カテーテルアブレーションは低心機能+心房細動の心機能を改善する

Catheter Ablation Versus Medical Rate control in Atrial Fibrillation and Systolic Dysfunction (CAMERA-MRI).
J Am Coll Cardiol. 2017 doi: 10.1016/j.jacc.2017.08.041. [Epub ahead of print]

◇この論文のPICOはなにか
P:NYHAⅡ以上で、EF≦45%の持続性心房細動
I:カテーテルアブレーション(CA)
C:薬物によるレートコントロールのみ
O:6ヶ月後のLVEFの変化率(CMRによる評価)

exclusion criteria:冠動脈疾患、心機能低下の原因となるような疾患、アブレーションやMRIの禁忌例

Procedure
薬物療法:安静時心拍数<80bpm、平均心拍数<110bpm、6分間歩行後の心拍数<120bpmを目標に薬の投与量を調整する。6ヶ月以内は原則CAは行わない。

CA:ランダム化から1ヶ月以内に肺静脈隔離術を行う。ワルファリン・ダビガトラン以外の抗凝固薬は術前に中止、また、アミオダロン以外の抗不整脈薬も術前に中止する。CA施行後にILRを植え込み、3ヶ月以内の症候性AFの再発や難治性AFがあれば、再度CAを施行する。

◇試験の概要
デザイン:RCT(オープンラベル)
地域:オーストラリアの3施設
登録期間:2013年9月3日〜2016年12月23日
観察期間:6ヶ月
必要症例数:total 40例(LVEF10%改善、CA成功率80%、power80%)
症例数:66例(各群33例ずつ)
追跡率:100%
解析:ITT解析
スポンサー:ILRは14%はSJM社から無償で提供されているが、試験デザイン・データ収集・解析・論文執筆には関わっていない。その他、企業の関与なし。

◇患者背景

(本文から引用)

パッと見、スピロノラクトンは差がありそうだが、群間差についての記載はない。

◇結果
CA群で、肺静脈隔離術は100%成功し、左房後壁隔離術は94%で試みられ、85%で成功した。

CA群では洞調律に復帰した患者で、6ヶ月後の心拍数が有意に低下した(安静時心拍数:62±10bpm vs 79±12bpm、平均心拍数:67±9.1bpm vs 86±14bpm、6分間歩行後の心拍数:92±24bpm vs 73±12bpm)

薬物療法群では、6ヶ月の時点で、安静時心拍数80±10bpm、6分間歩行後の心拍数86±17bpmと良好な心拍数を維持した。


(本文から引用)

LEVF、左房容積、NYHA分類、BNPが有意に改善。

▶︎LVEF
CA群:+18.3%、薬物療法群:+4.4%
CA群の58%が、薬物療法群の9%がLVEF≧50%に。


(本文から引用)

CMRでLGEがない場合は、よりLVEFの改善が期待できる。

▶︎有害事象
予期しない入院は、薬物療法群で4例(心不全2例、ICD移植術2例)あったが、CA群ではなかった。CAの手技に関連した合併症としては、鼠径部とILR植え込み部の輸血を必要とする出血が1例、術後肺炎が1例であった。

◇まとめと感想
心機能が低下した心不全において、心房細動に対するアブレーションが心機能を改善させるかについては、研究により結果はまちまちだが、改善してもLVEFの変化はせいぜい1ケタだった(1−2)。

この研究では、LVEFはbaseline時の31%から+18.3%と大きく改善し、それは薬物療法のみの場合と比較して有意な差を示した。また、LGEがない症例では、LVEFの改善は+22%と大きかった。

つまり、左室線維化がそれほど進んでいなければ、アブレーションにより心機能が改善する余地が大きいということだろう。LGEがない症例、あるいはあっても軽度の場合には、アブレーションによって生命予後も改善するかもしれないが、それはちょっと飛躍しすぎかな。今後に期待。

