カテゴリー別アーカイブ: 抗血栓療法

ダビガトランvsワルファリン 日本のレセプトデータベースより

Comparative effectiveness and safety of warfarin and dabigatran in patients with non-valvular atrial fibrillation in Japan: A claims database analysis
J Cardiol. 2018 Nov 23. pii: S0914-5087(18)30293-4. doi: 10.1016/j.jjcc.2018.09.004. [Epub ahead of print]

【PECO】
P:新規で抗凝固薬を開始した非弁膜症性心房細動
E:ダビガトラン
C:ワルファリン
O:脳梗塞+全身性塞栓症+頭蓋内出血
secondary endpoint:大出血

【デザイン、セッティング】
・後向き
・日本のレセプトデータベース(Medical Data Vision)
・2011年3月14日〜2016年6月30日
・22490例(プロペンシティスコアマッチ後は両群4606例ずつ)
・交絡因子の調整:プロペンシティスコアマッチ

【結果】
プロペンシティスコアマッチ後の患者背景。
平均74歳、女性34%、心不全35%、糖尿病27%、心筋梗塞1%、脳梗塞/TIA13%、PPI40%、H2blocker17%、CHADS2スコア2.0点、HAS-BLEDスコア1.0点。

ワルファリン vs ダビガトラン
脳梗塞+全身性塞栓症+頭蓋内出血(primary endpoint)
35.6 vs 29.0%/1000人年 HR:0.72(95%CI:0.53-0.97)

大出血(secondary endpoint)
11.3 vs 6.4%/1000人年 HR:0.55(95%CI:0.30−0.99)

消化管出血
6.4 vs 1.6%/1000人年 HR:0.24(95%CI:0.28−0.80)

【まとめと感想】
後向きのデータではありますが、ダビガトランの方が消化管出血が少なかったみたいです。

DOAC・ワルファリンを開始したAF患者の心筋梗塞発症率と死亡率

Risk of Myocardial Infarction in Anticoagulated Patients With Atrial Fibrillation
J Am Coll Cardiol. 2018 Jul 3;72(1):17-26.

RE-LY試験では、ダビガトランで心筋梗塞の増加を認めた。ARISTOTLE試験やROCKET-AF試験では、アピキサンバンやリバロキサバンに心筋梗塞の増加は認めなかった。これらの試験では、高齢者・フレイルは除かれており、また心筋梗塞をアウトカムにしたDOAC間の比較データはない。

【PECO】
P:AFと診断され初めて抗凝固療薬を内服する患者
E:DOAC(アピキサバン、ダビガトラン、リバロキサバン)
C:VKA(ワルファリン)
O:抗凝固療法開始後1年以内の心筋梗塞による入院
secondary outcome:抗凝固療法開始後1年以内の心筋梗塞による入院+全死亡

exclusion criteria:弁膜症性心房細動、DOACが禁忌となる腎障害

【デザイン、セッティング】
・the Civil Registration System(デンマーク)
・2013年1月1日〜2016年6月30日
・後向き
・31739例(ワルファリン8913例、アピキサバン8611例、ダビガトラン7377例、リバロキサバン6838例)
 うち1年間の脱落が8905例(28%)
・観察期間:1年
・COX比例ハザードモデル

【結果】
1年間の絶対リスク(95%CI)とワルファリンとのリスク差

心筋梗塞(primary endpoint)
ワルファリン 1.56%(1.33-1.80%) 
アピキサバン 1.16%(0.94-1.39%)リスク差-0.40% (−0.72to-0.07%)
ダビガトラン 1.20%(0.95-1.47%)リスク差−0.36%(−0.71to-0.03%)
リバロキサバン 1.07%(0.83-1.32%)リスク差-0.49%(−0.82to−0.16%)

DOAC間では、リスク差に有意差はない。

心筋梗塞+全死亡(secondary endpoint)
ワルファリン 12.2%(11.5-12.9%) 
アピキサバン 10.9%(10.3-11.5%)リスク差-0.40% (−0.72to-0.07%)
ダビガトラン 9.3%(8.6-10.0%)リスク差-0.36% (−0.71to-0.03%)
リバロキサバン 12.0%(11.3-12.7%)リスク差-0.49% (−0.82to-0.16%)

【まとめと感想】
DOACはワルファリンと比べ、低い心筋梗塞発症率と関連あり。心筋梗塞発症率は1.1%-1.2%程度で、ワルファリンとの差も有意とはいえ、年間0.4%程度。

システマティックレビューでは、ダビガトランはワルファリンと比べ心筋梗塞が増えることが報告されているが、このコホート研究ではその傾向は認めなかった。

それよりなにより、全死亡がその10倍起きている。平均年齢70歳ちょっとなので、10%/年の死亡率はインパクトがある。

抗血小板薬併用下でのDOACとワルファリンの比較

Combining Oral Anticoagulants With Platelet Inhibitors in Patients With Atrial Fibrillation and Coronary Disease
J Am Coll Cardiol. 2018 Oct 9;72(15):1790-1800.

