ST上昇型心筋梗塞(STEMI)で残存狭窄に対する一期的なPCIは、その後の心イベントを抑制する PRAMI試験

STEMIでprimaryPCIを行ったあと、残存狭窄があった場合にそれに対しPCIを行うか否か。それにより心血管イベントを減らすというデータはPRAMI試験、CvLPRIT試験、PRIMULTI試験などがある。

PRIMULTI試験では、STEMIの残存狭窄をFFRで評価しPCI(FFR guide PCI)を行なっており、死亡率と心筋梗塞の発症では有意差がなかったが、不安定狭心症によるPCIを有意に減らしprimary endpointで有意差をつけた結果となっている。

参照:急性心筋梗塞(STEMI)の残存狭窄に対するFFR guide PCIは心血管イベントを減らす PRIMULTI試験

PRAMI試験ではprimary PCIが成功した症例を対象としており、梗塞血管以外に残存狭窄を有する症例をprinary PCIに引き続いて一期的に残存病変のPCIを行い、その後の心イベントを観察している。

Randomized Trial of Preventive Angioplasty in Myocardial Infarction
N Engl J Med. 2013 19;369:1115-23

◯この論文のPICOはなにか
P:ST上昇型心筋梗塞(STEMI)で、50%以上の残存狭窄を認める
I:primary PCIに引き続いて一期的に残存病変のPCIを行う(予防的PCI群)
C:primary PCIのみ(非予防的PCI群)
O:心臓死、非致死的心筋梗塞、難治性狭心症の複合エンドポイント

inclusion criteria:STEMI(CLBBBを含む)で梗塞血管へのPCIが成功した症例で、50%以上の残存狭窄を認める。

exclusion criteria:心原性ショック、CABG後、左冠動脈主幹部・左前下行枝や左回旋枝入稿部に50%以上の狭窄を認める、残存病変が慢性閉塞性病変

◯結果
予防的PCI群:234例、非予防的PCI群:231例の計465例がランダム化され、ITT解析されている。平均フォローアップ期間は23ヶ月。両群間で冠危険因子や責任病変部位、残存狭窄を認める血管数などの有意差はない。

primary endpointは予防的PCI群で21例、非予防的PCI群で53例(Hazard ratio:0.35, 95%CI:0.21-0.58)で有意に予防的PCI群で少なかった。

心臓死と非致死的心筋梗塞は、HR:0.36(95%CI:0.18-0.73)
心臓死は、HR0.34(95%CI:0.11-1.08)
非致死的心筋梗塞は、HR32(95%CI:0.13-0.75)

◯批判的吟味/感想
・primaryに続けて残存病変のPCIを行うので、残存病変に対するPCIに関連した心筋梗塞はマスクされる。
・フォローアップ期間を考慮すると、非予防的PCI群で心臓死と非致死的心筋梗塞の発生率が高いように思う(11.7%/23ヶ月)。
・open labelの試験で、ソフトエンドポイント(難治性狭心症)が用いられている。
・非致死的心筋梗塞の診断には従来のWHO診断基準ではなく、universal definitionが用いられている。
・造影剤腎症のリスクが増す(日本人は体が小さく、よりリスクは大きくなる)。

コルヒチンの抗炎症作用では、心不全のNYHA分類は改善しない 

Anti-inflammatory treatment with colchicine in stable chronic heart failure: a prospective, randomized study.
JACC Heart Fail. 2014;2:131-7

慢性心不全では、線維化やアポトーシス、細胞機能不全などが起こっており、炎症性メディエータの関与が指摘されている。コルヒチンの抗炎症作用により、それらのプロセスを抑制し、アウトカムを改善できるか検証した試験。

◯この論文のPICOはなにか
P:EF<40%の症状の安定した慢性心不全
I:コルヒチン(1mg分2)の内服(コルヒチン群)
C:プラセボの内服(プラセボ群)
O:6ヶ月後のNYHAが、少なくともⅠ度以上改善した割合

exclusion criteria:3ヶ月以内の心不全による入院、NYHAⅣ、CRT、炎症性疾患・感染性疾患・悪性腫瘍・自己免疫疾患、肝不全(Child:B/C)、腎不全(eGFR<30ml/min/1.73m2)、アドヒアランス不良

procedures:2ヶ月のrun-in periodの後にランダム化を行う。コルヒチンは1mg分2(体重<60kgは0.5mg分1)を内服する。観察期間は6ヶ月で、臨床的評価を毎月行い、経胸壁心エコーとトレッドミルを試験開始前と観察期間の最後に行う。BNPは毎月測定する。高感度CRPとIL−6は試験開始前と観察期間の最後に測定する。

