ICDを植え込んだBrugada症候群の長期フォローアップ

Patients With Brugada Syndrome and Implanted Cardioverter-Defibrillators: Long-Term Follow-Up.
J Am Coll Cardiol. 2017 Oct 17;70(16):1991-2002.

◇PECO
P:ICDの植え込みを行ったBrugada症候群
O:適切作動、不適切作動、ICD関連合併症

<デザイン、セッティング>
・単施設、前向きコホート研究
・104例(失神47%、EPSでのVT/VFの誘発34%、二次予防9%、突然死の家族歴5%、HV延長3%、無症候2%)
・観察期間:9.3±5.1年
・Brugada症候群の診断:Coved typeの心電図
・ICD設定:VF1ゾーン≧200bpm、ATP×1、shock×3(41J)
・COX比例ハザードモデル

<結果>
▶︎適切作動
失神+自然発生のCoved type心電図:HR4.96(95%CI:1.87−13.14)
VF survivor:HR6.85(95%CI:2.29−20.50)

無症候患者45例のうち、4例で適切作動あり。いずれもEPSでVT/VFが誘発された症例。

▶︎ICD関連合併症
23%(不適切作動8.7%、その他20.2%)
リード抜去の際のelectrical stormによる死亡1例、胸腔ドレナージを要する気胸1例、心タンポナーデ1例、感染性心内膜炎1例

◇まとめと感想
Brugada症候群でICDの植え込みを行った症例の前向きコホート研究。二次予防や失神がありICDを植え込んだ症例では、適切作動のリスクが高い(ICD植え込みのメリットが高い)。

無症候性における適切作動の頻度は報告によりまちまちだが、この研究では8.9%で適切作動を認め、すべてEPSによりVT/VFが誘発された症例だった。

不適切作動は8.7%に認め、重大なICD関連合併症として認識しておかなければならない。

安定狭心症に対するPCI 運動時間への効果

Percutaneous coronary intervention in stable angina (ORBITA): a double-blind, randomised controlled trial.
Lancet. 2017 Nov 1. pii: S0140-6736(17)32714-9. doi: 10.1016/S0140-6736(17)32714-9. [Epub ahead of print]

◇リサーチクエスチョン
安定狭心症に対して、世界中で年間50万件以上のPCIが行われているが、COURAGE試験ではPCIは死亡も心筋梗塞を減少させず、メタアナリシスでも同様の結果が報告されている。PCIと薬物療法の症状改善効果を比較したプラセボ治療を対照とした臨床試験は存在しない。症状の変化は主観的であり、真の治療効果とプラセボ効果の影響があるため、プラセボ対象試験によりプラセボ効果を排除し、PCIの真の治療効果を検証する。

◇PICO
P:安定狭心症(70%以上の狭窄の1枝病変)
I:薬物療法+PCI
C:薬物療法+プラセボ治療
O:トレッドミル運動時間

exclusion criteria:非標的血管に50%以上の狭窄、ACS、CABG後、LMT病変、DESが禁忌、CTO、重症弁膜症、重症低左心機能など

◇試験の概要
デザイン:double-blind RCT
地域:英国
登録期間:2014年1月6日〜2017年8月11日
観察期間:6週間
症例数:200例(PCI群105例、プラセボ治療群95例)
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与なし

◇結果
LAD病変69%
治療前のFFR:0.72(IQR:0.57-0.81)
治療後のFFR:0.90(IQR:0.87–0.94)

◇まとめと感想
安定狭心症に対する治療は、薬物療法が基本になる。PCIは狭心症の症状を取るのに有効な方法だが、症状は主観的であるため、PCIの治療効果は真の治療効果にプラセボ効果が上乗せされたものになる。このORBITA試験では、プラセボ治療を行うことでプラセボ効果を排除し、PCIの真の治療効果について検証したものである。

結果としては、primary endpointのトレッドミル運動時間の増加は、プラセボ治療群よりPCI群の方が16秒長かったが、有意なものではなかった。また、Seattle Angina QuestionnaireやEQ-5D-5L questionnaireなどの質問票による症状の変化も、両群で有意な差はなかった。

