DAPT試験

第二世代DESは過度な再内皮化抑制をきたさないため、ステント血栓症は低下している。そして、DAPT(2剤併用抗血小板療法)の期間も短縮できるのではないかと考えられている。

その中で、長期(30か月)のDAPT継続がステント血栓症を抑制するか調べられたのがDAPT試験である。

Twelve or 30 Months of Dual Antiplatelet Therapy after Drug-Eluting Stents
N Engl J Med 2014; 371:2155

登録、ランダム割付、フォローアップに関しては以下のように行われている。薬剤溶出性ステント(DES)が留置された患者を登録し、1年間経過した時点で、DAPT群とアスピリン+プラセボ群にランダム割付する。18か月フォローした後、さらにDAPT群のクロピドグレルを中止し3ヶ月観察する。ST(ステント血栓症)とMACCE(主要心脳血管イベント)と出血事象について評価。

fig1

〇この論文のPICOはなにか
P:DES留置後(第一世代DESも含む)の患者
I:ステント留置後12ヶ月以降で、30ヶ月までにDAPTを継続するか
c:アスピリン単剤(アスピリン+プラセボ)にするかで
O:STとMACCEが減るか、また安全性評価項目として中等度から高度の出血(GUSTRO criteriaとBARC criteria)についても評価したRCT

その詳細としては、
inclusion criteria:18歳以上のPCIが行われ、DES(第一世代DESも含む)が留置されている。抗血小板薬はアスピリン75ー162mgでチエノピリジンはクロピドグレル75mgもしくはプラスグレル10mgを使用、ステント留置から12か月間でイベント(全死亡、心筋梗塞、再血行再建、ステント血栓症、高度もしくは中等度の出血)を起こしていない。
exclusion criteria:ステント径2.25mm未満・4mm以上、妊婦、30か月間で14日以上の抗血小板薬の中止が必要になる外科手術、ランダム割付時点で長期の抗凝固療法が必要
MACCE:死亡、心筋梗塞、脳梗塞

〇ランダム割付されているか
コンピュータ割付なので、隠匿化(concealment)されている。

◯baselineは同等か
STのリスクとなる糖尿病・腎不全などの基礎疾患、心筋梗塞か狭心症か、低心機能、人種、クロピドグレルかプラスグレルか、ステントの種類、ステント長・ステント径、病変数、分岐部病変など、すべてにおいて群間差なし。

〇すべての患者の転帰がOutcomeに反映されているか
ランダム割付されたすべての患者でITT解析されている。

〇盲検化(masking/blinding)されているか
患者、介入実施者、Outcome評価者、データ解析者すべて盲検化されている。

◯症例数は十分か
プラセボ群のステント血栓症発症率が0.5%/年、MACCE発症率が2.9%/年、ステント血栓症のハザード比0.45、MACCEのハザード比0.75、フォローアップロス3%未満、α0.05、power0.85として、必要症例数は9800例と計算されている。
また、安全性評価項目である中等度から高度の出血は、α0.05、power0.80、中等度から高度の出血の発症率1.9%/年、非劣勢マージン0.8%として、必要症例数は9960例と計算されている。

〇結果の評価
25682例のうちDESが留置されている22866例が登録され、inclusion criteriaを満たさない症例や同意撤回症例などを除いた9961例がランダム化された。

・有効性評価項目
ST(0.4% vs. 1.4%; hazard ratio, 0.29 [95% CI, 0.17 to 0.48]; P<0.001) MACCE(4.3% vs. 5.9%; hazard ratio, 0.71 [95% CI, 0.59 to 0.85]; P<0.001) といずれも有意差をもって、DAPT継続群でイベントを抑制している。 また、心筋梗塞・STに関連しない心筋梗塞においても、DAPT継続群で有意にイベントを抑制している。心臓死・血管死・脳梗塞では群間差はないが、全死亡でDAPT継続が有意に多かった(1.5%vs2.0%:P=0.05)。その理由は出血が関連したものではなく、baselineでの担癌患者の割合がDAPT継続群で多かったからだと説明している。 ・安全性評価項目 中等度から高度の出血(2.5% vs. 1.6%; hazard ratio 1.61 [95% CI, 1.21 to 2.16]; P=0.001)と、非劣性を示すことができなかった。高度・致死的な出血に関しては有意差なし。 〇この論文を読んで DAPTを1年以上継続させることで、ステント血栓症や心筋梗塞を抑制できることを示した試験。ただ、心血管死は群間差がないが、全死亡はDAPT継続群で多いという、ちょっとちぐはぐな結果に。DESを留置した症例すべてにDAPTを継続使用とは思わないが、ハイリスクな症例を選べば続ける意味があるのかもしれない。