◯ランダム化されているか
randomly assignedとあるが、具体的な方法については記載なし。

◯baselineは同等か
年齢は60歳代半ばで男性が7割。虚血性が3割、DCM1割。平均NYHA2.4で、20%に心房細動を合併している。EF27%、LVDd/Ds62/53mm。薬剤の内服率はβ遮断薬80%、ACEi/ARB85%、利尿薬7割。
両群間に有意差なし。

◯症例数は十分か
αlevel:0.05、power:90%、primary endpointの達成はコルヒチン群で25%、プラセボ群で10%と仮定し、必要症例数は226例と算出されている。

◯盲検化されているか
double blinded。

◯すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
ITT解析とあるが、死亡した例やフォローアップ不能例を除いており、modifiedITT解析と思われる。脱落率4%。

◯結果
criteriaを満たした282例がrun-inし3例が脱落、299例(コルヒチン群140例、プラセボ群139例)がランダム化されている。コルヒチン群で死亡2例+フォローアップ不能2例、プラセボ群で死亡5例+フォローアップ不能1例あり、それらの症例は除かれている、よって、コルヒチン群134例、プラセボ群133例が解析に含まれている。

primary endpointは、コルヒチン群で14%、プラセボ群で11%で両群間に統計学的有意差はなかった(オッズ比:1.40、95%CI:0.67−2.93)。

バイオマーカやエコー所見は差が見られなかった。コルヒチン群で唯一LVDd/Dsがごくわずかに縮小しているが、EFはかわりない。

◯批判的吟味/感想
・単施設
・modified ITT解析
・必要症例数を満たしているが、primary endpointに差はない。

先天性心疾患とシナジス®

うちの長男はもう2歳になるが、低出生体重児で心室中隔欠損(VSD)による肺高血圧(PH)も伴っていて、1ヶ月ほどNICUにいた。退院後もしばらく利尿薬を内服していたが、今はVSDは残存しているが内服もなくなりPHもない。

今まで冬になると、シナジス®(パリビズマブ)を毎月打っていて、今年もその季節に差しかかりつつある。小児循環器の主治医からは、今年はどうしようかという話があったが・・・。打つ必要がないなら打って欲しくないし、打った方がいいなら打って欲しいと思う。でも、実際はそんなに明確に分けられるものではなく、グレーゾーンが存在するし、マクロのデータを個々の患者さんに応用しようと思った時のギャップみたいなものがあるんだと思う。

まずは、基本的なことから。
・RSウイルスとは、乳幼児の下気道感染症の主要原因ウイルス
・2歳までにほぼ全員罹患する
・下気道感染症は乳幼児の入院の主要原因
・早期産、慢性肺疾患(CLD)、先天性心疾患(CHD)、ダウン症は重症化のリスク
・RSウイルスの予防接種はない
・シナジス®は抗RSウイルスモノクローナル抗体
・シナジス®に治療効果なし

疫学的なこと。
・米国では、毎年210万人のRSウイルス感染がある
・5歳以下のRVウイルス感染での入院のうち月齢12ヶ月以下が75%を占める

CHDにおけるシナジズ®の効果 参考文献2)
・randomized、double blind, placebo-controlled trial
・industry-funded
・約1300例のデータ
・入院率を4.4%低下させた(シナジス®群9.7%、プラセボ群5.3%)
・入院期間/100例:シナジス®群57.4、プラセボ群129.0と56%相対減少
・ICU滞在期間、挿管率、挿管期間はシナジス®群で低い傾向があるが優位ではない(挿管は1−2%程度と低いので、症例数が増えれば有意差が出る可能性はある)
・CHDのタイプ別のサブ解析はパワー不足
・有害事象の発生は両群間で有意差なし

シナジス®の2シーズン目の効果
・CLDは月齢12−24ヶ月でもRVウイルス感染による入院のハイリスクなので推奨
・CHDでの2シーズン目でのシナジスの効果は証明されていない
・月齢12−24ヶ月の入院率は、生後0−6ヶ月のリスクを持たない児の入院率の半分程度
・米国小児科学会ではCHDでは、2シーズン目は推奨していない

日本小児循環器学会のガイドラインでは、
先天性心疾患におけるシナジス®の適応は、RSウイルス流行開始時に生後24ヶ月以下で、1)明らかな循環動態の異常、2)症状の残存、3)PH、4)手術もしくは心臓カテーテル検査が予定されている、5)循環動態の異常は軽度だが呼吸器疾患を合併している、のいずれかを満たすもの。そして、除外基準として、循環動態に異常を認めない心疾患(小さなVSDなど)とある。

