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前壁中隔中層の遅延造影は、左室収縮能が保持された急性心筋炎の予後因子

Cardiac MR With Late Gadolinium Enhancement in Acute Myocarditis With Preserved Systolic Function: ITAMY Study.
J Am Coll Cardiol. 2017 Oct 17;70(16):1977-1987

◇PECO
P:左室収縮能が保持された急性心筋炎
E/C:遅延造影の部位
O:心臓死、ICD移植、心停止からの復帰、心不全入院

inclusion criteria:心臓MRI(CMR)により急性心筋炎と診断された症例
exclusion criteria:EF<50%

心筋の浮腫は、T2強調画像で心筋シグナルが骨格筋の2倍以上であること。心筋のうっ血は、造影後SSFPシネで評価する。

<デザイン、セッティング>
・後ろ向きコホート研究
・イタリア 10施設のレジストリ
・374例
・観察期間:1572日(QR:1122-2923日)

<結果>
LGEには、主に3つのパターンがある。

下壁+側壁が最も多く、41%(154例)を占める。
前壁中隔の中層は36%(135例)とそれに続いて多く、心イベントが多い(心臓突然死3%、心不全入院11%)。
その他のLGEを示したのは16%(59例)であった。

LGEがなかった症例(26例)では、心イベントは認めなかった。

心イベントの有無で比較すると、トロポニンT値に有意差あり。
1.03 (0.0–6.7) vs 4 (0.4–9.5) ng/ml

トロポニンT値が大きいほど、その後の心イベントが多い。

<まとめ>
左室収縮能が保持された急性心筋炎でも、前壁中隔中層にLGEを認める症例では、その後の心イベントが多く、注意が必要。

高齢者の心血管疾患一次予防のためスタチン

Effect of Statin Treatment vs Usual Care on Primary Cardiovascular Prevention Among Older Adults: The ALLHAT-LLT Randomized Clinical Trial.
JAMA Intern Med. 2017 Jul 1;177(7):955-965.

◇この論文のPECOは?
P:75歳以上の高齢者で、冠動脈疾患の既往のない高血圧患者
E:新規のプラバスタチンの内服
C:通常治療
O:全死亡

secondary outcome:死因が明確な死亡、心血管疾患イベント(非致死的心筋梗塞、致死的心血管疾患)

<デザイン、セッティング>
・ALTTHAT-LLT試験のpost hoc解析
・北米 513施設
・2867例(プラバスタチン1467例、通常治療1400例)
・平均観察期間:プラバスタチン4.63年、通常治療4.77年
・COX比例ハザードモデル

<患者背景>

(本文から引用)

<結果>

(本文から引用)

有意差はないが、全死亡や冠動脈疾患死など増える傾向に傾いている。

◇感想
高齢者へスタチンの使用は、冠動脈疾患を減少させる可能性があるが、全死亡の減少とまでは至らない(1)。それは、高齢者では横紋筋融解症が起こりやすいこと、転倒リスク、認知機能の悪化などさまざまな負の影響があるからだと推測される。

これはALLHAT-LLT試験のpost hoc解析だが、いままでの報告同様、全死亡を減少させる効果はなかった。

冠動脈疾患のリスクが高い欧米人でこのデータなので、よりリスクの低い日本人では、まずメリットはなさそう。処方するなら、negative effectについても十分考えてから。

(1)N Engl J Med. 2016 May 26;374(21):2021-31.

潜在性甲状腺機能低下症に対する甲状腺ホルモン補充療法に症状改善効果なし

Thyroid Hormone Therapy for Older Adults with Subclinical Hypothyroidism.
N Engl J Med. 2017 Apr 3. [Epub ahead of print]

《要約》
背景
潜在性甲状腺機能低下症に対し、レボチロキシンを使用するかは議論が分かれる。我々は、高齢者の潜在性甲状腺機能低下症において、レボチロキシンの臨床的効果があるか調べた。

方法
二重盲検、無作為化、プラセボ対照試験に、潜在性甲状腺機能低下症(fT4が正常範囲で、TSH:4.60−19.99mIU/L)を有する65歳以上の高齢者737例を組み入れた。レボチロキシン群に368例、プラセボ群に369例を割り付けた。レボチロキシン開始量は50μg/日とし、体重50kg未満や心血管疾患を有する場合は25μgから開始し、TSH値に応じて容量調整する。primary endpointは、Hypothyroid Symptoms scoreとTiredness score on a thyroid-related quality-of-life questionnaireの1年後の変化である(いずれも症状に基づくスコア評価)。

