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集中治療における不整脈と心臓突然死のマネージメント

How to manage various arrhythmias and sudden cardiac death in the cardiovascular intensive care
J Intensive Care. 2018 Apr 11;6:23. doi: 10.1186/s40560-018-0292-x.

ICU/CCUでのVT/VF・electrical stormのマネージメント
Tokyo CCU Network (2012−2014年) のデータでは、VT/VFの基礎疾患は、虚血性心筋症29.2%、DCM8.2%、HCM7.3%、心サルコイドーシス2.3%、ARVC1.7%だったが、約40%が特発性VT/VFで器質的異常がなかった。

AMIに関連したVT/VF・electrical storm
心室性頻脈性不整脈はAMIのどのフェーズでも起こりうる。electrical stormを24時間以内の2回以上の持続する心室性頻脈性不整脈とすると、その発生率は2.67% (Tokyo CCU Network)。Electrical stormは梗塞サイズと血行動態悪化と関連がある。

βblocker、アミオダロン、ニフェカラントの有効性が示されている。

血行動態の悪い患者では、VT/VFが薬物抵抗性であることがあり、IABPが有効なことがある。おそらく、血行動態の改善と冠血流増加による。心原性ショック、うっ血による低酸素血症、心静止にはPCPSを導入する。星状神経節ブロックや腎交感神経アブレーションが有効とのいくつかの報告がある。

上にあるような治療に抵抗性のVT/VFは、遺残プルキンエ線維起源のVPCによって起こっていることがある。VPCは比較的narrowで、それにより多形性VTが引き起こされる。アブレーションが有効。

非虚血性心疾患に関連したVT/VF・electrical storm
いろんな疾患があり、複数のメカニズムがある (scar関連リエントリー、ヒス束-Purkinje関連リエントリー、自動能亢進、triggered activityなど)。脚枝間リエントリー性頻脈はDCMに特異的だが、虚血性心疾患ではまれ。進行した非虚血性心筋症では、自然に、あるいはペーシングによりQRS波形が多形性を示すことがあり、pleomorphic VTと呼ばれる。DCMでは心外膜起源が多い

HCMのVTは多形性であることが多いが、mid-ventricular HCMで進行すると心尖部が瘤化し、そうなると単形性VTがよく見られる。

心サルコイドーシスは、コーカジアンやアフリカ系アメリカ人では頻度は低いが、日本では多い。よく見られる不整脈は、完全房室ブロックと、それに続くVTである。scar関連VTであり、アブレーションが成功しても再発は多い (30-40%/年)。

非虚血性心筋症の心室性頻脈性不整脈に対する薬物療法のファーストラインはアミオダロン。ただし、SCD-HeFT試験では。死亡率はプラセボと有意差がなかった。なので、DCMに対するルーチンでの使用は推奨されない。アミオダロンはVTのcycle lengthを伸ばす。ICDのショック回数を減らす。

βblockerはDCMの心不全関連死や心臓突然死を減らすが、βblockerにしろアミオダロンにしろ、重症心不全への導入は副作用に用心を。

特発性VT
ベラパミル感受性VTのQRSは比較的narrow。左脚後枝起源では、CRBBB+上方軸に、左脚前枝起源ではCRBBB+下方軸になる。アブレーションの成功率は高い(>90%)。そのほかの特発性VTでは、左室や右室の流出路起源が多く、ついで僧帽弁や三尖弁の弁輪、乳頭筋起源が多い。

ベラパミルのみでコントロール不十分なら、次の選択肢はβblocker。アブレーション前の12誘導心電図は重要。

QT延長とTorsade de Pointes (TdP)
高齢、心疾患 (特にMI)、心不全、肝機能・腎機能障害、電解質異常、徐脈、QT延長や低K血症をきたしうる薬剤の使用 (利尿薬、抗不整脈薬、鎮静薬)がリスク。心電図でのTdP予測因子は、QTc>500ms、macroscopic T wave alternance (TWA)。典型例だと、RR間隔がshort-long-short sequenceでTdPへ移行する。

