黄色ブドウ球菌菌血症に対してリファンピシンをルーチンで併用すべきではない

Adjunctive rifampicin for Staphylococcus aureus bacteraemia (ARREST): a multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled trial
Lancet. 2018;391(10121):668-678.

米国感染症学会 (IDSA) のガイドラインでは、MSSA菌血症はβラクタム薬静注を少なくとも14日間続け、MRSA菌血症はグリコペプチドで治療するよう推奨している。この推奨は、観察研究と臨床的な経験に基づいている。

リファンピシンは、βラクタム薬やグリコペプチドより、細胞、組織、バイオフィルムへの浸透が良いため、重症黄色ブドウ球菌感染症のアウトカムを改善すると考えられてきた。3つのRCTと1つのコホート研究のシステマティックレビューでは、リファンピシン併用54例、標準治療44例と症例数は少ないが、リファンピシンの併用は全死亡や臨床的・細菌学的治療の失敗の減少と関連があった。

黄色ブドウ球菌感染症964例の前向き観察研究では、人工物感染のサブグループで、リファンピシン併用は30日死亡と60日死亡の低下と関連があった。

このように、黄色ブドウ球菌感染症に対しリファンピシンを併用する根拠は決して強いものではなく、リファンピシンには肝毒性や薬物相互作用も多いことから、リスクを上回るベネフィットがあるかは明らかではない。

このARREST試験は、MRSAを含む黄色ブドウ球菌菌血症に対し標準治療にリファンピシンを併用することがアウトカムを改善するか検証したRCTである。

【PICO】
P:MSSAまたはMRSAの菌血症
I:リファンピシン600or900mg経口または静注
C:プラセボ経口または静注
O:12週時点での細菌学的に証明された治療の失敗または再発+全死亡

inclusion criteria:少なくとも血培1セットからMSSAまたはMRSAの検出、抗菌薬開始から96時間以内

procedure:リファンピシンは600or900mgを1日1−2回に分けて投与。14日間か、抗菌薬中止するまで併用する。14日以降はオープンラベルでリファンピシンの使用可。臨床医が薬剤の中止が必要と判断すれば、中止可。12週まで観察する。

【試験の概要】
デザイン:RCT (二重盲検、プラセボ対照)
地域:イギリス 29施設
登録期間:2012年12月10日〜2016年10月25日
観察期間:12週間
症例数:770例 (リファンピシン併用群374例、プラセボ併用群396例)
解析:mITT解析
スポンサー:企業の関与なし

【患者背景】
ざっくりと。年齢65歳、MRSAが6%、自然弁のIE4%、人工弁・人工関節2%、血管内デバイス5%、皮膚・軟部組織感染18%、血管内カテーテル17%、SOFA2点、抗菌薬投与開始からランダム化まで62時間、リファンピシン耐性菌0%。

【結果】
最初のprimary endpointは全死亡、細菌学的に証明された治療の失敗または再発+全死亡の2つで、必要症例数は940例だったが、登録が進まず、細菌学的に証明された治療の失敗または再発+全死亡をprimary endpointに変更し、必要症例数を770例とした。

14日以内の試験薬の中止は、リファンピシン併用群で164/370例 (44.3%)、プラセボ併用群で 119/388例 (30.7%)だった。

リファンピシン併用群 vs プラセボ併用群
細菌学的に証明された治療の失敗または再発+全死亡 (primary endpoint)
17% vs 18% 絶対リスク差:-1.4% (95%CI:-7.0to4.3)

治療の失敗 (post hoc analysis)
1% vs 1% P=0.82

再発 (post hoc analysis)
1% vs 4% P=0.01、NNT=29

死亡 (post hoc analysis)
15% vs 13% P=0.30

有害事象のうち有意に差があったものは、投与量調整を要する有害事象 (17%vs10%)、胃腸障害、腎・尿管障害、薬物相互作用、治療薬の中止で、いずれもリファンピシン併用群で多かった。

