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CHA2DS2-VAScスコア2点以上では、PVI後の抗凝固療法中止により脳梗塞リスクが上昇する可能性

Assessment of Use vs Discontinuation of Oral Anticoagulation After Pulmonary Vein Isolation in Patients With Atrial Fibrillation
JAMA Cardiol. Published online November 23, 2016.

《要約》
重要性
肺静脈隔離(PVI)は心房細動患者に対する推奨された治療だが、脳梗塞リスクの低下をもたらすかどうかは明らかではない。

目的
PVI後に抗凝固療法を中止した患者の割合とCHA2DS2-VSAcスコア、PVI後の脳梗塞の予測因子の同定、ガイドラインに基づく抗凝固療法の有無での心血管イベントリスクを評価すること。

デザイン・セッティング・患者
Swedish national health registriesを用いて、後ろ向きコホート研究を行なった。2006年1月1日から2012年12月31日のデータで、平均フォローアップ期間は2.6年、心房細動でPVIが施行された1585例が対象である。データ解析は2015年1月1日から2016年4月30日に行なわれた。

暴露
ワルファリン

アウトカム
虚血性脳梗塞、頭蓋内出血、死亡

結果
この集団は1585例で、男性が73.0%、年齢59±9.4歳、CHA2DS2-VAScスコア1.5±1.4だった。1585例のうち、1175例がPVI後1年以上フォローアップされた。360例は1年以内にワルファリンが中止された。CHA2DS2-VAScスコアが2点以上の患者のうち、ワルファリンを中止した患者では虚血性脳梗塞の発症リスクが、ワルファリンを継続した患者より高かった(5イベント/312年[1.6%/年]、4イベント/1192年[0.3%/年]、P=0.046)。CHA2DS2-VAScが2以上の患者や虚血性脳梗塞の既往がある患者では、ワルファリンが中止にあると虚血性脳梗塞の発症リスクが増加する(それぞれ、HR:4.6、95%CI:1.2−17.2、HR:13.7、95%CI:2.0−91.9)。

結論
これらの結果は、ハイリスクの患者、特に脳梗塞の既往がある患者において、PVI後にワルファリンを中止することは安全でないことを示唆している。

◇この論文のPECOは?
P:PVIを行なった心房細動患者
E/C:ワルファリンの中止、または継続
O:虚血性脳梗塞、頭蓋内出血、死亡

◇デザイン、対象、観察期間
・後ろ向き
・CHA2DS2-VAScスコア2点以上と脳梗塞の既往がある患者の脳梗塞リスクは、COX比例ハザードモデルを用いた。脳梗塞に関連した因子の算定には、ロジスティック回帰分析を行なった。
・1585例
・観察期間:平均2.6年

characteristics

◇結果
result

CHA2DS2-VAScスコアが0−1では、脳梗塞の発症率に差はなかった。

◇感想
CHA2DS2-VAScスコアが高ければ、内皮障害や繊維化が進んでいるし、心房細動の再発も起こりやすいと考えられるので、抗凝固療法を中止することで脳梗塞リスクが上昇するのは合点がいく。

PVI後3ヶ月は抗凝固療法を継続し、それ以降はCHA2DS2-VASc0−1なら、中止をしても脳梗塞のリスクは上昇しないかもしれない。

ステント留置後の心房細動 NOAC+SAPTでいいのか? PIONEER AF-PCI試験

Prevention of Bleeding in Patients with Atrial Fibrillation Undergoing PCI
N Engl J Med. 2016 Nov 14 [Epub ahead of print]

《要約》
背景
PCIを行いステントを留置した心房細動合併患者では、ワーファリン+DAPTの標準的抗血栓療法によって血栓症と脳梗塞のリスクは減少するが、出血のリスクは増大する。リバーロキサバン+SAPTもしくはリバーロキサバン+DAPTの有効性と安全性は明らかではない。

方法
PCIを行った非弁膜症性心房細動の患者2124例を、以下の3群に1:1:1に無作為に割り付けた。
グループ1)低容量リバーロキサバン(15mg/日)+P2Y12阻害薬を12ヶ月内服
グループ2)超低容量リバーロキサバン(2.5mg/日)+DAPTを1・6・12ヶ月内服
グループ3)ワルファリン+DAPTを1・6・12ヶ月内服。
主要安全性評価項目は臨床的に重大な出血(TIMI出血基準で大出血、小出血、治療を要する出血)である。

結果
臨床的に重大な出血の発症率は、リバーロキサバンを内服している2群で、標準的抗血栓療法より低かった(グループ1:16.8%、グループ2:18.0%、グループ3:26.7%、グループ1vs3のハザード比0.59:95%CI0.47−0.76、グループ2vs3のハザード比0.63;95%CI0.50−0.80)。心血管死、心筋梗塞、脳梗塞の発症率は3群で似通っていた(グループ1:6.5%、グループ2:5.6%、グループ3:6.0%、いずれの群間比較でもP値は有意ではなかった)。

