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LVEF>40%以上のSTEMIでも、抗アルドステロン薬は有効なのか

アルドステロンは心筋の線維化を促進し、心筋リモデリングを引き起こすと言われている。心不全では血清レニン活性や血中アルドステロン濃度は上昇しており、それが予後の悪化に繋がる。

STEMI発症後、LVEFが40%を下回る場合には、標準治療に抗アルドステロン薬を加えることで生命予後改善効果が示されている (EPHESUS試験)(1)。LEVF>40%のSTEMIで抗アルドステロン薬の有効性を検証したRCTでは、死亡率の低下を認めたものは1つしかなく、その効果は決定的と言えなさそう (ALBATROSS試験)(2)

Aldosterone Antagonist Therapy and Mortality in Patients With ST-Segment Elevation Myocardial Infarction Without Heart Failure
A Systematic Review and Meta-analysis

JAMA Intern Med. Published online May 21, 2018. doi:10.1001/jamainternmed.2018.0850

【概要】
心不全のない、あるいはLVEF>40%のSTEMIに対する抗アルドステロン薬の有効性を検証したSR。
RCTのみ統合 (臨床的なアウトカムや生化学データがないものは除外)。
統合した試験の観察期間は、6ヶ月〜1年。
random effect model。

P:心不全のない、またはLVEF>40%のSTEMI
I:標準治療 + 抗アルドステロン薬の内服 (スピロノラクトン・エプレレノン・カンレノ酸カリウム)
C:標準治療 ± プラセボ
O:死亡、心筋梗塞、新規のうっ血性心不全、心室性不整脈、LVEFの変化、血清Cr値、血清K値

出版バイアスは、funnel plotを視覚的に判断。死亡というアウトカムのみ評価し、出版バイアスは認めなかった。他のアウトカムに関しては、統合した試験の数が少なかった (<10試験) ので評価していない。

【結果】
抗アルドステロン薬 vs 対照
死亡
I2=0%
2.4% vs 3.9% HR:0.62 (95%CI:0.42-0.91)

心筋梗塞
I2=0%
1.6% vs 1.5% OR:1.03 (95%CI:0.57-1.86)

うっ血性心不全
I2=0%
4.3% vs 5.4% OR:0.82 (95%CI:0.56-1.20)

心室性不整脈
I2=13%
4.1% vs 5.1% OR:0.76 (95%CI:0.45-1.31)

死亡は有意に減少。ひとつひとつのRCTのサンプルサイズ・イベント数が少なく、2つの試験で全体に占めるウエイトが67%あり、それに引っ張られている可能性はあるが、I2=0%で視覚的に見ても一貫性はありそう。ちなみに上述のALBATROSS試験のウエイトは9%。

他の心筋梗塞・うっ血性心不全・心室性不整脈といったアウトカムに有意な差はなかった。

LVEFは1.8%とわずかではあるが有意に改善しており、血清Cr値や血清K値には差はなかった。

【まとめ】
LVEF<40%のSTEMIでは、抗アルドステロン薬の有益性が示されていたが、LVEF>40%でも生命予後改善効果が示された。

ただし、この結果は鵜呑みにはできない。

対照 (標準治療) の死亡率が高いようで、一番ウエイトを占しめていたRCT (45%) では、標準治療群での6ヶ月死亡率が10%近くあり、日本の実臨床からとは違い過ぎる。I2=0%で視覚的にも一貫性はありそうなんだけど・・・。

あと、死亡のハザード比が0.62と効果が高いが、LVEF<40%を対象としたEPHESUS試験での全死亡のハザード比が0.85ということを考えると、そこまでの効果があるのか。

また、LVEF>45%のHFpEFを対象としスピロノラクトンの効果を検証したTOPCAT試験では、3400例も症例数を集めたが、全死亡・心血管死に有意差がなかった。なのに、STEMIに限れば死亡率が改善するのか、という疑問はある (TOPCAT試験にもOMIが25%含まれている)(3)。もしこの効果が真実なら、心筋梗塞発症早期から抗アルドステロン薬を使用することが良い結果をもたらしたのかもしれない。

