:0.50、95%CI:0.33-0.75、I2統計量=48%)

論文中にfunnel plotはないが、本文に”funnel plotで出版バイアスが示唆された”と記載あり。

RCTのみの解析でも、同様にIVCフィルターとPE発症率低下の関連あり(オッズ比:0.40、95%CI:0.23-0.69、I2=37%)。

▶︎PE関連死

(本文から引用)

観察研究では、出版バイアスのためかPE関連死は減少しているが、RCTでは有意差はない。

▶︎全死亡

(本文から引用)

全死亡では差がない。

▶︎DVT

(本文から引用)

DVTは増える。

◇まとめと感想
IVCフィルターの有効性を検証したRCTは多くない。その中でもっともサンプルサイズが大きいRCTがPREPIC1試験とPREPIC2試験である。このSRでは、PREPIC 1998、Mismetti 2015というのがそれである。

PREPIC1試験は、近位部DVTを抗凝固療法単独と抗凝固療法+IVCフィルターに割り付けたRCT。12日以内のPEは、IVCフィルターありで1.1%、なしで4.8%と有意に減少したが、2年のフォローアップで有意差はなくなり(3.4%vs6.3%)、DVTは有意に増え(20.8%vs11.6%)、全死亡に差はなかった(21.6%vs20.1%)。

じゃぁ、PEの発症早期だけIVCフィルターを入れておけば、PE再発を予防できDVTも増やさないのではないかという仮説が立つし、理になかっているように思われる。それに応えたのがPREPIC2試験。再発リスクの高いPEを対象に、抗凝固療法単独と抗凝固療法+回収可能型IVCフィルターに割り付け、回収可能型フィルターは3ヶ月後に抜去するというデザイン。抜去成功率は93.2%。

結果は、3ヶ月後のPEはIVCフィルターありで3.0%、なしで1.5%と、PE発症早期のみのIVCフィルター留置でもPEの再発を抑制できなかった。

ただ、IVCフィルターを回収していないPREPIC1試験の8年間のフォローアップでは、PEの再発が6.2%vs15.1%と再び有意差が付いている。多変量解析では、悪性腫瘍とIVCフィルター留置時のPEが予後因子だったので、それらの患者にはIVCフィルターの留置を考慮してもいいのかもしれない(ただし、生命予後には関係がなく、DVTは増える)。

SRでは、PREPIC1試験とPREPIC2試験のサンプルサイズ、イベント数が多く、その2つが大きなウエイトを占める。なので、それ以上の結果はでないのだが、結果としては、PEの一次予防と二次予防をまぜた集団で、IVCフィルターはPEの発症を減少させるが、PE関連死や全死亡は減らなかった。

左冠動脈主幹部病変 3−5年のフォローアップではPCIとCABGでアウトカムに差はない

Percutaneous Coronary Intervention vs Coronary Artery Bypass Grafting in Patients With Left Main Coronary Artery Stenosis: A Systematic Review and Meta-analysis.
JAMA Cardiol. 2017 Sep 13. doi: 10.1001/jamacardio.2017.2895. [Epub ahead of print]

◇論文のPICOはなにか
P:左冠動脈主幹部病変
I:DESを用いたPCI
C:CABG
O:全死亡、心筋梗塞、脳梗塞

<研究の選択>
・LMT病変に対し、DESを使用したPCIとCABGを比較した試験で、3年以上フォローアップしている研究を組み入れた。
・文献データベース:PubMed、Scopus、EMBASE、Web of Knowledge、Science Direct database
・期間:2001年11月18日〜2017年1月1月
・研究の種類:RCT
・Fixed-effect and random-effects models

◇結果
SYNTAX試験、PRECOMBAT試験、EXCEL試験、NOBLE試験の4試験を統合。いずれも非劣性試験で、EXCEL試験のサンプルサイズが一番大きい。

フォローアップ期間はEXCEL試験のみ3年で、他は5年。


(本文から引用)

3年まではPCIでイベントが少ないが、3年でクロスし、その後はCABGでイベントが少ないものの有意差はない。random effects modelでは、ハザード比:1.06(95%CI:0.85-1.32)。


(本文から引用)

primary endpointのフォレストプロット。NOBLE試験のみCABG betterで、統合すると有意差はない。


(本文から引用)

それぞれの試験を除外した場合の感度分析も行われている。結果の方向性が異なったNOBLE試験を除いたとしても、有意差はない。


(本文から引用)

DESの世代、Syntax scoreで見ても、有意差なし。


(本文から引用)