患者側の立場だとある治療を選択するにしろ選択しないにしろ、そこに一定のリスクを背負ってるわけで、確率が低くても重大な結果に繋がりうる選択をすることは非常に難しい。シナジス®を打ってもRVウイルスに罹患する可能性や重症化する可能性はある。自分たちでできることをきちんとしなくちゃいけないなと思った次第。
・手洗いの励行(石けん)
・アルコール消毒も有効
・受動喫煙の回避
・インフルエンザワクチンも接種

参考文献:
1)Updated Guidance for Palivizumab Prophylaxis Among Infants and Young Children at Increased Risk of Hospitalization for Respiratory Syncytial Virus Infection(Pediatrics 2014;134:e620–e638)
2)Palivizumab prophylaxis reduced hospitalization due to respiratory syncytial virus in young children with hemodynamically significant congenital heart disease(J Pediatr 2003;143:532)
3)先天性心疾患児におけるバリビズマブの使用に関するガイドライン
4)Risk factors associated with death in patients with severe respiratory syncytial virus infection(Journal of Microbiology,Immunology and infection2014)

SGLT2阻害薬のエンパグリフロジン(ジャディアンス®)は心血管疾患を有する2型糖尿病患者の死亡率を改善する EMPA-REG OUTCOME試験

Empagliflozin, Cardiovascular Outcomes, and Mortality in Type 2 Diabetes
N Engl J Med. 2015 Sep 17. Epub ahead of print

◯この論文のPICOはなにか
P:心血管疾患を有する2型糖尿病患者
I:エンパグリフロジン(10mgもしくは25mg)の内服
C:プラセボの内服
O:心臓死、非致死的心筋梗塞(無症候性心筋梗塞を除く)、非致死的脳梗塞の複合エンドポイント

inclusion criteria:18歳以上、BMI45以下、eGFR>30ml/min/1.73m2、心血管疾患(2ヶ月以上前の心筋梗塞の既往、CAGまたはMDCTで証明された2枝以上または左冠動脈主幹部の狭窄、2ヶ月以上前のPCI/CABGの既往、2ヶ月以上前の脳梗塞の既往、末梢血管へのstentingやbypassなどの閉塞性動脈硬化症)と診断がついていて血糖降下薬を使用せずにHbA1c7.0−9.0%、もしくは血糖降下薬内服下で7.0−10.0%

study procedure:2週間のrun-in periodの後、ランダム化が行われる。エンパグリフロジン10mg、エンパグリフロジン25mg、プラセボの3群に1:1:1に分ける。ランダム化後12週間は糖尿病治療の薬剤を変更しない。その後は、それぞれの地域のガイドラインに基づいて変更可能。脂質異常症や高血圧症などそれぞれの国のガイドラインに基づいて最良な治療を行う。

◯ランダム化されているか
interactive voice- and Web-response systemでおこわなれる。

◯baselineは同等か
すべて同等。
年齢は約63歳。体重は86kgぐらいでBMIが30。心血管疾患や糖尿病治療の内訳も群間差なし、HbA1c:8.0程度。糖尿病罹患期間は5年以上が8割を占める。薬剤(抗血小板薬、スタチン、抗凝固薬)・血圧・コレステロール値・eGFR・Crなども群間差なし。

◯盲検化されているか
double blind trial。
outcomeの評価と解析は独立した機関が行っている。

◯すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
薬剤を1剤でも内服した者全員を解析に含めるている(modified ITT解析)。解析は、primary endpointとsecondary endpointの非劣勢を検証したのちに、primary endpointとsecondary endpointの優越性試験を行っている。

◯結果
エンパグリフロジン群4687例、プラセボ群2333例。
内服期間の中央値は2.6年で、観察期間の中央値は3.1年。

primary endpointは、エンパグリフロジン群で10.5%(490/4687例)、プラセボ群で12.1%(282/2333例)とエンパグリフロジン群で有意に低かった(hazar ratio:0.86,95%CI:0.74-0.99)。非致死的心筋梗塞と非致死的脳梗塞では有意差が付いていなかったが、心臓死(3.7% vs 5.9%, Hazard ratio:0.62, 95%CI:0.49-0.77)、全死亡(5.7% vs 8.3%, Hazard ratio:0.68, 95%CI:0.57-0.82)と有意に生命予後を改善していた。エンパグリフロジン10mg群も25mg群も、primary endpointに差はなかった。