(1)J am coll cardiol 2013;61:1894-1903
(2)Circ Arrhythm Electrophysiol 2014;7:31-8

糖尿病、高血圧、高脂血症がなくても、肥満自体が心血管疾患のリスクになる

Metabolically Healthy Obese and Incident Cardiovascular Disease Events Among 3.5 Million Men and Women
J Am Coll Cardiol. 2017;70(12):1429-37

◇この論文のPECOは?
P:心疾患を持たない18歳以上の男女
E/C:BMIと代謝疾患(糖尿病、高血圧、高脂血症)
O:心血管疾患、脳血管疾患、心不全、末梢血管疾患

<デザイン、セッティング>
・前向きコホート研究
・イギリス
・The Health Improvement Network(THIN)のデータベース(プライマリケアの記録)を使用
・3,495,777例
・観察期間:平均5.4年
・COX比例ハザードモデル

<結果>
underweight:<18.5kg/m2
normal weight:18.5-25.0kg/m2
overweight:25.0-30.0kg/m2
obese:≧30kg/m2


(本文から引用)

normal weightと比較すると、obese+no metabolic abnormalityのハザード比は、
心血管疾患 1.49(95%CI:1.45−1.54)
脳血管疾患 1.07(1.04−1.11)
心不全 1.96(95%CI:1.86−2.06)

◇まとめと感想
心血管疾患と心不全は、脳血管疾患や末梢血管疾患と比べて、肥満の程度とハザード比がわりときれいな正比例になる。

日本人では体重の分類やハザード比はそのまま適応できないかもしれないが、高血圧・糖尿病・高脂血症がなくても肥満自体が動脈硬化性疾患・死亡のリスクになるという考えは、日本人にも当てはまると考えていいだろう。

果実・野菜・豆の摂取量と、心血管死・全死亡の関係

Fruit, vegetable, and legume intake, and cardiovascular disease and deaths in 18 countries (PURE): a prospective cohort study.
Lancet. 2017 Aug 28. doi: 10.1016/S0140-6736(17)32253-5. [Epub ahead of print]

◇この論文のPECOは?
P:35-70歳
E/C:果物、野菜、豆の摂取量
O:全死亡、非心血管死、心血管死、心筋梗塞、脳梗塞、心不全

食事内容は食事摂取頻度調査票(FFQ)を用いて調査。その他、社会経済的要因(教育、収入、雇用)、ライフスタイル(喫煙、飲酒、身体活動)、既往歴、内服薬、身長、体重、腹囲、血圧なども調査。

調査は3,6,9年後に繰り返し行う。

1servingは、果物と野菜なら125g、豆なら150g。

<デザイン、セッティング>
・前向き観察研究
・135335例 
・5大陸18ヶ国(高所得国:カナダ・スウェーデン・アメリカ、中所得国:アルゼンチン・ブラジル・チリ・中国・カンボジア・イラン・マレーシア・パレスチナ・ポーランド・南アフリカ・トルコ、低所得国:バングラディシュ・インド・パキスタン・ジンバブエ)
・登録期間:2003年1月1日〜2013年5月31日
・観察期間:7.4年(中央値、IQR5.3-9.3年)
・multivariable Cox frailty model

<結果>
平均年齢50歳ぐらいで、男性40%。

Aは年齢、性別で調整。
Bは、年齢、性別、摂取カロリー、喫煙、糖尿病、都市/地方、身体活動、教育レベル、鶏の胸肉・子牛・豚などの肉、牛肉、パン、穀物で調整。

まず、フルーツ。

(本文から引用)

1日125g以上のフルーツの摂取で、非心血管死・全死亡が低下。

続いて、豆。

(本文から引用)

豆も、非心血管死・全死亡の低下と関連あり。
150g/週で、いい感じ。

野菜は。

(本文から引用)