強いて言えば、心筋梗塞はCABGで良い傾向。
脳梗塞には差がない。

PCI群で再血行再建のハザード比は、第1世代DESで1.8、第2世代DESで1.7だった。

◇まとめと感想
LMT病変の安定冠動脈疾患において、3−5年のフォローアップでは、PCIとCABGによるアウトカム(全死亡、心筋梗塞、脳梗塞)の差はなかった。再血行再建は、第2世代DESを使用したとしても、CABGと比べ有意に多かった(ハザード比1.7)。

より長期のフォローアップだと、このカプランマイヤー曲線が開いていくのか、糖尿病合併だと結果は違ってくるのか、など気になります。


(2014 ESC/EACTS guidelines on myocardial revascularizationより引用)

基本的には、ESCのガイドラインの推奨通り。

カテーテルアブレーションは低心機能+心房細動の心機能を改善する

Catheter Ablation Versus Medical Rate control in Atrial Fibrillation and Systolic Dysfunction (CAMERA-MRI).
J Am Coll Cardiol. 2017 doi: 10.1016/j.jacc.2017.08.041. [Epub ahead of print]

◇この論文のPICOはなにか
P:NYHAⅡ以上で、EF≦45%の持続性心房細動
I:カテーテルアブレーション(CA)
C:薬物によるレートコントロールのみ
O:6ヶ月後のLVEFの変化率(CMRによる評価)

exclusion criteria:冠動脈疾患、心機能低下の原因となるような疾患、アブレーションやMRIの禁忌例

Procedure
薬物療法:安静時心拍数<80bpm、平均心拍数<110bpm、6分間歩行後の心拍数<120bpmを目標に薬の投与量を調整する。6ヶ月以内は原則CAは行わない。

CA:ランダム化から1ヶ月以内に肺静脈隔離術を行う。ワルファリン・ダビガトラン以外の抗凝固薬は術前に中止、また、アミオダロン以外の抗不整脈薬も術前に中止する。CA施行後にILRを植え込み、3ヶ月以内の症候性AFの再発や難治性AFがあれば、再度CAを施行する。

◇試験の概要
デザイン:RCT(オープンラベル)
地域:オーストラリアの3施設
登録期間:2013年9月3日〜2016年12月23日
観察期間:6ヶ月
必要症例数:total 40例(LVEF10%改善、CA成功率80%、power80%)
症例数:66例(各群33例ずつ)
追跡率:100%
解析:ITT解析
スポンサー:ILRは14%はSJM社から無償で提供されているが、試験デザイン・データ収集・解析・論文執筆には関わっていない。その他、企業の関与なし。

◇患者背景

(本文から引用)

パッと見、スピロノラクトンは差がありそうだが、群間差についての記載はない。

◇結果
CA群で、肺静脈隔離術は100%成功し、左房後壁隔離術は94%で試みられ、85%で成功した。

CA群では洞調律に復帰した患者で、6ヶ月後の心拍数が有意に低下した(安静時心拍数:62±10bpm vs 79±12bpm、平均心拍数:67±9.1bpm vs 86±14bpm、6分間歩行後の心拍数:92±24bpm vs 73±12bpm)

薬物療法群では、6ヶ月の時点で、安静時心拍数80±10bpm、6分間歩行後の心拍数86±17bpmと良好な心拍数を維持した。


(本文から引用)

LEVF、左房容積、NYHA分類、BNPが有意に改善。

▶︎LVEF
CA群:+18.3%、薬物療法群:+4.4%
CA群の58%が、薬物療法群の9%がLVEF≧50%に。


(本文から引用)

CMRでLGEがない場合は、よりLVEFの改善が期待できる。

▶︎有害事象
予期しない入院は、薬物療法群で4例(心不全2例、ICD移植術2例)あったが、CA群ではなかった。CAの手技に関連した合併症としては、鼠径部とILR植え込み部の輸血を必要とする出血が1例、術後肺炎が1例であった。

◇まとめと感想
心機能が低下した心不全において、心房細動に対するアブレーションが心機能を改善させるかについては、研究により結果はまちまちだが、改善してもLVEFの変化はせいぜい1ケタだった(1−2)。

この研究では、LVEFはbaseline時の31%から+18.3%と大きく改善し、それは薬物療法のみの場合と比較して有意な差を示した。また、LGEがない症例では、LVEFの改善は+22%と大きかった。

つまり、左室線維化がそれほど進んでいなければ、アブレーションにより心機能が改善する余地が大きいということだろう。LGEがない症例、あるいはあっても軽度の場合には、アブレーションによって生命予後も改善するかもしれないが、それはちょっと飛躍しすぎかな。今後に期待。

