カテゴリー別アーカイブ: 不整脈

カテーテルアブレーションは低心機能+心房細動の心機能を改善する

Catheter Ablation Versus Medical Rate control in Atrial Fibrillation and Systolic Dysfunction (CAMERA-MRI).
J Am Coll Cardiol. 2017 doi: 10.1016/j.jacc.2017.08.041. [Epub ahead of print]

◇この論文のPICOはなにか
P:NYHAⅡ以上で、EF≦45%の持続性心房細動
I:カテーテルアブレーション(CA)
C:薬物によるレートコントロールのみ
O:6ヶ月後のLVEFの変化率(CMRによる評価)

exclusion criteria:冠動脈疾患、心機能低下の原因となるような疾患、アブレーションやMRIの禁忌例

Procedure
薬物療法:安静時心拍数<80bpm、平均心拍数<110bpm、6分間歩行後の心拍数<120bpmを目標に薬の投与量を調整する。6ヶ月以内は原則CAは行わない。

CA:ランダム化から1ヶ月以内に肺静脈隔離術を行う。ワルファリン・ダビガトラン以外の抗凝固薬は術前に中止、また、アミオダロン以外の抗不整脈薬も術前に中止する。CA施行後にILRを植え込み、3ヶ月以内の症候性AFの再発や難治性AFがあれば、再度CAを施行する。

◇試験の概要
デザイン:RCT(オープンラベル)
地域:オーストラリアの3施設
登録期間:2013年9月3日〜2016年12月23日
観察期間:6ヶ月
必要症例数:total 40例(LVEF10%改善、CA成功率80%、power80%)
症例数:66例(各群33例ずつ)
追跡率:100%
解析:ITT解析
スポンサー:ILRは14%はSJM社から無償で提供されているが、試験デザイン・データ収集・解析・論文執筆には関わっていない。その他、企業の関与なし。

◇患者背景

(本文から引用)

パッと見、スピロノラクトンは差がありそうだが、群間差についての記載はない。

◇結果
CA群で、肺静脈隔離術は100%成功し、左房後壁隔離術は94%で試みられ、85%で成功した。

CA群では洞調律に復帰した患者で、6ヶ月後の心拍数が有意に低下した(安静時心拍数:62±10bpm vs 79±12bpm、平均心拍数:67±9.1bpm vs 86±14bpm、6分間歩行後の心拍数:92±24bpm vs 73±12bpm)

薬物療法群では、6ヶ月の時点で、安静時心拍数80±10bpm、6分間歩行後の心拍数86±17bpmと良好な心拍数を維持した。


(本文から引用)

LEVF、左房容積、NYHA分類、BNPが有意に改善。

▶︎LVEF
CA群:+18.3%、薬物療法群:+4.4%
CA群の58%が、薬物療法群の9%がLVEF≧50%に。


(本文から引用)

CMRでLGEがない場合は、よりLVEFの改善が期待できる。

▶︎有害事象
予期しない入院は、薬物療法群で4例(心不全2例、ICD移植術2例)あったが、CA群ではなかった。CAの手技に関連した合併症としては、鼠径部とILR植え込み部の輸血を必要とする出血が1例、術後肺炎が1例であった。

◇まとめと感想
心機能が低下した心不全において、心房細動に対するアブレーションが心機能を改善させるかについては、研究により結果はまちまちだが、改善してもLVEFの変化はせいぜい1ケタだった(1−2)。

この研究では、LVEFはbaseline時の31%から+18.3%と大きく改善し、それは薬物療法のみの場合と比較して有意な差を示した。また、LGEがない症例では、LVEFの改善は+22%と大きかった。

つまり、左室線維化がそれほど進んでいなければ、アブレーションにより心機能が改善する余地が大きいということだろう。LGEがない症例、あるいはあっても軽度の場合には、アブレーションによって生命予後も改善するかもしれないが、それはちょっと飛躍しすぎかな。今後に期待。

(1)J am coll cardiol 2013;61:1894-1903
(2)Circ Arrhythm Electrophysiol 2014;7:31-8

非虚血性心筋症でも遅延造影を認めれば、CRTPよりCRTDがbetter

Outcomes of Cardiac Resynchronization Therapy With or Without Defibrillation in Patients With Nonischemic Cardiomyopathy.
J Am Coll Cardiol. 2017 Sep 5;70(10):1216-1227.