死亡の他に有意差があったものはLVEFの改善だが、これは1.8%と小さく誤差範囲と言っていい。統合されたRCTの観察期間はすべて1年未満だったので、長期のデータが必要になるが、長期的に見れば抗アルドステロン薬により心筋リモデリングが抑制され、LVEFやうっ血性心不全などのアウトカムが、臨床的にも意味のある改善を示す可能性はある。

CrやKには差がなかったようだが、標準治療としてACE阻害薬やARBを使用しているなら、抗アルドステロン薬の併用はCrやKは上昇を招くので、より注意して見る必要がある。

(1) N Engl J Med. 2003;348(14):1309-21.
(2) J Am Coll Cardiol. 2016;67(16):1917-27.
(3) Engl J Med. 2014;370(15):1383-92.

鉄の経口での補充は、鉄欠乏を有するHErEFの運動耐容能の改善には効果がない

心不全患者では貧血の合併はよく見られ、ヘモグロビン (Hb) の値に関わらず、鉄欠乏は運動耐容能・QOL・死亡率の低下と関連がある。

カルボキシマルトース鉄の静注は、心不全症状や運動耐容能 (6分間歩行距離) の改善に有効である(1-2)。経口の鉄剤でも同様の効果があるかはわかっていない。

Effect of Oral Iron Repletion on Exercise Capacity in Patients With Heart Failure With Reduced Ejection Fraction and Iron Deficiency: The IRONOUT HF Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2017 May 16;317(19):1958-1966

【PICO】
P:鉄欠乏を有するNYHAⅡ-ⅣのHFrEF (EF≦40%)
I:iron polysaccharide 150mg×2の内服
C:プラセボの内服
O:最大酸素摂取量の変化量 (16週後)

鉄欠乏=フェリチン15−100ng/ml、またはフェリチン100−299ng/ml + TSAT<20%

secondary endpoint:6分間歩行距離、NT-proBNPなど

exclusion criteria:神経筋疾患や整形外科的疾患など心肺運動負荷試験 (CPET) ができない患者、CPXでガス交換比 (RER) 1.0以上

【試験の概要】
デザイン:DB-RCT
地域:米国23施設
登録期間:2014年9月3日〜2015年11月18日
観察期間:16週間
症例数:225例 (鉄投与群111例、プラセボ群114例)
解析:ITT解析
スポンサー:NHLBI (企業の関与なし)

【患者背景】
両群に統計学的な差はない。NYHAⅡ:Ⅲ=7:3だが、プラセボ群では6:4。心不全と診断されてから5−6年。虚血が3/4。βblocker95%、ACE阻害薬/ARB80%、ループ利尿薬80%、高アルドステロン薬60%で内服。NT-proBNP1100、フェリチン70、Hb12。最大酸素摂取量1180ml/min・13ml/kg/min。

【結果】
鉄投与群はベースラインでは、フェリチン75ng/ml、TSAT19%だったが、16週後ではそれぞれ95ng/ml、22%で、フェリチンは有意ではなかったものの (P=0.06)、TSATはプラセボに比べ有意に改善していた。ただ、16週後のHbのデータはなかった。

鉄投与群 vs プラセボ群
最大酸素摂取量の変化量 (primary endpoint)
23ml/min vs -2ml/min 変化量の差21ml/min (-34to76)

6分間歩行距離、NT-proBNPなども有意差なし。

【まとめと感想】
経口の鉄剤では、最大酸素摂取量、6分間歩行距離、NT-proBNP, 心不全症状 (質問表への回答) は改善しなかった。フェリチンやTSATなど鉄のパラメータはそこそこ改善したにも関わらず、これらの指標に変化がなかったということは、単純に鉄を補充してもダメということ。

以前のRCTで6分間歩行距離や心不全症状の改善を認めていて、IRONOUT試験と同じように鉄欠乏のあるHFrEFを対象としていて、baselineのHbとかフェリチンとかそれほど代わりのに結果に違いがでるのは、カルボキシマルトース鉄自体の効果なのだろうか。

経口の鉄剤にしろ、カルボキシマルトース鉄の静注にしろ、長期的な効果と、死亡率・心不全の増悪といった臨床的なアウトカムについてはデータがないため、今後に期待。

(1) N Engl J Med 2009; 361:2436-2448
(2) Eur Heart J. 2015;36(11):657-668.