結論
PCIでステントを留置した心房細動患者では、12ヶ月の低容量リバーロキサバン+P2Y12阻害薬の内服、1・6・12ヶ月の超低容量リバーロキサバン+DAPTは、1・6・12ヶ月のワルファリン+DAPTの標準的抗血栓療法と比較し、臨床的に重大な出血が少なかった。3群の有効性に差はなかったが、信頼区間の幅は広い。

◇この論文のPICOはなにか
P:PCIを行なった非弁膜症性心房細動患者
I/C:以下の3群に1:1:1に割り付け
グループ1)低容量リバーロキサバン(15mg/日)+P2Y12阻害薬を12ヶ月内服
グループ2)超低容量リバーロキサバン(2.5mg/日)+DAPTを1・6・12ヶ月内服
グループ3)ワルファリン+DAPTを1・6・12ヶ月内服。
O:TIMI出血基準での臨床的に重大な出血(大出血+小出血+治療を要する出血)

inclusion criteria:18歳以上、発作性・持続性・慢性の非弁膜症性心房細動、1年以内に心房細動がドキュメントされていること、1年以内に心房細動がドキュメントされていなくてもPCIの3ヶ月前から抗凝固療法を行なっている場合

exclusion criteria:脳梗塞/TIAの既往、12ヶ月以内の重大な消化管出血、CCr<30ml/min、原因不明の貧血(Hb<10g/dl)、その他出血リスクがある患者

手順:PCIのシースを抜去72時間後にPT-INR2.5未満であれば無作為化を行う。無作為化の前にDAPT期間と使用するP2Y12阻害薬(クロピドグレル/プラスグレル/チカグレロル)を決めておき、それに応じて層別化を行う。

◇baselineは同等か
characteristics
同等。平均70歳で、1/4が女性。ほとんどが白人。CCrは平均だと80ml/minぐらいで良いが、30−60ml/minも30%弱いる。ACSが半分。P2Y12阻害薬はほぼクロピドグレル。ステントは2/3がDESで、1/3がBMS。ワーファリンのTTRは65.0%とちょっと低め(治療域は2.0−3.0と設定)。CHA2DS2-VAScは平均で3−4ぐらい?

◇結果
地域:北米、南米、欧州など
登録期間:2013年3月〜2015年7月
観察期間:12ヶ月
無作為化:記載なし。
盲検化:オープンラベル。アウトカム評価者は盲検化されている。
必要症例数:記載なし。
症例数:2124例
追跡率:100%
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与あり(Janssen Scientific Affairs社、バイエル社)。リバーロキサバンは無料で提供。

kaplan-meier
DAPT+ワルファリンが有意に出血が多い。
secondary efficacy endpointは心血管死、心筋梗塞、脳梗塞の複合エンドポイントで、有意な差はなかった。

result
治療を要する出血(bleeding requiring medical attention)の定義がいまいちわからないけど、TIMI出血基準の小出血より軽度な出血のことらしい。大出血と小出血は、ワルファリン+DAPTが多い傾向だけど有意差はなくて、有意差がついているのは治療を要する出血という部分だけ。

result2
primary endpointの出血うんぬんより、個人的にはこっちの方が気になる。どれもイベント数が少なくて、有意な差はない。

◇批判的吟味
・primary endpointで有意差がついているが、その内訳をみると治療を要する出血(bleeding requiring medical attention)で有意差がついている。もちろん感覚的には納得できるが、これはソフトなエンドポイントであり、かつオープンラベルなので、バイアスが入るかもしれない。
・なぜ出血をprimary endpointにしているんだろう。梗塞+塞栓イベントをprimary endpointに設定して欲しかった。
・梗塞+塞栓イベントがsecondary outcomeに設定されているが、イベントの発生が少なくて本当に差があるのかどうかはわからない(3群とも同等と解釈してはいけない)。
・可能であれば、3−5年ぐらいの観察期間でsecondary outcomeがどうなっているか見てみたい。
・超低容量リバーロキサバン併用で塞栓イベントは増えないのか?
・日本だと低容量は10mg?、超低容量はどうすれば?
・ロストフォローアップはないが、どの群も20−30%で治療中断あり。

◇感想
PCIを行なった心房細動患者の抗血栓療法について結論はでていないが、WOEST試験の結果を踏まえて、抗血小板薬は単剤にしていることが多い(ACSなら最初は3剤)。それでもステント血栓症は経験してないので、抗血小板薬と抗凝固薬の2剤でいいんだろうなあという感触は持っています。

抗凝固薬はワルファリンじゃなくてNOACでいいのかわからないが、多くの場合にNOACを使っていると思われるし、自分もそうしている。このPIONEER AF-PCI試験は、NOAC+抗血小板薬でもいいのか検証した試験で、結果としてはワルファリン+DAPTよりも出血は有意に少なく、心血管死、心筋梗塞、脳梗塞は増えなかった。