【まとめと感想】
黄色ブドウ球菌菌血症に対し、標準的治療のみでも、リファンピシンを併用しても、全死亡や治療の失敗に差はない。なので、黄色ブドウ球菌菌血症だからと言って、ルーチンに併用する必要はない。

ただ、患者背景は皮膚軟部組織や血管内カテーテルなどが感染源になっている症例が多く、またSOFAも軽めなので、重症感染 (MRSAを含む) でもリファンピシンを併用しなくて良いとは結論できない。そして、今までの観察研究で示されているような人工物の感染も、割合が少ないため、リファンピシン併用の効果は定かではない。

耐糖能異常 (IGT) へのアカルボース投与は、糖尿病の新規発症を抑制するが心血管イベントは減らさない

食後高血糖に対し介入し心血管アウトカムを評価したRCTに、NAVIGATOR試験がある。IGTを対象にナテグリニドとプラセボの2群にわけ、糖尿病の新規発症と心血管アウトカムについて評価した。結果は、心血管アウトカムに差はなかったが、糖尿病の新規発症はナテグリニド群で有意に多かった(1)

食後高血糖は心血管リスクになるが、薬剤による食後高血糖の是正が心血管リスクの減少に繋がるわけではないことを表している。

STOP-NIDDM試験では、アカルボースがIGTから糖尿病への進展を抑制し、その二次解析では心血管アウトカムを49%減少させた。ただ、これはサンプルサイズが小さく、また二次解析でもあったため、偶然による結果の可能性があり、質が高いエビデンスではない(2)

このACE試験は、アカルボースがIGTの心血管イベントを抑制するか検証したRCTである。

Effects of acarbose on cardiovascular and diabetes outcomes in patients with coronary heart disease and impaired glucose tolerance (ACE): a randomised, double-blind, placebo-controlled trial.
Lancet Diabetes Endocrinol. 2017 Nov;5(11):877-886.

【PICO】
P:耐糖能異常 (IGT) +冠動脈疾患
I:アカルボース
C:プラセボ
O:5point MACCE (心血管死、心筋梗塞、脳梗塞、UAPによる入院、心不全による入院)

secondary endpoint:3point MACCE (心血管死、心筋梗塞、脳梗塞)、全死亡、心血管死、心筋梗塞、脳梗塞、新規の糖尿病など

inclusion criteria:50歳以上、75gGTTで診断されたIGT、冠動脈疾患 (OMIやUAPの既往, 安定狭心症)

procedure:アカルボースは50mgを1日3回。50mgとしたのは中国でよく処方されている容量であり、100mgのアカルボースを用いたSTOP-NIDDM試験では中断が多く、消化器症状は容量依存的に現れるため。受診は、試験開始1,2,4ヶ月後、以降4ヶ月おき。その際に、空腹時血糖・低血糖エピソード・血圧・体重・臨床的アウトカム・アドヒアランスを確認する。年に1回、75gOGTTを行い、またHbA1c・血清Cr・eGFRを測定。糖尿病の診断がされた患者は、盲検化されたままメトホルミンや他の経口血糖降下薬で糖尿病の治療を開始する。

【試験の概要】
デザイン:RCT (double-blind)
地域:中国
登録期間:2009年3月20日〜2015年10月23日
観察期間:中央値5.0年 (IQR:3.4-6.0)
症例数:6522例 (アカルボース群3272例、プラセボ群3250例)
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与あり (Bayer)
途中でプロトコールの変更あり (primary endpointを5point MACCEへ変更し、必要症例数を7500→6500例に減らした)

【患者背景】
両群に差はなかった。
ざっくりと。年齢64歳、男性3/4、BMI25、腹囲91cm、血圧130/78mmHg、HbA1c5.9%、eGFR88ml/min、HDL1.18mmol/L、LDL2.25mmol/L、OMIとUAPの既往が40%ずつで安定狭心症が20%、93%でスタチン、98%で抗血小板薬。