年齢・性別で調整すると、125g/日以上で摂取量に応じて心血管死も非心血管死も減っている。ただ、いろいろ調整すると摂取量に応じたリスクの減少にはつながっていない。

◇まとめと感想
果物・野菜・豆の摂取が多いと非心血管死・全死亡が低下する可能性があり、動脈硬化性疾患も抑えられるかもしれないという結果。

果物125gは、
みかん・・・1個
りんご・・・半分ぐらい
バナナ・・・1本
ぶどう(巨峰)・・・8粒ぐらい

豆125gは、
納豆・・・2−3パック

なので、摂るのはそんにむずかしくないかも。

疫学研究はいろいろ調整できない交絡があるだろうし、そもそも交絡因子としてなにを含めるべきかよくわかりませんが、まあ、果物・野菜・豆は積極的にとりましょう、ということで。

非虚血性心筋症でも遅延造影を認めれば、CRTPよりCRTDがbetter

Outcomes of Cardiac Resynchronization Therapy With or Without Defibrillation in Patients With Nonischemic Cardiomyopathy.
J Am Coll Cardiol. 2017 Sep 5;70(10):1216-1227.

◇この論文のPECOは?
P:非虚血性心筋症でCRT-PまたはCRT-Dを留置した患者
E:心臓MRIで中層に遅延造影あり
C:遅延造影なし
O:全死亡(心移植、VADの植え込みを含む)

inclusion criteria:CRT移植術前にCMRが施行されている、CRT移植術が成功した患者
exclusion criteria:陳旧性心筋梗塞、冠動脈血行再建の既往、肥大型心筋症、拘束性心筋症、原発性の弁膜症、サルコイドーシス、アミロイドーシス、心筋炎

<デザイン、セッティング>
・イギリス
・前向き
・2002年7月〜2017年1月
・252例(MWF+68例、MWF−184例)
・観察期間:MWF+群3.8年、MWF-群4.6年(中央値)
・COX比例ハザードモデル

<結果>

(本文から引用)

一年死亡率は、MVF+:12.8%、MVF-:6.86%


(本文から引用)

MVFは死亡率の増加と関連あり(ハザード比2.31)

心房細動やNYHA classⅣなども死亡率の増加と関連がある。

CRT-Dは死亡率の低下と関連あり(ハザード比0.33)。


(本文から引用)

MVF+だとCRT-Dで有意に生存率が高いが、MWF-ではそれが明らかではない。

MVF+でのCRT-Dのハザード比0.23(95%CI:0.07−0.75)

◇まとめと感想
DANISH試験では、非虚血性心筋症でICDにより心臓突然死(SCD)は有意に減少したが、全体としては生命予後の改善までは至らなかった。それは、非心臓死などによりSCDの抑制効果が薄められた結果で、若年に限るとICDの生命予後改善効果が示唆されていた。

虚血ならICD、非虚血ならCRTが生命予後改善に有効と考えられる。その非虚血でも、MVFがあればCRT-Dにより生命予後が改善する可能性を示唆したのが、この研究。観察研究であり、limitationはあるだろうが、MVF+とか若年ではDをつけるのはreasonableかもしれない。

総エネルギー量に占める炭水化物の割合と全死亡の増加

Associations of fats and carbohydrate intake with cardiovascular disease and mortality in 18 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study.
Lancet. 2017 Aug 28. doi: 10.1016/S0140-6736(17)32252-3. [Epub ahead of print]

◇この論文のPECOは?
P:35−70歳
E/C:炭水化物、脂肪、蛋白質の摂取割合
O:死亡と心血管イベント(心血管疾患死、心筋梗塞、脳梗塞、心不全)

食事内容は食事摂取頻度調査票(FFQ)を用いて調査。その他、社会経済的要因(教育、収入、雇用)、ライフスタイル(喫煙、飲酒、身体活動)、既往歴、内服薬、身長、体重、腹囲、血圧なども調査。