PCIでは、生命予後を改善することや心筋梗塞を抑制することはできない。そして、この試験で示されたように運動耐容能や症状に対する効果も循環器内科医が期待する程でないなら、PCIの適応は極めて限定的なものになるだろう。

もちろん薬物療法では症状が取れない症例はあるので、熟練したInterventionistは不可欠である。そして、日本のほとんどの地域でAMIに対するPCIができる施設にアクセスできるという環境も素晴らしいが、安定狭心症に対するPCIは、おそらくやられ過ぎている。それができる施設と術者を制限した方が良いと思うが、今の日本ではPCIの数を抑制する方向にはなりにくい。米国ではCOURAGE試験以降、安定狭心症に対するPCI件数は減少しており、このORBITA試験を受けて、さらにPCI適応の適正化が進むかもしれない。

70歳以下の非虚血性心筋症では、ICDにより全死亡が減少する可能性

Age and Outcomes of Primary Prevention Implantable Cardioverter-Defibrillators in Patients With Nonischemic Systolic Heart Failure.
Circulation. 2017 Nov 7;136(19):1772-1780.

◇PICO
P:EF35%以下の非虚血性心筋症
I:薬物療法+ICD
C:薬物療法のみ
O:全死亡

inclusion criteria:一次予防、CAG・CT・核医学検査で虚血を除外した症例、NYHAⅡ-Ⅲ
exclusion criteria:慢性心房細動、安静時心拍数100bpm以上、末期腎不全

<デザイン、セッティング>
・DANISH試験の事前に定められたサブグループ解析
 グループ1:59歳未満
 グループ2:59−67歳
 グループ3:68歳以上
・1116例 
・観察期間:67.6ヶ月(中央値)
・COX比例ハザードモデル

<結果>
薬物療法群に対するICD群のハザード比は、70歳で1.0で、そこから1歳低下するごとに3%ハザード比低下。

◇まとめと感想
DANISH試験は、EF35%以下の非虚血性心筋症を対象とし、ICDの生命予後改善効果を検証した試験である。全死亡をprimary endpointとして検証されたが、ICD群と薬物療法群の生存率に差はなかった。

しかし、secondary endpointの心臓突然死ではICDによる有意な減少を認め、またサブグループ解析では年齢のみに交互作用を認めた。

このサブグループ解析をみると、>70歳での非突然死の割合が、心臓突然死に比べると大きいため、ICDによる心臓突然死予防効果が薄められてしまったようだ。一方、≦70歳では、全死亡のハザード比0.70と有意に生命予後を改善した。

ただ、年齢によるサブグループ解析は事前に設定されたとしてるが、当初のグループ(<59歳、59−68、>68歳)とは異なり、70歳をカットオフに設定している(論文中では、生存率が最大になるためと説明している)。年齢を引き上げ、ICDの適応を広げようとする意図を感じるのは、僕だけではないだろう。

非虚血性心疾患患者では、若年であればあるほど心臓突然死の割合が高いだろうし、その患者群に対するICDが生命予後を改善することも、理にかなっている。そして、高齢になればなるほど、非心臓突然死が増えるため、ICDの生命予後改善効果は薄まってしまう。どれくらいの年齢まで生命予後改善効果があるのかは、RCTをやらないとはっきりしないし、人種や国(医療制度)による違いもあるかもしれないが、現時点ではICDは非虚血性心筋症には効果が乏しく、特に70歳以上では必要ないと考えていいだろう。

急性心筋炎での心臓MRI遅延造影は、MACEや死亡と関連

Prognostic Value of Cardiac Magnetic Resonance Tissue Characterization in Risk Stratifying Patients With Suspected Myocarditis.
J Am Coll Cardiol. 2017 Oct 17;70(16):1964-1976.