(1)J am coll cardiol 2013;61:1894-1903
(2)Circ Arrhythm Electrophysiol 2014;7:31-8

糖尿病、高血圧、高脂血症がなくても、肥満自体が心血管疾患のリスクになる

Metabolically Healthy Obese and Incident Cardiovascular Disease Events Among 3.5 Million Men and Women
J Am Coll Cardiol. 2017;70(12):1429-37

◇この論文のPECOは?
P:心疾患を持たない18歳以上の男女
E/C:BMIと代謝疾患(糖尿病、高血圧、高脂血症)
O:心血管疾患、脳血管疾患、心不全、末梢血管疾患

<デザイン、セッティング>
・前向きコホート研究
・イギリス
・The Health Improvement Network(THIN)のデータベース(プライマリケアの記録)を使用
・3,495,777例
・観察期間:平均5.4年
・COX比例ハザードモデル

<結果>
underweight:<18.5kg/m2
normal weight:18.5-25.0kg/m2
overweight:25.0-30.0kg/m2
obese:≧30kg/m2


(本文から引用)

normal weightと比較すると、obese+no metabolic abnormalityのハザード比は、
心血管疾患 1.49(95%CI:1.45−1.54)
脳血管疾患 1.07(1.04−1.11)
心不全 1.96(95%CI:1.86−2.06)

◇まとめと感想
心血管疾患と心不全は、脳血管疾患や末梢血管疾患と比べて、肥満の程度とハザード比がわりときれいな正比例になる。

日本人では体重の分類やハザード比はそのまま適応できないかもしれないが、高血圧・糖尿病・高脂血症がなくても肥満自体が動脈硬化性疾患・死亡のリスクになるという考えは、日本人にも当てはまると考えていいだろう。

果実・野菜・豆の摂取量と、心血管死・全死亡の関係

Fruit, vegetable, and legume intake, and cardiovascular disease and deaths in 18 countries (PURE): a prospective cohort study.
Lancet. 2017 Aug 28. doi: 10.1016/S0140-6736(17)32253-5. [Epub ahead of print]

◇この論文のPECOは?
P:35-70歳
E/C:果物、野菜、豆の摂取量
O:全死亡、非心血管死、心血管死、心筋梗塞、脳梗塞、心不全

食事内容は食事摂取頻度調査票(FFQ)を用いて調査。その他、社会経済的要因(教育、収入、雇用)、ライフスタイル(喫煙、飲酒、身体活動)、既往歴、内服薬、身長、体重、腹囲、血圧なども調査。

調査は3,6,9年後に繰り返し行う。

1servingは、果物と野菜なら125g、豆なら150g。

<デザイン、セッティング>
・前向き観察研究
・135335例 
・5大陸18ヶ国(高所得国:カナダ・スウェーデン・アメリカ、中所得国:アルゼンチン・ブラジル・チリ・中国・カンボジア・イラン・マレーシア・パレスチナ・ポーランド・南アフリカ・トルコ、低所得国:バングラディシュ・インド・パキスタン・ジンバブエ)
・登録期間:2003年1月1日〜2013年5月31日
・観察期間:7.4年(中央値、IQR5.3-9.3年)
・multivariable Cox frailty model

<結果>
平均年齢50歳ぐらいで、男性40%。

Aは年齢、性別で調整。
Bは、年齢、性別、摂取カロリー、喫煙、糖尿病、都市/地方、身体活動、教育レベル、鶏の胸肉・子牛・豚などの肉、牛肉、パン、穀物で調整。

まず、フルーツ。

(本文から引用)

1日125g以上のフルーツの摂取で、非心血管死・全死亡が低下。

続いて、豆。

(本文から引用)

豆も、非心血管死・全死亡の低下と関連あり。
150g/週で、いい感じ。

野菜は。

(本文から引用)

年齢・性別で調整すると、125g/日以上で摂取量に応じて心血管死も非心血管死も減っている。ただ、いろいろ調整すると摂取量に応じたリスクの減少にはつながっていない。

◇まとめと感想
果物・野菜・豆の摂取が多いと非心血管死・全死亡が低下する可能性があり、動脈硬化性疾患も抑えられるかもしれないという結果。

果物125gは、
みかん・・・1個
りんご・・・半分ぐらい
バナナ・・・1本
ぶどう(巨峰)・・・8粒ぐらい

豆125gは、
納豆・・・2−3パック

なので、摂るのはそんにむずかしくないかも。

疫学研究はいろいろ調整できない交絡があるだろうし、そもそも交絡因子としてなにを含めるべきかよくわかりませんが、まあ、果物・野菜・豆は積極的にとりましょう、ということで。

非虚血性心筋症でも遅延造影を認めれば、CRTPよりCRTDがbetter

Outcomes of Cardiac Resynchronization Therapy With or Without Defibrillation in Patients With Nonischemic Cardiomyopathy.
J Am Coll Cardiol. 2017 Sep 5;70(10):1216-1227.