【結果】
割り付けられた薬剤の内服中断は、アカルボース群49%、プラセボ群51%で、内服していた期間はそれぞれ3.0年 (IQR:1.3-5.0), 3.0年 (IQR:1.1-4.9)だった。

治療開始1年後のHbA1cはアカルボース群で有意に低く(5.88 vs 5.94%)、75gOGTT2時間値も有意に低かった (8.4 vs 8.7mmol/L)。

アカルボース群 vs プラセボ群
5point MACCE (primary endpoint)
14.4% vs 14.7%, HR0.98 (0.86-1.11)

心血管死+心筋梗塞+脳梗塞
8.7% vs 9.2%, HR0.95 (0.81-1.11)

全死亡
6.6% vs 6.7%, HR0.98 (0.81-1.19)

心血管死
4.4% vs 5.0%, HR0.89 (0.71-1.11)

心筋梗塞
3.7% vs 3.3%, HR1.12 (0.87-1.46)

脳梗塞
2.3% vs 2.4%, HR0.97 (0.70-1.33)

新規の糖尿病
13.3% vs 15.8%, HR0.82 (0.71-0.94)

【まとめと感想】
IGTに対するアカルボースを用いた介入は、新規の糖尿病発症を抑制するが、心血管イベントは減らさない。新規の糖尿病発症を抑制したといっても、一方はプラセボであり、血糖値やHbA1cにも統計学的な差がでているので、それがアカルボースという薬剤独自の糖尿病抑制効果なのかはわからない。薬効をみるなら、ターゲットとなる血糖やHbA1cは揃えた方がよかったのではないか。

STOP-NIDDM試験でアカルボースが良さげな結果を出していたので、ちょっと残念。ただ、アカルボースは比較的安全で安価な薬剤なので、それ自体に心血管イベントを抑える効果がなかったとしても、糖尿病の早期に治療介入によって得られるlegacy effectを期待して使うならいいかも。

STOP-NIDDM試験では、アカルボースの1回量は100mgだったので、もしかしたら容量で違いがあるかもしれないが、容量依存的に増える消化器症状には注意。

(1) JAMA. 2003;290:486-494.
(2) N Engl J Med. 2010;362:1463-76.

CKD合併心房細動 ワーファリンとDOACの比較

Direct oral anticoagulants versus warfarin for preventing stroke and systemic embolic events among atrial fibrillation patients with chronic kidney disease
Cochrane Database Syst Rev. 2017 Nov 6; doi:10.1002/14651858.CD011373.pub2.

AF+CKDで、ワーファリンとDOACを比較したコクランのレビュー。

DOAC:アピキサバン、ダビガトラン、エドキサバン、リバロキサバン
観察期間:1.8−2.8年
CKDは、CrClまたはeGFR:15−60mL/min (CKD G3とG4) と定義した。
G3:12155例、G4:390例

5つの試験を統合。
• ARISTOTLE Study 2010: 3,017/18,122 (17%)
• ENGAGE AF-TIMI 48 Study 2013: 2,740/14,071 (19.5%)
• J-ROCKET AF Study 2012: 284/1,278 (22.2%)
• RE-LY Study 2009: 3,554/17,951 (19.8%)
• ROCKET AF Study 2010: 2,950/14,264 (20.7%).