◇PECO
P:急性心筋炎疑い
E/C:CMRでのLGEの有無
O:心血管イベント(全死亡、心不全入院、心移植、持続性心室頻拍、急性心筋炎の再発)

inclusion criteria:発症2週間以内の急性胸痛症候群、2週間以上経過した呼吸困難または左室機能不全、心室性不整脈や心電図異常
exclusion criteria:冠動脈疾患(既往や侵襲的検査で診断)、HCM、ARVC、心サルコイドーシス、心アミドイドーシス、たこつぼ型心筋症など他の心筋症。

<デザイン、セッティング>
・後ろ向きコホート研究
・670例
・観察期間:4.7年(IQR:2.3−7.3年)
・COX比例ハザードモデル

<結果>
▶︎年間イベント発症率

▶︎LVEF≧40%での年間イベント発症率

▶︎LVEF<40%での年間イベント発症率

▶︎MACEのハザード比(多変量解析)
LGEあり:1.72(95%CI:1.08−2.76)
T2-weighted ratioの異常 (≧2.0):2.14(95%CI:1.30−3.52)

◇まとめと感想
一般に、心臓MRIでのLGEは心筋の線維化を示唆するが、急性心筋炎では急性期に認めたLGEが慢性期に消失する例があり、急性心筋炎においてはLGEが必ずしも線維化によるものではないとされる(細胞膜の障害による細胞内への分布?)。

急性心筋炎で心臓MRIでLGEがあると、その後のMACE(全死亡、心不全入院、心移植、持続性心室頻拍、急性心筋炎の再発)や死亡と関連があった。ただ、LVEF<40%に限ると、LGEの有無とMACEや死亡に関連はなかった。

FOURIER試験二次解析 LDLコレステロール値と心血管イベント

Clinical efficacy and safety of achieving very low LDL-cholesterol concentrations with the PCSK9 inhibitor evolocumab: a prespecified secondary analysis of the FOURIER trial.
Lancet. 2017 Aug 25. pii: S0140-6736(17)32290-0. doi: 10.1016/S0140-6736(17)32290-0. [Epub ahead of print]

◇PECO
P:家族性高コレステロール血症
E/C:治療開始4週後のLDLコレステロール値
O:心血管死、心筋梗塞、脳梗塞、冠動脈血行再建、不安定狭心症

<デザイン、セッティング>
・FOURIER試験のprespecified secondary analysis
・25982例(27564例のうち、4週時点のLDLを測定していない症例、4週以内にprimary ednpointの発生を除外)
・観察期間:2.2年(IQR:1.8−2.5年)

4週後のLDLコレステロール値で5つのグループに分ける
・<0.5 mmol/L
・0.5−1.3 mmol/L
・1.3-1.8 mmol/L
・1.8−2.6 mmol/L
・>2.6 mmol/L
(LDLコレステロール1mmol/L=38.67mg/dl)

<結果>
▶︎4週間後のLDLコレステロール値
エボロクマブ群:0.8mmol/L(IQR:0.5−1.2)
プラセボ群:2.2mmol/L(IQR:1.9−2.7)

各グループで、LDLコレステロールの中央値の推移は、4週以降横ばい。

▶︎心血管イベント(心血管死、心筋梗塞、脳梗塞、冠動脈血行再建、不安定狭心症)
>2.6mmol/Lと比較すると各グループのハザード比は
・<0.5 mmol/L:0.76(95%CI:0.64-0.90)
・0.5−1.3 mmol/L:0.85(95%CI:0.76-0.96)
・1.3-1.8 mmol/L:0.94(95%CI:0.82-1.09)
・1.8−2.6 mmol/L:0.97(95%CI:0.86-1.09)

▶︎有害事象
AST/ALT上昇、Cr上昇、神経認知機能イベント、新規の糖尿病の発症、悪性腫瘍、出血性脳卒中、非心血管死など評価。どれも1−2%の発生率で、いずれのグループでも差はなかったが、唯一、白内障に関連した有害事象は、<0.5 mmol/Lのグループでオッズ比:1.54(1.03−2.31)と有意に高かった。