それにしても、なんで出血がprimary endpointになっているんでしょうか。個人的には、むしろNOAC+抗血小板薬の2剤にすることで、梗塞や塞栓が増えないかが知りたかったので、secondary endpointに設定されている心血管死、心筋梗塞、脳梗塞を、primary endpointでやってほしかった。それだと、Nがでかくなりすぎるので難しいのでしょう。

あと、グループ2でATLAS ACS 2-TIMI51試験のレジメンを持ってきているが、この超低容量で塞栓イベントが増えないのかも気になる。

secondary endpointの心血管死、心筋梗塞、脳梗塞はイベント数が少なく、本当に差があるかどうかがわからない。これはもっと長い期間観察しないとわからないと思うので、3−5年のデータがでてくるといいなあと思いますが、1年以降の抗血栓療法をどのようにするかにもよるでしょう。

まあとりあえず、ルーチンで3剤飲まないといけないということはなさそうなので、今の感じの抗血栓療法(NOAC+P2Y12阻害薬の2剤で、ときどき3剤)でよさそうです。

高容量のカフェインを摂取しても、期外収縮は増えない

Short-term Effects of High-Dose Caffeine on Cardiac Arrhythmias in Patients With Heart FailureA Randomized Clinical Trial
JAMA Intern Med. Published online October 17, 2016.

《要約》
重要性
カフェインの催不整脈性については議論がある。心室性不整脈のリスクが高い左室収縮不全の心不全患者に対し、高容量のカフェインの効果を評価した研究はほとんどない。

目的
高容量カフェインとプラセボそれぞれの、安静時および運動負荷時の上室性・心室性不整脈の頻度を比較すること。

デザイン、セッティング、参加者
二重盲検、クロスオーバー、無作為化試験を3次医療の大学病院で行った。中等度から高度の収縮不全(EF<45%)で、NYHAⅠ-Ⅲの慢性心不全患者を組み入れた。

介入
デカフェのコーヒー100mlにカフェイン100mgまたはラクトースを加え、1杯1時間で、計5杯飲む。1週間のウォッシュアウト期間を設け、そのプロトコールを繰り返す。

アウトカム
連続心電図モニタリングで記録された、心室性期外収縮と上室性期外収縮の回数と割合。

結果
中等度から高度の収縮不全がありICDが植え込まれている患者51例を登録した(平均年齢60.6±10.9歳、男性37例)。心室性不整脈および上室性不整脈の回数は、両群間で有意差はなかった(心室性不整脈:185vs239beats P=0.47、上室性不整脈:6vs6beats P=0.44)。PVC2連、二段脈、非持続性心室頻拍(NSVT)も同様であった。運動負荷検査では、心室および上室性期外収縮、運動時間、推定最大酸素消費量、心拍数に対するカフェインの影響はなかった。血中カフェイン濃度が高い患者、低い患者、またはプラセボ群で心室性期外収縮に差はなかった(91vs223vs207beats)。

結論
高容量カフェインの急速摂取は、心室性不整脈のリスクが高い収縮不全の患者の不整脈を増加させない。

◇この論文のPICOはなにか
P:EF<45%の収縮不全を有するNYHAⅠ-Ⅲの心不全
I:カフェイン500mg/日の摂取(カフェイン群)
C:ラクトースの摂取(プラセボ群)
O:安静時および運動負荷時の心室性および上室性期外収縮

inclusion criteria:3ヶ月以内に施行した心エコーでEF<45%であること、安全のため試験開始初期(最初の25例まで)ではICDが植え込まれていることを必須とした、ICDが正常に機能していること
exclusion criteria:カフェインやラクトースを摂取できないこと、身体的または機能的に運動の制限がある、β遮断薬とアミオダロン以外の抗不整脈薬の使用、shockやATPを必要とする不整脈のエピソードが2ヶ月以内にあること、2ヶ月以内の心不全に関連した入院

手順:まず、7日間のカフェインのウォッシュアウト期間を設ける。ウォッシュアウト期間終了後、リサーチクリニックを訪れる。AM8時にリサーチクリニックに来院し、AM9時より連続心電図モニタリングと割り付けられたデカフェの摂取を開始する。PM1時に最後のデカフェの摂取を開始し、PM2時からトレッドミル検査を開始する。検査終了後に再度7日間のカフェインのウォッシュアウト期間を設け、クロスオーバーさせ、同様の介入を行う。

◇baselineは同等か
characteristics
クロスオーバー試験なので群間差はないが、カフェイン入りのデカフェを飲用している際に、2例が嘔気と頭痛があり、飲用を中止している。

◇結果
地域:ブラジル
登録期間:2013年3月5日〜2015年10月2日
無作為化:コンピュータプログラムによる無作為化を行っている。
盲検化:患者、治療介入者、アウトカム評価者、解析者はすべて盲検化されている。
必要症例数:47例(カフェイン摂取により心室性期外収縮が100beat増加する、power80%、αlevel0.05と仮定)
症例数:51例
追跡率:100%
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与なし

result

◇批判的吟味
・primary endpointに有意差はないが、必要症例数は満たしているため、カフェインで期外収縮は増えないと考えていいだろう。
・高容量のカフェインを急速に摂取した場合の影響をみたものであって、慢性的に摂取することの影響はわからない。
・臨床的なアウトカムがどうなるかはわからない(PVCが増えなくても臨床的なアウトカムは悪化するかもしれない)。