◇この論文のPECOは?
P:非虚血性心筋症でCRT-PまたはCRT-Dを留置した患者
E:心臓MRIで中層に遅延造影あり
C:遅延造影なし
O:全死亡(心移植、VADの植え込みを含む)

inclusion criteria:CRT移植術前にCMRが施行されている、CRT移植術が成功した患者
exclusion criteria:陳旧性心筋梗塞、冠動脈血行再建の既往、肥大型心筋症、拘束性心筋症、原発性の弁膜症、サルコイドーシス、アミロイドーシス、心筋炎

<デザイン、セッティング>
・イギリス
・前向き
・2002年7月〜2017年1月
・252例(MWF+68例、MWF−184例)
・観察期間:MWF+群3.8年、MWF-群4.6年(中央値)
・COX比例ハザードモデル

<結果>

(本文から引用)

一年死亡率は、MVF+:12.8%、MVF-:6.86%


(本文から引用)

MVFは死亡率の増加と関連あり(ハザード比2.31)

心房細動やNYHA classⅣなども死亡率の増加と関連がある。

CRT-Dは死亡率の低下と関連あり(ハザード比0.33)。


(本文から引用)

MVF+だとCRT-Dで有意に生存率が高いが、MWF-ではそれが明らかではない。

MVF+でのCRT-Dのハザード比0.23(95%CI:0.07−0.75)

◇まとめと感想
DANISH試験では、非虚血性心筋症でICDにより心臓突然死(SCD)は有意に減少したが、全体としては生命予後の改善までは至らなかった。それは、非心臓死などによりSCDの抑制効果が薄められた結果で、若年に限るとICDの生命予後改善効果が示唆されていた。

虚血ならICD、非虚血ならCRTが生命予後改善に有効と考えられる。その非虚血でも、MVFがあればCRT-Dにより生命予後が改善する可能性を示唆したのが、この研究。観察研究であり、limitationはあるだろうが、MVF+とか若年ではDをつけるのはreasonableかもしれない。

総エネルギー量に占める炭水化物の割合と全死亡の増加

Associations of fats and carbohydrate intake with cardiovascular disease and mortality in 18 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study.
Lancet. 2017 Aug 28. doi: 10.1016/S0140-6736(17)32252-3. [Epub ahead of print]

◇この論文のPECOは?
P:35−70歳
E/C:炭水化物、脂肪、蛋白質の摂取割合
O:死亡と心血管イベント(心血管疾患死、心筋梗塞、脳梗塞、心不全)

食事内容は食事摂取頻度調査票(FFQ)を用いて調査。その他、社会経済的要因(教育、収入、雇用)、ライフスタイル(喫煙、飲酒、身体活動)、既往歴、内服薬、身長、体重、腹囲、血圧なども調査。

調査は3,6,9年後に繰り返し行う。

<デザイン、セッティング>
・前向き観察研究
・135335例 
・5大陸18ヶ国(高所得国:カナダ・スウェーデン・アメリカ、中所得国:アルゼンチン・ブラジル・チリ・中国・カンボジア・イラン・マレーシア・パレスチナ・ポーランド・南アフリカ・トルコ、低所得国:バングラディシュ・インド・パキスタン・ジンバブエ)
・登録期間:2003年1月1日〜2013年5月31日
・観察期間:7.4年(中央値、IQR5.3-9.3年)
・multivariable Cox frailty model

<結果>
平均年齢50歳ぐらいで、男性40%。


(本文から引用)

炭水化物の摂取割合が大きいと、死亡率も高くなる。それは、非心血管死の増加であり、心血管疾患・心筋梗塞・脳梗塞との関連は見出せず、心血管疾患死も増加しない。


(本文から引用)

飽和脂肪酸の摂取量の増加は、脳梗塞の減少と関連があるが、心筋梗塞との関連はない。一価不飽和脂肪酸や多価不飽和脂肪酸の摂取量も、心筋梗塞・脳梗塞・心血管疾患死との関連なし。