調査は3,6,9年後に繰り返し行う。

<デザイン、セッティング>
・前向き観察研究
・135335例 
・5大陸18ヶ国(高所得国:カナダ・スウェーデン・アメリカ、中所得国:アルゼンチン・ブラジル・チリ・中国・カンボジア・イラン・マレーシア・パレスチナ・ポーランド・南アフリカ・トルコ、低所得国:バングラディシュ・インド・パキスタン・ジンバブエ)
・登録期間:2003年1月1日〜2013年5月31日
・観察期間:7.4年(中央値、IQR5.3-9.3年)
・multivariable Cox frailty model

<結果>
平均年齢50歳ぐらいで、男性40%。


(本文から引用)

炭水化物の摂取割合が大きいと、死亡率も高くなる。それは、非心血管死の増加であり、心血管疾患・心筋梗塞・脳梗塞との関連は見出せず、心血管疾患死も増加しない。


(本文から引用)

飽和脂肪酸の摂取量の増加は、脳梗塞の減少と関連があるが、心筋梗塞との関連はない。一価不飽和脂肪酸や多価不飽和脂肪酸の摂取量も、心筋梗塞・脳梗塞・心血管疾患死との関連なし。

◇まとめと感想
飽和脂肪酸はLDLコレステロールを増加させ、それを多価あるいは一価不飽和脂肪酸に置き換えることはLDLコレステロールを減少させる。飽和脂肪酸を含む脂肪の摂取を抑え、多価あるいは一価不飽和脂肪酸へ置き換えることで心血管疾患と全死亡の減少が報告されている。

そのため、AHAのガイドラインでは乳製品や肉から摂取する飽和脂肪酸を、植物油(主にリノール酸)から摂取する多価不飽和脂肪酸へ置き換えることを推奨している(1)。

この疫学研究では、総エネルギーのうち炭水化物の割合が増えると全死亡が増加したが、脂肪、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸と心血管疾患や死亡との関連は明らかではなかった。

(1)Circulation. 2017;136:e1-e23

DAPT 血小板機能測定とクロピドグレル/プラスグレルの選択

VerifyNowを用いて血小板活性を評価し、それに応じてクロピドグレルあるいはプラスグレルの容量調整・薬剤変更を行う方法は、臨床的アウトカムに差がないことが以前報告されている(1−2)。

これは、Roche Diagnostics社の測定器を用いて血小板機能検査を行い、その結果に応じてクロピドグレルかプラスグレルのいずれかのDAPTへの割り付けを行い、臨床的アウトカムについて検証したRCTである。

Guided de-escalation of antiplatelet treatment in patients with acute coronary syndrome undergoing percutaneous coronary intervention (TROPICAL-ACS): a randomised, open-label, multicentre trial.
Lancet. 2017 Aug 25. pii: S0140-6736(17)32155-4.[Epub ahead of print]

◇この論文のPICOはなにか
P:バイオマーカ陽性のACS
I:クロピドグレルまたはプラスグレルのDAPTへ割り付けを、血小板活性を評価し行う
C:プラスグレルのDAPT
O:12ヶ月後のnet clinical benefit(心血管死、心筋梗塞、脳梗塞、BARCgrade2以上の出血)

procedure:

(本文から引用)

対照群は12ヶ月のプラスグレルを用いたDAPT。介入群はprimay PCIを施行し退院7日後までプラスグレルのDAPTを継続。その後、プラスグレルからクロピドグレルへ切り替え7日後に血小板活性を評価。血小板活性が高くなければクロピグレルを継続し、血小板活性が高い場合にはプラスグレルへ戻す。

血小板機能はRoche Diagnostics社の測定器を使用。

◇試験の概要
デザイン:RCT(オープンラベル、非劣性試験)
地域:オーストリア、ドイツ、ハンガリー、ポーランドの33施設
登録期間:2013年12月2日〜2016年5月20日
観察期間:12ヶ月
必要症例数:secondary endpointに対し2600例(primary endpointだけなら2344例)
症例数:2610例(介入群1304例、対照群1306例)
解析:PP解析
スポンサー:企業の関与あり(Roche Diagnostics、イーライリリー、第一三共など4社)

