急性心膜炎の診断と治療 システマティックレビュー

Evaluation and Treatment of PericarditisA Systematic Review
JAMA. 2015;314(14):1498-1506.

◇疫学
欧米では80−90%が特発性とされていて、多くがウイルスによるもの。
悪性腫瘍5−10%、全身性炎症疾患または外傷2−7%、結核性4%、化膿性<1%
発展途上国では、結核性が多く予後が悪い。6ヶ月死亡率はHIVなしで25%、HIVありだと40%。

◇臨床所見
鋭い胸痛。座位や前傾で軽快する。
心膜摩擦音は1/3で聴取。
心嚢液貯留(約60%で認める)
予後因子:>38℃の発熱、亜急性、高度心嚢液貯留(>20mm)、心タンポナーデ、NSAID無効
上記の所見があれば、入院が必要。


心電図では、広範囲なST上昇(>60%で認める)と、PR低下が特徴的。

◇診断
・診断基準

心嚢穿刺の適応は、高度な心嚢液貯留(>20mm)、心タンポナーデ、内科的治療抵抗性、細菌性や悪性腫瘍が疑われる場合。

◇特発性、ウイルス性、免疫介在性心膜炎の治療
・アスピリン、またはNSAIDs(イブプロフェン、インドメタシン)
内科的治療の中心
治療効果は、解熱、胸痛や心膜摩擦音の消失

・コルチコステロイド
以前は、第一選択と考えられていたが、罹患期間の延長や再発が多いことなど有害事象が多いことが明らかになった。
高容量プレドニゾン(1mg/kg/day)と低容量〜中等量プレドニゾン(0.2−0.5mg/kg/day)を比較した研究では、高容量プレドニゾンで重大な有害事象、再発、入院が有意に多かった(ハザード比3.61、95%CI:1.96−6.63)。

・コルヒチン
急性心膜炎、再発性心膜炎のいずれでも、NSAIDsにコルヒチンを併用することで、1週間後の寛解率が上昇し、再発が減少する(エビデンスレベルA)。
コルヒチンの最も多い有害事象は消化管症状で、特に下痢である(7−10%)。
投与量は体重で調整(>70kgなら0.5mgを1日2回、≦70kgなら0.5mgを1回)

・コルヒチンによる治療後の再発
確立された治療はない。
アザチオプリンや免疫グロブリン静注が試みられているがエビデンスは不十分。

◇予後
病態により異なる。
収縮性心膜炎は、以下のような確率で起こる。
 特発性、ウイルス性で0.76/1000人年
 膠原病、外傷で4.40/1000人年
 悪性腫瘍で6.33/1000人年
 結核性で31.65/1000人年
 細菌性で52.74/1000人年

心膜炎に心筋炎が合併するのは20−30%。
トロポニンが上昇する。
心膜心筋炎389例、31ヶ月の観察では、3.5%で左室機能低下が残存したが、心不全はゼロ。13.0%で再発したが、その90%以上が心膜炎のみの再発で、心タンポナーデや収縮性心膜炎は1%未満だった。
再発した特発性心膜炎の予後は良い(230例、61ヶ月の観察で、心タンポナーデ3.5%、収縮性心膜炎や左室機能低下はなかった)。

STEMI+多枝病変 完全血行再建は緊急血行再建のみ減少させる

Complete or Culprit-Only Revascularization for Patients With Multivessel Coronary Artery Disease Undergoing Percutaneous Coronary Intervention: A Pairwise and Network Meta-Analysis of Randomized Trials.
JACC Cardiovasc Interv. 2017 Feb 27;10(4):315-324

多枝病変を有するSTEMI患者の予後が悪いことは知られているが、primary PCIを行なった後に残存した狭窄に対しどのような治療戦略(薬物療法のみか、PCIも行うか、PCIを行うならそのタイミングはいつが良いか)が最適かどうかはわかっていない。

◇論文の概要
多枝病変を有するSTEMIを対象としたメタ解析である。

10個のRCT(2285例)を組み入れ、残存狭窄に対する治療を、薬物療法のみと完全血行再建(primary PCTと同時、入院中、退院後)に分けている。


(本文から引用)
責任病変のみと完全血行再建を比較。完全血行再建を行なっても、死亡率や再梗塞率はかわらない。死亡のI2統計量は1.8%と異質性は低く、信頼性が高いデータ。減少するのは、緊急血行再建のみ。いずれの試験もオープンラベルなので、緊急血行再建はバイアスが入る余地がある。

ちなみに、心筋梗塞を減らしているPRAMI試験では、primary PCI時に残存病変の治療も行なっているため、手技に関連した心筋梗塞はマスクされる可能性がある。


(本文から引用)
PCIのタイミングについて、責任病変のみ、primary PCIと同時、入院中、退院後の4つのストラテジーでの比較。死亡率は責任病変のみでも完全血行再建でも変わらない。緊急血行再建は、完全血行再建を行なった群で有意に少ないが、完全血行再建の中では、primary PCIと同時、入院中、退院後のいずれのタイミングでも、差はない。