ICU/CCUでの徐脈のマネージメント
最もコモンなものは房室ブロック (AVB)。原因は、急性虚血、慢性虚血 (虚血性心疾患)、急性炎症(心筋炎)、慢性炎症 (心サルコイドーシス)、薬剤 (CCB、βblocker、抗不整脈薬classⅠ・Ⅲ)、電解質異常 (高K血症)など。これらの原因がない場合は、特発性AVBで遺伝子が関与していることが多い。

洞機能不全
洞機能不全は、特発性に退行性に徐々に進行。非心原性の原因は、薬剤性、迷走神経過緊張、電解質異常、睡眠時無呼吸、甲状腺機能低下など。

一時的ペースメーカと恒久的ペースメーカ
AMIでは、下壁梗塞と関連があり、短期間だが一時的ペースメーカが必要になることがある。恒久的ペースメーカが必要になることはまれ。

ICU/CCUでのAFのマネージメント
AFはCCUではコモン。心不全やAMIでは、さらに多い。

AFと心不全
AFと心不全は、片方がもう一方を悪化させる関係にある。あるメタ解析では、AFは死亡・腎不全・脳梗塞と関連があったが、最もリスク増加が大きかったのは心不全だった (RR:4.9, 95%CI:3.04-8.22)。

AFとAMI
AMIでは様々な要因が関連しPAFを引き起こすが、最も重要な要因は、広範囲の重症心筋梗塞に伴うポンプ不全である。

敗血症
炎症に起因する複数の要因が関与。AFは予後不良と関連あり。電解質異常、アシデミア、β刺激薬、低酸素血症など是正できるものは、速やかに是正する。

重症患者におけるAFのマネージメント
血行動態不安定、コントロールが困難な虚血、適切なrate controlができない場合は、カルディオバージョンを。単相性なら200Jで、二相性なら120−200Jで。だめなら、50−100J上げる。それでもだめならニフェカラントなどのclassⅢの抗不整脈が、血圧を下げずに心拍数を落とせるかもしれない。さらに、ニフェカラントはAF停止に有効で、また除細動域値を下げる作用もある。

心不全やAVBがない患者のrate controlなら、βblockerや非ジヒドロピリジン系CCBを使用する。アミオダロンは血行動態を悪化させずにrate controlができるが、この目的では保険は通らない。

患者の状態が落ち着いたら、rhythm controlと抗凝固療法を検討する。AF-CHF試験では、薬剤もしくはDCでのrhythm controlは、rate controlと比較し、死亡・心不全増悪を減らさなかった。

tachycardia-induced cardiomyopathy (TICM) とtachycardia-mediated cardiomyopathy (TMCM)
心機能低下の原因がAFしかないものがTICMで、rate controlをつければ心機能は可逆的。TMCMは器質的心疾患があり、AFによりさらに心機能が低下したもの。rate controlをつけても心機能が改善しないものは、TICMでもTMCMでもない。完全な心機能の改善には1−6ヶ月要する

心臓突然死のリスク層別化と予防法
デバイスにはICDとCRT-Dがある。

冠動脈疾患での心臓突然死リスク層別化
AMI発症24時間以降に起こったNSVTは、重症心室性頻脈性不整脈と関連があるが、AMI急性期の心室性不整脈に対するICD導入は予後を改善しない。EF≦35%のハイリスク患者では少なくとも1ヶ月は観察を要する。着用型除細動期 (WCD) は致死的不整脈の一過性のリスクを有する患者や、AMI急性期の心室性不整脈に対しICDへのブリッヂ治療として役割があるかもしれない。

MI慢性期で、VF、多形性VT、血行動態の崩れた単形性VT、薬物抵抗性やアブレーションで治療できない単形性VTを認めた場合には、ICDはclassⅠである (JCSガイドライン)。一次予防では、適切な薬物療法にも関わらずEF≦35%、NYHAⅡ-Ⅲ、NSVTの症例には、ICDはclassⅠである。また、EF≦35%、NYHAⅠで、NSVTがあり、EPSにてVTが誘発された症例でもclassⅠである。

非虚血性心筋症での心臓突然死リスク層別化
適応は虚血と同じような感じだが、誘発されたVT症例でのICDの効果は虚血のそれより乏しい。HCMでは、左室壁≧30mm、心臓突然死の家族歴、運動時血圧反応異常、NSVTがリスクファクターで、classⅡaの項目である。