◯批判的吟味/感想
・3年そこそこで、これだけ目覚ましい結果。
・心臓死を有意に抑制し、生命予後を改善している。
・全死亡における、NNTは39。
・心筋梗塞(致死的・非致死的)はプラセボとの差はないので、それ以外の効果ということになる(discussionでは、交感神経抑制を介した心筋酸素需要の抑制、アルブミン尿減少、降圧作用などが考察されていた)。
・ベーリンガーインゲルハイムが主導した研究で、イーライリリーも出資している。
・解析にスポンサーのひとつであるベーリンガーインゲルハイムが加わっている。
・メーカはこの結果を大きく喧伝するだろうが、日本人の心血管疾患患者では高齢でやせている方も多いので、適応は守りたいところ。

急性心筋梗塞(STEMI)の残存狭窄に対するFFR guide PCIは心血管イベントを減らす PRIMULTI試験

Complete revascularisation versus treatment of the culprit lesion only in patients with ST-segment elevation myocardial infarction and multivessel disease (DANAMI-3—PRIMULTI): an open-label, randomised controlled trial
Lancet. 2015;386:665-71.

大規模研究(PRAMI試験)では、primaryPCI時の完全血行再建が、死亡・非致死的心筋梗塞・難治性狭心症の複合エンドポイントを65%も低下させることが示されている。CvLPRIT試験でも、完全血行再建が全死亡・心筋梗塞の再発・心不全・再血行再建の複合エンドポイントを減らすことが示されている。

以下の3点が明らかにされていない
・非責任血管の狭窄の評価は造影所見で十分か
・非責任血管へのPCIの最適なタイミングはいつか
・非責任血管へのPCIがすべての患者に有効なのか

このPRIMULTI試験では、ST上昇型心筋梗塞(STEMI)の非責任血管へのFFR guide PCIが安全で、かつ心血管イベントを減らすかどうか検証している。

◯この論文のPICOはなにか
P:STEMIで50%以上の残存狭窄を1枝以上有する患者
I:残存狭窄に対するFFR guide PCI(完全血行再建群)
C:薬物療法のみ(薬物療法群)
O:全死亡、非致死的心筋梗塞、虚血による再血行再建(STEMIの非責任血管)の複合エンドポイント

exclusion criteria:造影剤や抗血栓薬に対するアレルギー、意識障害、心原性ショック、CABGが必要な患者、ステント血栓症、高い出血リスク

・手技
2mm以上の血管の50%以上の残存狭窄に対しPCIを行う。使用するステントはエベロリムス溶出性ステント。FFR0.80以下の病変と、造影上90%以上の狭窄を有する病変にPCIを行う。CTO、高度石灰化病変、高度屈曲病変は除外した。

◯ランダム化されているか
PrimaryPCI後(退院前)に速やかにランダム化される。electronic web-based systemで割付。

◯baselineは同等か
性別、基礎疾患、梗塞部位、三枝疾患の割合、LAD近位部に残存狭窄を有する割合などすべて同等。退院時のLVEF、Killip分類、P2Y12阻害薬の種類、statin・βblocker・ACE阻害薬/ARBの内服率も同等。

◯症例数は十分か
薬物療法群でprimary endpointが18%に起こり、完全血行再建群で30%の相対リスク低下があると仮定。αlevel0.05、power80%とし、必要症例数は618例と算出されており、627例(完全血行再建群:314例、薬物療法群:313例)がランダマイズされている。

◯盲検化されているか
オープンラベル。
PCIteamは、患者のその後の治療や評価に関与しない。

◯すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
ITT解析。完全血行再建群で、194日後に移住のため1例ロストフォローアップがあるが、移住前のデータは含められている。

◯結果
FFR guide PCIはprimaryPCIから中央値2日で施行されている。
完全血行再建群で6例(2%)でCABGが施行され、18例(6%)でPCIが失敗に終わっている。
完全血行再建群で97例(31%)でFFRによりdeferしている。
プラセボ群で2例、完全血行再建群へのクロスオーバーがある。

primary endpointとその内訳は以下の通り(論文より抜粋)。

◯批判的吟味/感想
・STEMIの残存狭窄に対するFFR guide PCIでは死亡と心筋梗塞は減らない。
・減るのは、虚血による血行再建のみ。
・残存狭窄へのPCIをいつ行うのかというタイミングの問題かもしれない。
・FFRでは死亡と心筋梗塞は減らないというFAME2試験と似たような結果。
・FFRによってPCI不要な病変を見極めると、医療コストは削減できるかもしれない。

コルヒチン 急性心筋梗塞の梗塞サイズの縮小効果 pilot study

Anti-Inflammatory Treatment With Colchicine in Acute Myocardial Infarction: A Pilot Study