◇まとめと感想
FOURIER試験の二次解析で、到達したLDLコレステロール値と心血管イベントの関連は比例関係にあり、到達したLDLコレステロール値が低いほど、心血管イベントは低かった。ただし、LDLコレステロール値が1.3−1.8mmol/Lと1.8-2.6mmol/Lのグループでは、>2.6mmol/Lのグループよりハザード比は低いものの、統計学的には有意ではなかった。

エボロクマブを使っても、LDLコレステロールが思いの外下がらない方はいるので、その場合には費用対効果を考え、中止するという選択もありかもしれない。

JUPITER試験では、ロスバスタチンを投与しLDLコレステロール値<30mg/dlに低下した症例では神経認知機能の有害事象が有意に多かったが(HR:1.10、95%CI:1.01−1.21)、FOURIER試験ではLDLコレステロール値と神経認知機能の有害事象に関連はなかった。

SBT成功後の1時間の人工呼吸器再装着は、再挿管を減少させる

Reconnection to mechanical ventilation for 1 h after a successful spontaneous breathing trial reduces reintubation in critically ill patients: a multicenter randomized controlled trial.
Intensive Care Med. 2017;43(11):1660-1667

◇リサーチクエスチョン
SBT成功から抜管の間に呼吸筋を休ませることに、再挿管の予防的効果があるかどうかは明らかではない。SBT成功後に1時間人工呼吸器を再装着することで、再挿管が減るのか。

◇PICO
P:人工呼吸器管理中の重症患者
I:SBT成功後の1時間の人工呼吸器再装着
C:SBT成功直後に抜管
O:48時間以内の再挿管

◇試験の概要
デザイン:RCT(オープンラベル)
地域:スペイン
登録期間:2013年10月〜2015年1月
観察期間:48時間
症例数:470例(再装着群227例、対照群243例)
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与なし

◇結果
SBTは、再装着群で94%が、対照群で87%がTチューブを使用。
時間は、30−60分が35%、1−2時間が39%、2時間以上が26%。

▶︎48時間以内の再挿管(再装着群vs対照群)
5% vs 14%, OR:0.33 (95%CI:0.16-0.65)

▶︎ICU滞在日数
11日 vs 10日、P=0.30

▶︎入院日数
26日 vs 23日、P=0.93

◇まとめと感想
SBTに成功した後に、人工呼吸器をもとの設定で1時間再装着することで、再挿管を有意に減少させた。ただし、ICU滞在日数、入院日数、死亡率に差は出なかった。

再挿管以外の臨床的なアウトカムに差はなくても、再挿管は重大なイベントだし、コストも手間もかからずにそれを予防できるならいいかも。

トレンドレンブルグ体位は人工呼吸器関連肺炎(VAP)の予防には実用的ではない

Randomized, multicenter trial of lateral Trendelenburg versus semirecumbent body position for the preventionof ventilator-associated pneumonia
Intensive Care Med. 2017;43(11):1572-1584

◇リサーチクエスチョン
トレンデレンブルグ体位は人工呼吸器関連肺炎(VAP)を予防する効果があるか。

◇PICO
P:人工呼吸器が装着された重症患者
I:トレンデレンブルグ体位
C:半座位(semirecumbent)
O:細菌学的に証明されたVAP

secondary endpoint:死亡率、人工呼吸器装着期間、ICU滞在日数

◇試験の概要
デザイン:オープンラベルRCT(多施設)
地域:?
登録期間:2010年12月2日〜2015年4月20日
症例数:395例(トレンデレンブルグ体位194例、半座位201例)
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与あり(Hill‐Rom社)

◇結果
▶︎細菌学的に証明されたVAP
0.5% vs 4.0% RR:0.13 (95%CI:0.02-1.03)

▶︎細菌学的に証明されたVAP/1000人工呼吸器装着日数
0.88 vs 7.19 RR:0.12 (95%CI:0.01-0.91)