結果
平均年齢74.4歳、396例(53.7%)が女性であった。baselineの平均TSH値:6.40±2.01mIU/Lで、1年後にはプラセボ群で5.48mIU/L、レボチロキシン群で3.63mIU/Lであった(P<0.001)。レボチロキシン投与量の中央値は50μgであった。Hypothyroid Symptoms scoreは、プラセボ群:0.2±15.3、レボチロキシン群:0.2±14.4、Tiredness scoreは、プラセボ群:3.2±17.7、レボチロキシン群3.8±18.4と、いずれも有意差はなかった。secondary outcomeでもレボチロキシンの効果は認めなかった。重大な有害事象にも有意差はなかった。

結論
高齢者の潜在性甲状腺機能低下症において、レボチロキシンはベネフィットがなかった。

◇この論文のPICOはなにか
P:65歳以上の潜在性甲状腺機能低下症
I:レボチロキシンの内服
C:プラセボの内服
O:Hypothyroid Symptoms scoreとTiredness scoreの1年後の変化

inclusion criteria:過去3ヶ月〜3年の間で2回以上TSH:4.60−19.99mIU/Lであること、fT4は正常範囲
exclusion criteria:レボチロキシン・抗甲状腺薬・アミオダロン・リチウムの内服、12ヶ月以内の甲状腺手術やアイソトープ治療

◇baselineは同等か
同等。

(本文から引用)

◇試験の概要
地域:イギリス
登録期間:不明
観察期間:12ヶ月
無作為化:国、性別、開始容量で層別化。ブロックランダム化。
盲検化:二重盲検
必要症例数:750例(プラセボとの差がHypothyroid Symptoms score:3ポイント、Tiredness score:4.1ポイント、power80%、αlevel0.05)、540例(プラセボとの差がHypothyroid Symptoms score:3.5ポイント、Tiredness score:4.9ポイント、power80%、αlevel0.05)
症例数:637例(レボチロキシン群368例、プラセボ群369例)
追跡率:レボチロキシン群:86.4%、プラセボ群:86.7%
解析:mITT解析
スポンサー:レボチロキシンとプラセボはMerk社が提供。

◇結果

(本文から引用)

(本文から引用)

心血管イベントにも差がない。

◇批判的吟味
潜在性甲状腺機能低下症に対してレボチロキシンを投与しても、症状や握力、認知機能などに変化はない。なので、特に心血管疾患の既往のない方では、投薬なしに経過観察してよいだろう。

ただ、心血管疾患の既往がある方では慎重に考えた方がいいかもしれない。甲状腺機能低下症は、拡張期血圧を上昇させ、脂質代謝の面ではLDLコレステロールや中性脂肪を上昇させる。なので、1年間では差がなかったが長期的には心血管系へのリスクになりえるかもしれない。

個人的には、血圧や脂質がコントロールされていれば、潜在性甲状腺機能低下症(TSHが高くなっているというだけで)に対しあえて投薬をしなくてもよいと思う。

◇感想
高齢者の潜在性甲状腺機能低下症に対するレボチロキシン補充療法は、症状・認知機能・握力などに影響をおよぼさない。心血管イベントに関しては、より長期の観察が望まれる。

急性心膜炎の診断と治療 システマティックレビュー

Evaluation and Treatment of PericarditisA Systematic Review
JAMA. 2015;314(14):1498-1506.

◇疫学
欧米では80−90%が特発性とされていて、多くがウイルスによるもの。
悪性腫瘍5−10%、全身性炎症疾患または外傷2−7%、結核性4%、化膿性<1%
発展途上国では、結核性が多く予後が悪い。6ヶ月死亡率はHIVなしで25%、HIVありだと40%。

◇臨床所見
鋭い胸痛。座位や前傾で軽快する。
心膜摩擦音は1/3で聴取。
心嚢液貯留(約60%で認める)
予後因子:>38℃の発熱、亜急性、高度心嚢液貯留(>20mm)、心タンポナーデ、NSAID無効
上記の所見があれば、入院が必要。


心電図では、広範囲なST上昇(>60%で認める)と、PR低下が特徴的。

◇診断
・診断基準

心嚢穿刺の適応は、高度な心嚢液貯留(>20mm)、心タンポナーデ、内科的治療抵抗性、細菌性や悪性腫瘍が疑われる場合。

◇特発性、ウイルス性、免疫介在性心膜炎の治療
・アスピリン、またはNSAIDs(イブプロフェン、インドメタシン)
内科的治療の中心
治療効果は、解熱、胸痛や心膜摩擦音の消失

・コルチコステロイド
以前は、第一選択と考えられていたが、罹患期間の延長や再発が多いことなど有害事象が多いことが明らかになった。
高容量プレドニゾン(1mg/kg/day)と低容量〜中等量プレドニゾン(0.2−0.5mg/kg/day)を比較した研究では、高容量プレドニゾンで重大な有害事象、再発、入院が有意に多かった(ハザード比3.61、95%CI:1.96−6.63)。