◇感想
動物実験でカフェインによる不整脈の増加が報告され、80−90年代に人でも心室性期外収縮が増えるかリサーチされたが、関連は見出せていない。Myersの報告では、OMIで300mgのカフェイン投与により心室性期外収縮が26%増えたと報告されたが、メタアナリシスでは、カフェインの摂取と心室性期外収縮の関連はなかった。

高容量のカフェインを急速に摂取しても、心室性および上室性期外収縮は増えないという結果で、過去のメタアナリシスと矛盾しない。カフェインの血圧上昇作用や利尿作用には注意は必要であるが、患者さんには特別カフェインの摂取は控えてもらってないし、この試験の結果からも、あえて控えてもらわなくてもよさそう。

ENSURE−AF試験 電気的除細動時の抗凝固療法はエドキサバンでもよい

Edoxaban versus enoxaparin–warfarin in patients undergoing cardioversion of atrial fibrillation (ENSURE-AF): a randomised, open-label, phase 3b trial
Lancet. 2016 Aug 26. [Epub ahead of print]

《要約》
背景
経口第Ⅹa因子阻害薬であるエドキサバンは、心房細動患者の脳梗塞と全身性塞栓症の予防において、良好にコントロールされたエノキサパリンーワルファリン療法に対し非劣性で、出血は少ない。また、電気的除細動施行時のエドキサバンの有効性に関するデータは少ない。

方法
多施設、前向き、無作為化、オープンラベル、エンドポイントの盲検化を行なった試験で、19カ国、239施設が参加した。電気的除細動を施行する非弁膜症性心房細動患者において、エドキサバン60mgとエノキサパリンーワルファリンを比較した。減量基準(CCr15−50ml/min、体重≦60kg、P糖蛋白阻害薬の使用)を1つ以上満たす場合には、エドキサバンは30mgに減量した。経食道心エコー(TEE)の有無、抗凝固療法の治療歴、エドキサバンの投与量、地域で層別化し、voice-web systemでプロック無作為化を行った。有効性主要評価項目は脳梗塞、全身性塞栓症、心筋梗塞、心血管死亡率の複合エンドポイントで、ITT解析を行った。安全性主要評価項目は大出血と臨床的に意義のある非大出血である。フォローアップは電気的除細動後28日間で、安全性の評価にはさらに30日間観察した。

結果
2014年3月14日から2015年10月28日までに2199例が登録され、エドキサバン(1095例)とエノキサパリンーワルファリン(1104例)の投与を受けた。平均年齢は64歳(SD10.54)、CHA2DS2−VAScスコアの平均値は2.6(SD1.4)、ワルファリンのTTRは70.8%(SD27.4)であった。有効性主要評価項目は、エドキサバン群で5例(<1%)、ワルファリン群で11例(1%)であった(OR:0.46、95%CI:0.12−1.43)。安全性主要評価項目はエドキサバン群16/1067例(1%)、ワルファリン群11/1082例であった(OR:1.48、95%CI:0.64−3.55)。結果はTEEと抗凝固療法の治療歴に依存した。

結論
ENSURE-AF試験は、非弁膜症性心房細動患者の電気的除細動施行時の抗凝固療法として、最も大きい前向き無作為化試験である。大出血、臨床的に意義のある非大出血、血栓塞栓症の発現率は両群で低値であった。

◯この論文のPICOはなにか
P:非弁膜症性心房細動で電気的除細動を行う患者
I:エドキサバンの内服
C:エノキサパリン及びワルファリンの内服
O:有効性主要評価項目は脳梗塞、全身性塞栓症、心筋梗塞、心血管死亡率の複合エンドポイント。安全性主要評価項目は大出血と臨床的に意義のある非大出血。

inclusion criteria:非弁膜症性心房細動、電気的除細動と抗凝固療法が予定されている患者、抗凝固療法あるいは抗血小板療法が以前もしくは現在行われている患者
exclusion criteria:本文には記載なし

手順:まず、TEEを行う患者群について。ワルファリン群は、無作為化の時点でPT−INRが2.0を超えていればエノキサパリンは使用せず、ワルファリンを継続する。PT−INRが2.0を超えていなければエノキサパリンとワルファリンの投与を開始し、PT−INRが2.0を超えた時点でエノキサパリンを中止する。PT−INRは2.0−3.0を目標とし、ワルファリンはカルディオバージョン後28日間継続する。エドキサバン群は、少なくとも電気的除細動の2時間前までに内服を開始し、電気的除細動後28日間継続する。
次に、TEEを行わない患者群について。TEEを行う患者群とほとんど変わらないが、電気的除細動前の抗凝固療法は少なくとも21日間は行う。