◇感想
STEMIの残存病変に対する完全血行再建は、緊急血行再建は減らすが、死亡率、再梗塞率は減らさない。治療の性質上オープンラベルなので、血行再建というソフトエンドポイントはバイアスが入る余地がある。

以前publishされているメタ解析(J Am Coll Cardiol 2011;58:692–703)では、責任病変のみ、primary PCIと同時、staged PCIを比較し、staged PCIが短期予後と長期予後を改善させたと報告している。ただ、このメタ解析には観察研究を含んでいて、primary PCIと同時に残存狭窄の治療を行なった群に、Killip Ⅳやショックが多く含まれているので、選択バイアスや無イベント時間バイアスが入っている可能性がある。

STEMIの残存狭窄の治療対象となるのは、安定狭心症と同様、angiographicalではなくFFR guideが良いと、DANAMI3-PRIMULTI試験で決着が付いている。では、PCIのタイミングはというと、このメタ解析が示すように、primary PCIと同時でも、入院中でも、退院後でも、いつでも変わらない。

そして、残存狭窄に対するPCIのベネフィットは、緊急血行再建の減少のみ。死亡率や再梗塞率の減少という恩恵を受けている患者もいるかもしれないが、集団でみた場合にはその有効性は示されていない。

MRI非対応デバイス(ペースメーカ、ICD)でのMRI撮像

Assessing the Risks Associated with MRI in Patients with a Pacemaker or Defibrillator
N Engl J Med 2017; 376:755-764

◇論文の概要
心臓植込み型電気的デバイス(ペースメーカやICD)はMRIは禁忌とされてきた。MRI非対応のペースメーカやICDで、MRI(1.5T)を撮像することの影響を調べた前向き研究。

MRI撮像の前に設定の変更を行い、終わったら元に戻す。
・ペースメーカの場合
無症候または自己脈≧40/minなら、no-pacing mode(ODO、OVO=ペーシングせず、センスのみ)
症候性または自己脈<40/minなら、asynchronous pacing mode(DOO、VOO=自己脈に関係なく設定されたレートでペーシングし続けるモード)

・ICDの場合
ペーシングに依存していない患者なら、徐脈・頻脈に対する治療のすべてを解除する。
ペーシングに依存している患者は、MRIの撮像はしない。

MRIの撮像が終わったら、もとの設定に戻す。
 
アウトカムは、死亡、交換を要するジェネレータまたはリード不全、ペーシング不全、新規の不整脈、ジェネレータの電気的なリセット

MRI撮像回数
ペースメーカ:1000回
ICD:500回


ペースメーカ依存の患者は28%、撮像時間は40分ちょっと、1回以上撮像している患者はおよそ20%、撮像部位は頭・首・腰が多い。


ICDで1件、ジェネレータ不全のため交換が必要になっている。


ジェネレータやリードの不全とまではいかなくても、ジェレネータやリードには多少影響はある。

◇感想
今までも少数の報告や、胸部MRIを含めた500例ぐらいの報告はあったよう。MRI非対応のペースメーカやICDが留置されている患者で、1.5TのMRIで非胸部の撮像なら、比較的安全に施行できる可能性を示唆している。

非典型的たこつぼ心筋症の臨床像と転帰

Differences in the Clinical Profile and Outcomes of Typical and Atypical Takotsubo Syndrome: Data From the International Takotsubo Registry.
JAMA Cardiol. 2016;1(3):335-40.

◇論文の概要
<背景>
心尖部バルーニングは古典的なたこつぼ型心筋症(TC)と認識されている。非典型的なTCも存在しており、全症例の20%を占める。今まで、非典型的TCの臨床像と転帰についてはほとんど調べられていない。

<目的>
大規模なコホートで、典型的、非典型的TCの臨床像と転帰を調べること。

<デザイン、セッティング、患者>
・9ヶ国、26施設
・後向き(1998年〜2014年)
・1750例(典型的TC1430例、非典型的TC320例)


(本文から引用)
一番左が典型的なTC。右の3つは非典型的なTCで、中間部、基部、局在的なバルーニングが見られている。


(本文から引用。この論文では、たこつぼ型心筋症=TTSで表記されていますが、このブログではTCで統一しています。)
年齢は統計的には差があるが、SDも大きく、臨床的には差はなさそう。トリガーは身体的なものか感情的なものかで、バルーニングのパターンが異なるという報告もあり、このコホートでも非典型的TCで感情的なトリガーが多い傾向にあるが、有意差はない。典型的TCではST上昇がみられ、非典型的TCではST低下がみられる。非典型的TCの方が若く(ただしSDは大きい)、若干EFが良く、神経学的疾患が多い。