◇患者背景

(本文から引用)

平均年齢60歳と若め、男性20%、糖尿病20%、腎不全3%。


(本文から引用)

1枝病変と多枝が半分ずつ、LAD lesionが多い、lesion classificationは様々、DESが80%。

◇結果

(本文から引用)

◇まとめと感想
理屈では、CYP2C19のPMであれば、血栓症予防にはクロピドグレルよりもプラスグレルの方がいい。PMでなければ、プラスグレルよりクロピドグレルの方が出血リスクは抑えられるだろう。クロピドグレルの効果が表れているか検査により判断できれば、効果を示していないPMに対してはプラスグレルを継続することは理にかなっている。

この試験デザインなら、出血が抑えられることが期待できたが、有意なイベントの低下は認めなかった(塞栓症と出血の複合エンドポイントで非劣性が証明されただけ)。

しかし、このTROPICAL-ACS試験で使用されたRoche Diagnostics社の測定器でも、またARCTIC試験やTRRIGER-PCI試験で用いられたVerifyNowでもそうだけど、血小板機能を評価して、それに応じて薬剤を変更したり調整したりする方法は、臨床的アウトカムを改善しないみたい。

理屈としては正しいけど、血小板機能をみるその方法がまずいのか。体内での血小板機能と検査での血小板機能の乖離みたいなものがあるのかも。

CYP2C19のPMの頻度、日本人では約20%、白人では3%程度と言われており、この試験では白人が99%でありPMの絶対数が少なかったから、結果に差が出なかった可能性はある。日本人なら、結果が違っていたかもしれない。

(1)J Am Coll Cardiol. 2012;59(24):2159-64.
(2)N Engl J Med. 2012;367(22):2100-9.

院外心停止で難治性VFでは、冠動脈多枝病変・血栓性病変・CTOが多い

Coronary Artery Disease in Patients With Out-of-Hospital Refractory Ventricular Fibrillation Cardiac Arrest.
J Am Coll Cardiol. 2017 Aug 29;70(9):1109-1117.

◇概要
院外心停止、初期波形がVT/VFで、3回のDCとアミオダロン300mgでもROSCしない症例の、冠動脈疾患の有病率や病変の複雑性を調べた研究。

<ミネソタ大学難治性VF/VTプロトコール>
ACLSに準じたCPRを行う。カテラボ到着後、ETCO2<10%、Pa02<50mmHg、SpO2<85%、血清乳酸値>18mmol/Lのいずれかを満たす場合には、CPRを中止。いずれも満たさない場合で、ROSCすれば速やかにCAG/PCIを行い、ROSCしない場合は速やかにVA-ECMOを導入し、CAG/PCIを行う。90分間、電気的な自己心拍を維持できない場合は、死亡と判断する。

・前向きコホート研究
・62例(カテラボまでたどり着き、組み入れ基準を満たす症例)
  7/62例:死亡
  55/62例:カテラボ到着 うち5例がROSC 残り50例はVA-ECMO導入
  46/55例:PCI施行


(本文から引用)

84%が冠動脈疾患
多枝病変が多く、Syntax Score29と高め。
1/3がCTO
血栓性病変も多くを占める。


(本文から引用)

アメリカだから、救急要請からカテラボ到着まで、結構時間がかかっている。
生存例では、要請からEMS到着までの時間が短く、カテラボ到着までの時間も短め。
ETCO2が高く、乳酸が低く、循環不全の影響が少なめ。

脳機能カテゴリ(CPC)1と2の割合は42%で、historical comparison groupでは15.3%で、神経学転帰もよい(オッズ比4.0、95%CI:2.08−7.7)