・コルヒチン
急性心膜炎、再発性心膜炎のいずれでも、NSAIDsにコルヒチンを併用することで、1週間後の寛解率が上昇し、再発が減少する(エビデンスレベルA)。
コルヒチンの最も多い有害事象は消化管症状で、特に下痢である(7−10%)。
投与量は体重で調整(>70kgなら0.5mgを1日2回、≦70kgなら0.5mgを1回)

・コルヒチンによる治療後の再発
確立された治療はない。
アザチオプリンや免疫グロブリン静注が試みられているがエビデンスは不十分。

◇予後
病態により異なる。
収縮性心膜炎は、以下のような確率で起こる。
 特発性、ウイルス性で0.76/1000人年
 膠原病、外傷で4.40/1000人年
 悪性腫瘍で6.33/1000人年
 結核性で31.65/1000人年
 細菌性で52.74/1000人年

心膜炎に心筋炎が合併するのは20−30%。
トロポニンが上昇する。
心膜心筋炎389例、31ヶ月の観察では、3.5%で左室機能低下が残存したが、心不全はゼロ。13.0%で再発したが、その90%以上が心膜炎のみの再発で、心タンポナーデや収縮性心膜炎は1%未満だった。
再発した特発性心膜炎の予後は良い(230例、61ヶ月の観察で、心タンポナーデ3.5%、収縮性心膜炎や左室機能低下はなかった)。

AMACING試験 生食投与でも造影剤腎症は防げない

Prophylactic hydration to protect renal function from intravascular iodinated contrast material in patients at high risk of contrast-induced nephropathy (AMACING): a prospective, randomised, phase 3, controlled, open-label, non-inferiority trial.
Lancet. 2017 Feb 20. [Epub ahead of print]

《要約》
背景
ガイドラインでは、腎機能低下症例での造影剤腎症予防に生食投与が推奨されている。しかし、予防的ハイドレーションの有無での、臨床的な有効性と費用対効果は十分に検証されていない。これが、AMACING試験の目的である。

方法
AMACING試験は前向き、無作為化、第3相、パラレルグループ、オープンラベル、非劣性試験である。対象は、現在のガイドラインで造影剤腎症のリスクがあるとされる患者である。オランダのマーストリヒト大学メディカルセンターでヨード造影剤の投与を受ける18歳以上の高リスクの患者(eGFR30−59ml/min/1.73m2)を、無作為に0.9%生理食塩水群と非予防群に割り付けた。eGFR30以下、血液透析は除外した。事前に設定したリスク因子で層別化し無作為化を行なった。主要評価項目は、造影剤腎症の発症(造影剤投与2−6日で、血清Crがベースラインから25%以上、または0.5mg/dl以上上昇すること)と、予防をしないことの費用対効果である。血清Crは造影剤投与前、2−6日後、26−35日後に測定した。解析者は盲検化した。有害事象と資源の使用は記録した。非劣勢マージンは2.1%とした。intention-to-treat解析とper-protocol解析を行なった。

結果
2014年6月17日から2016年7月17日までで、660例が無作為に割り付けられた(非予防群332例、生食投与群328例)。2−6日後の血清Crは非予防群では307/332例(92%)で、生食投与群では296/328例(90%)で測定された。造影剤腎症は非予防群では8/307例(2.6%)、生食投与群では8/296例(2.7%)で認めた。絶対的な差異は−0.1%(片側95%CI:-2.25to2.06)であった。非予防は生食投与より費用が削減された。35日以内に血液透析や死亡は観察されなかった。18/328例(5.5%)で生食投与により合併症が生じた。

結論
造影剤腎症の予防において、生食を投与しないことは生食投与と比較し非劣勢であり、費用を削減できる。

◇この論文のPICOはなにか
P:ヨード造影剤を用いた検査・治療を行う予定の腎機能障害患者(eGFR30−59)
I:生食を投与しない(非予防群)
C:生食を投与する(生食投与群)
O:造影剤腎症の発症(造影剤投与2−6日で、血清Crがベースラインから25%以上、または0.5mg/dl以上上昇すること)と、非予防群の費用対効果

inclusion criteria:待機的検査を行う連続症例、18歳以上
exclusion criteria:eGFR30未満、腎代替療法、緊急検査、集中治療が行われている患者

◇baselineは同等か

同等。生食は検査前に822ml投与されていて、オランダ人の男性の平均身長は1.8mぐらいらしいのでBMI28だと体重が90kgほどになるが、それでも十分な量が投与されていると考えていいだろう。