チャネル病での心臓突然死リスク層別化
QT延長症候群では、VF・心静止の既往があればclassⅠのICD適応で、βblocker抵抗性の失神・TdPではclassⅡ。Brugada症候群では、VF・多形性VTの既往はclassⅠ、coved型ST上昇があり、かつ失神・心臓突然死の家族歴・EPSで誘発されたVFのうち2つに当てはまればclassⅠ。

CKD合併心房細動 ワーファリンとDOACの比較

Direct oral anticoagulants versus warfarin for preventing stroke and systemic embolic events among atrial fibrillation patients with chronic kidney disease
Cochrane Database Syst Rev. 2017 Nov 6; doi:10.1002/14651858.CD011373.pub2.

AF+CKDで、ワーファリンとDOACを比較したコクランのレビュー。

DOAC:アピキサバン、ダビガトラン、エドキサバン、リバロキサバン
観察期間:1.8−2.8年
CKDは、CrClまたはeGFR:15−60mL/min (CKD G3とG4) と定義した。
G3:12155例、G4:390例

5つの試験を統合。
• ARISTOTLE Study 2010: 3,017/18,122 (17%)
• ENGAGE AF-TIMI 48 Study 2013: 2,740/14,071 (19.5%)
• J-ROCKET AF Study 2012: 284/1,278 (22.2%)
• RE-LY Study 2009: 3,554/17,951 (19.8%)
• ROCKET AF Study 2010: 2,950/14,264 (20.7%).

【結果】
ワーファリン vs DOAC
脳梗塞+全身性塞栓症
29/1000 vs 23/1000 (95%CI:19-29/1000)
RR:0.81 (95%CI:0.65-1.00)
quality of the evidence:moderate

大出血
55/1000 vs 43/1000 (95%CI:32-57/10000)
RR:0.79 (95%CI:0.59-1.04)
quality of the evidence:low

心筋梗塞
11/1000 vs 10/1000 (95%CI:5-21/1000)
RR:0.92 (0.45-1.90)
quality of the evidence:-

小出血
74/1000 vs 72/1000 (95%CI:43−119/1000)
RR:0.92 (0.58−1.61)
quality of the evidence:low

消化管出血
17/1000 vs 24/1000 (95%CI:17−35/1000)
RR:1.40 (0.97-2.01)
quality of the evidence:moderate

頭蓋内出血
14/1000 vs 6/1000 (95%CI:4−9/1000)
RR:0.43 (0.27−0.69)
quality of the evidence:moderate

全死亡
78/1000 vs 71/1000 (95%CI:61-82/1000)
RR:0.91 (0.78−1.05)
quality of the evidence:moderate

【まとめ】
CKDを合併した心房細動において、脳梗塞+全身性塞栓症のリスクはワーファリンとDOACで同程度だった。出血性合併症は、頭蓋内出血は有意にワーファリンが多かったが、大出血・消化管出血に差はなかった。全死亡についても差はなかった。

RCTのSRであるということと、CKDG4はほとんど含まれないという点は、実臨床で抗凝固療法を行う上で留意すべき。

ICDを植え込んだBrugada症候群の長期フォローアップ

Patients With Brugada Syndrome and Implanted Cardioverter-Defibrillators: Long-Term Follow-Up.
J Am Coll Cardiol. 2017 Oct 17;70(16):1991-2002.

◇PECO
P:ICDの植え込みを行ったBrugada症候群
O:適切作動、不適切作動、ICD関連合併症

<デザイン、セッティング>
・単施設、前向きコホート研究
・104例(失神47%、EPSでのVT/VFの誘発34%、二次予防9%、突然死の家族歴5%、HV延長3%、無症候2%)
・観察期間:9.3±5.1年
・Brugada症候群の診断:Coved typeの心電図
・ICD設定:VF1ゾーン≧200bpm、ATP×1、shock×3(41J)
・COX比例ハザードモデル

<結果>
▶︎適切作動
失神+自然発生のCoved type心電図:HR4.96(95%CI:1.87−13.14)
VF survivor:HR6.85(95%CI:2.29−20.50)