<結果>

(本文から引用)
1年後からのランドマーク解析では差が出ていないが、1年以内の死亡率は典型的TCで有意に多い。しかし、交絡因子の調整をすると差はなくなった。LVEF(<45%)、af、神経学的疾患が独立した危険因子である。

◇感想
非典型的TCは、典型的TCより若年発症で、ST低下が多く見られ、神経学的疾患の合併が多く、LVEFの低下が少なく、入院時のBNPが低い。典型的TCが一番血行動態への影響が大きそうだが、交絡因子の補正をすると典型的TCと非典型的TCでは、予後は変わらない。予後を規定するのは、LVEF(<45%)、af、神経学的疾患。

AMACING試験 生食投与でも造影剤腎症は防げない

Prophylactic hydration to protect renal function from intravascular iodinated contrast material in patients at high risk of contrast-induced nephropathy (AMACING): a prospective, randomised, phase 3, controlled, open-label, non-inferiority trial.
Lancet. 2017 Feb 20. [Epub ahead of print]

《要約》
背景
ガイドラインでは、腎機能低下症例での造影剤腎症予防に生食投与が推奨されている。しかし、予防的ハイドレーションの有無での、臨床的な有効性と費用対効果は十分に検証されていない。これが、AMACING試験の目的である。

方法
AMACING試験は前向き、無作為化、第3相、パラレルグループ、オープンラベル、非劣性試験である。対象は、現在のガイドラインで造影剤腎症のリスクがあるとされる患者である。オランダのマーストリヒト大学メディカルセンターでヨード造影剤の投与を受ける18歳以上の高リスクの患者(eGFR30−59ml/min/1.73m2)を、無作為に0.9%生理食塩水群と非予防群に割り付けた。eGFR30以下、血液透析は除外した。事前に設定したリスク因子で層別化し無作為化を行なった。主要評価項目は、造影剤腎症の発症(造影剤投与2−6日で、血清Crがベースラインから25%以上、または0.5mg/dl以上上昇すること)と、予防をしないことの費用対効果である。血清Crは造影剤投与前、2−6日後、26−35日後に測定した。解析者は盲検化した。有害事象と資源の使用は記録した。非劣勢マージンは2.1%とした。intention-to-treat解析とper-protocol解析を行なった。

結果
2014年6月17日から2016年7月17日までで、660例が無作為に割り付けられた(非予防群332例、生食投与群328例)。2−6日後の血清Crは非予防群では307/332例(92%)で、生食投与群では296/328例(90%)で測定された。造影剤腎症は非予防群では8/307例(2.6%)、生食投与群では8/296例(2.7%)で認めた。絶対的な差異は−0.1%(片側95%CI:-2.25to2.06)であった。非予防は生食投与より費用が削減された。35日以内に血液透析や死亡は観察されなかった。18/328例(5.5%)で生食投与により合併症が生じた。

結論
造影剤腎症の予防において、生食を投与しないことは生食投与と比較し非劣勢であり、費用を削減できる。

◇この論文のPICOはなにか
P:ヨード造影剤を用いた検査・治療を行う予定の腎機能障害患者(eGFR30−59)
I:生食を投与しない(非予防群)
C:生食を投与する(生食投与群)
O:造影剤腎症の発症(造影剤投与2−6日で、血清Crがベースラインから25%以上、または0.5mg/dl以上上昇すること)と、非予防群の費用対効果

inclusion criteria:待機的検査を行う連続症例、18歳以上
exclusion criteria:eGFR30未満、腎代替療法、緊急検査、集中治療が行われている患者

◇baselineは同等か

同等。生食は検査前に822ml投与されていて、オランダ人の男性の平均身長は1.8mぐらいらしいのでBMI28だと体重が90kgほどになるが、それでも十分な量が投与されていると考えていいだろう。

◇試験の概要
地域:オランダ
登録期間:2014年6月17日〜2016年7月17日
観察期間:最長35日
無作為化:糖尿病、eGFR、投与ルート(動脈or静脈)、診断か治療かで層別化あり。ALEAを用いたコンピュータによる無作為化。
盲検化:オープンラベル。解析者は盲検化されている。
必要症例数:生食投与群で造影剤腎症が2.4%発症し、非劣性マージン2.1%、power80%、one-sided alpha5%と仮定して1300例と算出。2015年12月に必要症例数を改定し600例としているが、その根拠は不明。
症例数:660例(非予防群332例、生食投与群328例)
追跡率:非予防群307/332例(92%)、生食投与群296/328例(90%)
解析:ITT解析とper-protocol解析
スポンサー:企業の関与なし

◇結果

糖尿病では生食投与寄り。逆に治療行為があると非予防群の方がいい。

生食投与による合併症を18例(5.5%)で認めた。利尿薬の投与や入院の延長13例、低Na血症1例、不整脈4例。

26−35日だと・・・
eGFR10以上の低下は
非投与群で11/260例(4.2%)、生食投与群7/260例(2.7%)