◯この論文のPICOはなにか
P:発症12時間以内のSTEMI
I:STEMIに対する標準的治療に加えコルヒチンの内服(コルヒチン群)
C:STEMIに対する標準的治療に加えプラセボの内服(プラセボ群)
O:入院後72時間までのCK−MBのAUC

exclusion criteria:18歳以下、80歳以上、活動性の炎症性疾患・感染症・悪性腫瘍、コルチコステロイドや抗炎症薬の使用、コルヒチンに対するアレルギー、慢性的なコルヒチンの内服が必要な状態、eGFR<30、肝不全(Child B/C)、心室細動、心原性ショック、ステント血栓症、心筋梗塞発症48時間以内の狭心症状、陳旧性心筋梗塞、左冠動脈主幹部病変、左回旋枝病変、側副血行路の存在

コルヒチンの内服方法:まず、2mgをローディングする(1.5mgを内服し、その1時間半後に追加で0.5mg内服する)。以降、0.5mgを1日2回、5日間内服する。体重が60kg未満の場合は0.5mgを1日1回に減量する。

STEMIに対する標準治療:primary PCI, ビバリルジン、ヘパリンと/または糖蛋白Ⅱb/Ⅲa阻害薬、標準的薬物療法(スタチン、β遮断薬、アスピリン、チカグレロルまたはプラスグレル)

CK−MBの測定方法:入院時と、それ以降4時間おきの測定。

◯ランダム化されているか
冠動脈造影後にランダム化(コンピュータのランダム化アルゴリズムによる割付)

◯baselineは同等か
梗塞サイズに影響が出そうなonset to balloon time、責任病変の部位、最終造影のTIMI flow gradeを含め、全て同等。

◯症例数は十分か
プラセボ群のCK−MBのAUCは6000ng・h/ml、power0.85、αlevel0.05、コルヒチン群でCK−MBのAUCが25%低下すると仮定し、必要症例数は150例と算出されている。登録されたのは151例(コルヒチン群77例、プラセボ群74例)で、症例数は十分である。

◯盲検化されているか
double blind trial。

◯すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
ランダム化されたすべての患者が解析に含まれているITT解析である。

◯結果
primary endpointであるCK−MBのAUCは、コルヒチン群:3144ng・h/ml、プラセボ群:6184ng・h/mlと有意にコルヒチン群で低かった(P<0.001)。

secondary endpointである高感度トロポニンTの最大値は、コルヒチン群:19763pg/ml、プラセボ群:45550pg/mlとこれもコルヒチン群で有意に低かった(P=0.001)

また、60例(コルヒチン群:31例、プラセボ群:29例)でMRIが施行されている。そのbaselineにも統計学的な
有意差はなく、遅延造影MRIによる梗塞サイズの測定(体表面積で標準化)は、コルヒチン群:18.3ml/1.73m2、プラセボ群:23.2ml/1.73m2と、これもコルヒチン群で有意に低かった(P=0.019)

◯批判的吟味/感想
・小規模のパイロット試験。
・サロケートマーカではあるが、primary endpoint/secondary endpointともに統計学的有意にコルヒチン群で低かった。
・コルヒチン群で消化器症状などにより26%の症例で内服を中断している(プラセボ群は4%)。安全性や長期的な副作用の問題についても検証が必要。
・これはギリシャからのデータだが、体型が小さく高齢者が多い日本のSTEMI患者でもこれだけの効果があるのか。
・次のフェーズの試験の結果が待たれる。期待大。

シクロスポリンはPCIを施行する急性心筋梗塞患者の予後を改善しない CIRCUS試験

シクロスポリンには、再灌流障害を減らしたり、梗塞サイズを縮小させる可能性がある。

Cyclosporine before PCI in Patients with Acute Myocardial Infarction
N Engl J Med. 2015;373:1021-1031

◯この論文のPICOはなにか
P:発症12時間以内の左前下行枝(LAD)のST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)
I:PCI施行前に2.5mg/kgのシクロスポリンの静注(シクロスポリン群)
C:PCI施行前にプラセボの投与(プラセボ群)
O:1年以内の死亡、心不全による再入院、心不全の増悪、左室リモデリングの複合エンドポイント

inclusion criteria:18歳以上、発症12時間以内、胸部誘導で連続2誘導以上での0.2mVのST上昇
LADが責任病変でTIMI flow gradeがゼ0か1
exclusion criteria:心原性ショック、良好な側副血行(Rentrop分類2または3)

◯ランダム化されているか

◯baselineは同等か
梗塞サイズに影響を及ぼしそうな、onset to balloon time, プレホスピタルの血栓溶解薬投与、LMT病変・LAD近位部病変の割合、側副血行の程度(Rentrop分類)、PCI前後のTIMI flow gradeは同等。