無症候患者45例のうち、4例で適切作動あり。いずれもEPSでVT/VFが誘発された症例。

▶︎ICD関連合併症
23%(不適切作動8.7%、その他20.2%)
リード抜去の際のelectrical stormによる死亡1例、胸腔ドレナージを要する気胸1例、心タンポナーデ1例、感染性心内膜炎1例

◇まとめと感想
Brugada症候群でICDの植え込みを行った症例の前向きコホート研究。二次予防や失神がありICDを植え込んだ症例では、適切作動のリスクが高い(ICD植え込みのメリットが高い)。

無症候性における適切作動の頻度は報告によりまちまちだが、この研究では8.9%で適切作動を認め、すべてEPSによりVT/VFが誘発された症例だった。

不適切作動は8.7%に認め、重大なICD関連合併症として認識しておかなければならない。

70歳以下の非虚血性心筋症では、ICDにより全死亡が減少する可能性

Age and Outcomes of Primary Prevention Implantable Cardioverter-Defibrillators in Patients With Nonischemic Systolic Heart Failure.
Circulation. 2017 Nov 7;136(19):1772-1780.

◇PICO
P:EF35%以下の非虚血性心筋症
I:薬物療法+ICD
C:薬物療法のみ
O:全死亡

inclusion criteria:一次予防、CAG・CT・核医学検査で虚血を除外した症例、NYHAⅡ-Ⅲ
exclusion criteria:慢性心房細動、安静時心拍数100bpm以上、末期腎不全

<デザイン、セッティング>
・DANISH試験の事前に定められたサブグループ解析
 グループ1:59歳未満
 グループ2:59−67歳
 グループ3:68歳以上
・1116例 
・観察期間:67.6ヶ月(中央値)
・COX比例ハザードモデル

<結果>
薬物療法群に対するICD群のハザード比は、70歳で1.0で、そこから1歳低下するごとに3%ハザード比低下。

◇まとめと感想
DANISH試験は、EF35%以下の非虚血性心筋症を対象とし、ICDの生命予後改善効果を検証した試験である。全死亡をprimary endpointとして検証されたが、ICD群と薬物療法群の生存率に差はなかった。

しかし、secondary endpointの心臓突然死ではICDによる有意な減少を認め、またサブグループ解析では年齢のみに交互作用を認めた。

このサブグループ解析をみると、>70歳での非突然死の割合が、心臓突然死に比べると大きいため、ICDによる心臓突然死予防効果が薄められてしまったようだ。一方、≦70歳では、全死亡のハザード比0.70と有意に生命予後を改善した。

ただ、年齢によるサブグループ解析は事前に設定されたとしてるが、当初のグループ(<59歳、59−68、>68歳)とは異なり、70歳をカットオフに設定している(論文中では、生存率が最大になるためと説明している)。年齢を引き上げ、ICDの適応を広げようとする意図を感じるのは、僕だけではないだろう。

非虚血性心疾患患者では、若年であればあるほど心臓突然死の割合が高いだろうし、その患者群に対するICDが生命予後を改善することも、理にかなっている。そして、高齢になればなるほど、非心臓突然死が増えるため、ICDの生命予後改善効果は薄まってしまう。どれくらいの年齢まで生命予後改善効果があるのかは、RCTをやらないとはっきりしないし、人種や国(医療制度)による違いもあるかもしれないが、現時点ではICDは非虚血性心筋症には効果が乏しく、特に70歳以上では必要ないと考えていいだろう。

カテーテルアブレーションは低心機能+心房細動の心機能を改善する

Catheter Ablation Versus Medical Rate control in Atrial Fibrillation and Systolic Dysfunction (CAMERA-MRI).
J Am Coll Cardiol. 2017 doi: 10.1016/j.jacc.2017.08.041. [Epub ahead of print]

◇この論文のPICOはなにか
P:NYHAⅡ以上で、EF≦45%の持続性心房細動
I:カテーテルアブレーション(CA)
C:薬物によるレートコントロールのみ
O:6ヶ月後のLVEFの変化率(CMRによる評価)

exclusion criteria:冠動脈疾患、心機能低下の原因となるような疾患、アブレーションやMRIの禁忌例

Procedure
薬物療法:安静時心拍数<80bpm、平均心拍数<110bpm、6分間歩行後の心拍数<120bpmを目標に薬の投与量を調整する。6ヶ月以内は原則CAは行わない。