ちなみに、CPC1は神経障害が軽く、日常生活・就労に問題がない状態。CPC2は神経障害があり、麻痺・失調・記銘力障害などがあるが日常生活は自立できており、保護された状態でパートタイムの仕事ならできるという状態。

◇まとめと感想
初期波形がVT/VFの院外心停止でROSCしない難治性の症例では、冠動脈疾患を有する可能性が高く、血栓性病変・多枝病変も多い。ROSCしない症例に対しては、迅速にVA-ECMOを導入することで、生存率・神経学的予後の改善するかもしれない。

心房細動+ステント留置後の抗血栓療法 ダビガトランなら150mg BIDの方がいい

Dual Antithrombotic Therapy with Dabigatran after PCI in Atrial Fibrillation.
N Engl J Med. 2017 Aug 27. doi: 10.1056/NEJMoa1708454. [Epub ahead of print]

◇この論文のPICOはなにか
P:非弁膜症性心房細動+冠動脈疾患(ステント留置後)
I:P2Y12阻害薬に、ダビガトラン110mg BID、または150mg BIDの追加
C:DAPT+ワーファリン
O:大出血、または臨床的に問題となる出血

secondary endpoint:心筋梗塞、脳梗塞、全身性塞栓症、予定していない血行再建

手順:非弁膜症性心房細動(発作性・持続性・慢性でもどれでもいいが二次性のものはダメ)で、ACSまたは安定狭心症でPCIが施行された患者が対象。ステントはDESでもBMSでもどちらを使用してもよく、PCI成功後120時間以内に登録し、3群に割り付ける。なお、米国以外の国の高齢者(≧70歳)は3剤併用群もしくは110mgBIDの2群に割り付け。VKA+DAPTの3剤併用期間は、BMSなら1ヶ月、DESなら3ヶ月で、アスピリンを中止する。P2Y12阻害薬は、いずれの群もクロピドグレルかチカグレロルを使用。

exclusion criteria:機械弁、生体弁、eGFR<30ml/minなど

◇試験の概要
デザイン:RCT(オープンラベル、非劣性試験)
地域:41ヶ国 414施設
登録期間:2014年7月21日〜2016年10月31日
観察期間:14ヶ月(中央値)
必要症例数:最初は8520例だったが、途中で2500例に変更(3剤併用群のイベント発生14%、非劣性マージン1.38)。血栓塞栓イベント(心筋梗塞、脳梗塞、全身性塞栓症、予定していない血行再建)は当初primary endpointに含められていたが、パワー不足のためsecondary endpointへ変更。
症例数:2725例
追跡率:99.8%
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与あり(ベーリンガーインゲルハイム社)。同社はデータ解析、論文の執筆にも関与している。

◇患者背景

(本文から引用)

両群間にちょっと差がありそうだが、統計学的な差については記載がない。

平均年齢70歳
CHA2DS2-VASc:3.8、HAS-BLED:2.8
ACS50%で、82%にDES留置
P2Y12阻害薬はクロピドグレルが88%
3剤併用群のワーファリンのTTRは64%

◇結果

(本文から引用)

出血はダビガトラン110mgBIDでも150mgBIDでも、有意に少ない。


(本文から引用)

しかし、心筋梗塞・ステント血栓症についてはダビガトランが良いとは決して言えない。110mgBIDでは統計学的な有意差はないが、多い傾向にある。

◇まとめと感想
ステント留置直後の非弁膜症性心房細動において、VKA+DAPTの3剤併用療法に比べ、ダビガトランとP2Y12阻害薬の2剤併用の方が、出血が少なかった。PIONEERーAF PCI試験でも同様だが、出血という点に関して言えば、VKA+DAPTよりもDOAC+P2Y12阻害薬が良い。