COPDに対するLABAやLAMAの導入早期には、心血管リスクは増大する

COPDと冠動脈疾患を合併している場合、必要があればいずれの疾患に対しても治療を行うことになる。冠動脈疾患に対しては、カルベジロールよりβ1選択性が高いビソプロロールが望ましい。COPDに対しては、LABAやLAMAを用いる。

LABAやLAMAの心血管に対する悪影響ははっきりと結論が出ていないが、開始早期には注意が必要かもしれない。

Association of Cardiovascular Risk With Inhaled Long-Acting Bronchodilators in Patients With Chronic Obstructive Pulmonary Disease: A Nested Case-Control Study.
JAMA Intern Med. 2018;178(2):229-238.

台湾の保険データベースを利用して、LABAとLAMAの処方の開始が心血管リスクを上昇させるのか調べた研究。

【PECO】
P:40歳以上のCOPD
E/C:LABA、またはLAMAの新規の処方
O:心血管イベント(冠動脈疾患、心不全、不整脈、虚血性脳卒中)

LABA=サルメテロール(セレベント)、ホルモテロール(オーキシス)
LAMA=チオトロピウム(スピリーバ)
イプラトロピウム(アトロベント)

【デザイン、セッティング】
・台湾の保険データベース(the Taiwan National Health Insurance Research Database)
・ケースコントロールスタディ
・期間:2007年1月1日〜2011年12月31日
・新規でLABA・LAMAを処方された284220例のうち、ケース37719例とそれにマッチさせたコントロール146139例
・観察期間:2.0年(中央値)

【結果】
primary endpoint
調整オッズ比(95%CI)
LABA
・サルメテロール 1.49(1.31−1.69)
・ホルモテロール 1.52(1.25−1.85)
・LABA+ICS 1.51(1.36−1.68)
・LABA+イプラトロピウム 1.42(1.19−1.70)

LAMA
・LAMAonly 1.58(1.19−2.11)
・LAMA+SABA 1.39(1.04−1.87)
・LAMA+イプラトロピウム 1.47(1.16−1.86)

感度分析では、心血管疾患やCOPD増悪の既往によらず、リスクは増大していた。

【まとめと感想】
LABAでもLAMAでも、処方開始して30日以内の心血管疾患発症リスクは1.5倍ぐらい高くなる。循環器内科医としては、冠動脈疾患や心不全の治療をしっかりやってからと思うが、心血管疾患の有無によらず同じようにリスクが増えるなら、予防の仕様がないのかも。

心不全とジゴキシン

ジゴキシンは慢性心不全の生命予後を改善しない。1990年代に行われたRCTになるが、洞調律のHFrHF(EF<45%)、HFpHF(>45%)のいずれでも、死亡率はプラセボと差がなく、洞調律の慢性心不全ではジゴキシンが明らかに死亡を増やすというデータはない(1−2)

一方で、心房細動の慢性心不全に対してはというと、システマティックレビューでは生命予後が悪くなることが示されている(HR:1.29、95%CI:1.21−1.39)(3)。ARISTOTLE試験のサブ解析では、ジゴキシン濃度の上昇に比例して死亡率が上昇することが示されており、もしかしたらジゴキシンそのものがネガティブな結果をもたらしているのかもしれない(ジゴキシン血中濃度0.5ng/mL上昇するごとの全死亡に対するHR:1.19)(4)

少し古いデータではあるが、洞調律で有症候性心不全でもともと内服していたジゴキシンを中断すると、運動時間・NYHAclass・QOLが有意に下がる(5-6)。そして、心不全入院を減らす可能性がある(1)

日本循環器学会の急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)では、洞調律の患者に対するジゴキシンの投与(血中濃度0.8ng/ml以下に維持)はclassⅡaになっていて、十分な薬物療法をやってもNYHAⅡ以上の心不全症状があるような場合、洞調律であれば考慮してもいいだろう。