(費用対効果の図表はよくわからないので、ここでは割愛。とりあえず、費用対効果もよくなるらしい。)

◇批判的吟味
・患者背景は、自分の実臨床にも応用できるだろう。
・事前に設定されたサンプルサイズは1300例で、結局660例なのでパワー不足は否めない。
・費用対効果が非予防群でよかったといっても、それはせいぜい1ヶ月程度までの話で、eGFRが10以上悪くなった症例が非予防群で多い傾向にあるのでそれが長期的にどうなるかはわからない。

◇感想
生食投与では造影剤腎症を予防できないという結果。治療行為のサブグループだと、生食の予防投与をやらない方がいい傾向にある。26−35日の時点だと、eGFRが10以上低下する割合が生食投与群で少ない。

パワー不足っぽいので結果は鵜呑みにはできないですが、確かに生食投与でデコっちゃう人はたまーにいるので(心機能が悪いと)、そこらへんに注意しながらって感じでしょうか。もちろん、費用対効果の問題もありますが、自分の中では、この研究で生食を投与しないということにはなりません。

ReACT試験 フォローアップ冠動脈造影はルーチンで行う必要がない

The ReACT Trial: Randomized Evaluation of Routine Follow-up Coronary Angiography After Percutaneous Coronary Intervention Trial.
JACC Cardiovasc Interv. 2017 Jan 23;10(2):109-117

《要約》
目的
この試験の目的は、日本で一般的である、カテーテル治療(PCI)後にルーチンで行われるフォローアップの冠動脈造影(FUCAG)の長期的な臨床上のインパクトを調べることである。

背景
PCI後にルーチンで行われるFUCAGの、長期的な臨床上のインパクトは十分調べられていない。

方法
前向き、他施設、オープンラベル、無作為化試験である。PCIに成功した患者を、冠動脈造影をルーチンで行う群(AF群)と、行わない群(CF群)の2群に無作為に割り付け、AF群ではPCIから8−12ヶ月後にFUCAGを行った。主要評価項目は、最短で1.5年の観察期間での、死亡、心筋梗塞、脳梗塞、急性冠症候群(ACS)による緊急血行再建、心不全による入院の複合エンドポイントである。

結果
2010年3月から2014年7月の間で、22施設からAF群349例、CF群351例の計700例を登録した。中央値4.6年(四分位範囲3.1−5.2年)の観察期間で、主要評価項目の5年間の累積発生率はAF群で22.4%、CF群で24.7%であった(HR:0.94、95%CI:0.67-1.31)。最初の1年に行われる血行再建は、AF群で有意に多かったが(12.8%vs3.8%、log-rank p<0.001)、5年間の観察期間ではその差は薄れた(19.6%vs18.1%, log-rank p=0.92)。

結論
PCI後にルーチンで行われるFUCAGは臨床的ベネフィットがなく、早期の血行再建はFUCAGを行なった患者群で有意に増加した。

◇この論文のPICOはなにか
P:PCIに成功した冠動脈疾患患者
I:PCIから8−12ヶ月後にルーチンでの冠動脈造影を行う(AF群)
C:ルーチンでの冠動脈造影を行わない(CF群)
O:死亡、心筋梗塞、脳梗塞、急性冠症候群(ACS)による緊急血行再建、心不全による入院

inclusion criteria:staged PCIが予定されていない患者
exclusion criteria:なし

◇baselineは同等か

同等。たぶんAPがメインで、病変とステント数は1コか2コ。CTOは少ない。2stentで治療されていた患者の割合は不明。スタチンやβblockerの内服率は高くない。

◇試験の概要
地域:日本
登録期間:2010年3月〜2014年7月
観察期間:中央値4.6年(四分位範囲3.1−5.2年)
無作為化:施設、BMS使用で層別化した上で、退院前に登録し無作為化する。
盲検化:オープンラベル
必要症例数:当初は、3年間のCF群でのイベント発生率25%、介入により15%の相対的リスク減少、power80%で、必要症例数3300例と算出されていたが、登録が進まないために2014年に700例に修正されている(5年間の観察期間で、CF群のイベント発生率が47.7%、介入により25%の相対的リスク減少、クロスオーバーやロストフォローアップが25%と仮定)。
症例数:AF群349例、CF群351例の計700例
追跡率:不明
クロスオーバー:AF群14.6%、CF群12.0%
解析:ITT解析
スポンサー:記載なし

◇結果

TLRや血行再建はAF群で増えているが、その結果ACSが減っているかというと、そうではなさそう。

◇批判的吟味
・PCIは、病変としてはシンプルな患者がメインっぽい。
・糖尿病の患者が半分近くいて、高血圧・脂質異常・冠動脈疾患の既往など、リスクは高め。
・症例が集まらず、途中でサンプルサイズ変更しているが、変更後のサンプルサイズには達している。
・観察期間は5年なので、設定されたアウトカムを評価するには十分な期間だと思う。
・APに対するPCIに心筋梗塞予防効果や生命予後改善効果がないことを考えると、ルーチンのフォローアップCAGに意味があるとは考えにくい。パワー不足の可能性はあるが、結果については異論がない。
・AF群で早期の血行再建が多いが、その後CF群も増えている。血行再建をいつやるかというタイミングの問題かもしれない。ただ、フォローアップCAGをルーチンでやった方が、医療費はかさむ。