◇この論文のPECOは?
P:非虚血性心筋症でCRT-PまたはCRT-Dを留置した患者
E:心臓MRIで中層に遅延造影あり
C:遅延造影なし
O:全死亡(心移植、VADの植え込みを含む)

inclusion criteria:CRT移植術前にCMRが施行されている、CRT移植術が成功した患者
exclusion criteria:陳旧性心筋梗塞、冠動脈血行再建の既往、肥大型心筋症、拘束性心筋症、原発性の弁膜症、サルコイドーシス、アミロイドーシス、心筋炎

<デザイン、セッティング>
・イギリス
・前向き
・2002年7月〜2017年1月
・252例(MWF+68例、MWF−184例)
・観察期間:MWF+群3.8年、MWF-群4.6年(中央値)
・COX比例ハザードモデル

<結果>

(本文から引用)

一年死亡率は、MVF+:12.8%、MVF-:6.86%


(本文から引用)

MVFは死亡率の増加と関連あり(ハザード比2.31)

心房細動やNYHA classⅣなども死亡率の増加と関連がある。

CRT-Dは死亡率の低下と関連あり(ハザード比0.33)。


(本文から引用)

MVF+だとCRT-Dで有意に生存率が高いが、MWF-ではそれが明らかではない。

MVF+でのCRT-Dのハザード比0.23(95%CI:0.07−0.75)

◇まとめと感想
DANISH試験では、非虚血性心筋症でICDにより心臓突然死(SCD)は有意に減少したが、全体としては生命予後の改善までは至らなかった。それは、非心臓死などによりSCDの抑制効果が薄められた結果で、若年に限るとICDの生命予後改善効果が示唆されていた。

虚血ならICD、非虚血ならCRTが生命予後改善に有効と考えられる。その非虚血でも、MVFがあればCRT-Dにより生命予後が改善する可能性を示唆したのが、この研究。観察研究であり、limitationはあるだろうが、MVF+とか若年ではDをつけるのはreasonableかもしれない。

院外心停止で難治性VFでは、冠動脈多枝病変・血栓性病変・CTOが多い

Coronary Artery Disease in Patients With Out-of-Hospital Refractory Ventricular Fibrillation Cardiac Arrest.
J Am Coll Cardiol. 2017 Aug 29;70(9):1109-1117.

◇概要
院外心停止、初期波形がVT/VFで、3回のDCとアミオダロン300mgでもROSCしない症例の、冠動脈疾患の有病率や病変の複雑性を調べた研究。

<ミネソタ大学難治性VF/VTプロトコール>
ACLSに準じたCPRを行う。カテラボ到着後、ETCO2<10%、Pa02<50mmHg、SpO2<85%、血清乳酸値>18mmol/Lのいずれかを満たす場合には、CPRを中止。いずれも満たさない場合で、ROSCすれば速やかにCAG/PCIを行い、ROSCしない場合は速やかにVA-ECMOを導入し、CAG/PCIを行う。90分間、電気的な自己心拍を維持できない場合は、死亡と判断する。

・前向きコホート研究
・62例(カテラボまでたどり着き、組み入れ基準を満たす症例)
  7/62例:死亡
  55/62例:カテラボ到着 うち5例がROSC 残り50例はVA-ECMO導入
  46/55例:PCI施行


(本文から引用)

84%が冠動脈疾患
多枝病変が多く、Syntax Score29と高め。
1/3がCTO
血栓性病変も多くを占める。


(本文から引用)

アメリカだから、救急要請からカテラボ到着まで、結構時間がかかっている。
生存例では、要請からEMS到着までの時間が短く、カテラボ到着までの時間も短め。
ETCO2が高く、乳酸が低く、循環不全の影響が少なめ。

脳機能カテゴリ(CPC)1と2の割合は42%で、historical comparison groupでは15.3%で、神経学転帰もよい(オッズ比4.0、95%CI:2.08−7.7)