◯baselineは同等か
characteristics
群間差についての記載がないが、一見差はなさそう。平均年齢64歳と若めで、CHA2Ds2−VAScスコア2.6±1.4と中等度ぐらいの塞栓リスク。

◯結果
地域:欧州・米国の19カ国、239施設
登録期間:2014年3月25日〜2015年10月28日
観察期間:電気的除細動後28日間+内服中止後30日間
無作為化:TEEの有無、抗凝固療薬の使用歴、エドキサバンの用量、地域による層別化を行い、voice-web systemを用いてブロック無作為化を行う。
盲検化:患者、治療介入者、解析者は盲検化されていない(オープンラベル)。outcome評価者のみ盲検化。
必要症例数:2200例(ワルファリン群の脳梗塞及び全身性塞栓症が0.6%、power80%として0.2%の差異を検出するためには40000例が必要。実際には、点推定を用いるためサンプルサイズは2200例としている)
症例数:2199例(エドキサバン群1095例、ワルファリン群1104例)
追跡率:エドキサバン群1001/1095例(91.4%)、ワルファリン群969/1104例(87.8%)
解析:ITT解析
スポンサー:第一三共

result
エドキサバンのコンプライアンスは99%以上で、ワルファリン群のTTRは70.8%と概ね良い。

◯感想/批判的吟味
電気的除細動を行う心房細動患者の抗凝固療法は、エドキサバンでもワルファリンでも差がないという結果。これだけイベント率が低いので2200例ではパワー不足であり、これでエドキサバンとワルファリンの効果は同等としてよいのかわからない。ただ、NOACの今までのRCTのpost hoc解析や、リバーロキサバンのX−VeRT試験と同じ傾向であるし、感覚的にも別にNOACでいいよなぁという感じ。

心臓手術後の心房細動 レートコントロールでもリズムコントロールでも効果に差はない

Rate Control versus Rhythm Control for Atrial Fibrillation after Cardiac Surgery.
N Engl J Med. 2016 May 19;374(20):1911-1921

《要約》
背景
心臓手術後の心房細動は、死亡率や合併症の増加、入院期間の延長と関連がある。血行動態が安定した術後心房細動において、最善の初期治療戦略はレートコントールかリズムコントロールか議論が分かれる。

方法
新規発症の術後心房細動の患者を、レートコントロールとリズムコントロールに無作為に割り付けた。主要評価項目は無作為化以降の入院期間で、Wilcoxon rank-sum testによって評価した。

結果
術前に登録した2109例のうち695例(33.0%)に術後心房細動が起こった。その中で、523例が無作為化された。総入院日数はレートコントロール群とリズムコントロール群で変わらなかった(中央値はそれぞれ5.1日、5.0日、P=0.76)。死亡率、重大な有害事象(24.8/100人月 vs 26.4/100人月)、血栓塞栓症と出血イベントのいずれも有意差はなかった。両群で約25%が割り付けられた治療から逸脱した。主な原因は、レートコントロール群ではやくざいの効果不十分のため、リズムコントロール群ではアミオダロンの副作用のためである。60日後、30日にわたり心房細動のない安定した心拍リズムを維持できたのは、レートコントロール群では93.8%、リズムコントロール群では97.9%であった(P=0.02)。また、退院後から60日間、心房細動が見られなかったのは、レートコントロール群では84.2%、リズムコントロール群では86.9%であった(P=0.41)。

結論
術後心房細動のおいて、レートコントロールとリズムコントロールの治療戦略は、入院日数、合併症、心房細動の持続のいずれも同等であった。

◯この論文のPICOはなにか
P:心房細動の既往のない、血行動態の安定した心臓手術後の心房細動患者
I/C:レートコントロール、リズムコントロール
O:術後60日以内の入院日数

inclusion criteria:待機的心臓手術(冠動脈疾患、弁膜症)、心房細動が60分以上持続、術後7日以内の心房細動の再発
exclusion criteria:心房細動の既往

procedure:レートコントロール群では安静時心拍数100bpm未満を目標とする。レートコントロールで洞調律化しない場合、血行動態の改善や症状緩和に必要ならば、リズムコントロールを行う。リズムコントロール群ではアミオダロンを用い、24−48時間にわたり心房細動が持続するならカルディオバージョンを推奨する。アミオダロンは60日間継続することを推奨するが、アミオダロンに関連した有害事象(症候性徐脈、QTc>480msec、神経障害)があった場合は中止してもよい。心房細動が48時間以上持続する場合や、再発する場合はワルファリンによる抗凝固療法を開始する。

◯baselineは同等か
同等。心房細動のリスクになる高血圧や冠動脈疾患などの基礎疾患に群間差はなく、僧帽弁疾患も差はなさそう。術前の左房径についての記載はない。
characteristics

◯結果
地域:米国、カナダの23施設
登録期間:2014年5月〜2015年5月
観察期間:60日間
無作為化:方法についての記載はない
盲検化:記載なし
必要症例数:入院日数6.3日、両群間の入院日数の差は2.0日、power90%、αlevel0.05として、必要症例数は520例と算出
症例数:523例(レートコントロール群262例、リズムコントロール群261例)
追跡率:100%
解析:ITT解析
スポンサー:National Institutes of Health, Canadian Institutes of Health Research。企業の関与はない。