ただ、運動耐用能の改善が示されたこれらの試験で併用されていた治療は、利尿薬とせいぜいACE阻害薬で、現在の至適薬物治療からはかけ離れているので、現在の指摘薬物療法にジゴキシンを加えて同様の効果があるかはわからない。

自分はというと、ジゴキシンはほとんど使いません。低心機能の非代償性心不全の急性期で、頻脈性心房細動のレートコントロールをつけたいときぐらいしか出番はないです。そんな感じなので、心不全にジゴキシンが効いたと実感したことはありません。

(1)N Engl J Med. 1997;336(8):525.
(2)Circulation. 2006;114(5):397.
(3)Eur Heart J. 2015;36:1831–1838
(4)J Am Coll Cardiol. 2018;71(10):1063-1074.
(5)J Am Coll Cardiol. 1991;17(3):743.
(6)J Am Coll Cardiol. 1993;22(4):955.

HFmrEFへのβ遮断薬の効果

2016年にESCのガイドラインが改訂され、それまで収縮能が保持され拡張障害が主体であるHFpEF(heart failure with preseved EF:ヘフペフ)と、収縮能が低下したHFrEF(heart failure with reduced EF:HFrEFヘフレフ)に分けられていた考えられていた心不全に、その中間であるEFmrEF(heart failure with mid-range EF:ミッドレンジ)が定義された(1)。

それまでも”preserved EF”は厳密には定義されていなかったが、そのグレーゾーンをmid-rangeとした。

HFrEFには、ACE阻害薬、ARB、β遮断薬、ミネラロコルチコイド受容体拮抗薬が用いられるが、HFpEFではこれらの薬剤の有効性は確認されておらず、生命予後を改善させる薬剤はない。また、ESCガイドラインではHFmrEFはHFpEFとしてフォローすべきとしている。

Beta-blockers for heart failure with reduced, mid-range, and preserved ejection fraction: an individual patient-level analysis of double-blind randomized trials.
Eur Heart J. 2018 Jan 1;39(1):26-35.

心不全に対しβ遮断薬の効果をみたRCTを対象としたSR。
300症例以上、フォローアップ期間6ヶ月以上の11RCTを解析。


洞調律なら、HFmrEFでもHFrEFと同程度の効果が期待できる。
しかし、AFだと効果なし。


AFであってもLVEFは改善する。
ただ、HFpEFではLVEFの有意な改善はない。

AFでも洞調律でもLVEFは同じように改善するが、死亡率は洞調律でのみ減少する。また、虚血性心筋症ではLVEFの改善が非虚血よりも小さいが、死亡率の改善は同程度。なので、死亡率の改善は、LVEFによらないが、なぜ洞調律とAFで差が出るかはわからない。

HFmrEFは、HFpEFよりもHFrEFに近いのかもしれないが、そもそもetiologyが雑多なので、一概に言えない。なんだかんだでHFmrEFでもHFpEFでも、β遮断薬やACE阻害薬/ARBなどを使う循環器医は多いと思います。

(1)Eur Heart J.2016;37(27):2129-200.

70歳以下の非虚血性心筋症では、ICDにより全死亡が減少する可能性

Age and Outcomes of Primary Prevention Implantable Cardioverter-Defibrillators in Patients With Nonischemic Systolic Heart Failure.
Circulation. 2017 Nov 7;136(19):1772-1780.

◇PICO
P:EF35%以下の非虚血性心筋症
I:薬物療法+ICD
C:薬物療法のみ
O:全死亡

inclusion criteria:一次予防、CAG・CT・核医学検査で虚血を除外した症例、NYHAⅡ-Ⅲ
exclusion criteria:慢性心房細動、安静時心拍数100bpm以上、末期腎不全

<デザイン、セッティング>
・DANISH試験の事前に定められたサブグループ解析
 グループ1:59歳未満
 グループ2:59−67歳
 グループ3:68歳以上
・1116例 
・観察期間:67.6ヶ月(中央値)
・COX比例ハザードモデル

<結果>
薬物療法群に対するICD群のハザード比は、70歳で1.0で、そこから1歳低下するごとに3%ハザード比低下。

◇まとめと感想
DANISH試験は、EF35%以下の非虚血性心筋症を対象とし、ICDの生命予後改善効果を検証した試験である。全死亡をprimary endpointとして検証されたが、ICD群と薬物療法群の生存率に差はなかった。