ちなみに、CPC1は神経障害が軽く、日常生活・就労に問題がない状態。CPC2は神経障害があり、麻痺・失調・記銘力障害などがあるが日常生活は自立できており、保護された状態でパートタイムの仕事ならできるという状態。

◇まとめと感想
初期波形がVT/VFの院外心停止でROSCしない難治性の症例では、冠動脈疾患を有する可能性が高く、血栓性病変・多枝病変も多い。ROSCしない症例に対しては、迅速にVA-ECMOを導入することで、生存率・神経学的予後の改善するかもしれない。

心房細動+ステント留置後の抗血栓療法 ダビガトランなら150mg BIDの方がいい

Dual Antithrombotic Therapy with Dabigatran after PCI in Atrial Fibrillation.
N Engl J Med. 2017 Aug 27. doi: 10.1056/NEJMoa1708454. [Epub ahead of print]

◇この論文のPICOはなにか
P:非弁膜症性心房細動+冠動脈疾患(ステント留置後)
I:P2Y12阻害薬に、ダビガトラン110mg BID、または150mg BIDの追加
C:DAPT+ワーファリン
O:大出血、または臨床的に問題となる出血

secondary endpoint:心筋梗塞、脳梗塞、全身性塞栓症、予定していない血行再建

手順:非弁膜症性心房細動(発作性・持続性・慢性でもどれでもいいが二次性のものはダメ)で、ACSまたは安定狭心症でPCIが施行された患者が対象。ステントはDESでもBMSでもどちらを使用してもよく、PCI成功後120時間以内に登録し、3群に割り付ける。なお、米国以外の国の高齢者(≧70歳)は3剤併用群もしくは110mgBIDの2群に割り付け。VKA+DAPTの3剤併用期間は、BMSなら1ヶ月、DESなら3ヶ月で、アスピリンを中止する。P2Y12阻害薬は、いずれの群もクロピドグレルかチカグレロルを使用。

exclusion criteria:機械弁、生体弁、eGFR<30ml/minなど

◇試験の概要
デザイン:RCT(オープンラベル、非劣性試験)
地域:41ヶ国 414施設
登録期間:2014年7月21日〜2016年10月31日
観察期間:14ヶ月(中央値)
必要症例数:最初は8520例だったが、途中で2500例に変更(3剤併用群のイベント発生14%、非劣性マージン1.38)。血栓塞栓イベント(心筋梗塞、脳梗塞、全身性塞栓症、予定していない血行再建)は当初primary endpointに含められていたが、パワー不足のためsecondary endpointへ変更。
症例数:2725例
追跡率:99.8%
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与あり(ベーリンガーインゲルハイム社)。同社はデータ解析、論文の執筆にも関与している。

◇患者背景

(本文から引用)

両群間にちょっと差がありそうだが、統計学的な差については記載がない。

平均年齢70歳
CHA2DS2-VASc:3.8、HAS-BLED:2.8
ACS50%で、82%にDES留置
P2Y12阻害薬はクロピドグレルが88%
3剤併用群のワーファリンのTTRは64%

◇結果

(本文から引用)

出血はダビガトラン110mgBIDでも150mgBIDでも、有意に少ない。


(本文から引用)

しかし、心筋梗塞・ステント血栓症についてはダビガトランが良いとは決して言えない。110mgBIDでは統計学的な有意差はないが、多い傾向にある。

◇まとめと感想
ステント留置直後の非弁膜症性心房細動において、VKA+DAPTの3剤併用療法に比べ、ダビガトランとP2Y12阻害薬の2剤併用の方が、出血が少なかった。PIONEERーAF PCI試験でも同様だが、出血という点に関して言えば、VKA+DAPTよりもDOAC+P2Y12阻害薬が良い。

ただ、心筋梗塞・ステント血栓症については、ダビガトラン110mgBID+P2Y12阻害薬で多い傾向にある。心筋梗塞に関しては、もとのサンプルサイズでやっていれば、統計学的な有意差もついたかもしれない。ステント血栓症は数が少ないのでなんとも言えないが、この結果で110mgを使おうとは思わない。