ただ、心筋梗塞・ステント血栓症については、ダビガトラン110mgBID+P2Y12阻害薬で多い傾向にある。心筋梗塞に関しては、もとのサンプルサイズでやっていれば、統計学的な有意差もついたかもしれない。ステント血栓症は数が少ないのでなんとも言えないが、この結果で110mgを使おうとは思わない。

その点、150mgBIDだとVKA+DAPTと比較した場合、血栓症・塞栓症に大きな差はないため、150mgBIDを使うという選択肢はありかもしれない。比較的若く腎機能がよいということが条件にはなるが。

冠動脈疾患標準治療への超低容量リバロキサバン追加 COMPASS試験

Rivaroxaban with or without Aspirin in Stable Cardiovascular Disease.
N Engl J Med. 2017 Aug 27. doi: 10.1056/NEJMoa1709118. [Epub ahead of print]

◇この論文のPICOはなにか
P:冠動脈疾患、末梢血管疾患
I/C:リバロキサバン2.5mg×2+アスピリン100mg、リバロキサバン5mg×2、アスピリン100mgの3群比較
O:心血管死、脳梗塞、心筋梗塞

死因が明確である非心血管死以外は、心血管死としてカウントする。
虚血性疾患死(CHD death)=心筋梗塞による死亡、心臓突然死、心血管治療による死亡

安全性主要評価項目は、致死的出血、重要臓器不全の症候性出血、再手術を要する外科創部出血、入院を要する出血

inclusion criteria:65歳未満なら糖尿病や喫煙などの他のリスクが2つ以上あることなど
exclusion criteria:高い出血リスク、DAPT、他の抗血栓薬の使用など

◇試験の概要
デザイン:RCT(二重盲検、ダブルダミー、3×2 factrial design)
地域:33ヶ国 602施設
登録期間:2013年3月〜2016年5月
観察期間:23ヶ月
必要症例数:27400例(A単独群でpirimary endpointが3.3%/人年、Rの2群で20%の相対リスク減少)
症例数:27395例
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与あり(バイエル社)

◇患者背景

(本文から引用)

平均年齢68歳、OMI60%、冠動脈疾患90%、アジア人15%、βblockerやACE阻害薬/ARBは70%、脂質低下薬は90%

◇結果

(本文から引用)


(本文から引用)

A単独に比べR+Aで、primary endpointが有意に減少。
絶対リスク減少1.3%、相対リスク減少24%

心筋梗塞は減っていないので、心血管死の減少は脳梗塞死によるものかもしれないが、虚血性疾患死は有意に減少しているのは???

R単独では、primary endpointで差はつかない。虚血性脳卒中は減るが、それ以上に出血性脳卒中は増加する。

R+Aでは、やはり大出血は増加し、消化管と皮膚からの出血が増加している。

◇感想
冠動脈疾患を対象として、リバロキサバン2.5mg×2+アスピリン100mg、リバロキサバン5mg×2、アスピリン100mgの3群で、心血管死・脳梗塞・心筋梗塞をアウトカムに比較した試験。

R単独ではA単独より、心血管死・脳梗塞・心筋梗塞の複合エンドポイントは変わらず、大出血は有意に増加させた。なので、アスピリンの代わりにあえてリバロキサバン5mgを使用する理由はない。

ただ、アスピリンにリバロキサバン2.5mg追加すると、アウトカムは改善する(主に心血管死と脳梗塞の減少)。

欧米人に比べると虚血リスクが低い日本人でも有効性があるのか(サブグループ解析をみると有効っぽい)、出血がさらに増えるのではないか、容量は2.5mgで良いのかなど疑問はある。日本人も1500例ほど登録されているようなので、これからデータが出てくるだろう。非弁膜症性心房細動でもDOACがunder-doseで処方されることが少なくない日本では、アスピリン+リバロキサバンという処方は、たとえ有効性が確認されたとしても流行らないだろう。メーカーが、超低容量というなんか出血が少なそうな”響き”、”イメージ”を上手く使って売り込めば、どうかわからないが。