【PECO】
P:OMI+AF、もしくはPCI施行後+AF
E:DOAC+抗血小板薬
C:VKA+抗血小板薬
O:出血、虚血性脳卒中、心筋梗塞、全死亡

【デザイン、セッティング】
・Danish nationwide administrative registries
・後向き
・3222例
(VKA+SAPT 875例、DOAC+SAPT 595例、DAPT 1074例、DOAC+DAPT 678例)
・2011年8月〜2017年7月
・観察期間:12ヶ月
・PT-INR、血圧、腎機能のデータは含んでいない
・COX比例ハザードモデル
・著者には、DOAC企業とのCOIあり

【結果】
DOACは、リバロキサバン、ダビガトラン、アピキサバンが1/3ずつぐらい。2/3は減量投与。

VKA+DAPTを基準として、DOAC+DAPTのハザード比は・・・
出血:0.51(95%CI:0.33-0.78)

脳卒中:1.44(95%CI:0.78-2.67)

心筋梗塞:0.92(95%CI:0.58-1.45)

全死亡:0.83(95%CI:0.59-1.17)

VKA+SAPTを基準として、DOAC+SAPTのハザード比は・・・

出血:0.90(95%CI:0.60-1.53)

脳卒中:0.64(95%CI:0.30-1.36)

心筋梗塞:0.63(95%CI:0.40-1.00)

全死亡:1.08(95%CI:0.80-1.44)

【まとめと感想】
VKA+DAPTは、DOAC+DAPTと比較すると心筋梗塞・脳梗塞・全死亡には差はないが、約2倍の出血と関連あり。

VKA+SAPTは、DOAC+SAPTと比較すると出血・脳梗塞・全死亡には差がないが、約2/3倍の心筋梗塞と関連あり。

DOAC betterな結果でした。PT-INR、血圧、腎機能などイベントに関連がありそうな因子は、解析には含まれてないというのはlimitation。

ステント留置から1年以上たった心房細動患者の抗血栓療法 OAC-ALONE試験

An Open-Label Randomized Trial Comparing Oral Anticoagulation with and without Single Antiplatelet Therapy in Patients with Atrial Fibrillation and Stable Coronary Artery Disease Beyond One Year after Coronary Stent Implantation: The OAC-ALONE Study

冠動脈疾患があり、カテーテル治療されている患者さんで心房細動も合併している場合、ESCのガイドラインでは、ステント留置から1年たったら抗凝固薬単剤を推奨。AHAでは、ステント留置から1年たって、塞栓リスクが低くて出血リスクが高いなら抗凝固薬単剤を推奨している。ただ、RCTはやられていなかったので、本当にそれでいいかはわからない。これが、冠動脈疾患+心房細動で抗凝固療法単剤で良いか検証した初めてのRCT。

【PICO】
P:ステント留置から1年以上経過した冠動脈疾患+心房細動
I:抗凝固薬単剤
C:抗凝固薬+抗血小板薬
O:全死亡+心筋梗塞+脳梗塞+全身性塞栓症

抗凝固薬はワルファリンかDOAC。ワルファリンは70歳未満はINR:2.0−3.0を、70歳以上はINR:1.6-.26を目標とし、少なくとも3ヶ月おきに測定。DOACは基本的には減量基準に従うことを推奨するが、自由裁量による減量もあり。

【試験の概要】
デザイン:RCT (オープンラベル、非劣性試験)
地域:日本 111施設
登録期間:2013年11月5日〜2016年12月28日
観察期間:2.5年
予定症例数:2000例(event rate:8.0%/1.5年、非劣勢マージン4.0%)
症例数:690例(OAC単剤群344例、併用療法群346例)
解析:mITT解析
スポンサー:企業の関与あり(第一三共)

【患者背景】
ざっくりと。
年齢75歳、発作性と持続性+慢性は半々ぐらい、CHADS2:2.5±1.2、CHA2DS2-VASc:4.6±1.4、HAS-BLED:3以上 44%、抗凝固薬はワルファリン:3/4、DOAC:1/4、ワルファリンのTTR75%
両群で差があったのは、eGFR<30(10%vs5%)、PPI(53%vs62%)で、いずれもOAC単剤群で少し不利。