その点、150mgBIDだとVKA+DAPTと比較した場合、血栓症・塞栓症に大きな差はないため、150mgBIDを使うという選択肢はありかもしれない。比較的若く腎機能がよいということが条件にはなるが。

透析患者の心房細動へのワーファリン

透析患者に心房細動が見つかった場合、抗凝固療法を行なった方がいいのか、控えるべきなのか、非常に悩ましい。

AFを有する透析患者を対象としたRCTは存在しない。観察研究の結果も一貫しているわけではなく、CHA2DS2-VASc≧2点ではワーファリンにより死亡率が低下するというデータはある。(1−2)。

ガイドラインをみてみると、AHAでは、CHA2DS2-VASc≧2点の透析患者へのワーファリン投与はreasonableとしているが、ESCでは明言を避けている(3−4)。

これは、韓国のレジストリーデータ。

Warfarin Use in Patients With Atrial Fibrillation Undergoing Hemodialysis: A Nationwide Population-Based Study.
Stroke. 2017 Aug 11.[Epub ahead of print]

◇この論文のPECOは?
P:心房細動を有する透析患者
E/C:ワーファリンの内服の有無(VKA群、non-user群)
O:急性心筋梗塞、虚血性脳梗塞、末梢血管疾患、出血性脳卒中、消化管出血

exclusion criteria:僧帽弁狭窄症、僧帽弁手術例

<デザイン、セッティング>
・韓国のレジストリー
・2009年1月1日〜2013年12月31日
・9974例(VKA群:2921例、non-user群:7053例)
・交絡因子の調整:プロペンシティスコア
・プロペンシティスコアがマッチしたのは2774例ずつ
・PT-INRの推移はわからない

<結果>

(本文から引用)

心筋梗塞、脳梗塞はワーファリンの使用の有無に関わらず同程度で、出血性脳卒中はVKA群で有意に多い。

出血性脳卒中 HR1.56(95%CI:1.10−2.22)


(本文から引用)

VKA群の方が出血性脳卒中が多いが、number at riskはnon-user群で減少が早い。


(本文から引用)

交互作用の統計学的解析はされていないが、見た目では一貫性がありそう。

◇感想
透析患者では、AFに対するワーファリンの使用は、出血性脳卒中を有意に増やしてしまうが、虚血性脳梗塞や心筋梗塞は減らせないという結果。以前、死亡リスクの減少が報告されたようなCHA2DS2-VAScのhigh scoreの患者でも、ワーファリンの有効性は乏しかった。

同じアジア人でのデータなので、日本人でも同様に、透析患者には抗凝固療法を控えるというのはreasonableかもしれない。

ただ、ワーファリンを処方するかどうかの選択バイアスが大きいことと、日本の透析患者は海外と比較すると予後が良いということは考慮に入れないといけない。

選択バイアスについては、Kaplan-Meierのnumber at riskをみると、non-user群の減少が大きい。イベントはVKA群の方が多いので、non-user群で死亡が多いということだろう(ロストフォローアップも含まれるが死亡の方が多いはず)。つまり、予後が短いことが予想される患者では、そもそもワーファリンが処方されないという選択バイアスを反映しているように思う。

あと日本人透析患者の予後が良さについては、DOPPS研究から示されている。生命予後が長いということは、それだけ出血リスクに晒されるわけで、上記のような選択バイアスがあればなおさら。

この研究では、PT-INRの推移やTTRはわからないので、そこがlimitation。

抗凝固療法をやるにしろ、やらないにしろ、慎重に。

(1)Circulation. 2014;129(11):1196-203.
(2)J Am Coll Cardiol. 2014;64(23):2471-82.
(3)Circulation. 2014;130:e199-e267
(4)Eur Heart J. 2016;37(38):2893-2962.

心血管疾患のない心房細動で、ワルファリンの心筋梗塞・脳梗塞予防効果はアスピリンに勝る

Antithrombotic Therapy and First Myocardial Infarction in Patients With Atrial Fibrillation.
J Am Coll Cardiol. 2017;69(24):2901-2909

◇この論文のPECOは?
P:心血管疾患の既往のない心房細動
E/C:ワルファリンのみ、アスピリンのみ、ワルファリン+アスピリンの併用の3群
O:心筋梗塞

secondary endpointは脳梗塞と出血。

<デザイン、セッティング>
・デンマークのレジストリーデータ
・71959例
・観察期間:4.1年(中央値)
・ポアソン回帰モデル

<患者背景>

(本文から引用)
ASA+VKA群で、心不全、高血圧、糖尿病などの冠危険因子が多い。
ASA単独群は、年齢が高く出血を危惧され、アスピリンを処方されているのか?