しかし、secondary endpointの心臓突然死ではICDによる有意な減少を認め、またサブグループ解析では年齢のみに交互作用を認めた。

このサブグループ解析をみると、>70歳での非突然死の割合が、心臓突然死に比べると大きいため、ICDによる心臓突然死予防効果が薄められてしまったようだ。一方、≦70歳では、全死亡のハザード比0.70と有意に生命予後を改善した。

ただ、年齢によるサブグループ解析は事前に設定されたとしてるが、当初のグループ(<59歳、59−68、>68歳)とは異なり、70歳をカットオフに設定している(論文中では、生存率が最大になるためと説明している)。年齢を引き上げ、ICDの適応を広げようとする意図を感じるのは、僕だけではないだろう。

非虚血性心疾患患者では、若年であればあるほど心臓突然死の割合が高いだろうし、その患者群に対するICDが生命予後を改善することも、理にかなっている。そして、高齢になればなるほど、非心臓突然死が増えるため、ICDの生命予後改善効果は薄まってしまう。どれくらいの年齢まで生命予後改善効果があるのかは、RCTをやらないとはっきりしないし、人種や国(医療制度)による違いもあるかもしれないが、現時点ではICDは非虚血性心筋症には効果が乏しく、特に70歳以上では必要ないと考えていいだろう。

カテーテルアブレーションは低心機能+心房細動の心機能を改善する

Catheter Ablation Versus Medical Rate control in Atrial Fibrillation and Systolic Dysfunction (CAMERA-MRI).
J Am Coll Cardiol. 2017 doi: 10.1016/j.jacc.2017.08.041. [Epub ahead of print]

◇この論文のPICOはなにか
P:NYHAⅡ以上で、EF≦45%の持続性心房細動
I:カテーテルアブレーション(CA)
C:薬物によるレートコントロールのみ
O:6ヶ月後のLVEFの変化率(CMRによる評価)

exclusion criteria:冠動脈疾患、心機能低下の原因となるような疾患、アブレーションやMRIの禁忌例

Procedure
薬物療法:安静時心拍数<80bpm、平均心拍数<110bpm、6分間歩行後の心拍数<120bpmを目標に薬の投与量を調整する。6ヶ月以内は原則CAは行わない。

CA:ランダム化から1ヶ月以内に肺静脈隔離術を行う。ワルファリン・ダビガトラン以外の抗凝固薬は術前に中止、また、アミオダロン以外の抗不整脈薬も術前に中止する。CA施行後にILRを植え込み、3ヶ月以内の症候性AFの再発や難治性AFがあれば、再度CAを施行する。

◇試験の概要
デザイン:RCT(オープンラベル)
地域:オーストラリアの3施設
登録期間:2013年9月3日〜2016年12月23日
観察期間:6ヶ月
必要症例数:total 40例(LVEF10%改善、CA成功率80%、power80%)
症例数:66例(各群33例ずつ)
追跡率:100%
解析:ITT解析
スポンサー:ILRは14%はSJM社から無償で提供されているが、試験デザイン・データ収集・解析・論文執筆には関わっていない。その他、企業の関与なし。

◇患者背景

(本文から引用)

パッと見、スピロノラクトンは差がありそうだが、群間差についての記載はない。

◇結果
CA群で、肺静脈隔離術は100%成功し、左房後壁隔離術は94%で試みられ、85%で成功した。

CA群では洞調律に復帰した患者で、6ヶ月後の心拍数が有意に低下した(安静時心拍数:62±10bpm vs 79±12bpm、平均心拍数:67±9.1bpm vs 86±14bpm、6分間歩行後の心拍数:92±24bpm vs 73±12bpm)

薬物療法群では、6ヶ月の時点で、安静時心拍数80±10bpm、6分間歩行後の心拍数86±17bpmと良好な心拍数を維持した。


(本文から引用)

LEVF、左房容積、NYHA分類、BNPが有意に改善。

▶︎LVEF
CA群:+18.3%、薬物療法群:+4.4%
CA群の58%が、薬物療法群の9%がLVEF≧50%に。


(本文から引用)