【結果】
OAC単剤群 vs 併用療法群
以下はいずれも年率。
全死亡+心筋梗塞+脳梗塞+全身性塞栓症 (primary endpoint)
6.4% vs 5.5%, HR:1.16(95%CI:0.79-1.72)

全死亡
4.6% vs 3.5%, HR:1.30(95%CI:0.82-2.10)

心血管死
2.3% vs 1.9%, HR:1.18(95%CI:0.62-2.28)

心筋梗塞
0.93% vs 0.46%, HR:2.03(95%CI:0.64-7.59)

脳梗塞+全身性塞栓症
1.5% vs 2.2%, HR:0.69(95%CI:0.33-1.38)

TIMI大出血
1.9% vs 3.4%, HR:0.57(95%CI:0.31-1.03)

【まとめと感想】
日本でやられたRCTだし、みんなが知りたい疑問だし、結果が出るのが楽しみでしたが、著者がabstractで述べている通り、パワー不足で結論めいたことは言えないのが残念です。日本でのRCTでは多くの症例を集めるのは本当に大変そうです。

心房細動患者の死因の多くは非心原性ですが、心房細動+冠動脈疾患であってでも心臓死は半分ぐらいで、もう半分は心臓以外の原因で亡くなられるということは頭に入れておく必要があるでしょう。それと、心筋梗塞の再発は1%/年ととても低いことも。

心房細動を合併した末期腎不全で、アピキサバンは有効なのか

Outcomes Associated With Apixaban Use in Patients With End-Stage Kidney Disease and Atrial Fibrillation in the United States.
Circulation. 2018 Oct 9;138(15):1519-1529.

【PECO】
P:末期腎不全で心房細動(AF)を合併した透析患者
E:アピキサバン内服
C:ワルファリン内服
O:脳梗塞・全身性塞栓症、大出血、、消化管出血、頭蓋内出血、死亡

【デザイン、セッティング】
・後向きコホート研究
・United States Renal Data System
・25523例(アピキサバン群2351例、ワルファリン群23172例)のうち、prognostic scoreでマッチした症例を解析(アピキサバン群2351例、ワルファリン群7053例)
・COX回帰分析

【結果】
アピキサバン群 vs ワルファリン群
▶︎脳梗塞・全身性塞栓症(100人年)
12.4 vs 11.8 HR:0.88(95%CI:0.69-1.12)

▶︎大出血(100人年)
19.7 vs 22.9 HR:0.72(95%CI:0.59-0.87)

▶︎消化管出血(100人年)
23.8 vs 23.4 HR:0.86(95%CI:0.72−1.02)

▶︎頭蓋内出血(100人年)
3.1 vs 3.5 HR:0.79(95%CI:0.49-1.26)

▶︎死亡(100人年)
23.7 vs 24.9 HR:0.85(0.71-1.01)

【まとめと感想】
そもそも透析患者の抗凝固療法で、10人に1人がDOACということが軽く驚き。そして、やっぱりワーファリンは悪者にされる。

まあ、後向きのデータなので、せめて前向きので検討が必要ではありますが。RCTをやってもらいたいけど、メーカーとしては旨味がないからやらないでしょう。パイは小さいし、数年かけてやってもその頃には特許は切れるし。

VA-ECMO下でのHIT発症率

Prevalence and outcome of heparin-induced thrombocytopenia diagnosed under veno-arterial extracorporeal membrane oxygenation: a retrospective nationwide study.
Intensive Care Med. 2018 Sep;44(9):1460-1469.

VA-ECMOとHIT(ヘパリン起因性血小板減少症)との関連を調べたもの。

フランスの20施設のICUの後向きのデータ。

2012年1月から2016年12月までにICUへ入室し、心原性ショックでVA-ECMOを装着した患者で、臨床的にHITを疑いヘパリン血小板第4因子複合体抗体(HIT抗体)陽性だった患者をスクリーニング。

HITの診断は、HIT抗体陽性と少なくとも1つ以上の機能的検査が陽性であること。機能的検査は血小板凝集法、SRA法、HIPA法のいずれか。HIT抗体も機能的検査も陰性であれば、HITではないと診断。

HIT抗体が陽性になったのは39/5797例で、うちHITと診断がついた(機能的検査も陽性)だったのは21/5797例(0.35%、95%CI:0.12-0.52)。

だいたい300人に1人くらい。そんなもんなんですね。ちなみに、HITでもHITが除外された症例でも血小板はbaselineから70%ぐらい低下していて、4Tスコアは5点でした。HIT抗体とか調べてみないとわからないということですね。

DAPT(アスピリン+クロピドグレル)は梗塞イベントを25%減らすが、大出血は1.5倍になる

Aspirin Plus Clopidogrel vs Aspirin Alone for Preventing Cardiovascular Events Among Patients at High Riskfor Cardiovascular Events
JAMA. 2018;320(6):593-594.