【結果】
ワーファリン vs DOAC
脳梗塞+全身性塞栓症
29/1000 vs 23/1000 (95%CI:19-29/1000)
RR:0.81 (95%CI:0.65-1.00)
quality of the evidence:moderate

大出血
55/1000 vs 43/1000 (95%CI:32-57/10000)
RR:0.79 (95%CI:0.59-1.04)
quality of the evidence:low

心筋梗塞
11/1000 vs 10/1000 (95%CI:5-21/1000)
RR:0.92 (0.45-1.90)
quality of the evidence:-

小出血
74/1000 vs 72/1000 (95%CI:43−119/1000)
RR:0.92 (0.58−1.61)
quality of the evidence:low

消化管出血
17/1000 vs 24/1000 (95%CI:17−35/1000)
RR:1.40 (0.97-2.01)
quality of the evidence:moderate

頭蓋内出血
14/1000 vs 6/1000 (95%CI:4−9/1000)
RR:0.43 (0.27−0.69)
quality of the evidence:moderate

全死亡
78/1000 vs 71/1000 (95%CI:61-82/1000)
RR:0.91 (0.78−1.05)
quality of the evidence:moderate

【まとめ】
CKDを合併した心房細動において、脳梗塞+全身性塞栓症のリスクはワーファリンとDOACで同程度だった。出血性合併症は、頭蓋内出血は有意にワーファリンが多かったが、大出血・消化管出血に差はなかった。全死亡についても差はなかった。

RCTのSRであるということと、CKDG4はほとんど含まれないという点は、実臨床で抗凝固療法を行う上で留意すべき。

オメガ3系脂肪酸はHDL・TGの改善に役立つが、心血管イベントの予防には役立たない

米国のAgency for Healthcare Research and Qualityは、オメガ3系脂肪酸について次のように結論づけている(1)

・魚油サプリメントは、HDLコレステロールとLDLコレステロールをちょっと (≦2mg/dl) 上昇させる。

・容量依存的に中性脂肪を下げるし、もともと中性脂肪が高めの人は下がりやすい。

・心血管疾患を減らさない (RCTより)。

・魚油サプリメントを高容量とれば、動脈硬化性脳梗塞については減るかもしれない (観察研究より)。

・心血管死、致死的・非致死的脳卒中 (虚血性・出血性) への効果はRCTと観察研究で結果が異なっていて、RCTではベネフィットは示されていないが、観察研究ではベネフィットがありそう。

まとめると、HDLコレステロール上がったり、中性脂肪下がったり、なんかいい効果がありそうだけど、死亡とか心筋梗塞とかを予防するまでの効果はほぼ期待できないってことでしょうか。

さらに、別のシステマティックレビューでは、心筋梗塞二次予防、糖尿病、低HDL血症、高TG血症、スタチンの有無などのいずれのサブグループでも心血管イベント (非致死的心筋梗塞、心血管死、非致死的・致死的脳梗塞、血行再建) は減らないことが示された。ただ、投与量別のサブグループ解析はされていなかったので、残念ながら魚油の高容量投与ではどうなのかってところまではわからない(2)

とはいえ、心血管イベント予防としてのオメガ3系脂肪酸の出番はなさそう。

(1) Omega-3 Fatty Acids and Cardiovascular Disease: An Updated Systematic Review (https://effectivehealthcare.ahrq.gov/topics/fatty-acids-cardiovascular-disease/research)
(2) JAMA Cardiol. 2018 Mar 1;3(3):225-234.

ACSではDAPT期間は6ヶ月より12ヶ月がベター

6-month versus 12-month or longer dual antiplatelet therapy after percutaneous coronary intervention in patients with acute coronary syndrome (SMART-DATE): a randomised, open-label, non-inferiority trial.
Lancet. 2018 Mar 31;391(10127):1274-1284.

ACSのDAPT期間を短くできるか検証したRCT。

【PICO】
P:UAP、NSTEMI、STEMI
I:6ヶ月DAPT
C:12ヶ月DAPT
O:全死亡、心筋梗塞、脳梗塞の複合エンドポイント

inclusion criteria:血管径2.25−4.25mm
exclusion criteria:3ヶ月以内の大出血の既往、2ヶ月以内の大出血、手術予定

procedure:すべての患者で、アスピリン300mgとクロピドグレル300−600mgのローディングを行う。維持量は、アスピリン100mg、クロピドグレル75mg。試験の途中でプラスグレルとチカグレロルが使えるようになった。プラスグレルはローディング60mg、維持量10mg、チカグレロルはローディング180mg、維持量90mg。PCIの手技については、術者に一任。