リズムコントロール群で62/261例(23.7%)、レートコントロール群で70/262例(26.7%)のクロスオーバーあり。

result

◯感想/批判的吟味
・baselineの左房径についても知りたい
・どこまで盲検化されているかわからない
・クロスオーバーが多い
・必要症例数に達しているが、primary endpointで有意差がないので、レートコントロールでもリズムコントロールでも効果に差はないと言える。

NOAC内服下の日本人心房細動患者の頭蓋内出血 ワルファリンより血腫拡大発生率や死亡率が低い

Intracranial Hemorrhage Caused by Non-Vitamin K Antagonist Oral Anticoagulants (NOACs)- Multicenter Retrospective Cohort Study in Japan.
Circ J. 2015;79(5):1018-23

《要約》
背景
非ビタミンK拮抗経口凝固薬(NOACs)を内服していた心房細動患者の頭蓋内出血の特徴を明らかにするため、多設後ろ向きコホート研究を行った。

方法・結果
NOACに関連した脳出血(出血量、血腫拡大、院内死亡率を含む)の臨床的な特徴を検証するため日本の脳卒中センター241施設に質問票を送った。我々のデータとワルファリンに関連した脳出血の臨床的特徴を比較するため、文献のレビューを行った。174施設(72.2%)から返信があり、67施設(38.5%)から130症例の匿名情報(男性67.7%、平均年齢77.3±8.3歳、院内死亡率11.5%)を得た。130症例のうち87症例が脳出血で、1/5で抗血小板薬を内服していた。そのNOACに関連した脳出血87例の中で血腫拡大の発生率と死亡率は、ワルファリンに関連した脳出血より低かった(17% vs 26%, 16% vs 35%)。

結論
我々の質問票に返信した脳卒中センターの半分以上は、NOACに関連した脳出血を経験していなかった。NOACsではワルファリンと比較し、脳出血の血腫拡大と死亡のリスクが低かった。

◯論文のPECOはなにか
P:NOAC内服中に脳出血を起こした患者
E/C:なし
O:血腫拡大、院内死亡率

◯結果
デザイン:後ろ向きコホート
期間:2001年1月〜2014年9月
地域:日本
症例数:130例(脳出血87例、硬膜下血腫30例、くも膜下出血6例、その他7例)
交絡因子の調整:なし

脳出血130例
CHADSスコア:3(中央値)
CKD:103例
抗血小板薬の併用:28例
プロトロンビン複合体製剤(PCC)の使用:13例
院内死亡:15(11.5%)

◯感想/批判的吟味
質問票に答えた症例のみを含めた後ろ向きのデータ。NOACによる頭蓋内出血は、出血が小さく予後が良いことを支持する内容ではある。

ワルファリンとの比較、NOAC間(ダビガトランとリバーロキサバン)の比較について、統計学的検討は行われていない。

日本人の非弁膜症性心房細動の脳梗塞発症率 CHADS2スコア0−1点ではそれほど高くない

Incidence of ischemic stroke in Japanese patients with atrial fibrillation not receiving anticoagulation therapy–pooled analysis of the Shinken Database, J-RHYTHM Registry, and Fushimi AF Registry.
Circ J. 2015;79(2):432-8.

《要約》
背景
日本人の非弁膜症性心房細動患者で、凝固療法を行っていない者の虚血性脳梗塞の発症率は明らかではない。

方法・結果
日本人の非弁膜症性心房細動患者3588例(心研データベース1099例、J−RHYTHMレジストリ1002例、伏見レジストリ1487例)のプール解析を行い、虚血性脳梗塞の発症率を調べた。平均年齢は68.1歳であった。フォローアップ期間中(5188人年、平均1.4年)、69例が虚血性脳梗塞を発症した(13.3/1000人年、95%CI:10.5−16.8)。虚血性脳梗塞の発症率はCHADS2スコアが低リスク(0点)、中リスク(1点)、高リスク(2点以上)でそれぞれ5.4、9.3、24.7/1000人年であり、CHA2DS2−VAScスコアでは5.3、5.5、18.4/1000人年であった。虚血性脳梗塞やTIAの既往(HR:3.25、95%CI:1.86−5.67)、75歳以上(HR:2.31、95%CI:1.18−4.52)、高血圧(HR:1.69、95%CI:1.01−2.86)が虚血性脳梗塞の独立した危険因子であった。

結論
CHADS2スコア2点以上を除くと、日本人の非弁膜斉唱心房細動患者の虚血性脳梗塞発症率は低い。このプル解析では、虚血性脳梗塞やTIAの既往、年齢、高血圧が独立した危険因子であると確認された。