◇試験の概要
地域:オランダ
登録期間:2014年6月17日〜2016年7月17日
観察期間:最長35日
無作為化:糖尿病、eGFR、投与ルート(動脈or静脈)、診断か治療かで層別化あり。ALEAを用いたコンピュータによる無作為化。
盲検化:オープンラベル。解析者は盲検化されている。
必要症例数:生食投与群で造影剤腎症が2.4%発症し、非劣性マージン2.1%、power80%、one-sided alpha5%と仮定して1300例と算出。2015年12月に必要症例数を改定し600例としているが、その根拠は不明。
症例数:660例(非予防群332例、生食投与群328例)
追跡率:非予防群307/332例(92%)、生食投与群296/328例(90%)
解析:ITT解析とper-protocol解析
スポンサー:企業の関与なし

◇結果

糖尿病では生食投与寄り。逆に治療行為があると非予防群の方がいい。

生食投与による合併症を18例(5.5%)で認めた。利尿薬の投与や入院の延長13例、低Na血症1例、不整脈4例。

26−35日だと・・・
eGFR10以上の低下は
非投与群で11/260例(4.2%)、生食投与群7/260例(2.7%)

(費用対効果の図表はよくわからないので、ここでは割愛。とりあえず、費用対効果もよくなるらしい。)

◇批判的吟味
・患者背景は、自分の実臨床にも応用できるだろう。
・事前に設定されたサンプルサイズは1300例で、結局660例なのでパワー不足は否めない。
・費用対効果が非予防群でよかったといっても、それはせいぜい1ヶ月程度までの話で、eGFRが10以上悪くなった症例が非予防群で多い傾向にあるのでそれが長期的にどうなるかはわからない。

◇感想
生食投与では造影剤腎症を予防できないという結果。治療行為のサブグループだと、生食の予防投与をやらない方がいい傾向にある。26−35日の時点だと、eGFRが10以上低下する割合が生食投与群で少ない。

パワー不足っぽいので結果は鵜呑みにはできないですが、確かに生食投与でデコっちゃう人はたまーにいるので(心機能が悪いと)、そこらへんに注意しながらって感じでしょうか。もちろん、費用対効果の問題もありますが、自分の中では、この研究で生食を投与しないということにはなりません。

PCSK9阻害薬エボロクマブ(レパーサ®︎)のLDLコレステロール低下効果

Efficacy and Tolerability of Evolocumab vs Ezetimibe in Patients With Muscle-Related Statin IntoleranceThe GAUSS-3 Randomized Clinical Trial
JAMA. 2016;315(15):1580-1590.

《要約》
重要性
筋肉に関連したスタチンの不耐性は5−20%で起こることが報告されている。

目的
スタチンの再導入により、筋肉の症状を訴える患者を同定することと、非スタチン療法であるエゼチミブとエボロクマブの脂質降下の効果を比較すること。

デザイン、セッティング、患者
LDLコレステロールのコントロールが不十分で、2つ以上のスタチンが不耐性である患者511例に対し、2段階の無作為化試験を行った。登録期間は2013年から2014年である。phaseAは、24週のクロスオーバー試験で、アトルバスタチンとプラセボを用い、アトルバスタチンのみで筋肉の症状がでること確認する。phaseBでは、phaseAから2週間のウォッシュアウト期間を設け、エゼチミブとエボロクマブに割り付け、24週間内服する。

介入
phaseA:アトルバスタチンとプラセボ
phaseB:エボログマブ420mg皮下注とエゼチミブ10mgに2:1に無作為化する。

アウトカム
LDLコレステロールの変化率。ベースラインから22と24週の平均値、ベースラインから24週のcoprimary endpointである。

結果
phaseAに入った491例で、平均年齢60.7±10.2歳、女性246例、冠動脈疾患170例、平均LDLコレステロール212.3±67.9mg/dlであった。筋肉の症状がプラセボではみられずアトルバスタチンでみられたのは209(42.6%)例であった。これらの症例のうち199例と、CKが上昇した19例の218例がphaseBに入り、エゼチミブ群に73例、エボロクマブ群に145例、無作為に割り付けられた。平均LDLコレステロールは219.9±72mg/dlであった。エゼチミブ群では、22週と24週でのLDLコレステロールの平均値は183.0mg/dl、平均LDLコレステロール変化率は−16.7%(95%CI:-20.5%to-12.9%)、変化の絶対値は−31.0mg/dlであった。エボロクマブ群では、22週と24週でのLDLコレステロールの平均値は103.6mg/dl、平均LDLコレステロール変化率は−54.5%(95%CI:-57.2%to-51.8%)、変化の絶対値は−106.8mg/dlであった(P&;t;0.001)。エゼチミブ群では、24週でのLDLコレステロールの平均値は181.5mg/dl、平均LDLコレステロール変化率は−16.7%(95%CI:-20.8%to-12.5%)、変化の絶対値は−31.2mg/dlであった。エボロクマブ群では、24週でのLDLコレステロールの平均値は104.1mg/dl、平均LDLコレステロール変化率は−52.8%(95%CI:-55.8%to-49.8%)、変化の絶対値は−102.9mg/dlであった(P<0.001)。22週と24週でのLDLコレステロールの平均値の群間差は、変化の絶対値−37.8%、変化の絶対値−75.8mg/dlであった。24週でのLDLコレステロールの群間差は、変化の絶対値−36.1%、変化の絶対値−71.7mg/dlであった。筋肉の症状はエゼチミブ群で28.8%、エボロクマグ群で20.7%で認めた(log-rank P=0.17)。薬剤を中止したのは、エゼチミブ群で5/73例(6.8%)、エボロクマブ群で1/145例(0.7%)であった。