<結果>

(本文から引用)
脳梗塞はアスピリンよりワルファリンがいいに決まっているが、出血に関してはアスピリンとワルファリンで有意差がない。心筋梗塞はアスピリンよりワルファリンの方が、予防効果が高い。

アスピリンとワルファリンの併用は、アスピリン単剤より心筋梗塞、脳梗塞を抑えるが、出血は逆に増える。

◇感想
ワルファリンも心筋梗塞予防効果があるが、その効果がアスピリンより高く出血も増えていないのは意外な結果だった。デンマークのレジストリーデータなので、フォローアップ率も極めて高く、まさにリアルワールドのデータ。

PT-INRの値やTTRもわかればよかったけど、この研究では調べられていないのは残念。この比較にDOACが入ってくるとどうなるか気もなるところです。

MRI非対応デバイス(ペースメーカ、ICD)でのMRI撮像

Assessing the Risks Associated with MRI in Patients with a Pacemaker or Defibrillator
N Engl J Med 2017; 376:755-764

◇論文の概要
心臓植込み型電気的デバイス(ペースメーカやICD)はMRIは禁忌とされてきた。MRI非対応のペースメーカやICDで、MRI(1.5T)を撮像することの影響を調べた前向き研究。

MRI撮像の前に設定の変更を行い、終わったら元に戻す。
・ペースメーカの場合
無症候または自己脈≧40/minなら、no-pacing mode(ODO、OVO=ペーシングせず、センスのみ)
症候性または自己脈<40/minなら、asynchronous pacing mode(DOO、VOO=自己脈に関係なく設定されたレートでペーシングし続けるモード)

・ICDの場合
ペーシングに依存していない患者なら、徐脈・頻脈に対する治療のすべてを解除する。
ペーシングに依存している患者は、MRIの撮像はしない。

MRIの撮像が終わったら、もとの設定に戻す。
 
アウトカムは、死亡、交換を要するジェネレータまたはリード不全、ペーシング不全、新規の不整脈、ジェネレータの電気的なリセット

MRI撮像回数
ペースメーカ:1000回
ICD:500回


ペースメーカ依存の患者は28%、撮像時間は40分ちょっと、1回以上撮像している患者はおよそ20%、撮像部位は頭・首・腰が多い。


ICDで1件、ジェネレータ不全のため交換が必要になっている。


ジェネレータやリードの不全とまではいかなくても、ジェレネータやリードには多少影響はある。

◇感想
今までも少数の報告や、胸部MRIを含めた500例ぐらいの報告はあったよう。MRI非対応のペースメーカやICDが留置されている患者で、1.5TのMRIで非胸部の撮像なら、比較的安全に施行できる可能性を示唆している。

発作性心房細動は永続性心房細動より脳梗塞・全身性塞栓症が少ない ENGAGE AF試験より

Stroke and Mortality Risk in Patients With Various Patterns of Atrial Fibrillation
Circ Arrhythm Electrophysiol. 2017;10:e004267.

◇論文の概要
<背景>
心房細動(AF)のパターンで抗凝固療法のリスクとベネフィットが変わるかは、議論がある。ENGAGE AF-TIMI48試験では、第Xa因子阻害薬のエドキサバンが脳梗塞と全身性塞栓症の予防においてワーファリンに対し非劣性で、出血と心臓血管死を有意に減少させた。しかし、AFのパターンによる詳細な解析は報告していない。