◯論文のPECOはなにか
P:抗凝固療法を行っていない非弁膜症性心房細動
E/C:なし
O:虚血性脳梗塞発症率

◯結果
デザイン:心研データベース、J−RHYTHMレジストリ、伏見レジストリのプール解析
登録期間:J−RHYTHMレジストリ:2010年1月〜2010年7月、伏見レジストリ:2011年3月〜、心研データベース:2004年6月〜
フォローアップ期間:平均1.4年
地域:日本
症例数:3588例
outcome観察者のmasking:outcomeへの影響はない
交絡因子の調整:Cox比例解析

result

◯感想/批判的吟味
脳梗塞の既往、高血圧、75歳以上の患者では、より注意が必要。

CHADS2スコア、CHA2DS2−VAScスコアが0−1点の低〜中リスクの患者では、脳梗塞の発症率はそれほど高くないため、抗凝固療法のリスクの方が大きくなる可能性がある。

心原性脳梗塞の予測スコア ATRIA、CHADS2、CHA2DS2−VAScの比較

Comparative Performance of ATRIA, CHADS2, and CHA2DS2-VASc Risk Scores Predicting Stroke in Patients With Atrial Fibrillation: Results From a National Primary Care Database.
J Am Coll Cardiol. 2015 Oct 27;66(17):1851-9.

《要約》
背景
以前の報告では、CHADS2スコア、CHA2DS2−VAScスコアの識別能力は同程度である(C統計量〜0.6)。ATRIA(Anticoagulation and Risk Factors in Atrial Fibrillation)試験リスクスコアという、最近の臨床に基づいたリスクスコアが制作され、妥当性が認められている。

目標
この研究は、CHADS2、CHA2DS2−VASc、ATRIAの心房細動の抗凝固療法としての予測力とその効果を比較する。

方法
1998−2012年のthe Clinical Practice Research Datalink databaseから、ワルファリンを使用していない心房細動患者を組み入れた。患者は心房細動の診断から、虚血性脳梗塞の発生、ワルファリンの処方、死亡、研究の終了まで追跡された。虚血性脳梗塞の独立した予測因子を特定し、c−indexとnet reclassification improvementを算出する。

結果
心房細動60594例を組み入れた。脳梗塞の年間発症率は2.99%であった。中〜高リスクのイベント発生率は、CHA2DS2−VAScがATRIAやCHADS2より低かった。年齢と脳梗塞の既往が最も強力な脳梗塞の予測因子だった。C統計量はATRIAが0.70(95%CI:0.69−0.71)、CHADS2が0.68(95%CI:0.67−0.69)、CHA2DS2−VAScが0.68(95%CI:0.67−0.69)であった。ATRIAのCHA2DS2−VAScと比べたnet reclassification improvementは0.23(95%CI:0.22−0.25)であった。

結論
U.K.Clinical Practice Research Datalink AF cohortでは、ATRIAスコアはよくよく機能していた。CHA2DS2−VAScスコアでは高リスクに分類されていた患者を、より正確に低リスクに分類できていた。このような脳梗塞リスクの再分類は脳梗塞リスクが極めて低い患者への抗凝固薬の過剰投与を防ぐかもしれない。

◯論文のPECOはなにか
P:ワルファリンを投与していない心房細動
E/O:経過観察
O:虚血性脳梗塞(原因不明の脳梗塞を含む)

inclusion criteria:18歳以上
exclusion criteria:リウマチ性僧帽弁狭窄症、人工弁

ATRIAスコア
ATRIA

◯結果
地域:イギリス
デザイン:データベース(the Clinical Practice Research Datalink database)を用いた後ろ向きコホート研究
登録期間:1998年〜2012年
症例数:60594例
outcome観察者のmasking:Outcomeへの影響なし

propotion

event rate

◯感想/批判的吟味
CHA2DS2−VAScは0:low risk、1:moderate risk、2以上:high riskに分類され、1点以上で抗凝固療法が勧められているが、ATRIAでは意外とlow riskが多い。脳梗塞既往がなく65歳以下であれば、女性・糖尿病・心不全・高血圧・蛋白尿・eGFR<45のうち、リスクが2つ以下であればlow riskとなる。

そのような患者群では、抗凝固は行うべきではないのかもしれない。

PAC多発・PAC連発があり、かつCHA2DS2−VAScが高値なら、脳梗塞のリスクはAFと同等

Excessive Atrial Ectopy and Short Atrial Runs Increase the Risk of Stroke Beyond Incident Atrial Fibrillation.
J Am Coll Cardiol. 2015 Jul 21;66(3):232-41

《要約》
背景
虚血性脳梗塞の約30%は、原因がわからない。心房期外収縮(PAC)の増加は心房細動のリスクを増大させるが、PACが増加した患者の脳梗塞リスクは明らかではない。

目標
PACの多発やショートランが脳梗塞のリスクになるか検証した。

方法
コペンハーゲンホルター研究の15年間のフォローアップで、心血管疾患・脳梗塞・心房細動の既往がない55−75歳の患者678例が対象である。Excessive supraventricular ectopic activity(ESVEA)とは、1分間に30回以上のPAC、または20回以上のPACショートランと定義した。