若くて、血圧コントロールが良くて出血リスクが低い人なら、リバロキサバン2.5mgを加えるのはありか。

心筋梗塞に酸素投与は不要 DETO2X-AMI試験

学生の頃、心筋梗塞にはMONAと習った気がする。

M:モルヒネ
O:酸素
N:硝酸薬
A:アスピリン

今でもそう教わるのかは知らないが、少なくとも酸素投与は必須ではない。というか、自分はSpO2≧90%あって呼吸困難がなければ、酸素投与はしないようにしている。

ただ、心筋梗塞に酸素投与をすべきかどうかについては結論が出ていないらしい。

AVOID試験では、酸素投与によりトロポニンのピーク値が高い傾向があった(1)。梗塞サイズが小さければ、その後の長期的なアウトカムに影響するはずだが、臨床的なアウトカムは確認されていない。

SOCCER試験では、酸素投与の有無で梗塞サイズに変化があるか心臓MRIにて検証しているが、差はなかった(2)。

また、コクランレビューでは、inconclusiveと断っているが、酸素投与の有無により死亡率は変わらないとされている(3)。

このDETO2X-AMI試験は、1年後の全死亡をアウトカムとして、酸素投与の有効性を検証した試験である。

Oxygen Therapy in Suspected Acute Myocardial Infarction.
N Engl J Med. 2017 Aug 28.[Epub ahead of print]

◇この論文のPICOはなにか
P:心筋梗塞が疑われる患者
I:酸素投与あり(6L/minを6−12時間)
C:酸素投与なし
O:1年後の全死亡

inclusion criteria:症状発現から6時間以内、SpO2≧90%、心電図での虚血性変化もしくはトロポニンの上昇
exclusion criteria:心停止

◇試験の概要
デザイン:RCT
地域:スウェーデン
登録期間:2013年4月13日〜2015年12月30日
観察期間:1年
盲検化:オープンラベル
必要症例数:6600例(酸素投与により1年死亡率の20%減)
症例数:6629例
追跡率:100%
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与なし

◇患者背景


(本文から引用)

収縮期血圧以外は、両群間に差はない。

最終的な診断は、3/4が心筋梗塞で、そのうちの60%ぐらいがSTEMI。

SpO2は、酸素投与群99%、酸素なし群97%(中央値)
酸素投与群での投与期間は、11.6時間(中央値)
酸素なし群で、低酸素血症により酸素投与を開始したのは254例(7.7%)。
約2/3で血行再建が行われている。

◇結果

(本文から引用)

酸素してもしなくても、1年後の死亡率は変わらない。

心筋梗塞による再入院は酸素なし群で少ない傾向だが、有意なものではない。

トロポニンのピーク値にも全く差がない(心筋梗塞の79.4%でトロポニンの測定がされている)。


(本文から引用)

どのサブグループでも、一貫した結果。
心筋梗塞のタイプによらず、酸素投与の効果なし。

◇感想
低酸素血症がない心筋梗塞の患者に、酸素を投与してもしなくても、1年後の死亡率は変わらない。

心筋梗塞に限ったサブグループでも、同様の結果であった。

トロポニンのピーク値に差がなかったことから、梗塞サイズもそこまで変わらないことが示唆される。AVOID試験では、トロポニンのピーク値は酸素なし群で少ない傾向にあったが、それとは若干異なる。同試験がトロポニンをエンドポイントにしており、またDETO2X-AMI試験では心筋梗塞の79%でしかトロポニンがフォローされていないのが要因かもしれない。

少なくとも、心筋梗塞で必ず酸素投与しなければならないという根拠はないと考えていいだろう。

(1)Circulation 2015;131:2143-50
(2)Eur J Emerg Med. 2016 Nov 23. PMID: 28664557
(3)Oxygen therapy for acute myocardial infarction.(Cochrane Database Syst Rev)

医学論文を1日ひとつ読んで書き留めています。