【試験の概要】
デザイン:RCT(オープンラベル、非劣性試験)
地域:韓国
登録期間:2012年9月5日〜2015年12月31日
観察期間:18ヶ月
症例数:2712例(6ヶ月群1357例、12ヶ月群1355例)
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与あり(Abbott Vascular、Medtronic Vascular, Biosensors Inc, Dong-A ST)

【患者背景】
平均年齢62歳、男性75%、糖尿病28%、喫煙者40%、慢性腎不全1%、平均LVEF10%、UAPとNSTEMIとSTEMIは1/3ずつ。多枝病変45%、分岐部病変9%、ステント長26mm。両群にbaselineの差はない。

【結果】
6ヶ月群 vs 12ヶ月群
全死亡+心筋梗塞+脳梗塞
4.7% vs 4.2% HR:1.13(95%CI:0.79−1.62)

全死亡
2.6% vs 2.9% HR:0.90(95%CI:0.57−1.42)

心筋梗塞
1.8% vs 0.8% HR:2.41(95%CI:1.15−5.05)

BARC2−5
2.7% vs 3.9% HR:0.69(95%CI:0.45−1.05)

大出血
0.5% vs 0.8% HR:0.60(95%CI:0.22−1.65)

【まとめと感想】
全死亡+心筋梗塞+脳梗塞という複合エンドポイントにしてみると、6ヶ月DAPTは12ヶ月DAPTに対し非劣性だが、心筋梗塞だけを見ると有意に増えている。標的血管も非標的血管も両方とも。

出血に関しては、BARCtype2−5で6ヶ月DAPTで少ない傾向にあるが、有意ではなく、かつBARCtype2は軽めの出血も含まれる。大出血に限ると差はない。プラスグレルの投与量は日本と異なるが、韓国のRCTで同じアジア人なので、日本人にも十分当てはめることができるデータだと思う。

心筋梗塞は増やすが、大出血は変わらないとなると、あえて6ヶ月DAPTにする理由はない。

ラメルテオンのせん妄予防効果

重症内科疾患を対象としたRCTで、プラセボと比較しラメルテオンにせん妄の予防効果があることが示されている(せん妄の発生:3%vs32%)(1)

これは、ICUセッティングでレメルテオンのせん妄予防効果を明らかにした初めてのRCT。

Effect of Administration of Ramelteon, a Melatonin Receptor Agonist, on the Duration of Stay in the ICU: A Single-Center Randomized Placebo-Controlled Trial.
Crit Care Med. 2018 Mar 27. doi: 10.1097/CCM.0000000000003132. [Epub ahead of print]

【PICO】
P:ICUに入室した20歳以上の患者で、入室後48時間以内に経口摂取、もしくはNGtubeからの薬剤の投与ができる患者
I:ラメルテオン8mg内服
C:プラセボ内服
O:ICU滞在日数

exclusion criteria:ラメルテオンもしくはフルボキサミン(ルボックス)を内服している患者

ラメルテオンとプラセボは、プラインドされた状態で毎日20時に内服し、ICUを退室するまで継続する。ICU退室は、1日2回のICU医と主治医のカンファレンスで決定する。せん妄の評価は4時間おきにCAM-ICUに基づき行う。

せん妄に対する薬物治療が必要な場合は、リスペリドン1mg内服、もしくはデクスメデトメジン持続静注(最大0.7μg/kg/hr)のいずれかを行い、速やかなせん妄のコントロールが必要な場合は、ハロペリドール5mgを静注する。せん妄の重症度に応じて、さらにリスペリドン、ハロペリドール、その他の薬剤の投与を行う。