<方法と結果>
21105例を、登録時のデータをもとに発作性心房細動(>7日)、持続性心房細動(7日-1年未満)、永続性心房細動(≧1年)に分類した。2.8年間(中央値)のフォローアップで有効性と安全性のアウトカムを評価した。主要評価項目である脳梗塞と全身性塞栓症は、持続性心房細動(1.83%/年、P-adj=0.015)や永続性心房細動(1.95%/年、P-adj=0.004)より、発作性心房細動では低かった(1.49%/年)。全死亡も、持続性心房細動(4.4%/年、P-adj<0.001)や永続性心房細動(4.4%/年、P-adj<0.001)より、発作性心房細動では低かった(3.0%/年)。年間の大出血発症率は、すべての心房細動で同程度であった(発作性vs持続性vs永続性:2.86%vs2.65%vs2.73%)。治療薬による効果修飾はなかった。



いずれも本文から引用

<結論>
ENGAGE AF-TIMI48試験では、発作性心房細動は持続性あるいは永続性心房細動と比べ、塞栓症と死亡が少なかった。エドキサバンと有効性・安全性のプロファイルは、3つのパターンの心房細動で一貫していた。

◇感想
1980年代のいくつかの観察研究では、発作性心房細動は永続性よりも塞栓症が少ないと報告されていた。しかし、2000年に発作性心房細動460例と持続性と永続性心房細動1552例を比較したSPAF試験で、差がないことが報告された。

最近になって、SPORTIF、ARISTOTLE、ROCKET-AF、ACTIVE-A、AVERROESなどの試験で、やはり発作性心房細動の方が塞栓症は少ないということが報告されている。

心房細動が永続的なものになる過程として、内皮障害、繊維化、左房拡大が進んでいくなら、やはり発作性心房細動の方が永続性心房細動より塞栓症が少ないというのは、合点がいきます。

CHA2DS2-VAScスコア2点以上では、PVI後の抗凝固療法中止により脳梗塞リスクが上昇する可能性

Assessment of Use vs Discontinuation of Oral Anticoagulation After Pulmonary Vein Isolation in Patients With Atrial Fibrillation
JAMA Cardiol. Published online November 23, 2016.

《要約》
重要性
肺静脈隔離(PVI)は心房細動患者に対する推奨された治療だが、脳梗塞リスクの低下をもたらすかどうかは明らかではない。

目的
PVI後に抗凝固療法を中止した患者の割合とCHA2DS2-VSAcスコア、PVI後の脳梗塞の予測因子の同定、ガイドラインに基づく抗凝固療法の有無での心血管イベントリスクを評価すること。

デザイン・セッティング・患者
Swedish national health registriesを用いて、後ろ向きコホート研究を行なった。2006年1月1日から2012年12月31日のデータで、平均フォローアップ期間は2.6年、心房細動でPVIが施行された1585例が対象である。データ解析は2015年1月1日から2016年4月30日に行なわれた。

暴露
ワルファリン

アウトカム
虚血性脳梗塞、頭蓋内出血、死亡

結果
この集団は1585例で、男性が73.0%、年齢59±9.4歳、CHA2DS2-VAScスコア1.5±1.4だった。1585例のうち、1175例がPVI後1年以上フォローアップされた。360例は1年以内にワルファリンが中止された。CHA2DS2-VAScスコアが2点以上の患者のうち、ワルファリンを中止した患者では虚血性脳梗塞の発症リスクが、ワルファリンを継続した患者より高かった(5イベント/312年[1.6%/年]、4イベント/1192年[0.3%/年]、P=0.046)。CHA2DS2-VAScが2以上の患者や虚血性脳梗塞の既往がある患者では、ワルファリンが中止にあると虚血性脳梗塞の発症リスクが増加する(それぞれ、HR:4.6、95%CI:1.2−17.2、HR:13.7、95%CI:2.0−91.9)。

結論
これらの結果は、ハイリスクの患者、特に脳梗塞の既往がある患者において、PVI後にワルファリンを中止することは安全でないことを示唆している。

◇この論文のPECOは?
P:PVIを行なった心房細動患者
E/C:ワルファリンの中止、または継続
O:虚血性脳梗塞、頭蓋内出血、死亡

◇デザイン、対象、観察期間
・後ろ向き
・CHA2DS2-VAScスコア2点以上と脳梗塞の既往がある患者の脳梗塞リスクは、COX比例ハザードモデルを用いた。脳梗塞に関連した因子の算定には、ロジスティック回帰分析を行なった。
・1585例
・観察期間:平均2.6年

characteristics

◇結果
result

CHA2DS2-VAScスコアが0−1では、脳梗塞の発症率に差はなかった。

◇感想
CHA2DS2-VAScスコアが高ければ、内皮障害や繊維化が進んでいるし、心房細動の再発も起こりやすいと考えられるので、抗凝固療法を中止することで脳梗塞リスクが上昇するのは合点がいく。