◯症例数は十分か
シクロスロリン投与により20%の相対リスク低下、power80%、αlevel5%として、必要症例数は790例と算出されている。そこから、心エコー検査のロストフォローアップ10%あったりで、結局は972例と算出されている。ランダム化されたのは、シクロスポリン群475例、プラセボ群495例で計970例(そのうち、インフォームドコンセントがなされていなかったため、シクロスポリン群で1例脱落している)。必要症例数は満たしていない。

◯盲検化されているか
double blind trial

◯すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
ITT解析(ただ、インフォームドコンセントが行われていなかったため、シクロスポリン群から1例脱落あり)

◯結果
当初、死亡と心不全による再入院の2つをprimary endpointとして、必要症例数を3862例としていたが、資金不足のため、心不全の増悪と左室リモデリングの2つを新たにprimary endpointに加えた。

primary outcomeは、シクロスポリン群で233例(59.0%)、プラセボ群で230例(58.1%)で、オッズ比1.04(95%CI:0.78−1.39)と統計学的有意差なし。死亡、心不全による再入院・心不全の増悪、それぞれを見ても、統計学的有意差はなかった。

secondary outcomeにCKのピーク値も含まれている。それだと、シスプラチン群で3992IU/L(四分位範囲:1910−5447)、プラセボ群で3917IU/L(四分位範囲:1878−5608)で統計学的有意差なし。

◯批判的吟味/感想
・COIあり(NeuroVive Pharmaceutical)
・funderは試験のデザインやモニタリング、解析には介入していない
・primary endpointの変更
・primary endpointに有意差がなく必要症例数に達していない試験。そうは言ってもほとんど必要症例数を満たしているため、本当に薬剤の効果がないのだと思う。
・梗塞サイズを反映するCKのピーク値も差がなかった。
ちなみに、AVOID試験では、再灌流時に酸素投与を行わないことで、梗塞サイズが小さくなることが証明されている。
ST上昇型心筋梗塞(STEMI)に対する酸素投与は有害かもしれない AVOID試験

シクロスポリンは、PCIを施行するSTEMI患者の予後を改善しない。

コルヒチンは心膜炎の再発を抑制する CORP-2試験

Efficacy and safety of colchicine for treatment of multiple recurrences of pericarditis (CORP-2): a multicentre, double-blind, placebo-controlled, randomised trial.
Lancet. 2014;383:2232-7

○この論文のPICOはなにか
P:初回の心膜炎から6週間以上経過し、再発した心膜炎
I:6ヶ月間のコルヒチンの内服(コルヒチン群)
C:プラセボの内服(プラセボ群)
O:18ヶ月以内の心膜炎の再発

コルヒチンは6ヶ月間内服し、用法用量は0.5mg/回 2回/日とする。体重が70kg以下なら、1回/日に減量する。

inclusion criteria:18歳以上、心膜炎(特発性、ウイルス性、心外傷後、膠原病)の再発(初回の心膜炎から無症候で6週間以上経過)
exclusion criteria:結核性、悪性腫瘍、細菌性、重症の肝臓病もしくは正常上限の1.5以上の肝酵素の上昇、クレアチニン上昇(221.00μmol/L)、ミオパチーもしくは正常上限以上のCKの上昇、血液疾患、炎症性腸疾患、コルヒチンに対するアレルギーや禁忌、生命予後18ヶ月以内

心膜炎の再発の定義:胸痛と以下のうちひとつ以上満たすこと。心膜摩擦音、心電図変化、心農水貯留、白血球・赤血球沈降速度・CRPの上昇。
急性心膜炎の診断criteria:少なくとも以下の2つを満たすこと。胸痛、心膜摩擦音、広範囲のST上昇もしくはPR低下、新規の増悪する心農水。

◯ランダム化されているか
コンピュータによる割付。

◯baselineは同等か
年齢、手術の既往、心筋梗塞の既往、心膜炎の成因、薬物療法(NSAIDsやステロイドの使用率)に群間差なく、beselineは同等である。

◯症例数は十分か
αlevel:0.05、power:0.80、プラセボ群の心膜炎再発率を30%、コルヒチンにより15%の絶対リスク低下があると仮定し、必要症例数は240例と算出されている。コルヒチン群、プラセボ群それぞれ120例ずつ登録され、症例数は十分である。