【試験の概要】
デザイン:RCT(患者・医療者・解析者の三重盲検)
地域:日本
登録期間:2015年5月〜2017年4月
観察期間:ICU入室〜退室まで
症例数:88例(ラメルテオン群45例、プラセボ群43例)
解析:ITT解析(割り付けられた薬剤を内服する前に退室・死亡した症例が各群2例ずつあり、それを除いて解析)
スポンサー:企業の関与なし

【患者背景】
年齢68歳、APACHEⅡスコア23.9、アルコール多飲5%ぐらい、眠剤の使用10%ちょっと、心不全・AMI20%ちょっと、呼吸不全20%、敗血症25%ぐらい

年齢、APACHEⅡスコア、挿管の有無で層別化されていたので、そこはバランスがとれていたが、男性・認知症・敗血症・アルコール多飲は、ラメルテオン群で多かった。

【結果】
ラメルテオン群 vs プラセボ群
ICU滞在日数
4.56日 vs 5.86日(P=0.028、調整後)

せん妄の発生
24.4% vs 46.5%(P=0.044)

せん妄の期間
0.78日 vs 1.40日(P=0.048)

【まとめと感想】
ラメルテオンにより、ICU滞在日数が短くなり、せん妄の発生やせん妄の期間が短くなる。

ICUセッティングでラメルテオンのせん妄予防効果があるか、pro-MEDIC試験という多施設大規模RCTが現在進行中。

(1)JAMA Psychiatry. 2014;71(4):397.

COPDに対するLABAやLAMAの導入早期には、心血管リスクは増大する

COPDと冠動脈疾患を合併している場合、必要があればいずれの疾患に対しても治療を行うことになる。冠動脈疾患に対しては、カルベジロールよりβ1選択性が高いビソプロロールが望ましい。COPDに対しては、LABAやLAMAを用いる。

LABAやLAMAの心血管に対する悪影響ははっきりと結論が出ていないが、開始早期には注意が必要かもしれない。

Association of Cardiovascular Risk With Inhaled Long-Acting Bronchodilators in Patients With Chronic Obstructive Pulmonary Disease: A Nested Case-Control Study.
JAMA Intern Med. 2018;178(2):229-238.

台湾の保険データベースを利用して、LABAとLAMAの処方の開始が心血管リスクを上昇させるのか調べた研究。

【PECO】
P:40歳以上のCOPD
E/C:LABA、またはLAMAの新規の処方
O:心血管イベント(冠動脈疾患、心不全、不整脈、虚血性脳卒中)

LABA=サルメテロール(セレベント)、ホルモテロール(オーキシス)
LAMA=チオトロピウム(スピリーバ)
イプラトロピウム(アトロベント)

【デザイン、セッティング】
・台湾の保険データベース(the Taiwan National Health Insurance Research Database)
・ケースコントロールスタディ
・期間:2007年1月1日〜2011年12月31日
・新規でLABA・LAMAを処方された284220例のうち、ケース37719例とそれにマッチさせたコントロール146139例
・観察期間:2.0年(中央値)

【結果】
primary endpoint
調整オッズ比(95%CI)
LABA
・サルメテロール 1.49(1.31−1.69)
・ホルモテロール 1.52(1.25−1.85)
・LABA+ICS 1.51(1.36−1.68)
・LABA+イプラトロピウム 1.42(1.19−1.70)

LAMA
・LAMAonly 1.58(1.19−2.11)
・LAMA+SABA 1.39(1.04−1.87)
・LAMA+イプラトロピウム 1.47(1.16−1.86)

感度分析では、心血管疾患やCOPD増悪の既往によらず、リスクは増大していた。

【まとめと感想】
LABAでもLAMAでも、処方開始して30日以内の心血管疾患発症リスクは1.5倍ぐらい高くなる。循環器内科医としては、冠動脈疾患や心不全の治療をしっかりやってからと思うが、心血管疾患の有無によらず同じようにリスクが増えるなら、予防の仕様がないのかも。

ACSでの血行再建前のスタチンローディング

Effect of Loading Dose of Atorvastatin Prior to Planned Percutaneous Coronary Intervention on Major Adverse Cardiovascular Events in Acute Coronary Syndrome: The SECURE-PCI Randomized Clinical Trial.
JAMA. 2018 Apr 3;319(13):1331-1340.