◇感想
PCI後のフォローアップCAGは、臨床的なアウトカムは改善しないという結果。費用対効果を考えれば、多くの患者でルーチンでのフォローアップCAGは不要で、症状の再燃や客観的な虚血が証明された場合に限った方がいいだろう。

この試験に組み入れらた患者は、スタチンはそこそこ処方されているが、βblockerの処方率は低い。冠動脈疾患者に対する実臨床を反映していると思うが、自分が患者だったら、症状の有無に関わらず、とりあえずスタチンとβblockerは最大耐用量まで増やしてもらって、その後PCIをどうするか考えるなぁ。

PCSK9阻害薬アリロクマブのLDL低下効果

《要約》
背景
PCSK9阻害薬であるアリロクマブは、スタチンで治療されている患者のLDLレコステロール値を低下させることが示されている。安全性と有効性を証明するために、より大規模で長期の試験が必要である。

方法
心血管イベントリスクが高く、スタチンを最大耐用量を内服しているにもかかわらずLDLコレステロール≧70mg/dの患者l2341例を組み入れた無作為試験を行なった。患者を、アロリクマブ(150mg)またはプラセボを2週に1回皮下注を行う2群に、2:1に無作為に割り付けた。有効性主要評価項目は、ベースラインから24週時点でのLDLコレステロールの変化率である。

結果
アロリクマブ群とプラセボ群のLDLコレステロールの変化率の差は、−62パーセンテージポイントであった(P<0.001)。治療効果は78週にわたり一貫していた。アロリクマブ群はプラセボ群に比べ、注射部位の反応(5.9%vs4.2%)、筋肉痛(5.4%vs2.9%)、神経認知イベント(1.2%vs0.5%)、眼科的なイベント(2.9%vs1.9%)が多かった。事後解析では、心血管イベント(冠動脈死、非致死性心筋梗塞、致死性・非致死性脳梗塞、入院を要する不安定狭心症)はアロリクマブ群で少なかった(1.7%vs3.3%、HR:0.52、95%CI:0.31−0.90)。

結論
最大耐用量のスタチンにアロリクマブを加えることで、LDLコレステロールを有意に低下させた。事後解析では、アロリクマブの心血管イベントの減少が認められた。

◇この論文のPICOはなにか
P:スタチンを最大耐用量内服している冠動脈リスクが高い患者
I:アロリクマブ150mg皮下注
C:プラセボ皮下注
O:24週でのLDLコレステロールの変化率

inclusion criteria:LDLコレステロール70mg/dl以上、18歳以上、家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体、冠動脈疾患、またはそれと同等のリスクを有する患者(末梢動脈疾患、虚血性脳梗塞、中等度の慢性腎臓病[eGFR30−60]、糖尿病とそれ以外の2つリスク[高血圧、ABI≦0.9、微量アルブミン尿、早発の冠動脈疾患の家族歴など])、少なくとも登録の4週前からスタチンを最大耐用量内服していること
exclusion criteria:本文には記載なし

◇baselineは同等か
同等。
ざっくりいうと、年齢60歳、ほとんど白人、BMI30と太っていて、70%が冠動脈疾患患者、1/3が糖尿病、ほぼ100%スタチンを内服している。LDLは120ぐらいで、HDL50ぐらい。

◇試験の概要
地域:アフリカ・ヨーロッパ・北米・南米の27カ国
登録期間:記載なし
観察期間:記載なし
無作為化:記載なし
盲検化:患者、治療実施者は盲検化されている。
必要症例数:LDLがどれくらい下がるかは記載がないが、12・18ヶ月時点でのドロップアウトがそれぞれ25%.35%で、2100例(アリロクマブ群1400例、プラセボ群700例)とされている。
症例数:2341例(アリロクマブ群1553例、プラセボ群788例)
追跡率:アリロクマブ群89.2%、プラセボ群89.8%
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与あり(Sanofi社、Regeneron Pharmaceuticals社)

◇結果

LDLはすごく下がって、HDLもちょっと上がる。約80%で、LDL<70mg/dlを達成。

◇批判的吟味
・このLDL低下が、心血管イベントの抑制につながるかは、現時点では明らかではない。今後、PCSK9阻害薬でも、the lower the betterが証明されるのか。
・HDLもちょっと上がっており、この上昇が心血管イベントの抑制に働く可能性。

◇感想
心血管イベントをアウトカムにしたFOURIER試験(エボロクマブ)が行われていて、ポジティブな結果が出たそうで、今月のACCで発表されると。FOURIER試験では27000例も組み入れられているが、それだけの症例が必要になったのは、対照群のイベント率が低いからなのか、それともエボロクマブによる効果が小さいからなのか。