◯盲検化されているか
double blind trial。

◯すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
ITT解析。ロストフォローアップはない。

◯結果
アドヒアランスは両群とも95%以上で群間差ない。
平均観察期間は約20ヶ月。
心膜炎の再発はコルヒチン群で21.6%(26例)、プラセボ群で42.5%(51例)であった。
相対リスク0.49(95%CI:0.24−0.65)
NNT=5

pos−hoc解析では、特発性でコルヒチンの再発抑制効果が高かった。
コルヒチン群:18/96例(18.8%)、プラセボ群:43/102例(42.2%)

安全性に関しては、副作用の発現率で群間差はなかった。
コルヒチン群では、消化器症状9例(7.5%)、肝酵素上昇3例(2.5%)、CK上昇1例(0.8%)、脱毛症1例(0.8%)であった。

◯批判的吟味/感想
心膜炎の再発というハードではないエンドポイントだが盲検化されている。また、プラセボの味・形・色などはコルヒチンに同一のものとしているとのことで、厳格に盲検化を守っている印象。もちろん、コルヒチンは白血球数や尿酸値に影響を与える薬剤ではないため、治療介入者側も割付を推測できない。
添付文書によると、コルヒチンは1.8mg/日を越えると消化器症状が出やすくなると記載されているが、0.5−1.0mg/日という量であれば、プラセボと比較しても副作用が増えるということはない。ただ、遅発性の副作用や稀な副作用については、この試験では判断できない。

コルヒチンは冠動脈バイパス術周術期の心筋障害を抑制する

Usefulness of colchicine to reduce perioperative myocardial damage in patients who underwent on-pump coronary artery bypass grafting.
Am J Cardiol. 2015;115(10):1376-81

CABGの周術期にコルヒチンを内服して、周術期の心筋ダメージが減るかを検証したRCT。

コルヒチンは痛風予防薬として、以前から使用されている薬剤。自分で処方したことはほどんどない。副作用としては消化器症状が結構な頻度でみられるらしいが、低用量なら消化器症状はでにくいらしい。そして、なによりも安価であることがよい。

冠動脈疾患患者で心筋梗塞を予防することは証明されている。
コルヒチンは冠動脈疾患患者の心筋梗塞の予防に有効

○この論文のPICOはなにか
P:スタンダードな人工心肺下冠動脈バイパス術(on-pump CABG)が予定されている患者
I:術前48時間前から術後8日までのコルヒチン(1回0.5mg、1日2回)の内服(コルヒチン群)
C:プラセボ(プラセボ群)
O:術後48時間以内の高感度トロポニンT(hsTnT)の最大値

exclusion criteria:18歳以下・80歳以上、弁膜症手術、off−pump CABG、4週間以内のACS、麻酔導入前の循環サポート、トロポニンを上昇させる状態、活動性の炎症疾患、感染性疾患、悪性腫瘍、ステロイド・抗炎症薬の内服、コルヒチンに対するアレルギー、慢性的なコルヒチンの内服、eGFR<35ml/min/1.73m2、Child−Pugh classB/Cの肝不全

hsTnTとCK-MBの測定は、入院時・術中(大動脈のクランプした時点)・12時間後(大動脈のクランプから)・24時間後・36時間後・48時間後に行う。

○ランダム化されているか
コンピュータ割付。

○baselineは同等か
年齢は65歳ぐらいで7割が男性。高血圧症・糖尿病・喫煙歴など冠危険因子は同等。心筋梗塞やPCIの既往も同等。EF50%ぐらいで、大動脈のクランプ時間は70分程度、バイパスしたグラフトは3本で群間差なし。βblockerやスタチンの内服率も群間差なし。

○症例数は十分か
プラセボ群29例(CABGの中止が1例)、コルヒチン群30例。 必要症例数についての記載なし。

○盲検化されているか
double blind trail。最後の患者のフォローアップが終わるまで、割付については盲検化されたまま。

○すべての患者の転帰がoutcomeに反映されているか
ITT解析と記載されているが、CABGが中止になった1例を除いて、プラセボ群29例、コルヒチン群30例で解析されているため、modified ITT解析と考えられる。

○結果
hsTnTの最大値は、コルヒチン群で616pg/ml、プラセボ群で1613pg/mlと有意にhsTnTの上昇が抑えられていた(P=0.002)。術後48時間までのAUC(area under the curve)もコルヒチン群で20363pg h/ml、プラセボ群で40755pg h/mlとコルヒチン群で有意に低値であった(P=0.002)。CK-MBに関しては割愛するが、最大値・AUCともにコルヒチン群で有意に低値であった。