CMRでLGEがない場合は、よりLVEFの改善が期待できる。

▶︎有害事象
予期しない入院は、薬物療法群で4例(心不全2例、ICD移植術2例)あったが、CA群ではなかった。CAの手技に関連した合併症としては、鼠径部とILR植え込み部の輸血を必要とする出血が1例、術後肺炎が1例であった。

◇まとめと感想
心機能が低下した心不全において、心房細動に対するアブレーションが心機能を改善させるかについては、研究により結果はまちまちだが、改善してもLVEFの変化はせいぜい1ケタだった(1−2)。

この研究では、LVEFはbaseline時の31%から+18.3%と大きく改善し、それは薬物療法のみの場合と比較して有意な差を示した。また、LGEがない症例では、LVEFの改善は+22%と大きかった。

つまり、左室線維化がそれほど進んでいなければ、アブレーションにより心機能が改善する余地が大きいということだろう。LGEがない症例、あるいはあっても軽度の場合には、アブレーションによって生命予後も改善するかもしれないが、それはちょっと飛躍しすぎかな。今後に期待。

(1)J am coll cardiol 2013;61:1894-1903
(2)Circ Arrhythm Electrophysiol 2014;7:31-8

糖尿病、高血圧、高脂血症がなくても、肥満自体が心血管疾患のリスクになる

Metabolically Healthy Obese and Incident Cardiovascular Disease Events Among 3.5 Million Men and Women
J Am Coll Cardiol. 2017;70(12):1429-37

◇この論文のPECOは?
P:心疾患を持たない18歳以上の男女
E/C:BMIと代謝疾患(糖尿病、高血圧、高脂血症)
O:心血管疾患、脳血管疾患、心不全、末梢血管疾患

<デザイン、セッティング>
・前向きコホート研究
・イギリス
・The Health Improvement Network(THIN)のデータベース(プライマリケアの記録)を使用
・3,495,777例
・観察期間:平均5.4年
・COX比例ハザードモデル

<結果>
underweight:<18.5kg/m2
normal weight:18.5-25.0kg/m2
overweight:25.0-30.0kg/m2
obese:≧30kg/m2


(本文から引用)

normal weightと比較すると、obese+no metabolic abnormalityのハザード比は、
心血管疾患 1.49(95%CI:1.45−1.54)
脳血管疾患 1.07(1.04−1.11)
心不全 1.96(95%CI:1.86−2.06)

◇まとめと感想
心血管疾患と心不全は、脳血管疾患や末梢血管疾患と比べて、肥満の程度とハザード比がわりときれいな正比例になる。

日本人では体重の分類やハザード比はそのまま適応できないかもしれないが、高血圧・糖尿病・高脂血症がなくても肥満自体が動脈硬化性疾患・死亡のリスクになるという考えは、日本人にも当てはまると考えていいだろう。

非虚血性心筋症でも遅延造影を認めれば、CRTPよりCRTDがbetter

Outcomes of Cardiac Resynchronization Therapy With or Without Defibrillation in Patients With Nonischemic Cardiomyopathy.
J Am Coll Cardiol. 2017 Sep 5;70(10):1216-1227.

◇この論文のPECOは?
P:非虚血性心筋症でCRT-PまたはCRT-Dを留置した患者
E:心臓MRIで中層に遅延造影あり
C:遅延造影なし
O:全死亡(心移植、VADの植え込みを含む)

inclusion criteria:CRT移植術前にCMRが施行されている、CRT移植術が成功した患者
exclusion criteria:陳旧性心筋梗塞、冠動脈血行再建の既往、肥大型心筋症、拘束性心筋症、原発性の弁膜症、サルコイドーシス、アミロイドーシス、心筋炎

<デザイン、セッティング>
・イギリス
・前向き
・2002年7月〜2017年1月
・252例(MWF+68例、MWF−184例)
・観察期間:MWF+群3.8年、MWF-群4.6年(中央値)
・COX比例ハザードモデル

<結果>

(本文から引用)

一年死亡率は、MVF+:12.8%、MVF-:6.86%


(本文から引用)