結論
筋肉に関連したスタチンの不耐性がある患者において、エボロクマブはエゼチミブと比較し、24週でのLDLコレステロール値が大きく減少した。長期の有効性と安全性の評価のため、さらなる試験が必要である。

◇この論文のPICOはなにか
P:筋肉の症状によりスタチン不耐性の患者
I/C:エゼチミブ10mg1日1回内服、エボロクマブ420mgを月に1回皮下注
O:LDLコレステロールの変化率(ベースラインから22と24週の平均値、ベースラインから24週)。

inclusion criteria:18−80歳、スタチン不耐性(アトルバスタチン10mgと他のスタチンをどの容量でも。または、3つのスタチンでいずれか1つは最低容量で、その他の2つのスタチンはどの容量でも。最低容量はロスバスタチン5mg、シンバスタチン10mg、プラバスタチン40mg、ロバスタチン20mg、フルバスタチン40mg、ピタバスタチン2mgとする。)、冠動脈疾患患者ではLDLコレステロールが100mg/dl以上であること、2つ以上のリスクがある非冠動脈疾患患者ではLDLコレステロールが130mg/dl以上、リスクが1つある非冠動脈疾患患者ではLDLコレステロールが160mg/dl以上、リスクがない非冠動脈疾患患者ではLDLコレステロールが190mg/dl以上

exclusion criteria:3ヶ月いないに以下の病歴があること。心筋梗塞、不安定狭心症、冠動脈血行再建、脳梗塞。

◇baselineは同等か
LDLコレステロールは両群間で差がなく、220mg/dlぐらい。
characteristics

◇結果
地域:米国、英国、オランダなど複数の国で
登録期間:2013年12月10日〜2014年11月28日
観察期間:24週
無作為化:interactive web-basedまたはvoice recognition systemによる中央割り付け。
盲検化:open-label(phaseAは二重盲検)
必要症例数:phaseBで100例
症例数:phaseBで218例
追跡率:100%
解析:ITT解析
スポンサー:企業が関与(アムジェン社)

result

◇感想
副作用のためにスタチンが投与できない患者に対し、エゼチミブ(ゼチーア®︎)かエボロクマブ(レパーサ®︎)を投与し、LDLコレステロールの変化率をみた試験。エボロクマブがエゼチミブに比べ、有意にLDLコレステロールを低下させた。そうですよね、という結果。PCSK9阻害薬の心血管イベントや副作用などのデータは、これから出てくるはずなので、期待して待つ。

抗生剤の使用は、次に同一のベットを使用する患者のクロストリジウム・ディフィシル感染症のリスクを増やす

Receipt of Antibiotics in Hospitalized Patients and Risk for Clostridium difficile Infection in Subsequent Patients Who Occupy the Same Bed
JAMA Intern Med. Published online October 10, 2016.

《要約》
目的
患者が抗生剤の投与を受けた場合、同一ベットを次に使用した患者はクロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)のリスクが増加するか検証すること。

デザイン・セッティング・参加者
2010年から2015年に入院した成人患者を対象とした後ろ向きコホート研究である。CDIの再発、入院48時間以内に発症したCDI、不十分なフォローアップ期間、同一ベットの前の患者が24時間以内に転出した場合は除外した。

アウトカム
主要は暴露は、同一ベットを前に使用した患者に対する抗生剤の投与で、主要なアウトカムは同一ベットを次に使用した患者のCDIの発生率である。CDIの定義は、クロストリジウム・ディフィシル毒素B遺伝子に対する便ポリメラーゼ連鎖反応陽性である。

結果
同一ベットの連続使用患者は100615ペアで、そのうち576ペアでCDIを発症した。同一ベットを前に使用した患者に対する抗生剤の投与は、次に使用した患者のCDI発症と有意に関連があった(log-rank P<0.01)。その関連は、同一ベットを次に使用した患者に対する抗生剤投与を調整した後(adjustedHR1.22, 95%CI1.02-1.45)や、同一ベットを前に使用しCDI発症した患者1497例を除いた後(adjustedHR1.20, 95%CI1.01-1.43)も認められた。同一ベットを前に使用した患者と、次に使用した患者がCDIを発症することの関連は抗生剤の使用のみであった。