対照群で4.5%/年のイベント率、エボロクマブにより15%の相対リスク減少という仮説で試験が組まれている様。心血管死、心筋梗塞などのハードエンドポイントを減らすのか、あるいはUAPによる入院や血行再建などのソフトエンドポイントの抑制が影響が大きいのか(上のようにPCSK9阻害薬でこれだけLDLが下がると、盲検化を維持するのが難しそうなので、これがソフトエンドポイントに影響を与える可能性はありそう)。結果が楽しみです。

PCSK9阻害薬エボロクマブ 第Ⅱ-Ⅲ相臨床試験のデータから

Efficacy and Safety of Evolocumab in Reducing Lipids and Cardiovascular Events
N Engl J Med 2015; 372:1500-1509

《要約》
背景
エボロクマブは、PCSK9を阻害するモノクローナル抗体で、短期的な試験において、LDLコレステロールを著しく低下させた。我々は、より長期のデータを得るため、2つの試験を延長した。

方法
2つのオープンラベル、無作為化試験で、第Ⅱ相または第Ⅲ相試験(parent trials)を終えた4465例を登録した。parent trailsの割り付けに関係なく、エボロクマブ+標準治療の群(140mgを2週ごとに投与、または420mgを月に1回投与)と標準治療のみの群に、2:1に割り付けた。11.1ヶ月(中央値)フォローアップされ、脂質レベル、安全性、心血管イベント(死亡、心筋梗塞、不安定狭心症、冠動脈血行再建、脳梗塞、TIA、心不全)について評価した。2つの試験のデータを複合した。

結果
標準治療群に比べ、エボロクマブ群ではLDLコレステロールが61%減少した(中央値で120mg/dlから48mg/dl、P<0.001)。神経認知機能のイベントはエボロクマブで起こりやすいことが報告されていたが、ほとんどの有害事象に有意差はなかった。神経認知機能のイベントも含め、有害事象のリスクと治療後のLDLコレステロール値に相関はなかった。1年間の心血管イベントは標準治療群では2.18%、エボロクマブ群では0.95%であった(ハザード比:0.47、95%CI:0.28−0.78)。

結論
標準治療にエボロクマブを加えることで、LDLコレステロール値と心血管イベントが有意に低下する。

◇この論文のPICOはなにか
P:高脂血症※
I:標準治療に加え、エボロクマブ投与(エボロクマブ群)
C:標準治療のみ(標準治療群)
O:有害事象の発生(重大な有害事象、エボロクマブの中止につながる有害事象、CKと肝機能の異常値、エボロクマブに対する中和抗体の産生)

secondary endpoint:LDLコレステロール値、心血管イベント(死亡、心筋梗塞、不安定狭心症、冠動脈血行再建、脳梗塞、TIA、心不全)

※今までに行われた第Ⅱ相、または第Ⅲ相の12試験に登録された患者を対象にしている。12試験の患者は様々で、スタチンなしでLDL<100mg/dl、スタチン投与下でLDL<85、ヘテロ家族性高コレステロール血症でスタチン投与下でLDL<100mg/dlなど。

nclusion criteria:parent trialが終了していること、parent trialで有害事象が起きていないこと、病態が安定していること

◇baselineは同等か
同等。心血管疾患、脳血管疾患の既往がある人は多くなく、一次予防がメイン。スタチンは70%しか入っていない。

◇試験の概要
地域:北米、欧州、アジア、南アフリカ
登録期間:2011年10月〜2014年6月
観察期間:11.1ヶ月(中央値)
無作為化:interactive voice-responseまたはweb-response systemを用いて中央割り付けを行う。
盲検化:オープンラベル
必要症例数:記載なし
症例数:4465例(エボロクマブ群2976例、標準治療群1489例)
追跡率:不明
解析:ITT解析
スポンサー:Amgen社による資金提供あり。試験デザイン、データ収集、解析もAmgen社が行う。

◇結果
エボロクマブ群で、投与中止が7.2%。

○脂質
・LDL(エボロクマブ群、ベースライン→12週後)
120mg/dl → 48mg/dl
(100mg/dlを切ったのは、約90%)
・HDLは7.0%上昇

○心血管イベント(死亡、心筋梗塞、不安定狭心症、冠動脈血行再建、脳梗塞、TIA、心不全)
エボロクマブ群 vs 標準治療群
0.95% vs 2.18%, HR:0.47(95%CI:0.28−0.78)

◇批判的吟味
・LDL低下効果は高い
・スタチンが70%しか内服していない
・心血管イベントに差があるが、ソフトエンドポイントも含まれており、オープンラベルなので要注意。
・心血管イベントを評価するには11ヶ月は短い。
・スポンサー企業が、試験デザイン・データ収集・解析も行なっている。
・有害事象は、それほど発生頻度が高くないので、検出力が十分あるかわからない。
・parent trialで有害事象が発生した患者は除外されているため、有害事象の発生はもっと多いはず。