PVI後3ヶ月は抗凝固療法を継続し、それ以降はCHA2DS2-VASc0−1なら、中止をしても脳梗塞のリスクは上昇しないかもしれない。

ステント留置後の心房細動 NOAC+SAPTでいいのか? PIONEER AF-PCI試験

Prevention of Bleeding in Patients with Atrial Fibrillation Undergoing PCI
N Engl J Med. 2016 Nov 14 [Epub ahead of print]

《要約》
背景
PCIを行いステントを留置した心房細動合併患者では、ワーファリン+DAPTの標準的抗血栓療法によって血栓症と脳梗塞のリスクは減少するが、出血のリスクは増大する。リバーロキサバン+SAPTもしくはリバーロキサバン+DAPTの有効性と安全性は明らかではない。

方法
PCIを行った非弁膜症性心房細動の患者2124例を、以下の3群に1:1:1に無作為に割り付けた。
グループ1)低容量リバーロキサバン(15mg/日)+P2Y12阻害薬を12ヶ月内服
グループ2)超低容量リバーロキサバン(2.5mg/日)+DAPTを1・6・12ヶ月内服
グループ3)ワルファリン+DAPTを1・6・12ヶ月内服。
主要安全性評価項目は臨床的に重大な出血(TIMI出血基準で大出血、小出血、治療を要する出血)である。

結果
臨床的に重大な出血の発症率は、リバーロキサバンを内服している2群で、標準的抗血栓療法より低かった(グループ1:16.8%、グループ2:18.0%、グループ3:26.7%、グループ1vs3のハザード比0.59:95%CI0.47−0.76、グループ2vs3のハザード比0.63;95%CI0.50−0.80)。心血管死、心筋梗塞、脳梗塞の発症率は3群で似通っていた(グループ1:6.5%、グループ2:5.6%、グループ3:6.0%、いずれの群間比較でもP値は有意ではなかった)。

結論
PCIでステントを留置した心房細動患者では、12ヶ月の低容量リバーロキサバン+P2Y12阻害薬の内服、1・6・12ヶ月の超低容量リバーロキサバン+DAPTは、1・6・12ヶ月のワルファリン+DAPTの標準的抗血栓療法と比較し、臨床的に重大な出血が少なかった。3群の有効性に差はなかったが、信頼区間の幅は広い。

◇この論文のPICOはなにか
P:PCIを行なった非弁膜症性心房細動患者
I/C:以下の3群に1:1:1に割り付け
グループ1)低容量リバーロキサバン(15mg/日)+P2Y12阻害薬を12ヶ月内服
グループ2)超低容量リバーロキサバン(2.5mg/日)+DAPTを1・6・12ヶ月内服
グループ3)ワルファリン+DAPTを1・6・12ヶ月内服。
O:TIMI出血基準での臨床的に重大な出血(大出血+小出血+治療を要する出血)

inclusion criteria:18歳以上、発作性・持続性・慢性の非弁膜症性心房細動、1年以内に心房細動がドキュメントされていること、1年以内に心房細動がドキュメントされていなくてもPCIの3ヶ月前から抗凝固療法を行なっている場合

exclusion criteria:脳梗塞/TIAの既往、12ヶ月以内の重大な消化管出血、CCr<30ml/min、原因不明の貧血(Hb<10g/dl)、その他出血リスクがある患者

手順:PCIのシースを抜去72時間後にPT-INR2.5未満であれば無作為化を行う。無作為化の前にDAPT期間と使用するP2Y12阻害薬(クロピドグレル/プラスグレル/チカグレロル)を決めておき、それに応じて層別化を行う。

◇baselineは同等か
characteristics
同等。平均70歳で、1/4が女性。ほとんどが白人。CCrは平均だと80ml/minぐらいで良いが、30−60ml/minも30%弱いる。ACSが半分。P2Y12阻害薬はほぼクロピドグレル。ステントは2/3がDESで、1/3がBMS。ワーファリンのTTRは65.0%とちょっと低め(治療域は2.0−3.0と設定)。CHA2DS2-VAScは平均で3−4ぐらい?