結論
抗生剤の投与は、同一ベットを次に使用した患者のCDIリスクの上昇と関連がある。抗生剤は、それを直接投与されていない患者に対しても影響があるかもしれない。

◇この論文のPICOは?
P:48時間以上入院した患者
E:同一ベットを前に使用した患者に対する抗生剤投与
O:CDIの発症

◇デザイン、対象、観察期間
・後ろ向きコホート研究
・ニューヨークの4つの施設
・COX比例ハザードモデル
・100615例
・観察期間:2−14日

ベットを後に使用した患者のcharacteristics
characteristics1
高齢、アルブミン低値、入院日数の長期化、抗生剤の使用、血液透析、制酸薬の使用、免疫抑制状態が、その患者のCDIのリスクになる。

ベットを前に使用した患者のcharacteristics
characteristics2

◇結果
result
同一ベットの前の患者に対する抗生剤の投与が、後に使用した患者のCDIリスクを有意に上昇させている。

◇感想
抗生剤の投与がその患者のクロストリジウム・ディフィシルを増殖させ、環境も汚染してしまう。それにより、次にそのベットを使用した患者のCDIのリスクを増大させてしまうことの様です。つまり、抗生剤を適切に使用しなさいということでしょうか。

ω3脂肪酸による心筋梗塞後のリモデリング抑制 OMEGA-REMODEL試験

Effect of Omega-3 Acid Ethyl Esters on Left Ventricular Remodeling After Acute Myocardial InfarctionThe OMEGA-REMODEL Randomized Clinical Trial
Circulation. 2016;134:378-391

《要約》
背景
魚油のω−3脂肪酸は心血管への有益性が報告されているが、ガイドラインに準じた治療を行っている陳旧性心筋梗塞での心筋リモデリングの効果については明らかではない。

方法
急性心筋梗塞患者患者を、高容量ω−3脂肪酸またはプラセボを内服する2群に無作為に割り付けた。高容量ω−3脂肪酸群180例、プラセボ群178例で、6ヶ月間内服を継続した多施設、二重盲検、プラセボ対象試験である。心臓の構造と心筋の性状を評価するため、baselineと治療終了後に心臓MRI検査を行った。主要評価項目は左室収縮末期容積指数(LVESVI)である。副次評価項目は非梗塞部位の線維化と左室駆出率(LVEF)と梗塞サイズである。

結果
ω−3脂肪酸によって、LVESVI(−5.8%、P=0.017)、非梗塞部位の線維化(−5.6%、P=0.026)は有意に低下した。per-protcol解析では、赤血球ω−3脂肪酸指数が高い群では、低い群よりLVESVIが13%低下した。加えて、ω−3脂肪酸群では、全身性及び血管性炎症バイオマーカーと心筋線維化が減少した。

結論
急性心筋梗塞患者がガイドラインに準じた照準的治療に加え、高容量ω−3脂肪酸を内服することで、LVESVI、非梗塞部位の線維化、炎症バイオマーカーが減少した。

◇この論文のPICOはなにか
P:急性心筋梗塞を発症した患者
I:EPA465mg+DHA375mgのカプセルを1日1回内服(ω−3脂肪酸群)
C:コーン油のカプセルを1日1回内服(プラセボ群)
O:6ヶ月後のLVESVI

inclusion criteria:21歳以上、症状が持続しトロポニンT>0.5ng/mlで造影で有意な冠動脈狭窄があること

exclusion criteria:心臓手術による二次的な心筋梗塞、生命予後1年未満、ω−3脂肪酸の適応である患者、妊娠、MRIの禁忌

◇baselineは同等か
characteristics1
characteristics2
この中だと、ω−3脂肪酸群でCABGの既往が有意に多い。βblockerとかACE阻害薬/ARBも同等。

characteristics-cmr
baselineのLVESVI・梗塞サイズに有意差なし。

◇結果
地域:米国、ボストン
登録期間:2008年1月〜2012年8月
観察期間:6ヶ月
無作為化:年齢(>70歳)と前壁梗塞でブロック化し、コンピュータによる無作為化を行った。
盲検化:二重盲検。ハードなエンドポイントなのでアウトカム評価者の盲検化の有無による影響はないと考えてよい。
必要症例数:記載なし
症例数:358例(ω−3脂肪酸群180例、プラセボ群178例)
追跡率:ω−3脂肪酸群73.9%、プラセボ群71.9%
解析:ITT解析
スポンサー:ω−3脂肪酸、プラセボはいずれも企業から提供(Glaxo SmithKline)