CA:ランダム化から1ヶ月以内に肺静脈隔離術を行う。ワルファリン・ダビガトラン以外の抗凝固薬は術前に中止、また、アミオダロン以外の抗不整脈薬も術前に中止する。CA施行後にILRを植え込み、3ヶ月以内の症候性AFの再発や難治性AFがあれば、再度CAを施行する。

◇試験の概要
デザイン:RCT(オープンラベル)
地域:オーストラリアの3施設
登録期間:2013年9月3日〜2016年12月23日
観察期間:6ヶ月
必要症例数:total 40例(LVEF10%改善、CA成功率80%、power80%)
症例数:66例(各群33例ずつ)
追跡率:100%
解析:ITT解析
スポンサー:ILRは14%はSJM社から無償で提供されているが、試験デザイン・データ収集・解析・論文執筆には関わっていない。その他、企業の関与なし。

◇患者背景

(本文から引用)

パッと見、スピロノラクトンは差がありそうだが、群間差についての記載はない。

◇結果
CA群で、肺静脈隔離術は100%成功し、左房後壁隔離術は94%で試みられ、85%で成功した。

CA群では洞調律に復帰した患者で、6ヶ月後の心拍数が有意に低下した(安静時心拍数:62±10bpm vs 79±12bpm、平均心拍数:67±9.1bpm vs 86±14bpm、6分間歩行後の心拍数:92±24bpm vs 73±12bpm)

薬物療法群では、6ヶ月の時点で、安静時心拍数80±10bpm、6分間歩行後の心拍数86±17bpmと良好な心拍数を維持した。


(本文から引用)

LEVF、左房容積、NYHA分類、BNPが有意に改善。

▶︎LVEF
CA群:+18.3%、薬物療法群:+4.4%
CA群の58%が、薬物療法群の9%がLVEF≧50%に。


(本文から引用)

CMRでLGEがない場合は、よりLVEFの改善が期待できる。

▶︎有害事象
予期しない入院は、薬物療法群で4例(心不全2例、ICD移植術2例)あったが、CA群ではなかった。CAの手技に関連した合併症としては、鼠径部とILR植え込み部の輸血を必要とする出血が1例、術後肺炎が1例であった。

◇まとめと感想
心機能が低下した心不全において、心房細動に対するアブレーションが心機能を改善させるかについては、研究により結果はまちまちだが、改善してもLVEFの変化はせいぜい1ケタだった(1−2)。

この研究では、LVEFはbaseline時の31%から+18.3%と大きく改善し、それは薬物療法のみの場合と比較して有意な差を示した。また、LGEがない症例では、LVEFの改善は+22%と大きかった。

つまり、左室線維化がそれほど進んでいなければ、アブレーションにより心機能が改善する余地が大きいということだろう。LGEがない症例、あるいはあっても軽度の場合には、アブレーションによって生命予後も改善するかもしれないが、それはちょっと飛躍しすぎかな。今後に期待。

(1)J am coll cardiol 2013;61:1894-1903
(2)Circ Arrhythm Electrophysiol 2014;7:31-8

非虚血性心筋症でも遅延造影を認めれば、CRTPよりCRTDがbetter

Outcomes of Cardiac Resynchronization Therapy With or Without Defibrillation in Patients With Nonischemic Cardiomyopathy.
J Am Coll Cardiol. 2017 Sep 5;70(10):1216-1227.

◇この論文のPECOは?
P:非虚血性心筋症でCRT-PまたはCRT-Dを留置した患者
E:心臓MRIで中層に遅延造影あり
C:遅延造影なし
O:全死亡(心移植、VADの植え込みを含む)

inclusion criteria:CRT移植術前にCMRが施行されている、CRT移植術が成功した患者
exclusion criteria:陳旧性心筋梗塞、冠動脈血行再建の既往、肥大型心筋症、拘束性心筋症、原発性の弁膜症、サルコイドーシス、アミロイドーシス、心筋炎

<デザイン、セッティング>
・イギリス
・前向き
・2002年7月〜2017年1月
・252例(MWF+68例、MWF−184例)
・観察期間:MWF+群3.8年、MWF-群4.6年(中央値)
・COX比例ハザードモデル