・既知の心血管疾患(末梢動脈疾患、脳梗塞、ステントが留置されていない冠動脈疾患)、またはそのハイリスク患者
・アスピリンとDAPT(アスピリン+クロピドグレル)を比較
・15RCT、計33970例を解析

アスピリン vs アスピリン+クロピドグレル
▶︎心血管死
3.7% vs 3.7% ハザード比:0.98(95%CI:0.88−1.10)

▶︎全死亡
5.3% vs 5.6% ハザード比:1.05(95%CI:0.87-1.25)

▶︎心筋梗塞
5.8% vs 4.5% ハザード比:0.78(95%CI:0.69-0.90)

▶︎虚血性脳梗塞
8.6% vs 6.3% ハザード比:0.73(95%CI:0.59-0.91)

▶︎大出血
2.1% vs 3.0% ハザード比:1.44(95%CI:1.25-1.64)

【まとめと感想】
DAPTで心筋梗塞・脳梗塞などの虚血イベントを25%減るけど、大出血は1.5倍になる。塞栓予防と出血はトレードオフ。

CKD合併心房細動 ワーファリンとDOACの比較

Direct oral anticoagulants versus warfarin for preventing stroke and systemic embolic events among atrial fibrillation patients with chronic kidney disease
Cochrane Database Syst Rev. 2017 Nov 6; doi:10.1002/14651858.CD011373.pub2.

AF+CKDで、ワーファリンとDOACを比較したコクランのレビュー。

DOAC:アピキサバン、ダビガトラン、エドキサバン、リバロキサバン
観察期間:1.8−2.8年
CKDは、CrClまたはeGFR:15−60mL/min (CKD G3とG4) と定義した。
G3:12155例、G4:390例

5つの試験を統合。
• ARISTOTLE Study 2010: 3,017/18,122 (17%)
• ENGAGE AF-TIMI 48 Study 2013: 2,740/14,071 (19.5%)
• J-ROCKET AF Study 2012: 284/1,278 (22.2%)
• RE-LY Study 2009: 3,554/17,951 (19.8%)
• ROCKET AF Study 2010: 2,950/14,264 (20.7%).

【結果】
ワーファリン vs DOAC
脳梗塞+全身性塞栓症
29/1000 vs 23/1000 (95%CI:19-29/1000)
RR:0.81 (95%CI:0.65-1.00)
quality of the evidence:moderate

大出血
55/1000 vs 43/1000 (95%CI:32-57/10000)
RR:0.79 (95%CI:0.59-1.04)
quality of the evidence:low

心筋梗塞
11/1000 vs 10/1000 (95%CI:5-21/1000)
RR:0.92 (0.45-1.90)
quality of the evidence:-

小出血
74/1000 vs 72/1000 (95%CI:43−119/1000)
RR:0.92 (0.58−1.61)
quality of the evidence:low

消化管出血
17/1000 vs 24/1000 (95%CI:17−35/1000)
RR:1.40 (0.97-2.01)
quality of the evidence:moderate

頭蓋内出血
14/1000 vs 6/1000 (95%CI:4−9/1000)
RR:0.43 (0.27−0.69)
quality of the evidence:moderate

全死亡
78/1000 vs 71/1000 (95%CI:61-82/1000)
RR:0.91 (0.78−1.05)
quality of the evidence:moderate

【まとめ】
CKDを合併した心房細動において、脳梗塞+全身性塞栓症のリスクはワーファリンとDOACで同程度だった。出血性合併症は、頭蓋内出血は有意にワーファリンが多かったが、大出血・消化管出血に差はなかった。全死亡についても差はなかった。

RCTのSRであるということと、CKDG4はほとんど含まれないという点は、実臨床で抗凝固療法を行う上で留意すべき。

ACSではDAPT期間は6ヶ月より12ヶ月がベター

6-month versus 12-month or longer dual antiplatelet therapy after percutaneous coronary intervention in patients with acute coronary syndrome (SMART-DATE): a randomised, open-label, non-inferiority trial.
Lancet. 2018 Mar 31;391(10127):1274-1284.