result

◇批判的吟味
・追跡率が低い。
・魚油から作ったEPA製剤は匂いでわかるので、盲検化が難しい。
・サロゲートエンドポイントの改善

◇感想
GISSI-Prevenzione試験ではOMI患者にω−3脂肪酸を投与することにより突然死が有意に減少した(虚血イベントは減らなかった)。ただ、90年代の試験であり現在のガイドラインに準じた治療とは異なる部分があり(βblockerやACE阻害薬/ARBの内服率が低い)、その結果を鵜呑みにすることには議論があった。そこで、2010年にOMEGA試験が行われ、現在のガイドに準じた治療を行っている患者群(βblockerやACE阻害薬/ARBの内服率が高い)を対象に、心臓突然死をエンドポイントにしてω−3脂肪酸とプラセボで無作為化試験を行っているが、心臓突然死は減らずGISSI-Prevenzione試験の結果は否定された形となった。

2007年に行われたJELIS試験は、心筋梗塞の一次予防・二次予防患者を対象に、ω−3脂肪酸の効果を検証したRCTであるが、一次予防群ではプラセボと変わらず、二次予防群では有意差がついたものの、その中身をみてみると不安定狭心症のみを減らしたという結果であった。これはPROBE試験であり、その解釈は慎重にならざるを得ない。

そして、2010年にOMI二次予防目的でω−3脂肪酸の効果を検証したALPHA OMEGA試験が行われ、ω−3脂肪酸の使用量が多くなかったことが影響しているかもしれないが、OMI患者の心血管イベントは抑えられなかった(こちらはJELIS試験と違い心筋梗塞・脳梗塞などのハードエンドポイント)。心筋梗塞や死亡を減らさないという点では、ALPHA OMEGA試験もJELIS試験も一致してるのかもしれない。

という流れの中で、EPA+DHA製剤を急性心筋梗塞を発症したばかりの人に内服させると、6ヶ月後のLVESVIが改善するというOMEGA-REMODEL試験の結果。追跡率が低く無作為化が維持できていない可能性があるので、ちょっと微妙かなと思ってしまう。ただ、リモデリングが抑えられれば、心不全入院・心不全死も抑えられる可能性があるし、GISSI-HF試験でも心不全患者を対象に、少し良い結果だったので、今後臨床的なエンドポイントで検証してもらいたい。

COMMENT:ENSURE-AF試験

Do NOACs ENSURE safe cardioversion in atrial fibrillation?
Lancet. 2016 Aug 26.[Epub ahead of print]

電気的除細動後は血栓塞栓リスクが増大し、その多くは10日以内に起こる。抗凝固療法を行わず電気的除細動を行った場合の血栓塞栓症のリスクは10%で、抗凝固療法を行った場合は4%以下になる。そして、電気的除細動施行3週間前から施行後1ヶ月まで抗凝固療法を行うと、血栓塞栓症は1%未満まで低下する。

RCTのデータは、非弁膜症性心房細動の血栓塞栓症予防にNOACsを使用することを支持しているが、電気的除細動の際の有効性及び安全性は確認されていない。実際には、電気的除細動の1/3でNOACsが投与されており、またRCTのpost hoc解析で脳梗塞と出血イベントは1%未満と報告されているため、ACC/AHAのガイドラインではNOACsの使用はclass Ⅱaとなっている。

X-VeRT試験は、非弁膜症性心房細動の電気的除細動時にリバーロキサバンを使用した、最初の多施設前向きオープンラベル無作為化試験である。1504例をリバーロキサバン群とワルファリン群に割り付け、両群で脳梗塞が0.5%未満、出血が1%未満であった。

エドキサバンとエノキサパリンーワルファリンを比較したENSURE-AF試験は、多施設のオープンラベル試験で、エンドポイント判定者が盲検化されてある。コンプライアンス不良やロストフォローアップはほとんどなく、ワルファリンのTTRは70%以上であった。ENSURE-AF試験は最も大きいRCTであるが、イベント率が低いため、有効性と安全性を評価するのに十分なパワーがない。

TEEを行わず電気的除細動を行う場合は、3週間の抗凝固療法のアドヒアランスを確認することは必須である。

血行動態が不安定な患者に電気的除細動を行う場合や、心房細動発症から48時間以内の場合に、NOACsが安全に使用できるかは定かではない。

治療抵抗性VT/VFの院外心停止 アミオダロンやリドカインの有効性は示せず

Amiodarone, Lidocaine, or Placebo in Out-of-Hospital Cardiac Arrest.
N Engl J Med. 2016 May 5;374(18):1711-22