<結果>

(本文から引用)

一年死亡率は、MVF+:12.8%、MVF-:6.86%


(本文から引用)

MVFは死亡率の増加と関連あり(ハザード比2.31)

心房細動やNYHA classⅣなども死亡率の増加と関連がある。

CRT-Dは死亡率の低下と関連あり(ハザード比0.33)。


(本文から引用)

MVF+だとCRT-Dで有意に生存率が高いが、MWF-ではそれが明らかではない。

MVF+でのCRT-Dのハザード比0.23(95%CI:0.07−0.75)

◇まとめと感想
DANISH試験では、非虚血性心筋症でICDにより心臓突然死(SCD)は有意に減少したが、全体としては生命予後の改善までは至らなかった。それは、非心臓死などによりSCDの抑制効果が薄められた結果で、若年に限るとICDの生命予後改善効果が示唆されていた。

虚血ならICD、非虚血ならCRTが生命予後改善に有効と考えられる。その非虚血でも、MVFがあればCRT-Dにより生命予後が改善する可能性を示唆したのが、この研究。観察研究であり、limitationはあるだろうが、MVF+とか若年ではDをつけるのはreasonableかもしれない。

院外心停止で難治性VFでは、冠動脈多枝病変・血栓性病変・CTOが多い

Coronary Artery Disease in Patients With Out-of-Hospital Refractory Ventricular Fibrillation Cardiac Arrest.
J Am Coll Cardiol. 2017 Aug 29;70(9):1109-1117.

◇概要
院外心停止、初期波形がVT/VFで、3回のDCとアミオダロン300mgでもROSCしない症例の、冠動脈疾患の有病率や病変の複雑性を調べた研究。

<ミネソタ大学難治性VF/VTプロトコール>
ACLSに準じたCPRを行う。カテラボ到着後、ETCO2<10%、Pa02<50mmHg、SpO2<85%、血清乳酸値>18mmol/Lのいずれかを満たす場合には、CPRを中止。いずれも満たさない場合で、ROSCすれば速やかにCAG/PCIを行い、ROSCしない場合は速やかにVA-ECMOを導入し、CAG/PCIを行う。90分間、電気的な自己心拍を維持できない場合は、死亡と判断する。

・前向きコホート研究
・62例(カテラボまでたどり着き、組み入れ基準を満たす症例)
  7/62例:死亡
  55/62例:カテラボ到着 うち5例がROSC 残り50例はVA-ECMO導入
  46/55例:PCI施行


(本文から引用)

84%が冠動脈疾患
多枝病変が多く、Syntax Score29と高め。
1/3がCTO
血栓性病変も多くを占める。


(本文から引用)

アメリカだから、救急要請からカテラボ到着まで、結構時間がかかっている。
生存例では、要請からEMS到着までの時間が短く、カテラボ到着までの時間も短め。
ETCO2が高く、乳酸が低く、循環不全の影響が少なめ。

脳機能カテゴリ(CPC)1と2の割合は42%で、historical comparison groupでは15.3%で、神経学転帰もよい(オッズ比4.0、95%CI:2.08−7.7)

ちなみに、CPC1は神経障害が軽く、日常生活・就労に問題がない状態。CPC2は神経障害があり、麻痺・失調・記銘力障害などがあるが日常生活は自立できており、保護された状態でパートタイムの仕事ならできるという状態。

◇まとめと感想
初期波形がVT/VFの院外心停止でROSCしない難治性の症例では、冠動脈疾患を有する可能性が高く、血栓性病変・多枝病変も多い。ROSCしない症例に対しては、迅速にVA-ECMOを導入することで、生存率・神経学的予後の改善するかもしれない。

心房細動+ステント留置後の抗血栓療法 ダビガトランなら150mg BIDの方がいい

Dual Antithrombotic Therapy with Dabigatran after PCI in Atrial Fibrillation.
N Engl J Med. 2017 Aug 27. doi: 10.1056/NEJMoa1708454. [Epub ahead of print]