◇感想
一次予防がメインの集団で、スタチン内服率は70%と高くないが、エボロクマブを投与することにより、LDLは著しく低下し、有害事象は増えなかった。心血管イベントがエボロクマブ投与により減っているが、エンドポイントの設定が適切でない可能性があり、今後のデータが待たれる。

重症のC.difficile感染症の治療は、バンコマイシンが良い

Comparative Effectiveness of Vancomycin and Metronidazole for the Prevention of Recurrence and Death in Patients With Clostridium difficile Infection.
JAMA Intern Med. 2017 Feb 6. [Epub ahead of print]

《要約》
<重要性>
メトロニダゾール塩酸塩は、軽症から中等症のクロストリジウム・ディフィシル感染症(CDI)の治療の第一選択と考えられているが、臨床的な効果ではバンコマイシンに劣る。治療の選択は、その先にあるCDI再発や死亡率といったアウトカムに影響を与えるが、これらのアウトカムを調べた研究は少ない。

<目的>
軽症から中等症および重症のCDIを、メトロニダゾールまたはバンコマイシンで治療した場合の、再発と30日全死亡のリスクを評価すること。

<デザイン、セッティング、患者>
便検査でCDトキシンまたはトキシン遺伝子が陽性となったCDIを対象とした、プロペンシティスコアマッチング、後ろ向き研究である。2005年1月1日〜2012年12月31日の退役軍人病院のデータで、解析は2015年2月7日〜2016年11月22日に行った。

<暴露>
バンコマイシンまたはメトロニダゾールの投与

<アウトカムと測定>
この研究でのアウトカムは、CDI再発と30日全死亡率である。再発の定義は、初回のCDIの診断から8週以内に検査が陽性になること。30日全死亡率の定義は、初回のCDIの診断から30日以内の全死亡率である。

<結果>
47471例(平均68.8±13.3歳、女性1947例、男性45524例)がCDIと診断され、バンコマイシンまたはメトロニダゾールが投与され、この研究の組み入れ基準を満たした。47471例のうち、2068例(4.4%)がバンコマイシンで治療され、メトロニダゾールで治療された患者8069例とプロペンシティスコアがマッチし、計10137例を組み入れた。5452例の軽症から中等症のCDIと、3130例の重症CDIでサブコホートを構成した。全集団では、バンコマイシンで治療してもメトロニダゾールで治療しても、CDI再発リスクになかった。また、全集団では30日全死亡率が低かった(調整後相対リスク0.86、95%CI:0.74−0.98、調整後リスク差:−0.02)。軽症から中等症のCDIでは30日全死亡率に有意差はなかったが、重症CDIではバンコマイシンで有意に30日全死亡率が低かった(調整後相対リスク0.79、95%CI:0.65-0.97、調整後リスク差:-0.04)。

<結論>
CDIをバンコマイシンで治療してもメトロニダゾールで治療しても、再発率に差はなかった。しかし、30日全死亡率はバンコマイシン治療群で有意に低かった。この結果は、重症CDIの初回治療でバンコマイシンを使用することを、一層正当化するかもしれない。

◇批判的吟味
・CDIの再発を8週間以内の検査陽性としていいのか??
・バンコマイシンとメトロニダゾールの選択は主治医次第。

◇感想
UpToDateよると・・・
接触予防と趣旨衛生を。アルコールは効かないので、石鹸と流水で洗った方がいいけど、本当にいいかのエビデンスはないよ。

初発では・・・
重症でないならメトロニダゾールで。
重症CDIではバンコマイシン125mg/回、4回/日を10−14日間。
改善がなければ、500mg/回に増量。

初回の再発では・・・
重症でないならメトロニダゾールだけど、バンコマイシンでも可。

2回目の再発では・・・
バンコマイシンを上記の通り。そのあと、漸減し継続していく。

という感じで推奨されています(2017年2月18日現在)。

この研究は、バンコマイシンとメトロニダゾールのどちらを選択するかは主治医次第であり、プロペンシティスコアマッチですが、調整できない要因(交絡)はあると思います。ただ、今までの流れに一致するデータだと思います。

ちなみに重症CDIとは、白血球<15000、診断から4日以内に血清Cr値がベースラインの1.5倍以上に上昇、ということみたいです。

JPAD2試験 アスピリンに心血管疾患一次予防効果はない

Low-Dose Aspirin for Primary Prevention of Cardiovascular Events in Patients With Type 2 Diabetes Mellitus10-Year Follow-Up of a Randomized Controlled Trial
Circulation. 2017;135:659-670.