ACSのDAPT期間を短くできるか検証したRCT。

【PICO】
P:UAP、NSTEMI、STEMI
I:6ヶ月DAPT
C:12ヶ月DAPT
O:全死亡、心筋梗塞、脳梗塞の複合エンドポイント

inclusion criteria:血管径2.25−4.25mm
exclusion criteria:3ヶ月以内の大出血の既往、2ヶ月以内の大出血、手術予定

procedure:すべての患者で、アスピリン300mgとクロピドグレル300−600mgのローディングを行う。維持量は、アスピリン100mg、クロピドグレル75mg。試験の途中でプラスグレルとチカグレロルが使えるようになった。プラスグレルはローディング60mg、維持量10mg、チカグレロルはローディング180mg、維持量90mg。PCIの手技については、術者に一任。

【試験の概要】
デザイン:RCT(オープンラベル、非劣性試験)
地域:韓国
登録期間:2012年9月5日〜2015年12月31日
観察期間:18ヶ月
症例数:2712例(6ヶ月群1357例、12ヶ月群1355例)
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与あり(Abbott Vascular、Medtronic Vascular, Biosensors Inc, Dong-A ST)

【患者背景】
平均年齢62歳、男性75%、糖尿病28%、喫煙者40%、慢性腎不全1%、平均LVEF10%、UAPとNSTEMIとSTEMIは1/3ずつ。多枝病変45%、分岐部病変9%、ステント長26mm。両群にbaselineの差はない。

【結果】
6ヶ月群 vs 12ヶ月群
全死亡+心筋梗塞+脳梗塞
4.7% vs 4.2% HR:1.13(95%CI:0.79−1.62)

全死亡
2.6% vs 2.9% HR:0.90(95%CI:0.57−1.42)

心筋梗塞
1.8% vs 0.8% HR:2.41(95%CI:1.15−5.05)

BARC2−5
2.7% vs 3.9% HR:0.69(95%CI:0.45−1.05)

大出血
0.5% vs 0.8% HR:0.60(95%CI:0.22−1.65)

【まとめと感想】
全死亡+心筋梗塞+脳梗塞という複合エンドポイントにしてみると、6ヶ月DAPTは12ヶ月DAPTに対し非劣性だが、心筋梗塞だけを見ると有意に増えている。標的血管も非標的血管も両方とも。

出血に関しては、BARCtype2−5で6ヶ月DAPTで少ない傾向にあるが、有意ではなく、かつBARCtype2は軽めの出血も含まれる。大出血に限ると差はない。プラスグレルの投与量は日本と異なるが、韓国のRCTで同じアジア人なので、日本人にも十分当てはめることができるデータだと思う。

心筋梗塞は増やすが、大出血は変わらないとなると、あえて6ヶ月DAPTにする理由はない。

75歳以上の高齢者でも、ステントはDESが良い

Drug-eluting stents in elderly patients with coronary artery disease (SENIOR): a randomised single-blind trial.
Lancet. 2017 Oct 31. pii: S0140-6736(17)32713-7. doi: 10.1016/S0140-6736(17)32713-7. [Epub ahead of print]

◇リサーチクエスチョン
短期間のDAPT下で、DESがBMSより心血管イベントを減少させるのか。

◇PICO
P:75歳以上のAP・ACS
I:DES(Synergyステント)
C:BMS
O:PCI後1年での全死亡、心筋梗塞、脳梗塞、虚血による標的血管血行再建(TLR)

inclusion criteria:70%以上の狭窄(LMは50%以上)、無症候性狭心症の場合は10%以上の血流欠損もしくはFFR<0.80

◇試験の概要
デザイン:RCT(single blined)
地域:9ヶ国44施設
登録期間:2014年3月21日〜2016年4月14日
観察期間:1年
症例数:1200例(DES群596例、BMS群604例)
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与あり(Bostron Scientific社)

◇結果

(本文から引用)
両群で、DAPT期間は変わらなかった。


(本文から引用)
primary endpointで有意差があり、メインはTLR。

◇まとめと感想
75歳以上の高齢者のAP・ACSを対象とし、DESの安全性を検証したRCT。DESはBMSに比べ、TVRを有意に減少させ、primary endpointで差がついた。ステント血栓症はDESで少ない傾向で、1例を除きすべてDAPT継続中だった。

心血管死はDESで少ない傾向にあるが、ステント血栓症や自然発生の心筋梗塞については差がないので、これは無視していいだろう。

TVRは減るので、高齢者でもDESを選択した方が良い。