▶︎ICU死亡率
30.4% vs 23.9% RR:1.27 (95%CI:0.92-1.76)

▶︎院内死亡率
37.1% vs 31.3% RR:1.18 (95%CI:0.90-1.56)

▶︎28日死亡率
30.9% vs 26.4% RR:1.17 (95%CI:0.86-1.60)

▶︎重大な有害事象
6例(酸素飽和度低下、体位変換直後の著しい血行動態の悪化、事故抜管、体位変換直後からの持続する徐脈、正中神経障害、頭蓋内出血)

◇まとめと感想
重大な有害事象のため、試験は早期中止となった。

VAPの予防にはある程度効果がありそうだが、死亡率はちょっと高い傾向。venous returnは増えるし、肺のコンプライアンスは悪くなりそう。そういった循環動態や呼吸への影響が、死亡率増加に繋がっているのかも。

前壁中隔中層の遅延造影は、左室収縮能が保持された急性心筋炎の予後因子

Cardiac MR With Late Gadolinium Enhancement in Acute Myocarditis With Preserved Systolic Function: ITAMY Study.
J Am Coll Cardiol. 2017 Oct 17;70(16):1977-1987

◇PECO
P:左室収縮能が保持された急性心筋炎
E/C:遅延造影の部位
O:心臓死、ICD移植、心停止からの復帰、心不全入院

inclusion criteria:心臓MRI(CMR)により急性心筋炎と診断された症例
exclusion criteria:EF<50%

心筋の浮腫は、T2強調画像で心筋シグナルが骨格筋の2倍以上であること。心筋のうっ血は、造影後SSFPシネで評価する。

<デザイン、セッティング>
・後ろ向きコホート研究
・イタリア 10施設のレジストリ
・374例
・観察期間:1572日(QR:1122-2923日)

<結果>
LGEには、主に3つのパターンがある。

下壁+側壁が最も多く、41%(154例)を占める。
前壁中隔の中層は36%(135例)とそれに続いて多く、心イベントが多い(心臓突然死3%、心不全入院11%)。
その他のLGEを示したのは16%(59例)であった。

LGEがなかった症例(26例)では、心イベントは認めなかった。

心イベントの有無で比較すると、トロポニンT値に有意差あり。
1.03 (0.0–6.7) vs 4 (0.4–9.5) ng/ml

トロポニンT値が大きいほど、その後の心イベントが多い。

<まとめ>
左室収縮能が保持された急性心筋炎でも、前壁中隔中層にLGEを認める症例では、その後の心イベントが多く、注意が必要。

中等症〜重症ARDSに対する肺リクルートメントは死亡率を増加させる可能性がある

Effect of Lung Recruitment and Titrated Positive End-Expiratory Pressure (PEEP) vs Low PEEP on Mortality in Patients With Acute Respiratory Distress Syndrome: A Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2017;318(14):1335-1345

◇リサーチクエスチョン
肺リクルートメント+PEEP調整は、中等症〜重症ARDSの予後を改善するか。

◇PICO
P:発症72時間以内の中等症〜重症ARDS
I:肺リクルートメント+PEEP調整
C:低PEEP
O:28日死亡率

<肺リクルートメント+PEEP調整>
まず、筋弛緩薬を投与し、肺リクルートメントを行う。PEEPを25cmH2Oから開始し、25cmH2Oを1分間、35cmH2Oに上げて1分、さらに45cmH2Oに上げて2分維持する。肺リクルートメントが終わったら、PEEPを23cmH2Oまで下げ、そこから1分ごとに4cmH2Oずつ、コンプライアンスを測定しながら11cmH2Oまで下げる。最良のコンプライアンスとなるPEEP+2cmH2OをPEEPとして設定する。
換気はVCVで、PaO2/FiO2比が安定していれば、8時間ごとにPEEPを2cmH2Oずつ下げていく。

556例登録されたところで、プロトコールが変更。肺リクルートメント群でリクルートメントが原因と思われる心停止が3例あったため。PEEPを25→30→35cmH2Oをそれぞれ1分とし、プラトー圧は50cmH2Oを超えないようにした。