◇この論文のPICOはなにか
P:非弁膜症性心房細動+冠動脈疾患(ステント留置後)
I:P2Y12阻害薬に、ダビガトラン110mg BID、または150mg BIDの追加
C:DAPT+ワーファリン
O:大出血、または臨床的に問題となる出血

secondary endpoint:心筋梗塞、脳梗塞、全身性塞栓症、予定していない血行再建

手順:非弁膜症性心房細動(発作性・持続性・慢性でもどれでもいいが二次性のものはダメ)で、ACSまたは安定狭心症でPCIが施行された患者が対象。ステントはDESでもBMSでもどちらを使用してもよく、PCI成功後120時間以内に登録し、3群に割り付ける。なお、米国以外の国の高齢者(≧70歳)は3剤併用群もしくは110mgBIDの2群に割り付け。VKA+DAPTの3剤併用期間は、BMSなら1ヶ月、DESなら3ヶ月で、アスピリンを中止する。P2Y12阻害薬は、いずれの群もクロピドグレルかチカグレロルを使用。

exclusion criteria:機械弁、生体弁、eGFR<30ml/minなど

◇試験の概要
デザイン:RCT(オープンラベル、非劣性試験)
地域:41ヶ国 414施設
登録期間:2014年7月21日〜2016年10月31日
観察期間:14ヶ月(中央値)
必要症例数:最初は8520例だったが、途中で2500例に変更(3剤併用群のイベント発生14%、非劣性マージン1.38)。血栓塞栓イベント(心筋梗塞、脳梗塞、全身性塞栓症、予定していない血行再建)は当初primary endpointに含められていたが、パワー不足のためsecondary endpointへ変更。
症例数:2725例
追跡率:99.8%
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与あり(ベーリンガーインゲルハイム社)。同社はデータ解析、論文の執筆にも関与している。

◇患者背景

(本文から引用)

両群間にちょっと差がありそうだが、統計学的な差については記載がない。

平均年齢70歳
CHA2DS2-VASc:3.8、HAS-BLED:2.8
ACS50%で、82%にDES留置
P2Y12阻害薬はクロピドグレルが88%
3剤併用群のワーファリンのTTRは64%

◇結果

(本文から引用)

出血はダビガトラン110mgBIDでも150mgBIDでも、有意に少ない。


(本文から引用)

しかし、心筋梗塞・ステント血栓症についてはダビガトランが良いとは決して言えない。110mgBIDでは統計学的な有意差はないが、多い傾向にある。

◇まとめと感想
ステント留置直後の非弁膜症性心房細動において、VKA+DAPTの3剤併用療法に比べ、ダビガトランとP2Y12阻害薬の2剤併用の方が、出血が少なかった。PIONEERーAF PCI試験でも同様だが、出血という点に関して言えば、VKA+DAPTよりもDOAC+P2Y12阻害薬が良い。

ただ、心筋梗塞・ステント血栓症については、ダビガトラン110mgBID+P2Y12阻害薬で多い傾向にある。心筋梗塞に関しては、もとのサンプルサイズでやっていれば、統計学的な有意差もついたかもしれない。ステント血栓症は数が少ないのでなんとも言えないが、この結果で110mgを使おうとは思わない。

その点、150mgBIDだとVKA+DAPTと比較した場合、血栓症・塞栓症に大きな差はないため、150mgBIDを使うという選択肢はありかもしれない。比較的若く腎機能がよいということが条件にはなるが。

透析患者の心房細動へのワーファリン

透析患者に心房細動が見つかった場合、抗凝固療法を行なった方がいいのか、控えるべきなのか、非常に悩ましい。

AFを有する透析患者を対象としたRCTは存在しない。観察研究の結果も一貫しているわけではなく、CHA2DS2-VASc≧2点ではワーファリンにより死亡率が低下するというデータはある。(1−2)。

ガイドラインをみてみると、AHAでは、CHA2DS2-VASc≧2点の透析患者へのワーファリン投与はreasonableとしているが、ESCでは明言を避けている(3−4)。

これは、韓国のレジストリーデータ。

Warfarin Use in Patients With Atrial Fibrillation Undergoing Hemodialysis: A Nationwide Population-Based Study.
Stroke. 2017 Aug 11.[Epub ahead of print]