【PICO】
P:1週間以内に冠血行再建が予定されているACS
I:アトルバスタチン80mgのローディング
C:ローディングなし
O:全死亡、心筋梗塞、脳梗塞、計画していない冠血行再建

exclusion criteria:ローディングの24時間以内にフィブラートを内服している症例、ローディングの24時間以内にスタチンを最大量内服している症例

【試験の概要】
デザイン:RCT(多施設、二重盲検)
地域:ブラジル
登録期間:2012年4月18日〜2017年10月6日
観察期間:30日間
症例数:4191例(アトルバスタチン群2087例、ローディングなし群2104例)
解析:ITT解析
スポンサー:企業の関与なし

【患者背景】
平均年齢61歳、男性が3/4、STEMI25%・NSTEMI60%・UAP15%、30%がもともとスタチン内服、実際にPCIを行った65%・CABGを行ったのは8%。
(実際にPCIを行ったのは、アトルバスタチン群1351/2087例、ローディングなし群1359/2104例と、両群ともに65%ぐらい。ブラジルではad hoc PCIが多いらしく、造影の前にrandomizationを行うという試験デザインにしないといけないようで、事前の予測では70%がPCIを行うと想定されていたので、だいたい予想通り。)

【結果】
アトルバスタチン群 vs ローディングなし群
primary endpoint
6.2% vs 7.1% 絶対リスク差0.85%(95%CI:-0.70to2.41%)

PCI施行例でのMACE
MACE=全死亡、心筋梗塞、脳梗塞、計画していない冠血行再建
6.0% vs 8.2% HR:0.72(95%CI:0.54-0.96)

PCIを施行したSTEMIでのMACE(post hoc analysis)
7.2% vs 12.9% HR:0.54(95%CI:0.35−0.84)

【まとめと感想】
ACS患者において、冠血行再建前のアトルバスタチンをローディングしても、MACEは減らないという結果。ただ、PCIを行った症例に限れば、効果があるかもしれない。特にUAPだといいだろうなと思います。

心不全とジゴキシン

ジゴキシンは慢性心不全の生命予後を改善しない。1990年代に行われたRCTになるが、洞調律のHFrHF(EF<45%)、HFpHF(>45%)のいずれでも、死亡率はプラセボと差がなく、洞調律の慢性心不全ではジゴキシンが明らかに死亡を増やすというデータはない(1−2)

一方で、心房細動の慢性心不全に対してはというと、システマティックレビューでは生命予後が悪くなることが示されている(HR:1.29、95%CI:1.21−1.39)(3)。ARISTOTLE試験のサブ解析では、ジゴキシン濃度の上昇に比例して死亡率が上昇することが示されており、もしかしたらジゴキシンそのものがネガティブな結果をもたらしているのかもしれない(ジゴキシン血中濃度0.5ng/mL上昇するごとの全死亡に対するHR:1.19)(4)

少し古いデータではあるが、洞調律で有症候性心不全でもともと内服していたジゴキシンを中断すると、運動時間・NYHAclass・QOLが有意に下がる(5-6)。そして、心不全入院を減らす可能性がある(1)

日本循環器学会の急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)では、洞調律の患者に対するジゴキシンの投与(血中濃度0.8ng/ml以下に維持)はclassⅡaになっていて、十分な薬物療法をやってもNYHAⅡ以上の心不全症状があるような場合、洞調律であれば考慮してもいいだろう。

ただ、運動耐用能の改善が示されたこれらの試験で併用されていた治療は、利尿薬とせいぜいACE阻害薬で、現在の至適薬物治療からはかけ離れているので、現在の指摘薬物療法にジゴキシンを加えて同様の効果があるかはわからない。