◇試験の概要
デザイン:RCT(多施設、オープンラベル)
地域:ブラジル、イタリア、マレーシアなど9ヶ国
登録期間:2011年11月17日〜2017年4月25日
観察期間:6ヶ月までフォロー
症例数:1010例(肺リクルートメント群501例、低PEEP群509例)
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与なし

◇結果

◇まとめと感想
中等症〜重症ARDSに対し、肺リクルートメントを行いPEEPを高く保つことは、死亡率を増加させた。

ただ、これを根拠に肺リクルートメント+PEEP調整が有害とは言えない。というのも、最初のプロトコールはどうもPEEPが高すぎ、かつ長すぎた様で、それが原因と思われる心停止が3例起きているから。やるんだったら、もう少し低く短くした方がよさそう。

自分の場合は、循環器疾患を診ているので、せいぜいPEEP30・10秒程度、あるいはPEEP20−25でもうちょっと長めに、血圧見ながらって感じです。

脳梗塞急性期の低酸素血症に対するルーチンの酸素投与

Effect of Routine Low-Dose Oxygen Supplementation on Death and Disability in Adults With Acute Stroke: The Stroke Oxygen Study Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2017 Sep 26;318(12):1125-1135

◇リサーチクエスチョン
酸素投与はアウトカム(modefied Rankin Score)を改善するか。もし改善するなら、夜間のみの酸素投与の方が、持続的酸素投与よりも有効ではないか。

◇PICO
P:脳梗塞の急性期
I/C:72時間の酸素投与、就寝時のみ酸素投与、ルーチンでの酸素投与なしの3群
O:90日後のmodified Rankin Scale

酸素投与はbaselineでSpO2≦93%なら鼻カテ3L/minで、SpO2<93%なら鼻カテ2L/minで開始する。就寝時のみの酸素投与は、21時〜翌7時までで3日間。

◇試験の概要
デザイン:RCT(多施設、オープンラベル)
地域:イギリス
登録期間:2008年4月24日〜2015年1月27日
観察期間:90日
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与なし

modified Rankin Score

◇結果
▶︎modified Rankin Score
酸素ありvs酸素なし
 オッズ比0.97(95%CI:0.89-1.05)

持続的酸素投与vs夜間のみ
 オッズ比1.03(95%CI:0.93-1.13)

酸素を投与してもアウトカムは改善せず、酸素投与の期間による違いもなかった。

その他、90日後の死亡・自宅退院・Barthel ADL indexなどにも差はなかった。

◇まとめと感想
急性心筋梗塞では過剰な酸素は再環流障害を引き起こすものと考えられており、酸素投与を行わないことの有効性を検証した試験にはAVOID試験、DETO2X-AMI試験がある。

AVOID試験は、酸素を投与しないことで梗塞サイズの縮小する可能性が示唆されたが(peakCKの低下:secondary endpoint)、DETO2X-AMI試験では臨床的なアウトカム(死亡、再入院)の改善には至らなかった(1−2)。

また、ICU患者を対象にしたOXYGEN-ICU試験では、酸素投与を控えめにすること(PaO2:70−100mmHg)でICUでの死亡率が改善することが示されており、過剰な酸素のメリットは乏しい、もしくは害になると言える(3)。

脳梗塞の急性期には低酸素血症はしばしば起こり、神経学的悪化との関連が指摘されている。低酸素血症は就寝中に起こりやすく、それを回避することで神経学的アウトカムが改善するか検証されたが、結果は予防的な酸素投与は、持続的でも就寝時のみでも効果はなかった。

数値を高く保つことは観察する側に安心をもたらすかもしれないが、それ以上の効果はなく、疾患によっては有害になり得る。

(1)Circulation. 2015;131(24):2143-50
(2)N Engl J Med. 2017;377(13):1240-1249
(3)JAMA. 2016;316(15):1583-1589

医学論文を1日ひとつ読んで書き留めています。