◇この論文のPECOは?
P:心房細動を有する透析患者
E/C:ワーファリンの内服の有無(VKA群、non-user群)
O:急性心筋梗塞、虚血性脳梗塞、末梢血管疾患、出血性脳卒中、消化管出血

exclusion criteria:僧帽弁狭窄症、僧帽弁手術例

<デザイン、セッティング>
・韓国のレジストリー
・2009年1月1日〜2013年12月31日
・9974例(VKA群:2921例、non-user群:7053例)
・交絡因子の調整:プロペンシティスコア
・プロペンシティスコアがマッチしたのは2774例ずつ
・PT-INRの推移はわからない

<結果>

(本文から引用)

心筋梗塞、脳梗塞はワーファリンの使用の有無に関わらず同程度で、出血性脳卒中はVKA群で有意に多い。

出血性脳卒中 HR1.56(95%CI:1.10−2.22)


(本文から引用)

VKA群の方が出血性脳卒中が多いが、number at riskはnon-user群で減少が早い。


(本文から引用)

交互作用の統計学的解析はされていないが、見た目では一貫性がありそう。

◇感想
透析患者では、AFに対するワーファリンの使用は、出血性脳卒中を有意に増やしてしまうが、虚血性脳梗塞や心筋梗塞は減らせないという結果。以前、死亡リスクの減少が報告されたようなCHA2DS2-VAScのhigh scoreの患者でも、ワーファリンの有効性は乏しかった。

同じアジア人でのデータなので、日本人でも同様に、透析患者には抗凝固療法を控えるというのはreasonableかもしれない。

ただ、ワーファリンを処方するかどうかの選択バイアスが大きいことと、日本の透析患者は海外と比較すると予後が良いということは考慮に入れないといけない。

選択バイアスについては、Kaplan-Meierのnumber at riskをみると、non-user群の減少が大きい。イベントはVKA群の方が多いので、non-user群で死亡が多いということだろう(ロストフォローアップも含まれるが死亡の方が多いはず)。つまり、予後が短いことが予想される患者では、そもそもワーファリンが処方されないという選択バイアスを反映しているように思う。

あと日本人透析患者の予後が良さについては、DOPPS研究から示されている。生命予後が長いということは、それだけ出血リスクに晒されるわけで、上記のような選択バイアスがあればなおさら。

この研究では、PT-INRの推移やTTRはわからないので、そこがlimitation。

抗凝固療法をやるにしろ、やらないにしろ、慎重に。

(1)Circulation. 2014;129(11):1196-203.
(2)J Am Coll Cardiol. 2014;64(23):2471-82.
(3)Circulation. 2014;130:e199-e267
(4)Eur Heart J. 2016;37(38):2893-2962.

心血管疾患のない心房細動で、ワルファリンの心筋梗塞・脳梗塞予防効果はアスピリンに勝る

Antithrombotic Therapy and First Myocardial Infarction in Patients With Atrial Fibrillation.
J Am Coll Cardiol. 2017;69(24):2901-2909

◇この論文のPECOは?
P:心血管疾患の既往のない心房細動
E/C:ワルファリンのみ、アスピリンのみ、ワルファリン+アスピリンの併用の3群
O:心筋梗塞

secondary endpointは脳梗塞と出血。

<デザイン、セッティング>
・デンマークのレジストリーデータ
・71959例
・観察期間:4.1年(中央値)
・ポアソン回帰モデル

<患者背景>

(本文から引用)
ASA+VKA群で、心不全、高血圧、糖尿病などの冠危険因子が多い。
ASA単独群は、年齢が高く出血を危惧され、アスピリンを処方されているのか?

<結果>

(本文から引用)
脳梗塞はアスピリンよりワルファリンがいいに決まっているが、出血に関してはアスピリンとワルファリンで有意差がない。心筋梗塞はアスピリンよりワルファリンの方が、予防効果が高い。

アスピリンとワルファリンの併用は、アスピリン単剤より心筋梗塞、脳梗塞を抑えるが、出血は逆に増える。

◇感想
ワルファリンも心筋梗塞予防効果があるが、その効果がアスピリンより高く出血も増えていないのは意外な結果だった。デンマークのレジストリーデータなので、フォローアップ率も極めて高く、まさにリアルワールドのデータ。

PT-INRの値やTTRもわかればよかったけど、この研究では調べられていないのは残念。この比較にDOACが入ってくるとどうなるか気もなるところです。