《要約》
背景
抗不整脈薬は、ショック抵抗性の心室細動(VF)や脈なし心室頻拍(pulseless VT)を伴った院外心停止に対して用いられるが、生存利益は証明されていない。

方法
無作為化二重盲検試験で、アミオダロン、リドカイン、生理食塩水(生食)を比較した。対象は成人の院外心停止で、非外傷性のショック抵抗性VF、またはpulselessVT(少なくともショックを1回行った後)である。北米10施設の救急救命士が患者の登録を行う。主要評価項目は退院までの生存率、副次評価項目は退院時の良好な神経学的機能である。参加条件を満たし、試験で用いられる薬剤が使用され、初期波形がVFもしくはショック抵抗性のpulseless VTであった者を、per-protocol populationとする。

結果
per−protocol populationでは、アミオダロンに974例、リドカインに993例、プラセボに1059例の計3026例が登録され、退院時生存率はそれぞれ24.4%、23.7%、21.0%であった。生存率の相違は、アミオダロンとプラセボでは3.2ポイント(95%CI:−0.4 to 7.0)、リドカインとプラセボでは2.6ポイント(95%CI:−1.0 to 6.3)、アミオダロンとリドカインでは0.7ポイント(95%CI:−3.2 to 4.7)であった。退院時の神経学的アウトカムは三群で似通っていた。目撃者(witness)のある心停止で薬剤の効果が異なり、居合わせた人による心肺蘇生(bystander)とwitnessのある心停止では、アミオダロンとリドカインの生存率は有意に高かった。アミオダロン投与群では、他の群より一時的な心臓ペーシングが必要となる者がより多かった。

結論
全体では、ショック抵抗性のVFやpulseless VTの院外心停止では、アミオダロンもリドカインも生存率や退院時の神経学的アウトカムを改善しなかった。

◯この論文のPICOはなにか
P:非外傷性の院外心停止でショック抵抗性のVF及びpulseless VT
I:アミオダロン、もしくはリドカインの投与
C:生食の投与
O:退院時の生存率

inclusion criteria:18歳以上、一回以上のショックでも持続するVFもしくはpulseless VT、再発性のVFもしくはpulseless VT
exclusion criteria:すでにオープンラベルでアミオダロンもしくはリドカインが投与された症例、アミオダロンとリドカインに対するアレルギーの既往

◯baselineは同等か
同等。witnessがあったのは、どの群も70%程度。bystanderによるPADショックは5−6%で、救急要請から救急隊現着まで5−6分と、日本と大きな差はないように思います。
characteristics1
characteristics2

◯結果
地域:米国
登録期間:2012年5月7日〜2015年10月25日
観察期間:心肺停止から退院まで
無作為化:施設で層別化され、ブロック法を用いて行われる
盲検化:患者、EMS、治療介入者は盲検化されている(使用される薬剤のキットも同一ものになっている)。
必要症例数:退院時生存率をアミオダロン群で29.7%、プラセボ群で23.4%と仮定。power90%、αlevel0.05として、必要症例数は3000例と算出されている。
症例数:3026例(アミオダロン群974例、リドカイン群993例、プラセボ群1059例)
追跡率:ITT populationから1/3がexcludeされた残りがper−protocol populationでうち99%が、解析されている(ITT populationからどのような理由でexcludeされ、per-protocol populationとしたかは知りたいところだが、Supplementary Appendix参照しろということで、詳細不明)。
解析:per−protocol解析(primary analysis)
スポンサー:the National Heart,Lung,and Blood Instituteなど。企業の関与はない。

result
witnessとbaystanderのある集団のサブグループ解析では、生存率は、アミオダロン群27.7%、リドカイン群27.8%、プラセボ群22.7%であった。全体的リスク差はアミオダロンとプラセボで5.0ポイント(95%CI:0.3−9.7)、リドカインとプラセボで5.2ポイント(95%CI:0.5−9.9)であった。

◯感想/批判的吟味
per−protocol解析でprimary outcomeに差なし。もちろんITTでも差はなかった。つまり、全体としてはアミオダロンやリドカインの投与は、生存率や神経学的予後に寄与しないということになる。

しかし、witnessとbaystanderのある集団を対象としたサブグループ解析では、アミオダロン群とリドカイン群で精鋭予後改善効果が認められる。promary outocomeに差がないので、サブグループ解析の結果をそのまま信頼してはいけないと思うが、ただ、witnessやbystanderがない症例で生命予後や神経学的予後が悪いのは、実感としてわかる話。

アミオダロンはROSCや入院時生存率を改善するデータはあるが、退院時生存率まで改善する効果があるかわかっておらず、この試験によりその可能性があることが示された。今後、witnessやbystanderがある症例を対象とし、同様の仮説が成り立つかどうか検証が待たれる。