《要約》
背景
2型糖尿病での心血管イベント一次予防に対する低容量アスピリンの長期の安全性・有効性に関しては、結論が出ていない。

方法
JPAD試験(Japanese Primary Prevention of Atherosclerosis
With Aspirin for Diabetes)は、無作為化、オープンラベル、標準治療を対照群においた試験である。2539例の2型糖尿病の日本人を対象に、低容量アスピリンの有効性・安全性を評価した。アスピリン群(81mgまたは100mg)とアスピリン非投与群に無作為に割り付けた。2008年の試験終了後、2015年までフォローアップし割り付けられた治療は継続した。主要評価項目は、心臓突然死、致死性・非致死性心筋梗塞、致死性・非致死性脳梗塞、末梢動脈疾患である。安全性については、消化管出血、頭蓋内出血、その他の出血を解析した。主要評価項目はper-protocol解析を行い、出血イベントと感度分析はITT解析を行った。

結果
フォローアップ期間の中央値は10.3年で、1621例(64%)が試験を通してフォローアップされた。2160例(85%)で、割り付けられた治療を維持した。per-protocol解析では、アスピリン群とアスピリン非投与群で、心血管イベントに差はなかった(HR:1.14、95%CI:0.91-1.42)。年齢、性別、血糖コントロール、腎機能、喫煙の有無、高血圧、高脂血症で調整した多変量COX比例ハザードモデルでも似たような結果で(HR1.04、95%CI:0.83-1.30)、サブグループ解析でも結果の異質性はなかった(interaction P<0.05)。感度分析の結果も一貫していた(HR:1.01、95%CI:0.82-1.25)。消化管出血はアスピリン投与群で25例(2%)、非投与群で12例(0.9%)と差があり(P=0.03)、出血性脳卒中に群間差はなかった。

結論
心血管疾患のない2型糖尿病では、低容量アスピリンは心血管イベントのリスクに影響がなく、消化管出血は増大させる。

◇この論文のPICOはなにか
P:心血管疾患のない2型糖尿病の日本人
I:アスピリン81mgまたは100mgの内服
C:アスピリンの内服なし
O:心臓突然死、致死性・非致死性心筋梗塞、致死性・非致死性脳梗塞、末梢動脈疾患

nclusion criteria:30−85歳
exclusion criteria:心電図の虚血性変化(ST変化、Q波など)、心血管疾患の既往(冠動脈造影で診断されている、TIA・脳梗塞・脳出血・くも膜下出血の既往、薬物療法を要するPAD)、心房細動、妊娠、抗血小板薬・抗凝固薬の内服

◇baselineは同等か

(本文から引用)
年齢、血圧、喫煙率、HbA1c、Cr、Hbでいずれもわずかであるが、有意な群間差がある。

◇試験の概要
地域:日本
登録期間:2002年〜2005年
観察期間:10.3年(中央値)
無作為化:乱数表を用いる。層別化はされていない。
盲検化:密封された封筒法
必要症例数:1年あたり主要評価項目が52/1000例発生し、低容量アスピリンにより30%の相対リスク低下があると仮定。αlevel0.05、power0.95、フォローアップ期間は3年間として、必要症例数は2450例と算出されている。
症例数:2539例(アスピリン群1262例、アスピリン非投与群1277例)
追跡率:試験早期中止と追跡不能が、アスピリン群480/1262例(38.0%)、アスピリン非投与群438/1277例(34.2%)と多いのは、10年のフォローアップのデータなので致し方ないか。クロスオーバーはアスピリン群270/1262例(21.3%)、アスピリン非投与群109/1277例(8.5%)であった。
解析:Per-Protocol解析
スポンサー:企業の関与なし

◇結果
解析はper-protocol。

(本文から引用)

・出血イベント(アスピリン群vsアスピリン非投与群)
全出血  6% vs 5%、P=0.2
消化管出血 2% vs 0.9%、P=0.03
出血性脳卒中 0.9% vs 1.2%、P=0.4

◇批判的吟味
・数少ない日本人でのアスピリンによる心血管疾患一次予防の長期データ。
・追跡率は低い。
・クロスオーバーを除いたper-protocol解析で、アスピリンの効果を強め、有害事象は減らす方向に働くと思われる(アスピリン群では低リスクなら投与中止され、非投与群ではリスクが高い症例ならアスピリンが処方されている可能性がある)が、それでもprimary endpointで有意差なし。
・アスピリンにより、消化管出血は有意に増える。

◇感想
このJPAD2試験では、2型糖尿病で罹病期間が7年ぐらい、高血圧・高脂血症の人がそれぞれ50%以上いて、喫煙者が20%と、結構リスクがある人が対象になっている。それでもアスピリンの心血管疾患一次予防の効果は示せなかった。

欧米人でもアスピリンの心血管一次予防効果は限定的なので、欧米人に比べ心血管イベントリスクは低い日本人なら、なおさらだろう。JPPPの結果と合わせて考えると、日本人ではアスピリンを心血管疾患一次予防目的で使用することのnet clinical benefitはないと考えていいだろう。