MVFは死亡率の増加と関連あり(ハザード比2.31)

心房細動やNYHA classⅣなども死亡率の増加と関連がある。

CRT-Dは死亡率の低下と関連あり(ハザード比0.33)。


(本文から引用)

MVF+だとCRT-Dで有意に生存率が高いが、MWF-ではそれが明らかではない。

MVF+でのCRT-Dのハザード比0.23(95%CI:0.07−0.75)

◇まとめと感想
DANISH試験では、非虚血性心筋症でICDにより心臓突然死(SCD)は有意に減少したが、全体としては生命予後の改善までは至らなかった。それは、非心臓死などによりSCDの抑制効果が薄められた結果で、若年に限るとICDの生命予後改善効果が示唆されていた。

虚血ならICD、非虚血ならCRTが生命予後改善に有効と考えられる。その非虚血でも、MVFがあればCRT-Dにより生命予後が改善する可能性を示唆したのが、この研究。観察研究であり、limitationはあるだろうが、MVF+とか若年ではDをつけるのはreasonableかもしれない。

心不全 ACE阻害薬/ARB、β遮断薬の内服量と予後

Determinants and clinical outcome of uptitration of ACE-inhibitors and beta-blockers in patients with heart failure: a prospective European study
Eur Heart J. 2017 Mar 11. [Epub ahead of print]

◇この論文のPECOは?
P:HFrEF(<40%)
E/C:ACE阻害薬/ARBとβ遮断薬の内服量(0%、1−49%、50−99%、≧100%)
O:死亡、心不全入院

inclusion criteria:ACE阻害薬・ARB・β遮断薬が未投与、ガイドライン推奨量の半分未満

登録から3ヶ月をoptimization periodとして、その期間に主治医の判断でACE阻害薬/ARB、β遮断薬を増量する。optimization periodを終えた患者のみ解析に含める。

ガイドライン推奨量

<デザイン、セッティング>
・ヨーロッパ11ヶ国、69施設
・前向きコホート研究
・2100例(2516例のうち、optimization periodで151例が死亡、23例がイベントはなかったが脱落、242例はEF≧40%のため除外)
・観察期間:21ヶ月(中央値)
・COX比例ハザードモデル

ARBの20%、ACE阻害薬の27%、β遮断薬の12%が推奨量に到達。

<患者背景>

(本文から引用)


(本文から引用)

ほとんど白人で、平均年齢は60代後半、虚血が半分、AFも半分弱、腎機能は比較的保たれている。

<結果>
ACE阻害薬/ARBが低い容量となる予測因子:女性、低いBMI、低いeGFR、高いALP
β遮断薬が低い容量となる予測因子:高齢、低い心拍数(HR)、低い拡張期血圧(DBP)、うっ血兆候


(本文から引用)


(本文から引用)
ACE阻害薬/ARBは推奨量の50%に達しているか、β遮断薬は容量依存的に死亡率が異なるという、わりとキレイな曲線になる。


(本文から引用)
この研究では、増量できない理由についても調べられている。
A)推奨量まで到達
B)症状、副作用、心臓以外の臓器障害
C)その他

B、Cの容量がどれぐらいだったかはわからない。

◇感想
ACE阻害薬/ARBでは、推奨量の半分以下の場合、死亡のハザード比が1.5−1.7倍に。β遮断薬では、容量依存的にハザード比は増加する。

増量できない予測因子としては、ACE阻害薬/ARBでは、女性、低いBMI、低いeGFR、高いALPが挙げられているが、女性やALPになぜ関連があるかはわからない。また、β遮断では、高齢、低い心拍数(HR)、低い拡張期血圧(DBP)、うっ血兆候があげられており、これはまさに実臨床通りといった感じ。

白人を対象にしていることや、日本での最大容量は欧米より少ないという点に違いはある。この研究ではACE阻害薬/ARB推奨容量の50%以上で推奨量と同程度の死亡率だったが、日本人ではそれがどれくらいの量なのかわからない。

まあ、ACE阻害薬/ARBやβ遮断薬は副作用がなければ増やしていくというスタンスでよいだろう。