結果
99例のESVEAを認めた。baselineのリスク因子で調整した後も、AFになった症例を除いた場合にはESVEAは虚血性脳梗塞と関連があった(HR1.96、 95%CI:1.10-3.49)。ESVEAを認め脳梗塞を発症した症例のうち、14.3%が脳梗塞の発症前にAFを認めた。ESVEAを認めCHA2DS2−VAScスコアが2点以上であった症例では、脳梗塞の発症率は2.4%/年であり、AFと同等のリスクであった。ESVEAは日による違いはなく一貫した所見であった。

結論
ESVEAは中高年において虚血性脳梗塞のリスクを増大させた。ESVEAを認める症例では、AFより先に脳梗塞を発症することが多い。

◯論文のPECOはなにか
P:55−75歳のコペンハーゲンの住民
E/C:48時間ホルター心電図検査にて、1分間に30回以上のPAC、またはPAC20回以上のショートラン
O:虚血性脳梗塞

inclusion criteria:心血管リスク因子・内服薬・既往歴などの質問票に答えた者、質問票のリスク因子を0−1有する者の60%、質問票のリスク因子を2つ以上有する者すべて
exclusion criteria:心房細動、発作性心房細動、虚血性心疾患、うっ血性心不全、弁膜症、先天性心疾患、今日師匠、脳梗塞、悪性腫瘍、その他生命を脅かす疾患

◯結果
デザイン:前向きコホート研究
登録期間:1998年4月〜2000年6月
フォローアップ期間:2013年までの最大15年
地域:コペンハーゲン(デンマーク)
症例数:678例
脱落:なし
outcome観察者のmasking:レジストリデータより抽出(maskingの有無は記載がないが、虚血性脳梗塞はCTもしくはMRIにて診断するため、影響は少ないだろう)
交絡因子の調整:Cox比例ハザードモデル

result

◯感想/批判的吟味
多発するPACはAFとも関連があるし、脳梗塞を起こす可能性も高くなる。ただ単に、AFがcuptureされていないだけかもしれないが、CHA2DS2−VAScスコア2点以上では、ESVEAはAFと同等の脳梗塞リスクがある。ただ、CHA2DS2−VAScが高いESVEAに抗凝固療法を行うかどうべきかは、さらなる検証が必要だろう。

BRIDGE試験のCORRESPONDENCE 心房細動に対する周術期のヘパリンブリッジ

Bridging Anticoagulation in Patients with Atrial Fibrillation
N Engl J Med 2016; 374:90-94

TO THE EDITOR
・無症候性脳梗塞については評価しておらず、それらは認知機能低下や精神障害につながる可能性がある。

・BRIDGE試験の対象は、CHADS2スコアの平均値は2.3と低かった。また、CHADS2スコア5と6の塞栓症のハイリスク患者は3%しかおらず、それらの患者の塞栓症の発症率は12−18%と出血リスクを上回っているため、ヘパリンブリッジが有益かもしれない。

・BRIDGE試験で行なわれている処置/手術は上部消化管内視鏡など出血リスクが低いもので、それらの処置はワルファリンを継続して行うことでコンセンサスが得られている。CHADS2スコアが高く、出血リスクも高い患者のデータが不足している。

・スクリーニングの過程で、主治医の判断によって544例が除外されている。それについてのさらなる情報が必要である。

・実臨床では、HAS−BLEDなどの出血予測スコアと実際の出血イベントの関連について情報が役立つだろう。

・非劣性マージンを相対リスクではなく、絶対リスクで1%と設定している。ブリッジ群での主要評価項目の発生は0.3%だったので、4.3倍(1.3%)の出血リスクを許容することになる。

THE AUTHORS REPLY
・無症候性脳梗塞を診断するためには、コストがかかり試験デザインの複雑性が増す。さらに、周術期の無症候性脳梗塞の発生率や臨床的意義については明らかではない。

・CHADS2スコアが5−6のもの3%しか含まれていないが、それらの塞栓症のハイリスク患者は実臨床でもまれである。

・主治医の判断によって除外された544例は、除外された症例の12%に過ぎない。

・周術期の出血イベントの予測因子や、HAS−BLEDなどの出血予測スコアの有効性について、現在検証中である。

・稀なイベントに対し相対リスクを使用することは、潜在的に問題がある。

◯感想
BRIDGE試験の対象となった症例には、CHADS2スコアが高い症例は多く含まれていない点には、やはり注意すべきだろう。むしろ、塞栓リスクが低い症例を対象としていたため、非劣性を証明できたのかもしれない。

CHADS2スコアが高い患者に関しては、ヘパリンブリッジが不要とは言えないし、有益(塞栓症リスクが出血リスクを上回る)である可能性もある。しかし、ヘパリンは出血を増やしてしまう可能性があるので(未分画ヘパリンならなおさら)、ヘパリンブリッジを行うかどうかは、出血リスクも考慮しなければならない。

そして、周術期の出血イベントの予測には、どのようなスコアを用いることが適切なのか現時点では明らかでなく、今後の検証が待たれる。