○批判的吟味/感想
・単施設
・サロゲートマーカー
・コルヒチンの抗炎症作用により、虚血あるいは再韓流障害、distal embolismなどが抑えられたり、心筋細胞障害につながるようなサイトカインなどを抑えるらしい(ちょっと適当)。 自分がCABGの周術期管理をすることはありませんが、やはりコルヒチンは有効なよう。単施設でNも少ないが、Nが多くなればハードエンドポイントでも有意差がつきそう。

コルヒチンは冠動脈疾患患者の心筋梗塞の予防に有効 LoDoCo試験

Low-dose colchicine for secondary prevention of cardiovascular disease.
J Am Coll Cardiol. 2013;61(4):404-10

○この論文のPICOはなにか
P:冠動脈疾患患者
I:通常の治療に加え、コルヒチン0.5mg/日の内服(コルヒチン群)
C:通常の治療(通常治療群)
O:急性冠症候群(ACS)、院外心停止、非心原性脳梗塞の複合エンドポイント

Inclution criteria:CAGで冠動脈病変を確認、35−85歳、少なくとも6ヶ月間は臨床的に安定していること、重大な併存疾患がないこと、コルヒチンが禁忌でないこと、CABG患者は10年以上前に手術が施行されていてグラフト不全が確認されているかCABG後にPCIが行われていること

定義
・ACSとは以下のいずれかである。
1)急性心筋梗塞(正常上限以上にトロポニンが上昇しており、胸痛があること)
2)不安定狭心症(再発増悪する狭心症状とトロポニンの上昇) Braunwold分類:ⅠBとⅡB

・ステント関連ACS
有意なステント内再狭窄もしくはステント血栓症

・非心原性脳梗塞
CTもしくはMRIにて、心原性でないことや出血でないことを神経内科医が診断する

○baselineは同等か
平均年齢は60歳代半ば、男性が9割、糖尿病が3割、喫煙者が5%ほど。AMIや不安定狭心症(UA)の既往が3割、2割でCABGが、6割でPTCAが施行されている。アスピリン・クロピドグレルのいずれかもしくは両方内服している患者は9割ちょっと。スタチンは95%が、ACE阻害薬は6割が内服している。これらには群間差はなかった。群間差があったのは、カルシウム拮抗薬とβ遮断薬の内服率でコルヒチン群で、β遮断薬の内服率が低く、カルシウム拮抗薬の内服率が高かった。

○ラムダム化されているか
コンピュータによる割付が行われ、隠匿化もされている。

○盲検化されているか
PEOBE試験であり、患者と治療介入者は盲検化されていない。
outcome評価者は盲検化されている。

○症例数は十分か
2年間のフォローアップで、通常治療群で8%のprimary endpointの発生があると仮定し、αlevel5%、power80%と設定し、必要症例数は250例ずつとなっている。コルヒチン群282例、通常治療群250例と必要症例数は満たしているが、コルヒチン群で若干多い。

○すべての患者の転帰が解析に含められているか
通常治療群ではロストフォローアップはない。コルヒチン群で、消化器系の副作用のため早期の中止が32例、内服開始前の同意の撤回が7例、晩期の内服中止が30例あった。結果は、ITT解析されている。

○結果
フォロアップ期間の中央値は36ヶ月。
primary endpointの発生は、コルヒチン群で5.3%(15例)、通常治療群で16%(40例)と有意にコルヒチン群でprimary endpointが抑えられていた(HR:0.33、95%CI:0.18−0.59)。

ACSに関しては、ステント関連はコルヒチン群1.4%(4例)、通常治療群1.6%(4例)と有意差なし。

ステント非関連ACSのうち、AMIでもコルヒチン群1.6%(4例)、通常治療群5.6%(14例)と、有意にAMIの発症を抑えている(HR:0.25、95%CI:0.08−0.76)。

院外心停止と非心原性脳梗塞には有意差はなかった。

○批判的吟味/感想
・PROBE試験だが、outcomeの評価を盲検化された者が行っている。
・ITT解析が行われている
・primary endpointで有意差がついている。院外心停止・非心原性脳梗塞では有意差は出ていないが、ACSを有意に抑制している。
・ACSのうち、AMI・UAをそれぞれ有意に抑制している。AMIはハードエンドポイントであり、UAもBraunwold分類で定義され、かつトロポニン上昇を要件としているため、ソフトなエンドポイントではない。
・Hazard ratio:0.33と驚異的な値。ステント非関連AMIに限るとHR:0.25。
・NNT=1/絶対リスク減少=1/(0.056−0.016)=25
・ステント関連ACSは両群間で有意差がなく、neoatherosclerosisは抑えられないかもしれない。

副作用により内服が継続できなかった例が20%ほどあるが、内服が続けられるならコルヒチンは心筋梗塞予防に有効である。