◇まとめと感想
飽和脂肪酸はLDLコレステロールを増加させ、それを多価あるいは一価不飽和脂肪酸に置き換えることはLDLコレステロールを減少させる。飽和脂肪酸を含む脂肪の摂取を抑え、多価あるいは一価不飽和脂肪酸へ置き換えることで心血管疾患と全死亡の減少が報告されている。

そのため、AHAのガイドラインでは乳製品や肉から摂取する飽和脂肪酸を、植物油(主にリノール酸)から摂取する多価不飽和脂肪酸へ置き換えることを推奨している(1)。

この疫学研究では、総エネルギーのうち炭水化物の割合が増えると全死亡が増加したが、脂肪、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸と心血管疾患や死亡との関連は明らかではなかった。

(1)Circulation. 2017;136:e1-e23

DAPT 血小板機能測定とクロピドグレル/プラスグレルの選択

VerifyNowを用いて血小板活性を評価し、それに応じてクロピドグレルあるいはプラスグレルの容量調整・薬剤変更を行う方法は、臨床的アウトカムに差がないことが以前報告されている(1−2)。

これは、Roche Diagnostics社の測定器を用いて血小板機能検査を行い、その結果に応じてクロピドグレルかプラスグレルのいずれかのDAPTへの割り付けを行い、臨床的アウトカムについて検証したRCTである。

Guided de-escalation of antiplatelet treatment in patients with acute coronary syndrome undergoing percutaneous coronary intervention (TROPICAL-ACS): a randomised, open-label, multicentre trial.
Lancet. 2017 Aug 25. pii: S0140-6736(17)32155-4.[Epub ahead of print]

◇この論文のPICOはなにか
P:バイオマーカ陽性のACS
I:クロピドグレルまたはプラスグレルのDAPTへ割り付けを、血小板活性を評価し行う
C:プラスグレルのDAPT
O:12ヶ月後のnet clinical benefit(心血管死、心筋梗塞、脳梗塞、BARCgrade2以上の出血)

procedure:

(本文から引用)

対照群は12ヶ月のプラスグレルを用いたDAPT。介入群はprimay PCIを施行し退院7日後までプラスグレルのDAPTを継続。その後、プラスグレルからクロピドグレルへ切り替え7日後に血小板活性を評価。血小板活性が高くなければクロピグレルを継続し、血小板活性が高い場合にはプラスグレルへ戻す。

血小板機能はRoche Diagnostics社の測定器を使用。

◇試験の概要
デザイン:RCT(オープンラベル、非劣性試験)
地域:オーストリア、ドイツ、ハンガリー、ポーランドの33施設
登録期間:2013年12月2日〜2016年5月20日
観察期間:12ヶ月
必要症例数:secondary endpointに対し2600例(primary endpointだけなら2344例)
症例数:2610例(介入群1304例、対照群1306例)
解析:PP解析
スポンサー:企業の関与あり(Roche Diagnostics、イーライリリー、第一三共など4社)

◇患者背景

(本文から引用)

平均年齢60歳と若め、男性20%、糖尿病20%、腎不全3%。


(本文から引用)

1枝病変と多枝が半分ずつ、LAD lesionが多い、lesion classificationは様々、DESが80%。

◇結果

(本文から引用)

◇まとめと感想
理屈では、CYP2C19のPMであれば、血栓症予防にはクロピドグレルよりもプラスグレルの方がいい。PMでなければ、プラスグレルよりクロピドグレルの方が出血リスクは抑えられるだろう。クロピドグレルの効果が表れているか検査により判断できれば、効果を示していないPMに対してはプラスグレルを継続することは理にかなっている。

この試験デザインなら、出血が抑えられることが期待できたが、有意なイベントの低下は認めなかった(塞栓症と出血の複合エンドポイントで非劣性が証明されただけ)。

しかし、このTROPICAL-ACS試験で使用されたRoche Diagnostics社の測定器でも、またARCTIC試験やTRRIGER-PCI試験で用いられたVerifyNowでもそうだけど、血小板機能を評価して、それに応じて薬剤を変更したり調整したりする方法は、臨床的アウトカムを改善しないみたい。

理屈としては正しいけど、血小板機能をみるその方法がまずいのか。体内での血小板機能と検査での血小板機能の乖離みたいなものがあるのかも。

CYP2C19のPMの頻度、日本人では約20%、白人では3%程度と言われており、この試験では白人が99%でありPMの絶対数が少なかったから、結果に差が出なかった可能性はある。日本人なら、結果が違っていたかもしれない。

(1)J Am Coll Cardiol. 2012;59(24):2159-64.
(2)N Engl J Med. 2012;367(22):2100-9.