◇結果
地域:北米、南米、欧州など
登録期間:2013年3月〜2015年7月
観察期間:12ヶ月
無作為化:記載なし。
盲検化:オープンラベル。アウトカム評価者は盲検化されている。
必要症例数:記載なし。
症例数:2124例
追跡率:100%
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与あり(Janssen Scientific Affairs社、バイエル社)。リバーロキサバンは無料で提供。

kaplan-meier
DAPT+ワルファリンが有意に出血が多い。
secondary efficacy endpointは心血管死、心筋梗塞、脳梗塞の複合エンドポイントで、有意な差はなかった。

result
治療を要する出血(bleeding requiring medical attention)の定義がいまいちわからないけど、TIMI出血基準の小出血より軽度な出血のことらしい。大出血と小出血は、ワルファリン+DAPTが多い傾向だけど有意差はなくて、有意差がついているのは治療を要する出血という部分だけ。

result2
primary endpointの出血うんぬんより、個人的にはこっちの方が気になる。どれもイベント数が少なくて、有意な差はない。

◇批判的吟味
・primary endpointで有意差がついているが、その内訳をみると治療を要する出血(bleeding requiring medical attention)で有意差がついている。もちろん感覚的には納得できるが、これはソフトなエンドポイントであり、かつオープンラベルなので、バイアスが入るかもしれない。
・なぜ出血をprimary endpointにしているんだろう。梗塞+塞栓イベントをprimary endpointに設定して欲しかった。
・梗塞+塞栓イベントがsecondary outcomeに設定されているが、イベントの発生が少なくて本当に差があるのかどうかはわからない(3群とも同等と解釈してはいけない)。
・可能であれば、3−5年ぐらいの観察期間でsecondary outcomeがどうなっているか見てみたい。
・超低容量リバーロキサバン併用で塞栓イベントは増えないのか?
・日本だと低容量は10mg?、超低容量はどうすれば?
・ロストフォローアップはないが、どの群も20−30%で治療中断あり。

◇感想
PCIを行なった心房細動患者の抗血栓療法について結論はでていないが、WOEST試験の結果を踏まえて、抗血小板薬は単剤にしていることが多い(ACSなら最初は3剤)。それでもステント血栓症は経験してないので、抗血小板薬と抗凝固薬の2剤でいいんだろうなあという感触は持っています。

抗凝固薬はワルファリンじゃなくてNOACでいいのかわからないが、多くの場合にNOACを使っていると思われるし、自分もそうしている。このPIONEER AF-PCI試験は、NOAC+抗血小板薬でもいいのか検証した試験で、結果としてはワルファリン+DAPTよりも出血は有意に少なく、心血管死、心筋梗塞、脳梗塞は増えなかった。

それにしても、なんで出血がprimary endpointになっているんでしょうか。個人的には、むしろNOAC+抗血小板薬の2剤にすることで、梗塞や塞栓が増えないかが知りたかったので、secondary endpointに設定されている心血管死、心筋梗塞、脳梗塞を、primary endpointでやってほしかった。それだと、Nがでかくなりすぎるので難しいのでしょう。

あと、グループ2でATLAS ACS 2-TIMI51試験のレジメンを持ってきているが、この超低容量で塞栓イベントが増えないのかも気になる。

secondary endpointの心血管死、心筋梗塞、脳梗塞はイベント数が少なく、本当に差があるかどうかがわからない。これはもっと長い期間観察しないとわからないと思うので、3−5年のデータがでてくるといいなあと思いますが、1年以降の抗血栓療法をどのようにするかにもよるでしょう。

まあとりあえず、ルーチンで3剤飲まないといけないということはなさそうなので、今の感じの抗血栓療法(NOAC+P2Y12阻害薬の2剤で、ときどき3剤)でよさそうです。