自分はというと、ジゴキシンはほとんど使いません。低心機能の非代償性心不全の急性期で、頻脈性心房細動のレートコントロールをつけたいときぐらいしか出番はないです。そんな感じなので、心不全にジゴキシンが効いたと実感したことはありません。

(1)N Engl J Med. 1997;336(8):525.
(2)Circulation. 2006;114(5):397.
(3)Eur Heart J. 2015;36:1831–1838
(4)J Am Coll Cardiol. 2018;71(10):1063-1074.
(5)J Am Coll Cardiol. 1991;17(3):743.
(6)J Am Coll Cardiol. 1993;22(4):955.

痛風の治療は、心血管疾患予防のためにプロベネシドがよい?

日本で使える尿酸降下薬は、尿酸生成抑制薬はアロプリノールとフェブキソスタットの2種類、尿酸排泄促進薬はプロベネシド、ベンズブロマロン、ブコロームの3種類。

先発品の商品名は
アロプリノール:ザイロリック
フェブキソスタット:フェブリク
プロベネシド:ベネシット
ベンズブロマロン:ユリノーム
ブコローム:パラミジン

プロベネシドとベンズブロマロンは、近位尿細管のURAT1に作用し、尿酸の再吸収を抑制することで尿酸排泄を促す。ベンズブロマロンの方が尿酸排泄作用が強い。アロプリノールとフェブキソスタットは、プリン体代謝の最終段階に作用するキサンチンオキシダーゼを阻害し、尿酸の生成を抑える。

尿酸排泄促進薬は尿酸排泄低下型に用いる。尿アルカリ化薬を併用し、尿路結石の既往やCKDG4以上の腎障害には、尿酸促進薬ではなく尿酸産生抑制薬を用いる。尿酸産生過剰型に対しては尿酸生成抑制薬を用いる。

痛風患者では、心筋梗塞、脳梗塞、心不全などの心血管イベントリスクが高いが、これが因果関係なのかどうかはわかっていない。アロプリノールは、EXACT-HF試験で有意差はなかったものの心不全を減少させ、いくつかの観察研究では心血管疾患リスクの減少が示されている。プロベネシドの心血管疾患に対する効果は定かではない

Cardiovascular Risks of Probenecid Versus Allopurinol in Older Patients With Gout.
J Am Coll Cardiol. 2018 Mar 6;71(9):994-1004

【PECO】
P:65歳以上の痛風患者
E/C:プロベネシドとアロプリノール
O:心血管イベント(心筋梗塞、脳梗塞による入院)

secondary endpoint:心筋梗塞、脳梗塞、冠血行再建、心不全、死亡率

inclusion criteria:プロベネシドまたはアロプリノールの新規処方
exclusion criteria:過去1年以内にいずれかの薬剤が処方されている場合、両方の薬剤が処方されている場合、末期腎不全、透析

【デザイン、セッティング】
・メディケアのデータ
・後ろ向きコホート
・38888例(プロベネシド:9722例、アロプリノール:29166例)
・プロペンシティスコアマッチ

【結果】
プロベネシドvsアロプリノール(100人年) As-treated analysis

心筋梗塞・脳梗塞による入院
2.36 vs 2.83 HR:0.80(95%CI:0.69-0.93)

心筋梗塞
1.40 vs 1.64 HR:0.81(95%CI:0.67−0.99)

脳梗塞
0.96 vs 1.27 HR:0.72(0.57−0.90)

全死亡
2.91 vs 3.25 HR:0.87(95%CI:0.76−1.00)

【まとめと感想】
CANTOS試験でIL-1β阻害薬であるカナキヌマブが心筋梗塞を減らしたが、プロベネシドもIL-1βを減らす作用があるかもしれず、そういった抗炎症効果によりアロプリノールより心血管イベントが抑えられたのかもしれない。

医学論文を1日ひとつ読んで書き留めています。